強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.25 いざ、吸血鬼の館へ!レッツゴーヴァンパイアバスターズ!!

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月明かりの元、一人の女性が鼻歌まじりに道を歩いていた。
彼女は夜の素晴らしさに感謝しつつも恨んでいた。

ああ、いつから自分が迎える朝はこうも暗いのだろうか。
ああ、いつからこんな笑えるほどに酷い気分になっているのだろうか
ああ、彼女はちゃんとメッセージを受け取ってくれただろうか

女性は鏡の前に立つ。
鏡と言っても割られており、枠内の端っこにほんの少し断片が残っているだけだ。

ああ、どうして私の顔がみれない?なんで鏡がないのだろうか

ああ、そうか……私はもう……

女性の笑い声が薄暗い館中に響く。



シャーロットの家に彼女を襲ったと思われる犯人が現れた、キビが対峙したものの相手を逃がしてしまう。

その翌日、シャーロットはユキチカを家に呼んでいた。
キビは新しい情報が入ったのでそれを確認しに署に朝一で戻って行った。

「おはよーシャロ!」
「シャロ様おはようございます、お体の具合は問題ありませんか?」

部屋に入ってきたユキチカとウルル、ウルルはお弁当を作って来ていた。

「こちらよろしければどうぞ」
「ああ、ありがと……」

どこか浮かない様子のシャーロット。

「どうしたの?」
「大丈夫?」
ユキチカとジーナが話しかける。

「あのね、私……犯人の事知ってる」
シャーロットは躊躇いながら話す。

「昨日その人がね、私の名前を呼んだの」
シャーロットは被害者のリストを表示する。

「考えてたんだ、なんでまた私の所に来たんだろうって。もしかしたら私に関わりがある人なのかもしれないって」

シャーロットが深く息を吸って口を開く。

「私はずっと施設にいて、途中からあの会社と研究開発を行ってた。その後は一人になって、それで今」

「それってこの前のリリィって人が言ってた……」
ジーナはウルルのエプロンに刺繡されたものに目を向ける。

「そう……」
シャーロットは頷く。

「ウルティメイト社、そこの研究開発所で私はその人にあってる。名前はチザキ、チザキ・アキナ……それと、これ……」

そう言ってシャーロットはボイスレコーダーを机の上に置いた。


一方その頃、警察署ではキビがコウノを呼んで話をしていた。
「おはようございます先輩、何か新しい情報が?」

「今回の件……かなりの大物に結び付くかもしれねぇ」

そう言ってキビは一つの画像を映す。
女性のモンタージュ写真だ。

「これってもしかして昨日の?」
「ああ、襲撃犯の顔だ、記憶だよりに顔を作ってみたで、これをデータベースにかけたがなーんにも引っかからず」
頭を横に振るキビ。

「なんにもって、それってつまり」
コウノの発言に頷くキビ。

「そうだ、国民のデータベースにすらいない」
「整形してもそのデータは国に行きますよね、という事は裏社会の住人的な」

「その可能性もあるな、これだけデータ化された世界だと残ったら困るデータを抱えてる奴も一定数はいるだろ。それでお次はこれだ」
キビがそう言って紙の資料が入ったファイルを取り出した。

今時、紙媒体の資料なんて珍しいと思うコウノ。

「それは?」
「ちょっと、特別なルートを使って得た情報だ。どれだけデータを消したとしても、存在を消せる訳じゃない。存在してれば必ず痕跡は残るもの、なんだとさ」

ファイルを河野に渡す。

そのファイルには真っ白な髪を持つ女性の写真と共に情報が記載されていた。
「チザキアキナ、かつてとある研究に携わっていた」

コウノは手元のファイルを見てその研究内容を口に出した。

「ナノマシンを利用した体質改善による病気の治療、ですがその研究所で起きた事故によって亡くなったとされています」

ため息してキビが言う。

「最近流行ってるのかな?死んだ事にしておくやつ」
キビが茶化すように答える。

一瞬笑った彼女だが、すぐに真剣な顔になりコウノに話す。

「そんなハイテクな事を研究をして、関係者の情報を国のデータ含め消せる連中なんてそうはないよな」
コウノがコーヒーを一口飲み込んで、嫌そうな顔をする。

「ウルティメイト社……そこに行きつきそうだ」



この後キビ達はシャーロットの家に行く。

「行方が分かったかもしれないです!」
二人が玄関から入って来るや否や、シャーロットがそう言って跳び出てくる。

「おおう、その感じだと体は元気そうだな」

「この映像観てみてください!」
彼女が出した映像には夜の道が映っているだけで、特に人も通っていない、ただ街頭に照らされた道が映っているだけだ。

「特に何も映っていませんけど……あれ、今一瞬ゆれましたね」
コウノは画面が一瞬揺れた事を見逃さずにそう言った。

「一瞬だけだけど揺れましたよね?地震とは違う、ほんの一瞬の揺れ、それがいくつかのカメラで確認できたんです。それにこれも」
そう言って複数の映像を見せる、そしてその映像が撮られた監視カメラのいちを地図上に表示した。

「こうやってみるとある方向に移動しているように見えません?」
地図でみると街の中心から外に向かって続いているようにみえる。

「多分犯人は屋根の上を移動して、それでカメラが設置されている屋根とかに飛び移った時に揺れが起きた、じゃないかなって」

揺れを感知したカメラを線で繋げて、犯人の逃走経路を地図に表示する。

「凄いな!この線の最後、この周辺から居住できそうな場所を調べ上げるぞ!」

キビがシャーロットの肩を叩いてそう言った。


「あれ、そう言えばユキチカはいないのか?てっきり来てるものだと思ってたが」
ユキチカがシャーロットの家にいない事に気付くキビ。

「ああ、ユキチカにはちょっと頼み事しててそれで今は家に帰ってます」
「そうか。まあアイツはどうせ好き勝手やるから良いか」

それからしばらくして、コウノが報告に来た。

「分かりました!指定された範囲で人が居住できそうな場所が一つ」
コウノは一つの建物を見せた。

どうみても廃墟と化しているようにしか思えない館だった。

「うわぁ、これはまた雰囲気あるなぁ。いかにもヴァンパイアがいそう」
ジーナがその館をみてそうコメントする。

確かにホラー映画とかで出て来そうな場所ではある。

「オカルトを扱ってるサイトでもこの場所周辺で『黒い影を見た』とか、『不気味な声が聞えた』とかって噂が出てる」

コウノの報告を聞いて、シャーロットはオカルトサイトを開いてた。

「もう話があがってるのか、それじゃあ早いとこ行かねぇとな。肝試しでもしてみようなんてバカが出てくる前に」

「それってあんな感じの人の事ですか」

キビ達の後ろを指さすジーナ。

そこには大きな十字架のネックレスを首からさげ、ニンニクを模したおもちゃと釘を巻き付けた中折れハットを被っているユキチカがいた。

「いざ、吸血鬼の館へ!レッツゴーヴァンパイアバスターズ!!」

ユキチカがそう言うと十字架とニンニクがピカピカと光る。

「ああ、そうそう丁度こんな奴の事を言ってた」

「つーかお前なに当然のように行く気満々なんだよ!」
捕まるユキチカ。

「ついてくー!」
「今回ばかりはマジでダメだから!今回は犯人がしっかり人殺しを直接やってるから!さすがに!」

ジタバタするユキチカを抑え込もうとするキビ。

「いやー!」
「この!暴れんな、その体格で!邪魔だなこのネックレス!」

二人は

「つれてって!」
「ダメだ!」

ユキチカは頬を膨らませる。

「いやだ!一緒にいくっ!じゃないとカオルちゃんの車のタイヤ外す!」
「なっ!?お前それは普通にダメだろ!犯罪じゃん!」
「ちゃんと証拠残さない!」
「なんでそう言う所はしっかりしてんだ!」

「な、なんか緊張感が……」
その光景をめて肩を落とすコウノ。
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