強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.30 喧嘩好きのオニツノ・モチ

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ある日いきなりジーナの道場に現れたオニツノ・モチ。

「ワシと喧嘩してくれへんか?」

「はぁ?」
意気揚々と構えるオニツノにそういうジーナ。

「観たんや、あのでっかい奴と戦うジーナちゃんを!いやぁ痺れたでぇ!」

「悪いけど、ここは喧嘩する場所じゃないんで」 
「ほな外いこ!」

「いや、行きませんよ。そもそもあんたと喧嘩する理由無いし。師範代として理由もない喧嘩をするわけにはいかないの」

断るジーナに肩を落とすオニツノ・モチ。

「なんやつれへんなぁ~。ワシは喧嘩したい!けどジーナちゃんの言い分も真っ当やし尊重したい、困ったのぉ~どないしよかな~」

頭を抱えるオニツノ。

「そや、ほなこうしましょ」
スーツのポケットから端末を取り出し、彼女はどこかに連絡をかける。

「あ!もしもし!おまわりさん?いやぁ今大変なことになってるんです!変なやつが道場破りやーって叫んで暴れとるんですよ!ええ!空流徒手空拳道場です!はい!お願いします!」

そういって連絡をきった。

「さあ、これでワシはおまわりさん認定の危険人物や。そんな奴を道場内にのさばらせる訳にいかんやろ?」

「そこまでやりますか……」
相手の行動に少し呆れるジーナ。

「あったりまえや!ほら、やろうや!でないとホンマに暴れんで!?成人女性、全力の大暴れ披露したろか!?」

そういってジーナを挑発するオニツノ。

「あーもう、分かりました。それじゃあこの道場の師範代として、この家に住むものとして不審者に対応します」

ジーナが構える。

「おおおお!そやそや!そうこやんとな!オモロくなって来たで!」
ウキウキで構えるオニツノ。


「ほな、改めて自己紹介を、オニツノ・モチやジーナちゃんは特別にモチちゃんって呼んでもええで!因みに好きなものは美味い飯と酒や肉料理がええな。それと勿論一番好きなのは喧嘩や!!」

「知ってるだろうけど、カラ・ジーナ。好きなものはえーっと、和食とか」



「よーし自己紹介終了!ほな行くでぇ、ジーナちゃぁんッ!!!」
オニツノは飛び掛かってくる。

(先手取られた!でも動きは隙だらけだ!)
「うお!?」
先手を打てはしなかったが、ジーナは飛び掛かってきた相手を掴んで投げた。

「ははは!まだやでぇ!」
オニツノは空中でクルッと回って着地。

振り向くと目の前にジーナがいた。
「おっ!?」

拳2つ分の距離、次の瞬間鋭い衝撃がオニツノのこめかみを襲った。

音を立てて地面に倒れる。

「ほぉ~、やるやんか!あの距離から蹴れるもんなんやなぁ」
即座に飛び起きるオニツノ。

(こめかみに当てたのに、全然効いてない!?)

起き上がったオニツノは即座にジーナとの距離を詰めた。

「え?!」

彼女は先程よりも近い距離、もう額がぶつかる程の距離だ。
ジーナは咄嗟に手を動かすが蹴り飛ばされる。

「ぐっ!!」
よろめき膝をつくジーナ。

「どーや?身体の柔らかさには自信あんねん!ほれ!こんな具合に」
オニツノは片足立ちの状態からもう片方の足を上げて側頭部にピッタリとつける。

つーっと液体がジーナのこめかみから頬を伝う。
刃物で切りつけられたような傷ができ、そこから血が流れていた。

「おーっと、すんません。べっぴんさんなお顔に傷をつけてもうたわ」
そういうオニツノに対しジーナはニッと笑った。

「こちらこそ、その綺麗なお顔に傷つけちゃった~、ごめんね」

パクッとオニツノ頬に傷が出来る。

「っ!!最初の蹴り……やないな、傷口の方向が合わへん。そうか!さっき蹴られた瞬間にやり返したんか、ええのぉ~。ゾクゾクするわ」
血を拭って笑うオニツノ。

また彼女は攻撃を仕掛ける。
今度は怒涛の蹴りを浴びせてきた。

(動きが変わった!?)

先程の無作為に飛びかかってきた様子と違い、今度は下段上段と蹴り分けてくる。明らかに素人の動きではない。

(これで止めてやる!)

ジーナは相手の蹴りに合わせて拳を放ち、蹴りを弾いた。

「痛たた、なんやその拳!鉄でも入っとるんか?足の骨折れたかと思たわ!」

脛をさすってそういうオニツノ。

「部位鍛錬って奴やな?まるで鉄のようなって比喩あるけど、ジーナちゃんの拳ホンマに鋼鉄みたいやな!」

「へぇ、詳しいね」

「部位鍛錬、素手でやる武術とかじゃよくやる奴やろ?藁や木、砂袋とか、あとは熱した砂とか、それにただひたすら鍛える部位を打ち付け痛めつけるっちゅーやつ」

自分の拳を見ながら立ち上がるオニツノ。
「そない地味ーなことを積み重ねまくった結果、出来上がったのがその鋼鉄の拳か。よーやるわ」

「どうも、日課なんでね」
ジーナは構えて今度は彼女が仕掛けた。

回し蹴りを繰り出すジーナ。

「かっこええ蹴りやの!」
ジーナが繰り出した蹴りに合わせてオニツノも蹴りで迎え撃つ。

蹴り同士がぶつかる、ジーナはすぐに次の一撃を蹴り込もうとする。
しかしオニツノが飛び下り、その攻撃をかわした。

「いったッッ!脛も硬いんかい!!よし!ジーナちゃんの攻撃に重ねて打ち返す作戦中止や!」

(蹴りを出して片足で立ってた状態だったのに、一瞬であそこまで跳んだの?やっぱり尋常じゃない脚力だ)

ぴょんぴょんと片足で跳ねるオニツノを見てジーナは気を抜くことなく、注意深く相手の動きを観察していた。

(この人さっきからまともに私の攻撃受けてない、感も鋭い、目も良い、柔軟な身体、あの脚力から想像するにバネも相当なもの)

ジーナは焦っていた、まだ相手の底が見えない事に。

(早くこの人に帰って貰わないと……シャロの歓迎会の準備が間に合わない!!)
そして料理の段取りが出来ていない事に。

「さあ、もういっちょや!!」
オニツノが迫って来る。

(人に打つのは初めてだけど……)
相手の飛び蹴りを躱し、彼女は腰を深く下ろし構えた。

「お?」

(空流、黒鉄ッ!!!)
ジーナが拳を放ち、オニツノを捉えた。

まるで生身の人間同士がぶつかったとは思えない音が轟く。

「がぁッ!!?」
ふっ飛ぶオニツノは壁に激突する。

「な、なんや今の……デッカイ鉄のハンマーで殴られたんか……?」
血を吐き出し、驚くオニツノだが、彼女はすぐに立ち上がる。

「はぁ、はぁ、出来た……」

殴られた腹をさすってオニツノはニヤリと笑う。
「なるほどなぁ、あんな重たい突きを出せるんやな」

(まだ立てるんだ、タフだなぁ)
オニツノは口周りの血を拭って走り出し、ジーナの目の前で腰を深く下した姿勢を取る。

(もしかして!)
「こんな感じかのッ!!」

そのまま突きを繰り出す。
後ろに大きく飛ぶジーナ。

なんとかガードには成功したものの腕が痺れる。

「……グッ!いてて、黒鉄を真似たの?こんなあっさりと?私これ小さい頃からやってて最近ようやく出来るようになったのに」

「いやぁ、全然や。難しいのぉこれ!攻撃が当たる瞬間に体の中心にグッと力を入れなあかんし、そもそも攻撃もちゃんと角度選ばなあかんのか。ようやるわ」

(いや、めっちゃ分析できてるじゃん……)

相手の極めて非凡な戦闘センスに驚くを通り越して呆れてしまうジーナ。


「もっと教えてくれや!ジーナちゃんの事をぉぉー!」
オニツノは先程よりも更に鋭く素早い揺きで攻めてくる。

(まだ上がるの!?)
徐々に押され始めるジーナ。

「そらそらどないした!もっとゴッツイの見せてくれや!こんなもんちゃうやろ!」

オニツノの強烈な蹴りがジーナを襲う。
ジーナはぐるんと横向きに回る。

(なんや、この手応えの無さは!?)

するとジーナの片手が地面についていることに気付く、偶然ではない何か意図がある、オニツノはそう直感した。

腕でガードの体勢をとったオニツノ。
直後に蹴りが飛んで来る。

(ワシの勢いを利用したんか!なんて重さや)

まにあいはしたものの、その衝撃で身体が大きく揺らぐ。

ジーナは即座に体勢を変えオニツノの両足を蹴り払う。
両足を地面から離され宙に浮くオニツノ。

(これを生身の人間相手に打つのは気が引けるけど。この人はそれぐらいやらないと倒れない!!)
側転し、彼女はその力を全て拳に乗せてオニツノの顔面へと放った。

空流奥義、【天蓋割り!!】
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