底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第11話

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第11話


 アマとアミの二人に手を引っ張られながらギルドに到着すると、この街のギルドでは入ったそばから酒場みたいに冒険者が丸テーブルに囲んで座って談笑していたり、真面目な表情で見つめ合って会話をしている席もあったりしている。
 そんな所の最奥には簡単な受付があって、とても嬉しそうな表情をしたシーバスがいた。

 シーバスに近づこうとしたら、丸テーブルに囲んで座っているガラの悪い三人組のうちの一人の冒険者が、俺の目の前に足を投げ出してニヤニヤして笑っている。

「おっさん、そんなかわい子ちゃんたち連れて何処に行こうってんだ?お嬢ちゃんたちも、こんなおっさんより俺たちとお互い気持ちのいい汗をかこうぜ」
「ギャハハ、朝っぱらから下ネタかよ」
「ほら、おっさんは消えた消えた」

 彼らはホコリでも払うかのように俺に向かって手を払ったものの、もちろん去るわけがなく、投げ出された彼の足を蹴り上げたら、ボキッと鈍い音と共に彼の足が折れた。
 アマとアミも彼らのことが許せないのか、ぶつぶつと魔法の詠唱を唱えたのち、彼らの股間に火を灯して、更に頭からバケツをひっくり返したかのような水をかけた。

「アチチチッ!冷てぇ、このガキ!もう許せねえ!」
「ベーっだ!おじさんを馬鹿にするからいけないんだよ!おじさんの方がキミたちよりも、何十倍も強いんだからね。それに、股間を丸出しにして凄んだってなんの迫力もないんだよ?プププ」
「ですです。早くそのお粗末なモノを隠して下さい。そして、早く私たちとミーツさんに謝って下さい」

 彼らは覚えてろよと捨て台詞を吐いて股間を手で隠しながら、足の折れた仲間を支えながら去って行った。
 他の冒険者たちは俺たちを見るのを止めて、視線を明後日の方向に無理矢理向けて、わざとらしく背伸びをしながら出て行く者も少なくない。

 ギルド内はなんともいえない空気になるも、そんな空気なんか関係ないといわんばかりに、アマとアミがガランと空いた受付まで手を引っ張ってキラキラした目で、パーティ名申請をお願いしますと受付嬢に俺の代わりに言った。
 受付嬢は笑顔を引き吊りながらも、パーティ名とパーティ加入者の名前とギルド証をお願いしますと言ってきたところで、ギルド証を差し出してパーティ加入のそれぞれの名前を言っていくと、受付嬢は言われた名前をスラスラと紙に書いていく。

「さ、おじさん早く早く、パーティ名披露して!」
「そんな大層なパーティ名じゃないけど、そんな期待させて悪いけど、俺の申請するパーティ名は『ミーツと愉快な仲間達』でお願いします」
「「「「はああぁぁぁ?」」」」
「ちょっと、おじさん!そこでそんな冗談ダメだって!本当のパーティ名はなんていうの?」
「そ、そうですよね。まさかそんなパーティ名な訳がないですよね」
「ミーツさんマジか。本当に冗談なのか?
それとも本当にそんな名前なのか?」
「僕、ミーツさんに付いて行くの間違ったのかも」

 俺のパーティ名についてそれぞれがショックでも受けたように、口々に発言しているが、そんなに悪くないはずなのにアマとアミは本当のパーティを早く言ってと身体を揺さぶり、シーバスは額に手を当ててそんな馬鹿なと呟き、シロについては僕はこのパーティと関係ありませんと受付嬢に訴えてかけている。

「本当にミーツと愉快な仲間達なんだけど、ダメですか?」
「プッ、も、もちろん、だ、大丈夫でございます」

 受付嬢は真っ赤な顔で口に腕を押さえながら、申請を受け入れてギルド証を返してくれた。

「大丈夫ですか?なんか顔が真っ赤ですけど、体調でも悪いんですか?」
「いえ、大丈夫でございまする。どうぞお帰りになって下さい」

 アマとアミはパーティ名を申請する前と明らかに変わって、頭を下げて落ち込んでいて、シーバスはため息しか出ないのか、ひたすらため息を吐いていて、シロについては一足先にギルドから出て行っていた。
 他の冒険者たちも真っ赤な顔をしてプルプルと震えているところを見ると、具合でも悪いのだろうと落ち込む彼女らの手を来る時と逆に俺が引っ張ってギルドを出ると、中からとんでもない声量で笑い声が聞こえてきた。

「ゔゔゔ、うわ~ん、おじさんの馬鹿~」
「これからパーティ名を名乗るの嫌になりましたけど、もう仕方ないです。アマは後で言い聞かせますので、ミーツさんはこれから私たちのお願いをなんでも聞いて下さいよ!」

 アマは泣きながら宿に走り去って行き、そんなアマを追いかけるアミがとんでもないことを言って追いかけて行った。

「そんなに俺は悪いことをやったのか?」
「ミーツさん、諦めた方がいい。あんなパーティ名で申請するミーツさんが悪いんだ。これからついでで案内人のところに行こうと思っている」

 俺は独り言のつもりで呟いたあと、追いかけようとしたところでシーバスに肩を掴んで止められ、ヤマトの案内人のところに一緒に行くことになった。

「ミーツさんが昨晩シロさんは男好きなんて言うから警戒していたけどよ、よくよく話をしてみたらシロさんは、恋愛対象が男ってだけで誰でも良い訳じゃないんだな」
「そうだよ。昨日はシーバスがアマとアミの同室を俺にしたから意地悪をしたんだ。三人部屋と二人部屋だったんなら、あの子らを二人部屋にして、残りの三人部屋を俺たちにすればよかったんだからね。そうすればシロが俺と二人きりじゃなくなるしね」
「あ、そういえばそうだな。妹たちがミーツさんと一緒の部屋が良いって言ってたから、そのことに頭が回らなかったな。っと着いたぜ」


 シーバスは路地に入って一件のボロ家の前で足を止めた。ヤマトという大国の案内人というなら、それなりの家に住んでいる者と思っていたのだが、見るからに怪しい所に住んでいる者だと思った。
 シーバスは乱暴に扉を叩いたあと、家の者から返事が返って来る前に扉を開けて入って行った。

「邪魔するぞう。どうせ居留守でも決め込んでいるんだろ」
「ちょっとシーバス、そんな勝手に扉を開けていいのかい?」
「ああいいんだ。どうせ飲み屋の借金取りから逃げて、引きこもってるだけだからな」
「あ、その声はシーバスだあ!もう、先に誰だか言わないと!」

 部屋の中は乱雑に置かれた書類と空の酒瓶で溢れかえっており、その中で黒い塊が動き、シーバスに抱き着いた。

「お前に依頼を出したい」
「え~、シーバスがあ?珍しいね。ボクに依頼を出すってことはヤマトに行きたいんだね」
「そうだ。俺も含めたこの人が率いるパーティをヤマトまでの案内を頼みたい。この時期は転移屋が使えないと聞くからな」
「うん。そうだね。今の時期は転移屋は使えないし、飛空船も早くから予約してないと乗れないね。余程のコネがない限りは、裏ルートと転移屋に莫大な賄賂を渡すか、飛空船にこっそり潜入しないと無理だね。ってこの人?シーバスがヤマトに連れて行きたいって人は」


 黒い塊は俺に近づき、足から腹に掛けて匂いを嗅ぎ出して、自身の羽織っていた黒い布を脱いだ。中から褐色の肌に大きくピンと跳ねた耳が現れ、アマたちと変わらない年頃の美少女が現れて驚いた。


「あー、ミーツさんこいつはダークエルフのシロヤマだ。ヤマトの案内人をやっている、借金だらけの常に飲んだくれの酔っ払いだ」
「むー、シーバス酷~い。で、キミの名前とパーティ名は?それに何人で行くかも教えて」
「あ、ああ、俺はミーツ、つい先程ギルドでパーティ名を申請して、パーティ名は『ミーツと愉快な仲間たち』でメンバーはシーバス兄妹の三人に男一人の計五人だ」
「ぷっ、なんなのそのパーティ名は!キャハハハハ!ってことはシーバスも愉快な仲間たちの一員なの?キャハハハハ、ファミリーはどうしたの?
キャハハハハ」
「クッそれについては何も言い返せないのが辛いぜ。だが、ファミリーとは決別をして、今後はこの人について行くことに決めたんだ。
だから頼む、お前しかこの時期に案内を頼める奴はいないんだ」
「もう、しょうがないなあ。前にシーバスに助けられた恩を返すつもりで引き受けるよ。
でも、しっかりと報酬はもらうよ。
この時期色んな所から依頼はくるし、色々と危険だからね。リーダーのミーツくんは命を掛けてでも行けるのかなかな?」


 シロヤマは下から覗き込むように見上げて、命懸けで行けるか聞いて来たものの、その見つめて来る目は目を離せないような、それでいて吸い込まれるような目で見つめているのに頭がぼーっとしてきたところで、頭に乗っているロップが頭皮に爪を立てた。

「痛ったーー!なにするんだロップ!」
【主様、今魅了の魔法かけられてたから正気に戻したんだよ】
「あちゃー、ミーツくんの使い魔は優秀なんだね。てっきり、お飾りのマスコット使い魔だと思ってたけど、なかなかやるね。今のはテストだったんだけど、使い魔ちゃんのお陰でギリギリ合格にしてあげる」
「シロヤマ、お前は何をしたんだ?」

「んー、シーバスには内緒。でも危うく依頼を断る所だったよ。ヤマトの案内は凄く簡単でね、ヤマトまで続く天然のダンジョンと、人工ダンジョンが合わさった所をひたすら登ればいいだけなんだよ。ただし、ダンジョンと名の付くのだから、そう簡単にはいかないんだよね。魔物の中には魅了を得意とする高位の魔物も多く生息しているから、魅了に適性がないと、かなり難しくなっちゃうんだよ」

「お前、ミーツさんに魅了魔法をかけたのか!
なんて命知らずなことをやる。この人を止められるのは、ミーツさんの使い魔たちしか居ないってのに」
「ふ~ん、なるほどなるほど、じゃあミーツくんは強いんだね」
「ああ、それは俺が保証する。何せガーダンをも簡単に倒せるだけの実力があるんだからな」
「へえ、でもガーダンを、ねえ。
それで、いつから行こうと思ってるの?」
「それはお前次第だ。お前はいつでも出発できるのか?」
「いつでもは無理かな。シーバスくん、乙女はねえ、お出掛けの支度に時間が掛かるものなんだよ?ミーツくんがシーバスを貸してくれたら早めに出発できるんだけどねえ」

 彼女はそう言いながら俺を見つめてきたことで、俺は頷きながら「シーバスで良ければいつでも貸すよ」と言うと、満面の笑顔になった。

「ありがと!さっそくパーティリーダーの特権を使うなんて、ミーツくんはきっと良いリーダーになるよ。じゃ、前報酬で金貨百枚ちょうだい。
で、手始めに支度用に金貨三十枚欲しいかな。
依頼が達成したら後報酬で、できれば白銀貨十枚~三十枚は欲しいかな。でもシーバスの紹介だし、白銀貨十枚でいいよ」
「お前それでもぼったくり過ぎだ!ミーツさん済まない。料金に関しては前料金だけで済むように俺から説得してみる」
「あー、いいよいいよ。ダンジョンを通らなきゃいけないなら、ダンジョンの魔物を倒して持っていたら、その報酬以上に稼げるだろうし、今現在の俺の所持金は心許ないけど、ギルドに預けている金を引き出せばその報酬でも支払えるしね」
「おー、意外とミーツくんはお金持ちだった。
それならもう少し吹っかければよかったね残念残念っと、じゃあシーバスを借りて行くねー。
あ、戸締りは不要だから、下着に手をつけなきゃ好きに居てもらっていいからねえ」

 彼女は俺から金貨三十枚を受け取ると、シーバスの腕引っ張って引きずる形で出て行った。
 残された俺は適当に酒瓶と散らかった書類を部屋の隅に片して置いていくと、無造作に脱ぎ捨てられた下着がチラホラあったものの、それらには一切触れないようにして部屋を片付けて、最後に部屋の埃や汚れが一箇所に集まる想像魔法を行い、見た目だけでも綺麗にしておき、ボロ小屋を出た所で人相の悪い三人組の男たちが扉の前に待ち構えていた。

「おい、おっさんよ。ここの家主と知り合いか?」
「知り合いになったばかりというか、依頼をお願いして受けてもらった仲というか」
「アイツは依頼を受けたのか!俺たちが先に依頼を出したのにか!あのクソダークエルフがあ」
「おっさんには何の怨みもないが、おっさんはここで怪我でもして退場してもらう。そして依頼を取り消してもらって俺たちがヤマトに行くんだ」

 男たちは俺よりも先にシロヤマに依頼を出していたようだが、彼女は彼らよりも俺をというかシーバスの頼みを先に聞いてしまったことにより、彼らの恨みを買ってしまったようだ。





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