悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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新たなる始まり

第301話-探し人-

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「なんで探してんだ?」
「私たちは各地でその土地にまつわる伝承を研究しているんです。そしたら各地を周る中でテールさんの話を聞いたんです。世界を旅している方の知識なら一度お話を聞いてみたいと思いまして」

 どこか胡散臭い人物ではあるけど、悪い人間であるとも言い切れない。かと言って善人とも言い切れない。直感で言うと……怪しいなとは思ってしまう。
 見た目は至って普通。変なところがないから疑うのは悪いことかもしれないけど警戒はしてしまう。

「申し遅れましたが私はカルールと申します。お邪魔してしまったらすみません。テールさんは中々影の掴めない方なのでつい」
「とは言ってもすみません。私たちも何か情報を持っているわけではないんです」
「そうでしたか。それは残念です。ちなみにあなた方はなぜテールさんを? 同じ研究ですか?」
「そう言うわけではありませんが昔お世話になったのでお礼をと思いまして」
「なるほど。そう言う事でしたか。そしたら私の持っている情報でよければ差し上げますよ。テールさんの目撃情報は南の方へ行くにつれて多くなっている傾向があります。もし探されるのであれば南側へ行くと良いかも知れません」

 つまりテールと言う人物は南に向かっている可能性があると言うことか。私たちが向かっている方向とは少しずれる。

「ありがとうございます。すみません私たちは何も返せずで」
「いえお気になさらずに。もし地域の伝承などに興味あれば旅のついでに聞いてみると面白いですよ。それでは失礼します」

 カルールと名乗った男は頭を下げてそのまま立ち去っていった。
 束の間の出来事だったけど緊張はした。知らない土地で知らない人から声をかけられるとやっぱり気を張ってしまう。

「ねぇ。今のどう思う?」
「普通っちゃ普通」
「距離感も?」
「まぁよくある事だな」

 私の知っている日本とは距離感の認識が違うらしい。これはこの先苦労しそうだ。
 現代なら詐欺師かと思って警戒しないといけないとこだ。

「情報は信じられるって事?」
「どうだろうな。むしろ南側から来たとも思えるけどな」

 なるほど。南出身だから南での目撃が多いと。まぁ自称精霊に出身地があるのかは謎だけど。

「ユリィはどう思う?」
「どうでしょうか……。少し判断に困りますね」

 自然体なのに整った細い眉を困らせながら苦笑いをする。

「だったらまずは当初のルートで大きな街に向かう。そこから南に行く方法でもいいんじゃないか」

 ヤンの提案はもっともだ。判断しにくいなら今は元の道を行けばいい、ダメなら修正で。

「私もヤンの意見に賛成かな」
「そしたら元の道で行きましょう。せっかく買った馬車ですから楽しみですね」

 ヤンは馬車を置き場へと置きに走って、私とユリィは町の中を情報収集と言うなの探索に出た。
 出発は明後日。それまでに出来ることはしておくんだ。
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