底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第4話

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第4話

「おいジーラント!いつまでウサギと戯れてるんだ!」

 野営場所に辿り着くと、落ち込んでいたガーダンは正気を取り戻し、未だにロップを触ろうと奮闘するジーラントを怒鳴った。

「え~、もう着いちゃったんですか?
まだロップちゃんに触れてないのに」
「ジーラント兄様、可哀想。ミーツさん、ジーラント兄様にも触らせてあげれないんですか?」


 ジーラントは名残惜しそうにロップを眺めていると、余りにもそんなジーラントを可哀想に思ったアミが、ジーラントもロップに触らせてあげれないかを聞いてきた。

「アミ、それは無理でしょ。おじさんの使い魔でも簡単に言うこと聞きそうじゃないもん。
そんなのアミでもわかるでしょ?」
「それはそうだけど、あまりにジーラント兄様が可哀想で…」
「アミは優しい子だね。でもアマの言う通り、俺がロップに言ってもジーラントを拒むだろうね。俺が命令でもすれば触らせるかもだけど、そこまでして使い魔に命令をしたくないね」


 命令したら触らせるって言葉に一瞬笑顔になったジーラントは命令したくないと言った途端、目の前でとてつもない裏切りでもあったかのように泣きそうな表情になって、最後に頭だけでもとロップの頭に手を伸ばすが、ロップの耳ビンタによって頰をモロに食らって吹っ飛んで馬車から落ちた。
 そんな落ちたジーラントの腕をガーダンとシーバスが掴んで引きずって野営するテントを張るポイントに連れて行った。

「ロップも少しくらい触らせてあげたら良かったんじゃない?」
【イヤ!だってあの人たち、嫌な匂いがするんだもの。主様は分からないの?】
「あの人たちってジーラントだけじゃなくガーダンも?それに嫌な匂いって?」
【うん。主様と一緒にいた双子の子とその兄と、その仲間のもう一人以外は全員嫌な匂いするの。 なんていうんだろう、説明はできないけど、なんだか嫌な感じがする。主様には早めにこの人たちと別れて欲しいかな】


 馬車から降りて連れていかれるジーラントを見ながら抱きかかえているロップに、ジーラントに触らせない理由を聞くと、ロップはガーダンたちのパーティ全員が嫌な感じがすると言うだけで、特に理由を話さなかった。 ロップの嫌悪感をアッシュも感じているのかをアッシュにも聞くと、アッシュは何も気付いてないようだ。

「おじさんおじさん、使い魔はなんて言ったの?
ジーラント兄ちゃんが臭いの?」

 馬車内から降りたとき、アマとアミも一緒に降りて俺の両隣りにいた。彼女らは俺がロップに話しかけていた内容を聞いていて、ロップが何を言ったのかを聞いてきたが、ジーラントたちが嫌な匂いがするなんて、妹のアマとアミには聞かせられないと思いながらなんて言おうか悩んでいると、少し遠くの方でテントを張るのにもたついているパーティが見え、俺はアマの質問に答えずにあそこを手伝ってくるな?っと言って抱きかかえているロップを頭に乗せてテントを張っているパーティに近づくと、ガーダンのパーティの一員ではなかった。

 よく見るとこの野営する場は大きく開けた広場になっており、ガーダン一行のパーティ以外に複数の冒険者や商人らしき人たちがいた。
 俺がテントを張るのに手伝ってあげようと近づいた子らは、全員フード付きのローブで顔を隠していたものの、全員女性みたいで、俺が近づいた瞬間、警戒して剣や槍を抜かれて構えられた。


「ああ、ごめんね。テントを張るのにもたついていたみたいだから、手伝おうと思って近づいただけなんだよね。でも余計なお節介だったみたいだね」


 手伝おうと思って近づいたと言っても、剣を抜いて警戒したままの彼女らにこれ以上は近づいて手伝いをさせてくれないと思って、離れて行こうとした時、警戒している彼女らの後ろで手伝って下さいと声を掛けられた。 その言葉に反応して武器を構えて警戒している彼女らの隙間を素早く通り抜けて、テントの柱を立てるのにもたついている彼女を手伝ってあげると、俺の鼻スレスレに剣の先を突き立てられた。

「余計なことをするな!これはあたしらの問題だ」


 流石に剣を突き立てられれば、これ以上手出しは出来ないと考え、片手に持っている柱を立ててから両手を上げてこれ以上何もしないことを示した。
 このパーティのテントは四つの柱を立てて、柱に付いている布を張るだけの簡単な作りなようだが、この柱を立てているのも、柱に付いている布を張るのも二人でやっていた。

「ねえ、君たちは手伝わないのかい?」

 パーティの人数は五人いるのに、残りの三人は武器を手にまだ俺に向かって剣を突き立て威嚇しているのにテントを張る手伝いをしないのかを聞いた。

「あんたには関係ないだろ」
「全員でテントを立てたら、魔物や人に襲われたときに対処ができないんです」

 未だに剣を突き立てている彼女はツンツンした受け答えをしたが、柱の一本を立てるだけだが手伝った女性が理由を教えてくれた。

「あー、なるほどね。確かに女性ばかりのパーティだとそういうことがあるのか。
だったら俺がテントを完成させるから君たちは見てなよ。もちろんやましい気持ちなんかはないからね」


 俺はそう彼女らに言って、突きつけられている剣先を指で弾くと、別の子が槍の先を突きつけてきた。
 こういう事はよくあるのか、何を言っても手伝わせてくれない彼女らと手伝って欲しそうにしている彼女に挟まれて、段々めんどくさくなって想像魔法でテントを建てている場所の横に岩壁で同じような作りの物を建てた。

「ほら、これで良いかい?俺の魔法で作った物で君たちのテントじゃないけど、これでも充分なほどの耐久性があるし、一面だけ出入りしやすいように君たちの小柄な体型に合わせた穴も開けた。
出入口の上部には布を垂らせるだけの穴を開けてあるから、君たちの持っている布で垂らせば良い」

「こ、こんな怪しい所に入れるわけないじゃない!魔法で作った?こんな物を魔法で……作れないわけじゃないけど」


 流石に作る過程を見せずにいきなり、ドンっと物置のような物を出すと思いっきり怪しまれた。でもこんなものを魔法で作れる訳がないと言おうと思ったのか、途中で言い直して口籠ったところをみると、もしかしたら俺と似たような魔法を使うのを見たことがあるのかも知れない。


「でも折角作ったんだ。できれば入って欲しいと思う。俺はあっちのパーティと寝食を共にしなきゃいけないってこともないけど、俺は俺で別に作るから、使うか使わないかは自由にして欲しい。
明日、出発するときに壊すからさ」


 俺は彼女らにそう言うと、食事の準備をしているジーラントの元に向かった。
 ジーラントの方に向かいながら彼女らをチラ見していると、俺の作った物の出入口から内部を覗き込んだり、外壁を叩いたりして色々確認したあとゾロゾロと中に入り込んでいるのを見て、このまま使ってくれそうだと思い、見るのをやめてジーラントに近付くと、ジーラントは鍋をかき混ぜて食事の準備をしていた。

「ねえねえナンパは成功した?さっきの子たち皆んな女の子だったんでしょ?今夜、夜這いでもするの?行く時は僕も誘ってよ一緒に行くからさ」


 ジーラントは俺のことを見ていたのか、近づいてきた俺に下衆なことを言ってきた。


「ジーラントの精神年齢は二十代のままだね。
俺はそんなつもりであの子たちにアレを建てたんじゃないよ」

「僕は別に年寄りでもなんでもないんだよ?年齢は前世と合わせたらミーツより年上かもしれないけど、今は若いんだしいいじゃんか!
まだ若いんだからミーツが夜這いしないなら、僕が仲間を誘って行っちゃおうかなぁ」

「そんなことを俺が聞いて行かせると思うか?
どんな手を使ってでも、あの子たちの所に行かせない。お前みたいなのがいるから、あの子たちは男に対して警戒するんだよ」

「なんなんだよ。ただの冗談だよ。本気じゃないって、何キレてんだよ。そんな冗談も通じないならコレ食べさせないよ?」

「分かった。それなら俺は食事も寝る場所も自分で用意するよ。ガーダンがヤマトまでの道案内をしてくれる者を紹介してくれるまでは同行するけど、それまでは一切干渉しない」

「今のはジーラント兄様が悪いです!
ミーツさんに謝って下さい」
「そうだねぇ、確かに今のはジーラント兄ちゃんが悪いよねぇ。ジーラント兄ちゃんもおじさん相手だとこんななっちゃうんだね。兄ちゃんがそんなんだと、私らおじさんに付いてっちゃうよ?」


 俺はジーラントから離れると、ジーラントの近くにいたアミとアマが俺とジーラントの会話を聞いてジーラントを責めてたてた。
 そんな妹たちにジーラントは勝手にしろと言い、そっぽを向いて鍋に色々な食材を入れ始めた。

「ミーツさんごめんなさい。私達のジーラント兄様があんな人だったなんて知らなくて」
「おじさん、兄ちゃんが気分が悪くなること言ってごめんね。おじさん相手だと兄ちゃんがあんななるんだね」
「いいさ、アマとアミは悪くないよ。俺もジーラントが前世のままの変わらない友人だと思っていたから、あんな下衆なことを聞いて驚いたんだ。
ところでアマとアミは俺に付いてきたのはいいんだけど、君たちは何処で寝るんだい?」
「そんなのおじさんの側にしかないじゃん」
「ミーツさんの邪魔にならない所で寝ます」


 何の計画もなしに俺に付いてきたアマとアミの言動に頭が痛くなったものの、先に食事を取ることにして、想像魔法で薪出して薪に火を付けて焚き火をし、何を食おうかを少し考えI.Bに入れていた牛魔を適当に切って焼き出した。


「わあ牛魔だぁ。おじさんって牛魔も持ってたんだね。久しぶりに食べるねアミ」
「ミーツさん、これシーバス兄様たちにも食べさせてあげても良いですか?牛魔ってこの辺りでは滅多に現れないし、街でだと高額なんですよ」
「へえ、地域によっては現れる魔物は違うもんだと思ってたけど、この辺りでは牛魔はあまり現れないのか。それなら連れておいで」

 彼女らは嬉しそうに走って行き、しばらくするとシーバスとガガモだけだと思っていたら、ジーラントを除くガーダン一行も付いてきた。

「え?ちょっと多すぎない?」
「ミーツさんごめんなさい。シーバス兄様の近くにガーダンさんもいて、牛魔のことを話したら付いて来ちゃったんです」
「ま、いっか。でもそれじゃあ、ジーラントの作ってた鍋はどうするんだい?ついでにジーラントも連れてきなよ」
「ミーツさん、さっきの事はもう怒ってないんですか?」
「それはそれでまだムカついてるけど、一人だけ除け者扱いするのは嫌いなんだよね」


 ジーラントのことは許してないけど、連れてきなよと笑顔で二人に笑いかけると、彼女らはジーラントを呼びに走っていった。
 そんな彼女らが走っていったのを見たあと、背後で牛魔の解体をガーダンらがは勝手にやりだしたが、ガーダンらも手ぶらでは来てなく、野菜や牛肉に合う酒を持ってきており、転移者で料理人のチンが自前の中華鍋を振って料理をしだした。
 そうして複雑な表情で来たジーラントに他の冒険者パーティや商人も交えての、盛大な野営での食事会になってしまった。

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