底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第6章

第34話

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 あのダンジョンを仲間たちにお披露目してから数ヶ月経った。ダンジョンの登録をした後の使い道については、後日にでも考えるとして一旦保留にし、下手にランクが低い冒険者や学生が入らないようにギルド本部のギルドマスターに紹介してもらった人に、侵入禁止の看板と低ランクの冒険者が入ることが出来ない結界を張ってもらった。

 それからというもの色々な出来事が目まぐるしく続いた。用務員の入れ替え戦として千番代と戦って普通に勝ち、正式に用務員No.1,000となり、新たに用務員になりたがる者たちと戦って退ける。その後は、用務員(仮)の時と変わらない仕事をしつつ、海底ダンジョンと天空ダンジョンを単独で攻略踏破した。
 厳密に言えば、使い魔と魔導人形であるソルトとゼロを連れてだが、それらは道具扱いで人間が一人であれば単独扱いされるのだ。
 ゼロはソルトと共に戻ってきたところで、正式に以前から考えていた『フェイス』と名付け、彼を預けている間に魔力の供給は口付けじゃなくても供給できるようにしてくれたことで難なく、魔力を受け渡すことができたのは助かった。

 海底ダンジョンでは、使い魔であるアッシュとフェイスを連れて挑み、彼のスキルの水の中でも地上同様の動きができるスキルと海底の圧力軽減に加えて、水中でも呼吸が出来るのを使用してもらって、海中の魔物を屠りながらも踏破。
 アッシュも水に混じることないだけでなく、水中でどれほど大きくなったか分からないほど大きく膨らみ、溶かしたい物だけを溶かして行くのには大いに役に立った。
 海底ダンジョンでのボスは、マーマン皇帝(エンペラー)と呼ばれる巨大な半魚人だったものの、アッシュと二本の魔剣を使って苦戦することなく討伐。
 
 次の天空ダンジョンでは、魔導人形のソルト、使い魔のロップと天馬であるテンパで挑み、空を飛べる利点の使い魔で挑んだら、上手くハマって天空ダンジョンも少々手こずったものの、踏破した。
 ダンジョンボスはバハムートと呼ばれる竜の中の王。
 称号の竜殺しがバハムートには効かなくて手こずるも、今回も二本の魔剣に加えて、守ることに特化したソルトに守ってもらいながら討伐。
 天空ではあの入口を入ったらまた空が広がり、所々に足場になる浮遊地があるだけで、他のダンジョンみたいに階層とかが一切ない広大な広さのダンジョンだった。
 空を飛ぶことができない者で浮遊地から落ちたら死亡するのは間違いないだろう。

 海底も天空も仲間たちを連れて行く予定だったものの、ひとまず使い魔と魔導人形連れてどこまで行けるか試した結果、踏破してしまったのであった。後日、これについて仲間たちに責められたものの、海底も天空もまだ仲間たちにとっては実力不足だと言って無理矢理納得させた。

 その後は元チダンカダスことチンカスが依頼したであろう、暗殺者が度々俺を殺しに来たが、俺が手を出すことなく撃退、主にアミとアマが返り討ちにしてくれていた。
 ハニートラップによる暗殺はアミが早い段階で見抜いて撃退し、出先での食堂での食事に毒を混入させての毒殺も、俺が数多くの状態異常耐性を石版で習得していたため、多少の具合の悪さがあったくらいで大事にはならなかった。
 俺が暗殺者に狙われていることについてギルドマスターに相談したところ、暗殺ギルドが幾つか潰される結果となる。
 それに加えて、レインにまで俺が狙われたことを知られ、俺を狙った暗殺者は良くて二十年ほどで出られる監獄ダンジョン行き、悪くて過酷な下の大陸への永久国外追放となった。
 これで無事暗殺者から狙われることがなくなったのである。
 何故、国外追放が悪くてかとういと、数年でもこの国で暮らしたら下の大陸での生活は不便なうえ、食事も舌が肥えているからか、この国にいる者にとっては国外追放はもっとも重い罪であると感じている者が多いとか。
 依頼者であるチンカスは何食わぬ顔で未だにこの国で冒険者をやっていることから、いつか彼に報復してやろうと報復内容を考える。

 そして今現在、地獄ダンジョンに挑み中である。連れてきているのは使い魔の小型化ブルトと同じく小型化させたポチのみだ。
 魔導人形のフェイスとソルトは、海底と天空ダンジョンで無理をしたことで、調整でまた皇宮に預けることになったのだった。
 ただし、フェイスは大した調整も修理も必要としなかったものの、フェイスは原初の魔導人形ということもあって、皇宮にいる研究員たちが戦いに使用したあとは、何かと調べたいのだそうだ。 地獄ダンジョンでは、落下する所は省いて以前に来た地の底に転移した。

「ここからが本番だ」
【主さまのために頑張ります】
【主よ、ワレは随分と昔になるが、この地に来たことがあるぞ。入る者にとっては地獄にも楽園にもなる場であるぞ】

 ポチはそう言いながら、ニヤけた表情をした。地獄なのは、足元が既に骸骨だらけであることで理解できるが、楽園とはどういうことだろうと思いながらも、何処に向かえばいいか分からないまま沼から這い出るオーガを屠りながら歩いて行っていたら、前回は気が付かなかったが、進むにつれ身体が重くなっていき、重力の負荷が重くなって来ていた。

 ポチに聞いたところ、ここは遥か昔に力のある物を封印していて、その影響でか修練場として有名であったものの、その過酷な環境ゆえ死亡する人が多かったという。
 だが、そんな環境だからこそ修練向きで強くなりたいと願い強くなった者にとっては天国で、それ以外の者にとっては地獄であるようである。通常の冒険者は、この地獄ダンジョンに一度足を踏み入れれば、踏破するか死ぬかのどちらかしかないそうである。
 ポチが最初に言った天国でも地獄でもあるとはこういうことだと知った。

 だが、それもどれほど昔のことかポチ本人にも分からない様子で、今の地獄ダンジョンが昔通りの作りならある程度は分かるらしいものの、進めば進むだけ重くなる重力に、想像魔法である程度進みやすくなるように魔法を使って下り坂を下り続ける。

 現れる魔物は、所々にある沼地から這い出るオーガのみで、二本の魔剣を使って屠って行くが、この地獄ダンジョンの地の底では魔剣たちもいつものお喋りがなく、沈黙のままオーガを倒していた。俺が話しかけても素っ気ない受け答えだけしか返ってこない。

 想像魔法によって重く乗しかかる重力を軽減しているとはいえ、下り坂を下る一歩一歩が重い。そんな永久に続くのではないかと思われる下り坂を下る先に花畑が現れた。
 幻覚かと思いながらも先を進むと、幻覚ではなく本当に花畑で、重く乗しかかる重力も花畑に足を踏み入れた瞬間に無重力かと思うほど身体が軽くなった。
 単に地上の重力と同等の重力になっただけだろうけど、苦しかった重さがやっと解放された。

【主よ、ここからがこのダンジョンの本番であるぞ】

 ポチがそう言うと、腰ほどの花々の花びらが鋭い刃のようになって斬りかかってくるも、俺は暗殺者に狙われたり、海底と天空のダンジョンで不意に襲いかかってくる魔物とかがいたことで、普段から自身の身体を覆うシールドの結界を張っていたため、刃が身体に当たると同時に刃はズタボロに割れた。
 花々の攻撃はそれだけではなく、巨大化し出して生物の口のように空洞を作り出して吸い込み出した。
 足元の花々が空洞に吸い込まれて行く中、肩に乗っていたブルトが空洞に吸い込まれていったのを見て、追いかけて俺も空洞に入ったら中は強めの溶解液なのか、先に吸い込まれた花々が溶けていた。
 そんな中ブルトを探したところ、彼の外殻は硬く、少しも溶けてはおらず、元の大きさに戻って滲み出る溶解液の皮を噛んでいた。
 ブルトが噛んで数秒後に噛んだ箇所が破れて、皆んな一斉に破れた箇所から落ちて地面に降り立ってすぐに上を見上げたら、花だと思っていた物が食虫植物の筒状の形に変化しており、痛覚でもあるのか呻き声をあげながらシオシオと枯れて倒れた。

【主よ、こんなもので驚くでない。この先はこのようなものは腐るほどあるのだからな】

 ポチにそう言われて、枯れて倒れた食虫植物はI.Bに収納して先に進む。
 ブルトはまたも小さくなって俺の肩に乗った。それからはシールドを張っているとはいえ、刃の花々の攻撃にはウンザリしながらも、花を切り取れば切った所から新たに刃の花が生まれて攻撃していた。
 これらを完全に倒すには芯まで焼くか、根っこを引っこ抜くしか対処法はないらしく、焦熱剣で焼いてしまおうかとしたらまさか剣から拒否された。

【悪いが、この先はあまり手伝えねえ】
【お前様なら到達することができるでしょうが、このずっと先に私様と焦熱の本体になる予定の身体があるのですよ。ですから、いつものように暴れてしまいましたら焦熱は自分の本体が傷付けてしまうと思っているのです】

 この喋る魔剣どものことについて聞いたことが無かったが、魔剣たちの本体とはどんなものだろうか。いったい、コイツらの存在がどのような存在なのか今更ながらに知りたいと思った。

「お前たちって、最初から魔剣じゃなかったのか?魔剣に意志が宿って話せるようになったとかじゃないのか?」
【今更かよ。お前さんが俺様たちの本体まで到達し、更に本来の力を取り戻すくらいのことができたその時にでも教えてやるぜ】
【てっきり私様たちの存在について知っていると思ってましたが、お前様は知らなかったのですね。それなら、これについては焦熱が話したいと思うまで私様は沈黙します】

 魔剣たちはそう言ったあと沈黙し、魔力を注入しても、斬れ味が鋭くなるだけで炎も冷気も発さなくなった。

「これからは俺自身の実力で進まなきゃいけないのか。今までが焦熱剣と凍結剣に頼り過ぎていたから、偶には自分を追い込むのも悪くないね」

 俺は魔剣たちにそう苦笑いで言ったら、肩に乗っているポチとブルトに首を甘噛された。

【主よ、ワレらがおるではないか。
ワレらをもう少し頼るがよいぞ】
【そうだよドラゴンのおじさんの言う通りだよ。主さま、ボク頑張るよ!】

 両肩に乗った二匹の使い魔の言葉に「頼りにしてるよ」と返して、襲いかかってくる花々を時々引っこ抜きながら斬って行ったら、花畑の空間が終わり、次は足が埋もれるほどの砂漠に切り替わり、魔物は二足歩行のベヒーモスが闊歩していた。

「なんてこったい。これだけの数を相手にしたら俺の身が持たない。ここは身を隠しながら進もう」
【主さまなら勝てると思うよ?】
【うむ、アリンコの言う通りぞ主よ。
あれくらいならば、数匹程度ならワシが屠ってやろうぞ】

 俺の使い魔たちは俺を過大評価しているようだが、ポチが数匹なら行けると言い、元の大きさのドラゴンに戻って大きく息を吸い込んでブレスを吐き出した。
 ブレスは視界に入るベヒーモスに当たると爆発を起こし、砂煙が舞い上がって視界がゼロの状態になったものの、巨大な影が砂煙の中から動き近づいてきたことで咄嗟にポチにもシールドを張ったら、ベヒーモスのあのレーザー砲が発射されていた。

 巨大化したポチはブレスを吐いた直後、また小さくなって俺の肩に乗ったことで、彼に張ったシールドが無駄になったが、レーザー砲は四方八方から撃ち込まれるも、俺の魔力を込めたシールドによってレーザー砲は防ぎきった。
 だが、ベヒーモスのレーザー砲により、砂煙が再度舞う中で、またもレーザー砲が発射される予感を感じて、想像魔法で立ち込む砂煙が晴れる想像を使用したところ、舞っていた砂煙は消えたが、予感通り、深い傷を負ったベヒーモスらが俺に向けて発射する直前だった。

 今度はただ防ぐのではなく、レーザーの反転を試みる。念の為シールドも強固な物に変えて張って、その上に反転の膜を被せる想像魔法を使った。
 それもただ反転するだけじゃなく、俺の魔力を上乗せした反転であるから、もし反転ができれば数倍のダメージを与えることが出来るだろう。
 発射されたレーザー砲は俺のシールドに当たることなく、反転の膜によってそれぞれのベヒーモスに当たって呻き声と共にレーザー砲を発射したベヒーモスは一斉に倒れた。

【やったー!主さま凄い!】
【ふむ、やるではないか。ワシのブレスに耐えた牛どもを倒すとはな】

 ベヒーモスを倒したことに俺を称賛する使い魔たちに、一言ありがとうとだけ返して、完全に息を引き取ったかの確認で倒したベヒーモスに近づいたところ、倒したベヒーモス以外にまだまだ沢山のベヒーモスが砂漠の至る所にいた。倒したベヒーモスはI.Bに収納して、砂漠を突き走るなか、時折近づいてきたベヒーモスを試しに全力で殴ってみたところ、バキバキと大木でも折れるような音と共にベヒーモスが倒れたことで、あの時のダンジョンで出会ったベヒーモスより弱く感じた。

 そこからは目に入る全てのベヒーモスを倒しながら砂漠を進んでみるも、ただひたすら砂漠が続いているだけで、次の空間に行き着くことがなく、先に体力的に限界が来て、地面を想像魔法によって大きく掘ろうとしたところ、遠くから発射されたベヒーモスのレーザー砲によって一瞬反応に遅れたものの、強固シールドだったものが次第に飴細工のように溶けて行く。
 堪らずシールドを張り直しながら動けば、レーザー砲は俺の足元に当たって大きな流砂が起きた。

 近づいてくるベヒーモスも流砂に飲まれるなか、俺は脱出を試みようとしたときにポチが身を任せるが良いと助言をしたことに、脱出は中断して流れる砂の渦に飲み込まれた。
 流砂に中でこういうことが前にもあったなと思いながら、呼吸は身体中にシールドを張っていたため、砂に飲まれている最中でも呼吸はできたものの、砂の渦に飲み込まれた先は、フワフワと落下していく闇の中であった。
 明かりを点けてみたら、氷漬けにされたような龍が透明の壁の中に入っていた。

【おお!懐かしき我が身体。お前様、これは私様の本当の身体です】
「え、ああ、そういえば、本当の身体がどうのこうのって言っていたね。じゃあ、この氷漬けにされたのが凍結剣なのかい?」
【ええ、ええ!私様の身体です!しかし、まだ身体に入るだけの力を取り戻してないですから、今、私様が元に戻っても肉体を動かせずに崩れるだけです】
「それって、どういうこと…」

 凍結剣に説明を求めようとしたら、今度は焦熱剣が声を荒らげた。

【おお!これぞまさしく俺様の身体】

 焦熱剣はそれだけ言うと、透明の壁にへばり付いた。氷漬けの龍は他にも何体かあるようだが、これらも焦熱剣たちみたいな魔剣の本体なのだろうかと思いながら、魔剣たちが話してくれるのを待つこと一時間ほど経過した。
 フワフワ落下していた身体は地に足が着いたら、足元に魔法陣が現れて転移した。
 もう龍が見えなくなったというのに、壁にへばり付いていた魔剣たちは転移した俺の手元に落ちているところ、置いて行かれないで良かったと安堵したのも束の間、転移先では真っ暗闇のまま何かが動く音が聞こえ始め、見覚えのある魔物の姿が暗闇の中見え始めた。

「あれって、あの時のダンジョンの」

 俺の呟きは誰に聞かれることなく終わり、闇の中で炎の灯りと共に炎が俺に向かってきたものの、炎は元の大きさに戻ったブルトが自身の身体を使って炎を防いだ。
 炎はあの黄金のダンジョンで倒した大きな蠍だった。ブルトは炎を吐き出す蠍に噛み付いて押さえ込み、ここは任せて他を倒してとの言葉に闇の中で動く他の物体に、今度はポチが動いて闇の中に消えた。

 一瞬だが、凍結剣を手に入れたときのペンギンが見えた。その他にも闇の中で気配がある物に警戒しながらも、光の魔法で明かりを点けたら、地面の中を動く物や、俺の周りを凄い速度で飛ぶ何かが飛ぶ速度が速すぎてカマイタチを起こす。他に静電気のようなバチバチという音と共に雷雲が頭上に広がり続いて、俺が移動しても雷雲は俺の頭上に付いて行く。
 雷雲から幾つもの雷が落ちてくるなか、それらを紙一重で避けていき、俺の周りを飛び回っていた何かに雷が落ちて黒焦げになった。
 黒焦げになった物を手に取って見たら、妖精みたいな見た目だが、虫のようにも見えることから、あとでポチにでも聞こうと黒焦げになって絶命した妖精(仮)をI.Bに収納後に雷雲をどうにかしようと風魔法で雷雲を散らせるも、散らせたのは一瞬ですぐに元に戻っていった。

 一瞬だが、雷雲を散らしたあとに小さな粒が見えた。多分、あれが本体であるか、ただの見間違いのどちらかだろうと思いながらも、雷雲に気が取られていたら、足を何かに掴まれて土の中に引き込まれた。
 完全に土の中に埋まるかと思いきや、首から上だけ出した状態で停止した。俺の頭上には変わらず雷雲がゴロゴロと音を立ててやって来ている。先程まで連続で雷を落としていたのが、俺が身動きができない状態になると、雷雲は雷を雲の中で溜めているのか、雲全体が雷でいっぱいになったところで、俺の頭上目掛けて雷を落としてきたものの、俺もこれには対処していた。

 まず、土の中に埋められた状態で水魔法を使用して自身埋められたの土を柔らかくしつつ、土の中にいる魔物も何処にいるか把握していたため、水による溺死を試みるも、身体を濡らすだけで地上に上がっていた。
 だが、俺の狙いは溺死ではなく感電死である。頭上から降り注ぐ雷を当たる寸前で地中から這い出て尚且つ、シールドで身を守ったら、雷は水が通った地中を伝って遠く離れた場所の地上で雷現れたことで、俺の試みが成功したといえるだろう。

 雷雲によって地中の魔物を倒し、残りは雷雲となったことで、最後はどう倒そうか考えるも、倒し方なんていくつも知っているわけじゃないため、俺の周りに想像魔法で出した避雷針を立てて雷を誘導させる。
 避雷針に落ちて俺から逸れる雷に安堵しつつも、雷雲に向かって避雷針の一本を投げ入れたら、雷雲の中で凄まじい雷が起こって、雷雲から吐き出されるように黒焦げでバラバラに砕けた避雷針が落ちた。
 心なしか、雷雲が怒っているように見えるなか、今までよりも多くの雷を落として来た。
 どの雷も俺に当たることなく、近くに地面に突き刺した避雷針に落ちて行く。

「雷はもう怖くない。そろそろ終わりしようか」

 俺の言葉を理解しているのかしてないのかは分からないが、俺がこれからやろうとしていることに雷雲は反応して少し俺から距離を取ったものの、俺はお構いなしに巨体な竜巻を想像魔法で発生させて雷雲を散らすだけに収まらず、遠くで戦っていたブルトの方にも竜巻が向かって、蠍に直撃後コマ切れのバラバラになったところで、竜巻を想像魔法によって霧散させた。

 全ての魔物を倒したのか、所々に明かりを点けていたとはいえ、暗闇だったところが暗闇が晴れ、近くでポチがペンギンの手の刃を歯間ブラシのように使って、歯の手入れをしていた。

【やっと終わったか主よ。鳥のなり損ないを早々に喰らっておったが、暇であったぞ】
【むー、もうちょっとで倒せそうだったのに主さまのバカ!】
「ははは、まさか竜巻がそっちに向かうとは思わなかったんだって。ごめんなブルト」

 もう少しで倒せそうだったのにと怒るブルトに謝りつつも、彼の頭を摩ったら、すぐに許してくれて二匹とも小さくなって俺の肩に飛び乗った。これで地獄ダンジョンも終わりかと思って、明かりの中に現れた魔法陣に乗ったら、夥(おびただ)しい数の魔物が転移先で現れたものの、どの魔物も微動だにしなくて近付いて見てみたら、魔物の一体一体に説明が書かれていた。

 最初に目に入った魔物の説明文を読んだところ、魔物は黒オーガで説明文ではーー
《個体名》闇オーガ
『デバフ系の魔法が一切効かなく、どんな過酷な状況下でも通常通りに動ける。普通のオーガよりも、やや強い。特殊能力として闇魔法を使うことがある。闇魔法は闇霧、闇の刃』

 闇魔法は俺も石板で習得していたため、闇霧は闇の霧を発生させて視界を奪う魔法であることの他、自分を黒い霧状になったりと使い勝手は様々だが、使い所は難しい。
 闇の刃はさまざまな形に変形させた闇の刃で攻撃できる。特にイメージして出さなかったら闇の刃は鎌の形になって現れる。

 他にもこの地獄ダンジョンで現れた花々の魔物や、最後に戦った雷雲や炎を吐き出す蠍の正式名は雷雲玉と火炎蠍というもので、土の中にいたのは人面モグラと呼ばれる人の顔したモグラで、俺がI.Bに入れた黒焦げの妖精は虫風妖精という名称だった。ちゃんとした見た目はハチのような顔に手足が刃物で出来ているかのように鋭いものだった。

 他にも見たことのない魔物が数多くおり、一番大きい物で二足歩行のベヒーモスで正式名は皇帝魔牛ベヒーモスと書かれていた。
 これらがもし一斉に動くことがあれば、どう倒すか考えながらも、魔物と魔物の隙間を縫うように進んで行ったら、ここから長い長い戦いになることになるから注意と書かれた扉に行き着いた。

 あの雷雲らがダンジョンボスであることだと思っていただけに、まだまだ先があるというのに地獄ダンジョンなのに親切な設置に心構えとして深呼吸を数回したあと扉を開けたら、あの夥しい数の魔物が目の前に現れ、それぞれが動いていた。後ろを向いたら魔物の展示がまだあるところ、あれがそのまま襲ってくるわけではなさそうだ。
 それでもまともに戦えば骨が折れそうな数だと思いながらも、一気に数だけは減らそうと思って、雷雲の魔物を倒した竜巻より更に大きな状態のものを発生させて魔物の群に突っ込ませたら、魔物がゴミのように舞い散って行った。
 あまりにも巨大な竜巻にしてしまったものだから、出して早々に竜巻に吸い込まれそうになったものの、すぐにシールドを張りながら地面に杭を打ち込んで杭に掴まって踏ん張った。

 竜巻によって舞い散る魔物は、天井や壁に地面に叩きつけられたりして、ほとんどの魔物が死亡したのではないかと思われる。
 まだベヒーモスなど一部の魔物たちは耐えているようだが、それも虫の息だろうと推測して、竜巻を霧散させた直後にベヒーモスのレーザー砲が発射された。
 レーザー砲は当たる直前のところで巨大化したポチによるドラゴンのブレスで相殺された。

【ふふん、どうだ主よ。ワレが居って助かったであろう】

 ドヤ顔のポチが鬱陶しかったので、調子に乗るなと腹を殴って悶絶している彼をよそに、身体中傷だらけで満身創痍なベヒーモスに転移魔法で近付いて殴り倒した。
 他に無事な魔物はと探したところ、ベヒーモスのみがまともに四肢が残っているだけで、その他の魔物は瀕死だった。
 かろうじて生きているというだけの状態に、トドメを刺してやろうと巨大な火炎玉を頭上に発生させてそのまま落とす。俺はもちろんシールドを張って防いだが、瀕死な魔物たちにとっては抗う術もなく消滅していった。

【ぐおおおお!主よおおおお!熱い!熱すぎるぞおお!これがワレに対する仕置きとは酷すぎるのではないかああ!】

 先程、巨大化して悶絶していたポチのことを忘れて魔力を込めた巨大な火炎玉を作り落としただけに、ポチは苦しそうに呻き声を上げていた。

「悪い悪い。お前のこと忘れてたよ。決して、わざとじゃ無いからね」

 俺の言葉が聞こえてないのか、ずっと叫び続ける彼がどのような状態なのかを確認しようと、まだ燃え盛る炎を焦熱剣によって吸収させて鎮火させた。
 魔物がいた一帯は真っ黒に焦げたベヒーモス以外、黒焦げのカスばかりが残っていて、その中から一際良い匂いがしたものだから、匂いのする方向を見たところ、ポチもベヒーモス同様に焼けていた。
 ほとんどの鱗は剥がれ落ち、中の肉が焼けているから、これだけ旨そうな匂いを発していたのだと納得する。

 無理矢理俺の使い魔になったとはいえ、今は大切な使い魔の一体であるから、彼に回復魔法を使って再度、回復したあとの彼に向き合って悪かったと見上げて一言謝った。
 そうしたらポチは鼻息を俺に浴びせて次、同じことしたらもう使い魔を辞めると言って許してくれた。
 そこからはまた小さくなって、俺の肩に飛び乗って先に進んだら、また扉があって文字が書いてあった。

『まだまだ続く、いつまで耐えられるかな?かな?』

 前回とは違うことが書かれあって、こんなのがまだ何度も続くのかと思いながらも、次の扉を開けたら、今回と全く同じような夥しい魔物が扉の先で動いていた。


















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 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

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