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24.いざ城戸さんのお宅へ訪問
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放課後。城戸さんの家にお呼ばれされた。
屋上で泣いていた理由。もしくは学校で流れている彼女の悪い噂の件について教えてもらえるのかもしれない。
「いけません! 男子が女子の家に行くなんて……ハレンチですっ。いけません! いけないったらいけないの!」
一応、松雪さんに放課後城戸さんの家に行くことを伝えてみた。
すると「いけません!」と連呼されてしまった。いつも余裕ありげに微笑んでいる彼女にしては珍しく慌てているように思えた。なんか言葉遣いが砕けていたし。
確かに、男子が女子の家に行くなんて一大事だ。
小学生の頃は男女関係なく、頻繁に家を出入りするものらしいけど……。僕には美月以外の女子とは縁がなかったので、よくは知らないが珍しくないことではあったのだろう。
だがしかし、高校生ともなれば話が変わってくる。
一つ屋根の下、二人きりの男女、何も起こらないはずがなく……、というのがお約束らしい。
もし異性の家に誘われることがあれば。それは恋仲か、それに近い何か親しい関係なのだとか。
もちろん城戸さんに限って、そんなつもりで僕を家に誘ったわけではないだろう。
僕だって、いくら城戸さんが可愛くても、彼女を傷つけることをするつもりはなかった。
けれど、僕たちがよくても世間体というものがある。
万が一、僕が城戸さんの家に入っていくところを、彼女を知っている生徒にでも目撃されたら? それこそ新たな噂が城戸さんを苦しめる結果になりかねない。
「確かに松雪さんの言う通りだ」
「ですよね。わかってくれましたか」
僕が一番やってはいけないのは、僕のせいで傷つく人を作らないこと。
「だったら松雪さんも来てくれないかな? 男一人だけじゃなければ問題ないよね」
「……はい?」
だけど、城戸さんの話を聞くためにはリスクを負わなければならないこともある。
きっと学校では話しづらいことなのだろう。
だからこそ僕を家に誘って、そこで悩みを打ち明けるつもりなのだ。
僕一人で行くと問題があるのなら、松雪さんも連れて行けばいいのだ。
松雪さんなら城戸さんと仲良しだし、普段は昼休みの時に食事を共にするメンバーでもある。
むしろ僕一人よりも、城戸さんが話しやすくなるのではないだろうか。
松雪さんは僕と違って話し上手だ。きっと城戸さんに何かいいアドバイスをしてくれるはずだ。
「えーと……私が行くのは、その、問題があるのではないですか?」
「そんなことないよ。城戸さんも喜ぶと思う」
「ん……んん~……」
松雪さんは悩ましげに唸る。
そうか。急に言われても困るよね。
松雪さんほどの陽キャであれば、放課後の予定が埋まっていてもおかしくはない。
「ごめん。急だったよね……やっぱり僕一人で行くから心配しないで。絶対に誰にも見られないようにするから──」
「行きます」
松雪さんは僕の言葉に被せるように言った。
「比呂くんだけでは心配です。私も一緒に行きます。いいえ、行かせてください」
力強い言葉だった。
一転してぐいぐい迫ってくる松雪さん。
やっぱり松雪さんにとっても、城戸さんは可愛い後輩なんだ。放っておくことができないのだろう。
「本当? ありがとう松雪さん。助かるよ」
「うっ……純粋な眼差しが眩しい……っ」
松雪さんが一緒にいてくれれば、昼休みのような失敗を重ねずに済むだろう。
心強い援軍を得て、僕たちは放課後を迎えたのであった。
◇ ◇ ◇
「着いた」
放課後。城戸さんに案内されて辿り着いたのは、どこにでもありそうな二階建てのアパートだった。
「ここが城戸さんの家?」
「うん。二〇三号室」
ちょっと古びた外観をしているけど……幽霊とか出たりしないよね?
いやいや、そんなことを考えるのは失礼だ。頭を振って城戸さんの背中を追いかける。
外階段を上がると、ギシギシと軋むような音がする。これ、落ちたりしないよね?
「家族の方はいらっしゃらないのですか?」
二〇三号室のドアの前で鍵を取り出そうとする城戸さんに、松雪さんが疑問を投げかける。
あまり考えていなかったけど、城戸さんの親御さんがいたらどうしよう? なんだか親の前で友達と話すのってちょっと抵抗があるな。
「大丈夫。あたし一人暮らしだから」
「なっ!?」
なぜか松雪さんが絶句した。
「ま、まさか……一人暮らししているのに男子を家に上げるつもりだったのですか?」
「そうだけど?」
きょとんとした顔の城戸さん。「当たり前でしょ?」とでも言いそうな様子に、松雪さんは頭を抱える。
「これは危機感がなさすぎでは……男の人は女性を自分のものにして、トロフィーのように扱う人ばかりなのにっ。紬さんが犯罪に巻き込まれないように、私がしっかりしないと……」
松雪さんは頭を抱えながら、何やらぶつぶつと呟いていた。
なんだか物騒な単語が聞こえた気がするんだけど……。今はちょっと声をかけづらい。
「とにかく上がって。話はそれから」
「わかったよ」
「わかったよ、じゃありません! 比呂くんもあっさり受け入れないでくださいっ」
ガチャリとドアを開けた城戸さんに促されるまま家に上がろうとしたら、松雪さんに怒られてしまった。
もしかして僕はまた何か失敗したのか? 友達の家に行く経験が浅い僕には、松雪さんに注意される理由がわからなかった。
あっ、そうか。人の家に入る時に言わないといけないことがあるんだった。
「お邪魔しまーす」
城戸さんに案内されて、彼女の家に足を踏み入れた。
まだ日が暮れてもいないのに、カーテンを閉めているのか部屋は薄暗い。下手に動いて物にぶつかるといけないので、じっとしながら城戸さんの背中だけを見つめていた。
パチッと音が聞こえて、部屋の電灯がつく。
「げっ」
思わず声が漏れてしまった。
明るくなった部屋は、足の踏み場がないほど散らかっていた。
男女差別だとか、そういうつもりはないんだけど……ここ、本当に女子の部屋で合ってる?
屋上で泣いていた理由。もしくは学校で流れている彼女の悪い噂の件について教えてもらえるのかもしれない。
「いけません! 男子が女子の家に行くなんて……ハレンチですっ。いけません! いけないったらいけないの!」
一応、松雪さんに放課後城戸さんの家に行くことを伝えてみた。
すると「いけません!」と連呼されてしまった。いつも余裕ありげに微笑んでいる彼女にしては珍しく慌てているように思えた。なんか言葉遣いが砕けていたし。
確かに、男子が女子の家に行くなんて一大事だ。
小学生の頃は男女関係なく、頻繁に家を出入りするものらしいけど……。僕には美月以外の女子とは縁がなかったので、よくは知らないが珍しくないことではあったのだろう。
だがしかし、高校生ともなれば話が変わってくる。
一つ屋根の下、二人きりの男女、何も起こらないはずがなく……、というのがお約束らしい。
もし異性の家に誘われることがあれば。それは恋仲か、それに近い何か親しい関係なのだとか。
もちろん城戸さんに限って、そんなつもりで僕を家に誘ったわけではないだろう。
僕だって、いくら城戸さんが可愛くても、彼女を傷つけることをするつもりはなかった。
けれど、僕たちがよくても世間体というものがある。
万が一、僕が城戸さんの家に入っていくところを、彼女を知っている生徒にでも目撃されたら? それこそ新たな噂が城戸さんを苦しめる結果になりかねない。
「確かに松雪さんの言う通りだ」
「ですよね。わかってくれましたか」
僕が一番やってはいけないのは、僕のせいで傷つく人を作らないこと。
「だったら松雪さんも来てくれないかな? 男一人だけじゃなければ問題ないよね」
「……はい?」
だけど、城戸さんの話を聞くためにはリスクを負わなければならないこともある。
きっと学校では話しづらいことなのだろう。
だからこそ僕を家に誘って、そこで悩みを打ち明けるつもりなのだ。
僕一人で行くと問題があるのなら、松雪さんも連れて行けばいいのだ。
松雪さんなら城戸さんと仲良しだし、普段は昼休みの時に食事を共にするメンバーでもある。
むしろ僕一人よりも、城戸さんが話しやすくなるのではないだろうか。
松雪さんは僕と違って話し上手だ。きっと城戸さんに何かいいアドバイスをしてくれるはずだ。
「えーと……私が行くのは、その、問題があるのではないですか?」
「そんなことないよ。城戸さんも喜ぶと思う」
「ん……んん~……」
松雪さんは悩ましげに唸る。
そうか。急に言われても困るよね。
松雪さんほどの陽キャであれば、放課後の予定が埋まっていてもおかしくはない。
「ごめん。急だったよね……やっぱり僕一人で行くから心配しないで。絶対に誰にも見られないようにするから──」
「行きます」
松雪さんは僕の言葉に被せるように言った。
「比呂くんだけでは心配です。私も一緒に行きます。いいえ、行かせてください」
力強い言葉だった。
一転してぐいぐい迫ってくる松雪さん。
やっぱり松雪さんにとっても、城戸さんは可愛い後輩なんだ。放っておくことができないのだろう。
「本当? ありがとう松雪さん。助かるよ」
「うっ……純粋な眼差しが眩しい……っ」
松雪さんが一緒にいてくれれば、昼休みのような失敗を重ねずに済むだろう。
心強い援軍を得て、僕たちは放課後を迎えたのであった。
◇ ◇ ◇
「着いた」
放課後。城戸さんに案内されて辿り着いたのは、どこにでもありそうな二階建てのアパートだった。
「ここが城戸さんの家?」
「うん。二〇三号室」
ちょっと古びた外観をしているけど……幽霊とか出たりしないよね?
いやいや、そんなことを考えるのは失礼だ。頭を振って城戸さんの背中を追いかける。
外階段を上がると、ギシギシと軋むような音がする。これ、落ちたりしないよね?
「家族の方はいらっしゃらないのですか?」
二〇三号室のドアの前で鍵を取り出そうとする城戸さんに、松雪さんが疑問を投げかける。
あまり考えていなかったけど、城戸さんの親御さんがいたらどうしよう? なんだか親の前で友達と話すのってちょっと抵抗があるな。
「大丈夫。あたし一人暮らしだから」
「なっ!?」
なぜか松雪さんが絶句した。
「ま、まさか……一人暮らししているのに男子を家に上げるつもりだったのですか?」
「そうだけど?」
きょとんとした顔の城戸さん。「当たり前でしょ?」とでも言いそうな様子に、松雪さんは頭を抱える。
「これは危機感がなさすぎでは……男の人は女性を自分のものにして、トロフィーのように扱う人ばかりなのにっ。紬さんが犯罪に巻き込まれないように、私がしっかりしないと……」
松雪さんは頭を抱えながら、何やらぶつぶつと呟いていた。
なんだか物騒な単語が聞こえた気がするんだけど……。今はちょっと声をかけづらい。
「とにかく上がって。話はそれから」
「わかったよ」
「わかったよ、じゃありません! 比呂くんもあっさり受け入れないでくださいっ」
ガチャリとドアを開けた城戸さんに促されるまま家に上がろうとしたら、松雪さんに怒られてしまった。
もしかして僕はまた何か失敗したのか? 友達の家に行く経験が浅い僕には、松雪さんに注意される理由がわからなかった。
あっ、そうか。人の家に入る時に言わないといけないことがあるんだった。
「お邪魔しまーす」
城戸さんに案内されて、彼女の家に足を踏み入れた。
まだ日が暮れてもいないのに、カーテンを閉めているのか部屋は薄暗い。下手に動いて物にぶつかるといけないので、じっとしながら城戸さんの背中だけを見つめていた。
パチッと音が聞こえて、部屋の電灯がつく。
「げっ」
思わず声が漏れてしまった。
明るくなった部屋は、足の踏み場がないほど散らかっていた。
男女差別だとか、そういうつもりはないんだけど……ここ、本当に女子の部屋で合ってる?
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