強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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1stフェーズ 始

No.12 社会科見学に行こう

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シャーロットが学校に来るようになってから数日が経過した。
ユキチカ達は観光用のリムジンバスに乗っていた。

「ウルティメイト社にお呼ばれとはねー」

「あの会社は何度かそういうのしてるけど、呼ぶのは凄い優秀な成績を収めた学校ばっかりだよ。それなのに……」
ジーナとシャーロットは隣同士の席に座って不安そうに話をする。

「まあこの学校全体の評価は、高い方だけど。わざわざそんな超大企業様に呼ばれるような事はしてない筈だけどね。なんだろうね」

「あのね、この前言いそびれたんだけど、みんなを襲ったアンドロイドはあの会社のだと思うんだ」
「シャーロットもそう思うんだ、私達もアンドロイドに襲われた時にそんな話をしてたよ」
周りに聞こえないように少し声のトーンを下げる二人。

「まあ、もしそうだとしても当の本人が……」
「うん……」
後ろの席に顔を向ける二人。

「やったー!上がりー!危なかった~!」
「うわー、まけたー」
「ユキチカ君惜しかったね!次わたし達と大富豪やろー」

後ろの席ではユキチカがクラスメイトとトランプをしていた。

「あんな感じだけど」
「危機感0」
流石のシャーロットもこれには呆れた様子。


そうこうしているとバスは目的地へと到着する。

周囲をぐるっと回るように水が張られた堀があり、堀を渡る為に架け橋を渡っていくと正面に本社が堂々と建っていた。

全面ガラス張りのビルは遠くからでもその存在が確認出来る程に巨大で、バスを降りた生徒が見上げようとすると誤ってひっくり返りそうになる。

メインエントランスの上には大きなモニターがありそこには

【ようこそ明王学園の皆様】

と映し出されていた。生徒たちはそれに興奮し記念写真を撮り出す。

すると映像が変わり、一人の女性が映し出される。

「こんにちは皆さん!私たちは、人類の再興の為、そして栄華を誇ったあの時代の先に進むため!日々あらゆる研究、開発を行っています!例えば皆さんがお持ちのこのU-Smartを代表に……」

彼女は商品を次から次へと紹介していく。電化製品から化粧品、食品、そして最後に彼女と同じ外見の者が現れる。

「さぁ更なる未来へ、人類の進化に向かって共に歩みましょう!!」
彼女たちがそう言うと音声と共にロゴが現れる。


私たちは未来への懸け橋となります
【ウルティメイト社】



みんなはまるで有名なテーマパークに来たかのように喜んでいる、一部を除いて。
ジーナとシャーロットそしてウルル。それともう一人いた。

「先生大丈夫ですか?」
「せ、先生昔から乗り物駄目で……自分で運転する分には良いんだけど」
先生だ、グロッキー状態でエントランスの椅子に座っている。

「ご安心ください、ここからは私が皆様をご案内いたします」
そう言って白いスーツを着た女性が現れた。

「そ、そうですか。ではお言葉に甘えて私は少しここで休ませて頂きます。みなさん楽しんで来てくださいね。それとくれぐれも、お仕事されている方々にご迷惑をお掛けしないように……」

生徒たちは白いスーツの女性に案内されて社内を見学してまわる。

社内は白を基調とした色合いで、ガラス張りによって昼間は電気いらずの明るさだ。
観葉植物なども置いてあり、会社というよりはモダンスタイルのカフェのような雰囲気だった。

「この会社にはアンドロイドはどれ働いているのですか?」
案内の最中一人の生徒が尋ねる。

「ここで働いているアンドロイドは少数です。アンドロイドはあくまで現実世界での作業をサポートするもの。ここではそう言った仕事はあまりないですから。

「思ったより人がいるね。アンドロイドだけで運営してるかと思った」
周囲を見渡すと談笑している社員がちらほらといた、アンドロイドはあのような事をしないだろうから恐らく人間だ。

「……」
「シャロ?大丈夫?」
先ほどからずっと黙り込むシャーロットを心配するジーナ。

「え?ああそうだね、自分たちはあんなにアンドロイド売り出してるのに。自分たちが使う分のアンドロイドも売りに出しちゃったのかな?」

「ははは、何それおもしろすぎ!」
シャーロットの冗談に笑うジーナ、二人はそのまま案内にそって先にすすむ。

進んでいくとある通路に出る、側面がガラス張りの通路からはアンドロイドの組み立て現場が一望できた。そこではラインで流れて来たアンドロイドのパーツを組み立てたり、動作確認を行ったりしている。

流れてくるアンドロイドのパーツは既に腕や足などパーツ毎に組み立て上げられており、目の前で行われているのは各種部位パーツを一つに組み立てる最終仕上げの工程だ。

「アンドロイドってあんな感じにできるんだー」
「もうほとんど出来上がったパーツを組み合わせてるだけか、もっと内部が見えたら良いのに……」

ジーナとシャーロットはその様子を観て話していると、後ろでウルルが何やらもじもじしていた。

「どうしたの?」
ウルルの様子に気付いたジーナが尋ねる。

「い、いえ……何故かその、自分が作られている所をみられていると思うと、なんというか、妙に恥ずかしくて」
顔を赤くするウルル。

「あ、ああ、まあ……そっか、そうだね……」
この話を聞いてジーナもなんだか恥ずかしくなり、ガラスから目を背けた。

「そっか、身体見せて欲しかったらウルルに頼めば良いんだ」
「シャロ様ッ!?」
シャーロットの発言で顔を一層赤くするウルル。

「シャロ、その言い方はダメだぞー」


そんな会話をしているとジーナはある事に気付く。

「あれ、そういえばユキチカは?」

そう言われてハッとしたウルルとシャーロット。

「え!?」
「そういえば……」

周囲を見渡すが彼はそこにはいなかった。

「しまった!!目を離した隙に!!」
「どうしよう」
「とりあえず、先生に報告を!」

三人はユキチカ捜索の為に動く事に。

一方その頃幸愛は
「たーんけん、たーんけん!」

どこか分からない場所を意気揚々と歩いていた。


ジーナはシャーロットを背負って通路を走る。ウルルも彼女を追うように走っていた。

「先生どこだっけ?」
「まだエントランスにいるんじゃないかな。とりあえず行ってみよう!」
「こちらです!」

通路を曲がると、そこに1人の女性が立っていた。
他の社員と違って真っ白なスーツでは無く、黒いスーツを着ていた。

「お急ぎですか?」

質問に対してジーナが答える。

「はい、この子がちょっと体調不良みたいで……」
「それでしたらもっとゆっくり運んで差し上げないと。それに休憩室はこちらの方向ではありませんよ」
スーツの女性はそう言うと、ジーナの後ろにいるウルルに目を向ける。
シャーロットはジーナの服をギュっと握った。

「ありがとうございます、この子を早く休ませたいので」
(案内の人に黙って出て来たから早くここを移動しないと)
ジーナがその場を立ち去ろうとする。

「ではご案内しますよ。そこで少しお話しでも如何でしょうか、会話で気が紛れるとも言いますし。話題はそうですねぇ、例えば……鬼丸ユキチカ様の事とか」

「ッ!!どうして」
彼女の発言に反応して目を見開くジーナ。

「ふふふ、さあ、参りましようか。弊社の者が上でお待ちしているので」

女性は自身の背後にある大きなエレベーターに手先を向けた。
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