強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.42 【光のシャボン玉現象】の原因へGO

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ユキチカは何かの数字を書きはじめる。

1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233

「なんだその数字?」

キビ達は不思議そうに彼が書き上げた数字をみる。

謎の数字、何か意味があるのだろうか。

「フィボナッチ数列?」
シャーロットがそう言う。

「そうそれ!」

「最初がここで~」
ユキチカは【光のシャボン玉現象】が最初に発生したと思われる場所をスタート地点にして一本の線を引き始める。

線は次の地点、そしてまた次の地点へと、どんどん外側に向かっていく。
こうして出来上がったのは螺旋だ。

「そのフィ、なんとかボッチって?」
「フィボナッチ数、それを図で書き表すとこんな感じで螺旋が描けるって言えばいいのかな。これは外側にも内側にもずっと続くって言われてて、ひまわりの種の並び、カタツムリの殻、羊の角、綺麗な渦巻きをしているのはこの形状が当てはまる事が多いの。黄金比とか色々な所でこれが出てくる。でもフィボナッチがどうしてこれと関係があるの?確かに綺麗に当てはまって入るけどさ」

「わからない、けどこれだよ!ずーっと続くグルグル~!無限のエネルギー!エネルギーといえばー」

ユキチカがそう言って林檎を取り出した。

「こっちから、こっちまでー」
彼はりんごに線を描く。

「何してんだ、食べもんで遊ぶんじゃないぞ。つかまだ食べるのか」

キビがそういうとユキチカはりんごに指をさした。

「あ、それともう反対側から、これ!穴開けてりんごの反対側へ!」
反対側から指を刺して真ん中に横穴を開けた。

「いわゆるワームホールと呼ばれるものです。いずれも理論的にできそうだなー、出来たら良いなーぐらいのものなので」
それをみてキョトンとしているキビ達にウルルが説明する。

「なるほど、つまり荒唐無稽な話だって事だな。でそれがどうして農場の話に繋がるんだ?」

キビの質問にシャーロットが答える。

「この一連の現象には凄い量のエネルギーが関わってるって話をしたの覚えてる?さっき話した瞬間移動の話、どれも相当なエネルギーが必要なんです。そんなエネルギーをどうやって発生させているのかは分からないですけど」

シャーロットが手をグッと握り込み話す。

「それほどの規模の事が出来るのは……ウルティメイト社だけだって。エデンズゲートの事もあるし、その実験の影響でこれが起きてるんじゃないかと思って」

それを聞いてキビはソファに腰掛ける。

「やっぱりそうなるのかー」


ユキチカが螺旋の一番内側を指差す。
「ここ、いこ!」

「え?今から?まあ確かに、これを放っておくと被害は広がって行くんだよな?ならさっさと原因をつきとめて止めないとな。今はまだ人の被害が出てないが、街中でこの現象が起きたら大ごとだ」

こうしてユキチカ達は再び署を出るのであった。

途中ユキチカの家に寄って彼の荷物を拾い、目的地へと向かう。

「なんだそのデッケェバッグは?」
「あとのお楽しみ~♪だよーカオルちゃん」
「そうですか」

山に戻ってきたユキチカ達は、先ほどいたパイのお店を通り過ぎて山奥へとどんどん進んで行く。

「ここ!」
「だってよ、コウノ。この先車じゃあ入れないから止めるぞ」

車を止めて、舗装されていない道に入るユキチカ達。

「探検隊みたい!みんなついて来れてるー?新種のドラゴンいないかな~」
「そもそもドラゴン自体いたら大発見ですよ。ユキチカ様」
ユキチカとウルルを先頭にして進んで行く。

「最近こんな所ばっかりだな」
「ええ、私もアウトドア用の靴買っちゃいました」
「あ、いいな。もうブーツぐらい欲しいな、先っちょに鉄板入ってるやつ。福利厚生で買えるようにならねぇかなー」
キビとコウノが周囲を見回しながらそう話す。

「シャロ大丈夫?」
「うん、上り坂だけど道が緩やかだから意外といけそう」
「え……ああ、うん。疲れたら言ってね」

ジーナはシャーロットと手をつなぎ、彼女がこけないように歩いていた。

道の奥へと向かっていくと洞窟が木々の間から現れた。

「おお!洞窟~!ドラゴンの巣だー!」
ユキチカは洞窟をみて興奮する。

恐らくドラゴンは住んでいないだろうが、確かに巨大な洞窟だ。
それぐらい大型の生物が住処にしていてもおかしくはない、人間であればコミュニティを形成できそうな程だった。

「アイツひょっとして、ドラゴン出てくるアニメかなんかみたか」
「はい、ユキチカ様の好きなアニメにドラゴンが出てくる回がありまして」

「シャロ大丈夫?じつは緩やかな上り坂って意外とキツイんだ、とくにこういう山道は。あんまりいうと逆にしんどくなるかもって思って黙ってたけど」
「ぜぇっぜぇ……はぁ。確かに、ちょっと一息つかせて」

息を切らしたシャーロットは側にあった岩に腰をかける。

「シャロ!ここほら!エンドレスデストロイヤーとドラゴンで出来てとこ!」
「はぁ、はぁ、確かにそれっぽいかも」

ジーナに足をマッサージして貰っているシャーロットも、息を切らしながらもウキウキしていた。

エンドレスデストロイヤーとは二人が好きなロボットアニメのタイトルであり、主人公ホロボ・ス・コノヨが搭乗する巨大ロボットの名前である。全身に世界を破滅に導けるレベルの武装が施されており、それで今日も世界の平和を守っているのだ。

「そういえばシャロも好きだったね」


シャロの呼吸が整うのを待ってから洞窟の中に入るユキチカ達。
内部はかなり入りくんでいて、皆は互いにはぐれない様にしながらどんどん奥に進んで行く。

「洞窟の中から高エネルギー反応が、ここで間違えないようですね」
ウルルは洞窟の奥に目を向けてそう報告する。

洞窟の奥に行くと急に明るくなる。

しかし天井に穴が開いてそこから光が差し込んでいる訳ではない。
洞窟内に強烈な光源があった。

「まぶしっ!」
みんなは目元を覆う。

ユキチカとウルルだけがその光源に目を向ける。

「こんな時は~」
彼はバッグを漁る。

「グラサ~ン!いる?」
「それが秘密兵器か?とにかく助かる」
全員分のサングラスを取り出し、配るユキチカ。

皆がそれを装着する。もちろんユキチカとウルルもサングラスを付ける。

そしてようやくみる事が出来た、この強烈な光の正体はあの【光のシャボン玉】だ。
この中に施設が見えた。

「これが……」
「想定より光ってますね」
キビとコウノが驚きつつも注意深くそれを観察する。

光は球体状で、その表面は正にシャボン玉のように揺らめき、向こうの光景が歪んでみえる。

「だけどこれって触ったら危ないんでしょ?」
「確かにこんなエネルギーだと無機物、有機物関係なく一瞬で灰になっちゃうね。とりあえず場所は分かったし一旦戻って……うわ、また戻るのか」
「良ければ私がお運びいたしますよ、シャロ様」

ジーナ、シャーロット、ウルルがそう話していると後ろでユキチカが再びバッグから何か取り出している。

「じゃじゃーん!ひみつ道具バリア装置~!」
そう言いながらベルト型の装置を取り出すユキチカ。

「なんだそれ?」

「これで中に入れるよ!」
「この装置、もしかしてこの前の!」
シャーロットがユキチカに渡されたその装置をみて気付く。

「うん、みえなくなるやつ。おもしろそうだったから借りた、みんなボーンってなちゃったけど」

「あのブルジョ・ジー氏を襲撃した犯人がつけていた奴ですか?!重要な証拠を勝手に持ち帰らないでください!!」

コウノがそう言うがキビが彼女の方に手を置く。

「諦めろコウノ。そういうのはアイツには通じない」
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