強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

文字の大きさ
3 / 135
1stフェーズ 始

No.3 この転校生めちゃくちゃ過ぎる

しおりを挟む

「どどどど、どうしましょ!鬼丸君が!ハッ!もしかして誘拐!?」
「落ち着けイエナガ。どうせ何かに興味を引かれ外に行ったんだろう。そんな動揺しなくても……」

「とにかく探しています!もし見つからなかったら警察に連絡するので!」
フドウが話を終える前にイエナガはその場を飛び出していた。

「だから落ち着けと。全く」


 一方、カラ・ジーナがいる教室では先生が学校に男子生徒が来ることを改めて説明していた。

「先日お伝えした通り、我が校に男子生徒が入学されます。これは大変名誉あることです!」

「男子って、あの拘束された奴のことでしょ?どう考えても普通じゃないよね」
ジーナは隣に座っているハナに小声で話す。

「でもほら、男性ってすっごくレアじゃん?あれくらい保護は当たり前なんじゃない。こけて怪我でもしたら大変でしょ」
ハナはジーナと同様に小声で答えた。

(レアって、そうなんだろうけど……)
ジーナがそのような事を考えているとイエナガが教室に現れ、担任の先生に耳打ちをした。

「ッ!!」
顔が青ざめた先生はイエナガについて教室を出る。

「あれ?先生たちどうしたんだろ?」
「さあねー。自販機で飲み物買ってくる」
ジーナは先生たちが教室を離れたのを確認し教室を出た。



「飲み物持ってくるの忘れちゃった。何飲もっかなー。ん?」
自販機に向かって歩いていると外に何やら人影が。

「おーい何してんの……て男子じゃん。なるほど先生たちが血相変えて教室を出た理由はこれか」
花壇の前にユキチカがいた。隣にウルルも立っていた。彼らはしゃがんで何かを観察しているようだ。

「何みてんの?」
ジーナが彼のもとに行き、視線を彼と同じ方向に向ける。

オレンジの綺麗な蝶だ。

「ベニシジミですね」
無機質に名称を伝えるウルル。

「そうだね、ちょっと変わってるけど」
ユキチカは蝶をみながら立ち上がる。

(男子ってなんか不思議、この人が特別なのかも知れないけど)
ユキチカをみてそんな事を考えるジーナ。

「のどかわいた!」
「ちょうど私も自販機行くところだから。一緒にいこうか?」
「いこー」
ジーナについて自販機へと向かうユキチカ。

「私ジーナ、カラ・ジーナ。男子ってデカイんだねー。何かやってるの?スポーツとか」
ジーナも女子では背が高い方だがユキチカは更に高い、その上体格もある。

「ユキチカ、鬼丸ユキチカ!おばあちゃんはもっと大きいよ!みんなと遊ぶのが好き」
「へー!凄いね、うちのばあちゃんは小さいよ」
二人と一体は自販機で飲み物を買い、教室へ。


「カラさん!鬼丸君を見つけてくれたのですね!ありがとうございます!」
「いや、たまたま会っただけなんで」
先生たちがカラ・ジーナに感謝する。

「さ、鬼丸くん更衣室でこれに着替えてくださいね。あなたの制服です」
ユキチカとウルルは更衣室に入り着替えを済ませ、教室へ入る。

生徒達は初めて見る【男子】という生き物に興味津々だった。

「ユキチカ、鬼丸ユキチカ!鬼丸はおとうさんと同じです。よろしくおねがいします」
ユキチカが深々と頭を下げた。

「鬼丸くんはまだシティに越してきたばかりです。分からない事もあるでしょう、そのときは快く助け合って行きましょう!」
先生も声が若干上ずっており緊張しているのが伺える。

「それでは質問がある方挙手してください」
みんなが一斉に手を上げる。



「朝はお騒がせしました」
「君は、もう少し落ち着いて行動する事を覚えた方が良いな」
学園長室でイエナガがフドウに諭される。

「すみません、次からは行動の前に深呼吸でもしてみます」
さっそく深呼吸をした彼女はタブレットを操作してフドウにそれを見せる。

「そうだ、フドウ学園長、鬼丸君の編入試験に関して、改めて学園長の意見をお聞きしたいのですが」
そう言って彼女は映像を再生した。

 そこにはユキチカが試験問題を説いている様子が映っていた。どこも不自然な部分はない。だが試験開始から10分が経過した辺りで彼は何かを思い出したかのように、動き出す。

「ここで彼、答案内容を書き換えているんです。この時点で彼は全問正解していました。それなのに書き換えて、最終的な正答率は75%どういうことなのでしょう」

「ちょっと借りていいか?」
フドウはイエナガからタブレットを借りて何かを探し始めた。

「もしかしたら……ああ、やっぱりな」
何かに気付いたようだ。

「平均的にしようとしたな。みてみろ」
彼女が画面をイエナガにみせる。

そこには他学生の答案とその正答率が並んでいた。まだ要領が得ない様子のイエナガは首を傾げる。するとフドウは回答の一部を拡大する。

「鬼丸ユキチカは他生徒の多くが間違えたところを間違え、正答率も他生徒の平均値に限りなく近づけたんだ。みろ、問題の所に小さく数字書いてるだろ、これ全部正答率だ」

 ユキチカが間違えたところはいずれも全体で見たときに正答率が低いものだった。そしてその間違えた彼の回答内容も、他の生徒にもっとも多くみられた間違え方そして答えになっていた。

「カンニングですか?!でないとこんな事……」
「彼が持つ特権を使えばどんな学校だってフリーパスだってのに、そんなセコい真似するか」
「た、確かにそうですね」
フドウがそういうとイエナガはそれもそうかと納得する。

「さ、そろそろ最後の授業が終わる時間だ、正門まで行くかね」
建物から外に出たフドウ達、すると何やら上が騒がしいことに気づく。

「なんだやけに騒がしいな」
「あー鬼丸くんの教室ですね、きっと共に下校しよう的な話で生徒が押し寄せてるんじゃないですか?……え?」
イエナガが教室の方向に目を向ける、そして表情が固まった。

 彼女の視線の先には窓から身を乗り出すユキチカの姿が。

「い、いやァァァ!!」
イエナガが叫ぶ。


 時間は少し巻き戻り下校のチャイムがなった頃。イエナガが話す通り生徒が他教室からも押寄せてきてユキチカと帰ろうとしていた。

「すごい人気だねー」
「そりゃそうだよ、ジーナちゃんはいいの?」
ハナにそう言われるがジーナはカバンを肩にかける。

「ああ、いいよいいよ。それじゃあお先にー」
そう行って立ち上がるジーナ、この時ふとユキチカの方に目を向けた。

 その時彼が窓に向かって行くのが見えた。ジーナは非常に嫌な予感が覚えた。

ユキチカが窓に足をかける。

「バカ!なにしてんだ!」
ジーナは気付いたら他生徒の合間を縫ってユキチカを捕まえようとしていた。

「さよーならー!」
ユキチカは窓から飛び出す。
「な……!」

 教室にいた者達、そして外で観ていたフドウ学園長とイエナガから血の気が一気に引いていく。


「ぴょーん、ちゃくち!」
彼は硬直していたフドウ学園長とイエナガの隣に着地した。

「みんなもほらー!」
振り向いて教室の方に手を降るユキチカ。

「できるか!」
窓の所からジーナが思わずツッコむ。

「鬼丸ユキチカ様ー、私の構造的にこの高さからの落下には大きな損傷を伴う可能性があります。階段を使用しますので、正門の所でお待ちくださいませー」
ジーナの隣から淡々とウルルがそう伝える。

「わかったー!。あ!がくえんちょう先生にイエナガさん!さようならー!」

「学園長、ひょっとして男性ってみんな……」
「イエナガ、もしそうなら男性はもう人ではない」

手を振るユキチカに手を振り返すイエナガとフドウ。転校生はどうやら少し他の人とは違うようだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界で農業を -異世界編-

半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。 そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...