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新たなる始まり
第300話-タガマでの出来事-
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「礼を言われる事なんてないと思うけどな」
「いえ、私たち夫婦はここに移り住む前はタガマに住んでいました」
「タガマ」私にはそこが何処の事なのかさっぱり分からない。
だけど、ヤンとユリィは違う様で二人ともその言葉が聞こえたら小さくではあるが反応した。
「貴方が。いや、フランソワ様の騎士様が居たからこそ私たちの今の生活はあるんです」
「そんな事ない。むしろ俺たちは救えてなかっただろ」
「いえ、そんな事はありません。貴方達が英雄と呼ばれるのを嫌っていると聞きましたが、当事者の私たちからすれば紛れもなく英雄でした」
そう言った男性の声は震えている。恐怖で震えているのではない事は声のトーンから分かる。感謝の気持ちで震えている。憧れの人に会えたと言わんばかりに。
「分かった。なら礼は聞いとく。それでいいならな」
「はい。宜しければこの馬車も……」
「やめろ。そんなつもりはない。普通にしてくれ」
ヤンの強い拒絶で男性は頭を下げたままそれ以上何も言うこともなかった。
結局私には何の事を言っているから分からなかった。だけど、前にユリィが「英雄」と言う事を言っていたからきっとその事なんだろうと言うのは分かった。ただ、気にはなってもその場で聞く事は躊躇われた。だから後で聞いてみようとは思う。
私たちはそのお店で馬車と旅の道具を買い揃えて支払いをした。奥さんからもお礼を言われてヤンは困惑していた。
「そうだ。一個聞きたいことがある。テールって名前の旅人を探してる。聞いたことないか?」
「いや聞いた事はありませんね。すみません」
「なら良いんだ。ありがとな」
そう言って私たちは店を出た。
外で馬車を受け取り、荷物を詰め込んだ。先に連れてきていた馬を馬車と繋げた。手順は簡単そうに見えるけど、私には上手くできるビジョンが見えなかった。
「あのすみません」
準備中に声をかけてきたのは一人の男性。そういえばさっき店内で見た様な気がする。
「えっと何か?」
「先程人を探していると言っていませんでしたか?」
会話の内容が聞こえたのかヤンとユリィが手を止めてこっちに集まった。
「知ってんのか?」
警戒する様子でヤンは男に問い返した。
「えぇ。私たちも探している所なんです」
「いえ、私たち夫婦はここに移り住む前はタガマに住んでいました」
「タガマ」私にはそこが何処の事なのかさっぱり分からない。
だけど、ヤンとユリィは違う様で二人ともその言葉が聞こえたら小さくではあるが反応した。
「貴方が。いや、フランソワ様の騎士様が居たからこそ私たちの今の生活はあるんです」
「そんな事ない。むしろ俺たちは救えてなかっただろ」
「いえ、そんな事はありません。貴方達が英雄と呼ばれるのを嫌っていると聞きましたが、当事者の私たちからすれば紛れもなく英雄でした」
そう言った男性の声は震えている。恐怖で震えているのではない事は声のトーンから分かる。感謝の気持ちで震えている。憧れの人に会えたと言わんばかりに。
「分かった。なら礼は聞いとく。それでいいならな」
「はい。宜しければこの馬車も……」
「やめろ。そんなつもりはない。普通にしてくれ」
ヤンの強い拒絶で男性は頭を下げたままそれ以上何も言うこともなかった。
結局私には何の事を言っているから分からなかった。だけど、前にユリィが「英雄」と言う事を言っていたからきっとその事なんだろうと言うのは分かった。ただ、気にはなってもその場で聞く事は躊躇われた。だから後で聞いてみようとは思う。
私たちはそのお店で馬車と旅の道具を買い揃えて支払いをした。奥さんからもお礼を言われてヤンは困惑していた。
「そうだ。一個聞きたいことがある。テールって名前の旅人を探してる。聞いたことないか?」
「いや聞いた事はありませんね。すみません」
「なら良いんだ。ありがとな」
そう言って私たちは店を出た。
外で馬車を受け取り、荷物を詰め込んだ。先に連れてきていた馬を馬車と繋げた。手順は簡単そうに見えるけど、私には上手くできるビジョンが見えなかった。
「あのすみません」
準備中に声をかけてきたのは一人の男性。そういえばさっき店内で見た様な気がする。
「えっと何か?」
「先程人を探していると言っていませんでしたか?」
会話の内容が聞こえたのかヤンとユリィが手を止めてこっちに集まった。
「知ってんのか?」
警戒する様子でヤンは男に問い返した。
「えぇ。私たちも探している所なんです」
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