底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第5話

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第5話

「アイタタ、頭が割れるように痛い。
ってなんだこりゃああぁ!」

 昨夜は調子に乗ってチンの振る舞う料理の数々を食い漁り、ガーダンの持ってきた度数の強い酒を飲んで、俺もお返しに想像魔法で思い付く限りの酒の品々を出しまくったのまでは記憶にあったが、その先の出来事が思い出せない。
 そんな思い出せないでいるまま起きてみると、二日酔いで頭が割れるように痛むなか、自分の回りを見渡すと、ガーダンの脇が目の前にあって、ガーダンの腕まくらで寝ていたようだ。
 そんなガーダンから目をそらして他を見ると、シーバスやガガモにチンなどのガーダンの仲間たちが肉の絨毯みたいに折り重なっていた。

 寝ている者の顔をよく見ると、殴られたように顔を腫らしている者が少なくないのを見たところ、記憶にないが乱闘騒ぎでもあったのだろうと推測する。
 しかし昨夜は何をやったのだろうか。
 目の前に倒れている男たちを囲むように大きな壁もできている。

 そんな壁のせいで男ばかりの男臭い匂いが立ち込んでいて、二日酔いにはかなりキツイ状況なのだ。
 だが寝起きで目の前にあったガーダンの脇と腕まくらで驚いて叫んだが、他の者たちは起きるそぶりもみせない。
 そんな状況で移動は空を飛ぶか、壁の上に転移するしか移動方法がなさそうで、どちらがマシかを考えるも転移しかなくて壁の上に転移をすると、そこら中に小型のキャンピングカーがあった。

 その数は二十台ほどと女冒険者のパーティに作った壁の小屋も、ずらっと並んでキャンピングカーと同じくらいの数が並んでいた。

「あ!おはようおじさん。昨日は凄かったね。
あんな物も持ってたんだね。それにこんなに沢山も持ってるなんて、おじさんのマジックバックは凄い容量なんだね」

 壁の上から見下ろして眺めているとアマが小屋の一つから現れて朝の挨拶をしてきた。


「あ、ああ、俺のは特別性なんだよ。昨夜のことは途中から記憶ないんだけど、俺はガーダンたちと酒を飲んだあと何をしたんだ?」

 俺は壁から降りてアマに近づき、I.Bの存在は隠して俺のマジックバックは特別性だと言うのに、アマは良いなぁと言ったあと、俺の質問である昨夜起こったことを話してくれた。
 アマが言うには昨夜、沢山の酒の数々を出したあとの俺はガーダンの酒を飲んだあと気を失ったそうだが、数分後には目を覚ましたものの、話しかけても呆然として反応がなかったそうだ。
 しかし、酒によって気持ちが昂ったジーラントとその仲間の冒険者たちが、女性冒険者の尻や胸を触りだすと、呆然としていた俺が覚醒してちょっかいを掛けていたジーラントたちを殴りだしたそうだ。

 それからは暴れる俺と戦おうとするガーダンに、ちょっかいを掛けていた冒険者たちとの乱闘が始まったものの、俺は冒険者を殴り倒しながら数々のキャンピングカーと小屋を出して、関係ない者はこの中に逃げろと言って逃した。
 それらを聞いても全く記憶がないが、関係者をある程度集めたあと、自分自身を中心とした大きな壁を隔てたそうだった。

「しっかし、ジーラント兄ちゃんは前の世界でボーボーなんて呼ばれてたなんてねぇ」
「え?なんでアマがそのことを知ってるんだい?」
「おじさんが教えてくれたんだよ?酔っ払ったおじさんが、ジーラント兄ちゃんのことをボーボーと呼び出したから何でボーボーなの?って聞いたら、ジーラント兄ちゃんの若い時、ギャランドゥが凄かったって。
でもギャランドゥって何かは教えてくれなかったけど、どう意味なの?」


 なんてことだ。前世のジーラントが嫌うあだ名を酔っ払っていたとはいえ呼んでしまっていたとは、しかもジーラントの妹たちにギャランドゥのことまで言ってしまったことに罪悪感でいっぱいになり、すぐさまジーラントに会って謝罪したいと思った。

「おじさん私の話聞いてる?
ギャランドゥってなに?」
「あ、ああ、腹の筋肉のことだよ。俺の地元では腹の筋肉のことをギャランドゥって呼んでたんだ。それでジーラントの前世では凄い腹の筋肉だったから尊敬を込めてボーボーと呼んでた。
ボーボーもギャランドゥと同じ意味の言葉なんだよ。ただギャランドゥって言葉は、別の意味もあるから公に呼べないってだけだったんだ」


 アマの再び聞いてきた質問につい嘘をついてしまったが、アマは満面の笑顔で納得して小屋に戻り、アミにギャランドゥがどういう意味なのかと、ボーボーってあだ名もギャランドゥと同じ意味だってと表にも聞こえるほどの声量で話しだした。本当は、ヘソ周りから下腹に陰部あたりに及ぶ体毛を指す通俗的な呼称なのを、ギャランドゥと呼ぶのだが、そんなことをあの子たちに言えるはずもない。
 それを聞いたアミはバタバタと表に出て来て、ボーボーって悪口じゃないの?と聞いてきた。

「うん違うよ」
「でも昨日、ジーラント兄様のことをボーボーって悪口のように言って暴れてたから」
「へ?昨夜の俺ってなに言ったんだろぅ。
俺自身はそんな酒乱とかじゃないはずなんだけど」
「でもガーダン兄様がキレてしまったときみたいに、昨日のミーツさんは怖かったです」
「そうなのか、それなら怖がらせて悪かった。
昨夜のことは俺が酒を出して飲んだあとは、全く記憶がないんだ」
「もう良いじゃないアミ。おじさんは商人のおじさんや、女の子に手を出さない冒険者の人たちには手出ししなかったんだしさ。それにおじさんが出した小屋に風呂まであったじゃない」
「うん、じゃあミーツさんはこれからはお酒禁止です。私たちの前で飲まないと約束して下さい」
「うーん、それは約束できないかな。
俺も酒は好きだし、昨夜の俺の話だけ聞くと、俺が一方的に悪いともいえないみたいだしね。
その代わり酒は記憶が飛ぶまでは飲まないようにするよ」


 アミは落ち込んだものの、アマがまーまーまーとアミを落ち着かせて、おじさんの小屋で風呂に入り直そうとアミの手を引っ張って小屋の中に入って行った。
 アマは小屋に戻る前におじさんの使い魔たちはこっちの小屋にいるから、後で連れて行くねと言っていた。 言われてみて今更ながらに気が付いたが、頭にいつも乗っているロップと胸の辺りにへばり付いているアッシュが居なくなっていた。

 そんな俺の使い魔たちがアマの小屋にいるのなら大丈夫だろうと思ったものの、俺はどんな小屋を想像魔法で作ったのだろうかと、入口に布を垂らしてない小屋を探したが、小屋全てに布が垂らされていた。

 キャンピングカーの方はどうだろうかと、キャンピングカーの方を覗き込んだりしていると、小型の物ばかりと思っていたら一つだけ大型の物があり、その大型の物に四人組の冒険者らしき服装の者たちしか使って無かったため、使われてない残りのキャンピングカーはI.Bに収納した。
 朝も日が昇って時間的に午前七時か八時くらいになる頃なのに誰も小屋から出てこなく、仕方なく一人で食事でもしようと想像魔法で火を出して、そこら辺に転がっていた中華鍋を使って、想像魔法で出した米を投入して炙って行くーー。

 適当に調味料も入れて行くと、米が焼ける匂いに調味料が合わさって堪らなく辺りを良い匂いが漂う。
 近くに魔物がいれば襲いかかれるだろうが、周りには人はおろか魔物も居ないのを鍋を振りながら確認済みだ。
 そんな鍋を振り続け、出来上がったのは良い感じに焦げ目が付いた炒飯だ。
 それを皿に移して、さあ食べようと思ったとき、視線を感じて後方を振り返ろうとすると、俺の肩の位置にアミとアマの顔があった。

 二人とも髪は濡れて毛先からポタポタと水が落ちているし、身体も急いで拭いたのか所々服が濡れていた。そして更に彼女らの後方には先程、キャンピングカーを覗き込んだときに見た冒険者に、商人らしき人たちなど沢山の人が俺の両手に持つ炒飯に釘付けだ。

 俺は両手に持った炒飯を上に持ち上げると、皆んな持ち上げた炒飯を見上げたり、逆に下げると見下ろし行くのが面白くなったものの、現在作ったのは俺が食べる分の大盛り一皿のみ。

 ここで全員分を作れとか言われると無理だし、嫌だと思って、サッと動いてガーダンたちを囲んだ壁に飛び上がろうと宙を浮いた瞬間、アマが俺の両足を掴んで、そんなアマの両足をアミが掴み、アミを冒険者達が掴んで引っ張っていき、俺は地面に落とされた。
 力を込めて飛び上がったわけではないから、アマくらいの体重なら大丈夫だろうと、高を括っていたのが悪かったようだ。

 地面に落とされたときに持っていた炒飯は無事だったものの、一人で食べて良い雰囲気でもなくなり、どうしようかと思っていると、冒険者たちに金は払うから同じ物を作って欲しいと懇願されてしまった。
 料理に自信がないと一度は断るも、それでも良いと言われ、仕方なく面倒だと思いながらも同じ物を作って軽めの収入を得た。
 そのあと一息ついてようやく今度こそ自分の物を食そうとしたとき、ガーダンたちを囲んだ壁が大きな音と共に崩れ、ガーダンがこのいい匂いの物はなんだー!腹減ったぞー!っと言って、俺の持っていた炒飯の皿を奪ってスープでも飲むかのように溢しながら一瞬で食われてしまった。
 それからは、またもガーダンらにも作る羽目になってしまった。


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