底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

文字の大きさ
193 / 261
第5章

第10話

しおりを挟む
第10話

 巨大トレントを倒した確信がないため、念のためにI.Bから取り出した炎熱剣を片手に、トレントの上部に降り立ち剣を突き刺すも反応がないところ、完全に倒したと思っていいだろうと思い、トレントの上部から下に降りると、テントいっぱいにドームの中にいた人たちがシーバスたちと共に歓喜で騒いでいた。
 俺が戻ったことにアマとアミは抱きついてきて、俺の無事を手探りで身体のあちこちを触ってきて、商人たちもトレントを眺めている。

「もしやこれは大雨のときに現れ、暴れるだけ暴れたら雨と共に去る。幻のトレントでは…。
今まで、発見されたことは多々あるものの、討伐されることはなかったのが、こうも簡単に…」


 どデカいだけのトレントだと思っていたのが、まさか幻のトレントだとは思わなかったが、商人たちも黒焦げのトレントを眺めるだけで、買い取りを言ってこない所をみると、どう査定すれば分からないような感じだ。


「さあ、夜が明けたら出発しようかね。ってその前にこれを収納しなきゃね。アッシュ、これいけるかい?」
【これは無理~】
「そうか、流石のアッシュでも無理か。それなら俺が収納するしかないね」

 黒焦げのトレントに手を翳して、I.Bに収納した途端に、MPの消費が急激に減った気がしたものの、ステータスを見る限り、全体のMPのほんの僅かであったことに安堵し、これ以上魔物が現れないことを祈りつつ、テントの森に面した部分を壁で覆って、正面とドームに繋がった部分をシーバスとシロが交代で見張りをしてもらうことになった。トレントが急に消えたことにより、商人たちは残念そうにしてゾロゾロと、元のドームの中に戻って行った。

 馬車内で休むことになって、ずぶ濡れな服と身体を想像魔法で乾かしてから横になるが、戦闘直後ってこともあってか、眠れないと思っていたのが目を瞑ると意外と意識が遠のいて眠れてしまった。 翌朝、起きたらアマとアミが俺の両腕に絡みつくようにして眠っていて、一瞬焦ったものの、転移で抜け出して馬車の外に転移したら、シロが眠たそうな目で見張りをしていた。


「おはよう、お疲れさん、移動は馬車もあるし、今日は馬車内でゆっくり休むといい」
「あ、ミーツさん。おはようございます。
一晩くらいの夜通しの見張りなんて、慣れてますから大丈夫ですよ。それにシーバスさんと交代でやってましたから、少しは寝れましたしね」


 ドームの中やテントの中では、ほとんどの者が起きて出発しているようで、道の妨げになると思ってドームとテントを撤去しようと思ってこれらを塵に帰した。
 まだ眠っていた冒険者や中で出発の支度をしていた者たちは、いきなり建物が無くなったことに驚き騒めいたものの、ここは元々急な雨によって俺の魔法によって建てた物だと、シーバスが昨晩何人かに説明してくれていたみたいで、知らない人らに聞いた人が教えてあげていることにより、騒めきはすぐに収まって、それぞれがすぐに出立して行く。

 俺もまだ眠っているアマとアミを起こさず、シーバスとシロを素早く馬車に乗せて出発し、御者席にシーバスと並んで座り道案内をしてもらいながら進んで行くと、途中途中で昨日の大雨によってできた川に道を遮られて遠回りしながらもなんとか夜になる前に目的地となる街に辿り着いた。

「ミーツさん、ここにミーツさんの目的地となるヤマトへの案内ができる者がいるんだ。今日のところは遅いし、適当に宿にでも泊まろう。
ここには俺たちが依頼を受けたギルドもあるから、明日朝一番に行って依頼の達成をしてくる。
ミーツさんもギルドに用があれば一緒にくるか?」
「そうだね。久々にギルドに行ってみるかな。
クリスタル国以外で、まともなギルドなんて初めてだからね。それにシーバスたちが俺とパーティを組むならパーティ名を申請しなきゃだしね」
「え!おじさんのパーティ名あるの?」
「うんあるよ。ただ一度もギルドに申請してないから、今は別行動の仲間以外では知られてないね。なんの名前かは今は秘密だよ」

 今日のところはギルドに行くのは止めて、シーバスの言う通りに街の中を進んで、お勧めの宿に案内されて泊まることになったものの、部屋割りが明らかにおかしい。

「ねえ、シーバス?なんで俺がアマとアミと同室なのかい?二部屋しか取れないなら、シーバスが妹たちと同室になるべきだと思うんだけど?」
「ああ、それはシロさんがミーツさんと同室は嫌だって言うから仕方なく、こういう分け方にしたんだ」
「だったら、シロがアマたちと同じ部屋にするべきじゃないのかい?」
「それも考えたが、まだシロさんのことをそこまで信用してないから妹たちと同室だと不安なんだ。その点、ミーツさんなら妹たちに手を出すことはないだろう?」
「そりゃあ、当たり前だ。あんなまだ成人してもない子供に手を出すもんかね。俺は犯罪者になりたくないからね」
「だったら安心だ。今朝の馬車内でミーツさんが妹たちに手を出していたら、この分け方にしてないさ」

 シーバスが俺のことをそこまで信用してくれているのはありがたいが、色々とマズイし、俺自身が嫌だと思って、シロの肩に手を置いて、俺と同室が嫌なら外で休むか、馬小屋で休めと言うと、アマとアミがそこまで自分たちと同室が嫌なの?って涙目になってしまったことにより、今回は俺が折れてシーバスの分け方に同意した。

 ただし、このまま俺だけが折れるのはしゃくだと思って、シーバスの耳元にそっと耳打ちをして、シロの恋愛対象は男性だから気を付けろよ?とだけ言って、分けられた部屋に向かったが、後方で俺を呼ぶ声が宿全体に響いたものの、その声を無視して彼女たちと部屋に入った。

 この街では食事処が閉まるのが早いようで、宿に到着したときには、ほとんどの店が閉まっており、酒場なら開いていたものの、男だけなら大丈夫だろうが、女の子を連れて行けるものではないと思い、部屋の中で軽く済まされるジャンクフードを出して、彼女たちに振る舞ったが、外に出て店で食べる食事より美味しいとのことで、満足してもらったのち、三つあるベッドのうち、一つを木の床と同じ色の壁で囲んで、転移でベッドに潜り込んで休んだ。
 壁の向こう側では彼女たちが、魔法を使わずに壊そうとしている声が聞こえてくるも、その騒がしい声が帰って子守唄のように心地よい声に変換されて、モコモコで肌触りが良いロップを枕代わりにして寝ることにした。

 翌朝、彼女たちから逃げるように一人で勝手に壁を囲んで休んだことに怒った彼女らは、起きて壁を取り除いたさい、彼女らは壁の近くにベッドを引きずって眠っていて、壁を取り除いた音で目を覚ますなり叱られてしまった。

 俺の歳の半分も満たない子たちに叱られていると、部屋の扉を勝手に開けてニヤニヤした顔で見ていたシーバスが、諦めて今日は妹たちの言うことをなんでも聞かなければ、後々面倒になるぞと言われ、仕方なく彼女らの言うことを聞くことになり、宿からギルドまでの間、彼女らに手を引っ張られている。
 シーバスは既にシロと二人で先にギルドに行って、依頼の達成とランクアップの手続きをしに行っているため、俺はため息を吐きながら彼女らに急かされていくのだった。

しおりを挟む
感想 303

あなたにおすすめの小説

転生したら実は神の息子だった俺、無自覚のまま世界を救ってハーレム王になっていた件

fuwamofu
ファンタジー
ブラック企業で過労死した平凡サラリーマン・榊悠斗は、気づけば剣と魔法の異世界へ転生していた。 チート能力もない地味な村人として静かに暮らすはずだった……が、なぜか魔物が逃げ出し、勇者が跪き、王女がプロポーズ!? 実は神の息子で、世界最強の存在だったが、その力に本人だけが気づいていない。 「無自覚最強」な悠斗が巻き起こす勘違い系異世界英雄譚、ここに開幕!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月中旬出棺です!! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。