強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.41 事件の隣でパイを頂こう

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神出鬼没な不思議な光、この光は自然に発生したものではなく人の手によって生み出されたものだと考えるキビたち。

また新たに発生したというこの現象を追ってユキチカ達は、現象の目撃現場に向かう。

そこは何もない山岳地帯で、今は山の所有者から話を聞いている所だ。
「わーい、広い広い―」

ユキチカは布をフードのように被っていた。
少しでも目立たないようにするためだろうか、しかしその思惑は上手く行っていないようだ。

「あの方も警察の方ですか?随分と大きい方もいらっしゃるんですね」
「アイツっ!まあ、あれは捜査協力者です、お気になさらず~」

キビはその山の所有者と話をしていた。

「うわー、すごい綺麗に抉れてる」
「重機でもこんな風にはならないよね」
「はい、抉れた面に高いエネルギーが当てられた痕跡がありますね。ここに来るまでにキビ様がおっしゃっていた【光のシャボン玉現象】が原因でしょう」

ジーナ、シャーロット、そしてウルルは大きく抉れた地面をみてそう話す。

一通り話を聞き終えたキビが彼女たちの元にやってきた。

「君たちは真面目にやってくれるね。それにひきかえアイツは、まるでドッグランに放たれた犬だな」

ユキチカは相変わらずそこら辺を走り回ったり草木や花、虫なんかを観察していた。

「とりあえずここの土壌サンプルを頂きましょう」
「ぜひそうしてくれ」
ウルルが抉れた地面の土を掘ってケースに入れる。

「やっぱり彼女も光る球体のようなものを観たって言ってたな。それと新情報、その光に飛び込んだ山の動物が姿を消したとさ」

「地面を抉ったりするぐらいのエネルギーだもん、そりゃあ生き物なんてひとたまりも無いよ」

話をしているとユキチカが向こうから走って来た。

「ねぇねぇ!良い匂いしない?」
ユキチカが嬉しそうに言う。

「え?ああ、そう言われればさっきから甘い香りがするね。これはりんごと、シナモン、バター、それとハチミツとかかな?良い匂い」

ジーナがそう答えると先ほどキビに話をしていた目撃者の女性が現れる。

「すぐ側に私が経営してる喫茶店があるの。そこでパイを焼いてるのね、良かったらみなさんも是非……」

彼女がそう言い終える前にユキチカは店に向かって走り出す。

「あ!おい!まったく……」
キビが止めるよりも早く彼は行ってしまった。

「何しに来たんだろう」
「平常運転、まだ行き先が分かるだけマシって事にしますか」
「そうですね、とりあえずこの周辺で気になるものが他に無いかだけ観て、そのあとユキチカ様に合流しましょう」



山の中にあるそのお店は、ログハウスで看板も木に文字を焼き付けたものをつるしていた。木彫りの置物なんかが外に飾ってある。

小気味良いベルの音と共にドアを開け店内に入る。

内装もこだわっており、手入れの行き届いた観葉植物、テーブルも木製で椅子も少し大きめな木のフレームにクッションが置かれている。

正に【山の中にあるイイ感じの店】を表したような店だった。

ユキチカはカウンターに座る。
カウンターの上には木製のフレームを持つガラスケースがあり、その中にパイが並んでいた、どれも美味しそうだ。

彼は目を輝かせながらそれを見る。

「んーー!!このブルーベリーパイ美味しい!こっちのチェリーも!」
すると隣から声がした。

ユキチカが隣をみると、女性がカウンター席に座っていた。

その女性はえらく変わったスーツを着ていた。
まったく別の色や質感の素材を繋ぎ合わせたようなツギハギのスーツだ。

「おもしろい服だね!」
ユキチカはそう言った。

「おや、ありがとうございます!こちらは私の一張羅ですから、気に入っていただけて何より。いやぁ、にしてもここのパイは絶品ですね。この通り一口食べたら全制覇したくなっちゃって、全部頼んじゃいました!どれもとっても美味しいんですよー!素材を一からこの山で栽培しているのだとか、なのにこんなにリーズナブルなんて!」

軽快に話す女性。

「なにもの?」

「いやはや、これは失礼しました。私セールスをしております、ハーパートと申します。そうだ、お近づきの印に、すみません!」

彼女は店員を呼んだ。

「こちらの素敵なお方にアップルパイを一つお願いできますか?」
「かしこまりました、丁度今焼き上がった所なので」

「それは素晴らしい!是非そちらを、それとお飲み物はコーラですよね?れとトッピングにチョコ味のコーンフレークとバニラアイスクリームを」

「パイにですね畏まりました」
「いえ、両方ともコーラにです。お願いできますか?」
「お飲み物にですね。畏まりました、ただいまお持ち致します」
注文を受けて店員は店の奥に入っていった。

「このような山奥でもアンドロイドが店員を務めているのですね、便利な世の中ですねー!」

「なんで僕の好きなの知ってるの?」
「ドリンクの事ですか?そりゃあセールスですから、お客様がなにをお求めなのか見抜けないようでは一流とはいえませんからね」

そう言ってハーパートがニッコリ笑う。
店員がアップルパイとコーンフレークとアイスを入れたコーラを持って来た。

「一流すごい!これやったらウルル怒るんだ、だからひさしぶりー」
嬉しそうにそれを受け取るユキチカ。

「喜んでもらえたようで何よりです!おっと、そろそろ時間ですね。では私はこれで!こちらの方の分も合わせてお会計お願いします!」

そう言って会計を済ませ、ハーパートは一礼をして帽子をかぶる。
これまたツギハギの帽子だ。

「それではユキチカ様、御機嫌よう!」

彼女は軽快な足取りで店を出て行った。

少しするとキビ達が入店してきた。

「もう食ってるし、ってなんだその飲み物!」
「あ!それ糖分が高すぎてヤバいのでダメって言ったじゃないですか!」

キビとシャーロットが入ってきてそうそうにユキチカに注意する。

「これ、ご馳走して貰ったの!」
「え?誰に?」
ジーナがきいた。

「面白い服の一流セールスさん!」
「うーん、とりあえず座るか」
キビ達はとりあえずカウンターに並んで座る。

「アップルパイが焼きたてだよ!」
「ではそちらを頼みましょう、皆さまどうされますか?同じで良いですか、畏まりました。すみません、アップルパイを5つお願いします」

ユキチカに勧められたアップルパイを5人分ウルルが注文した。

皆の前にアップルパイが並べられる、まだまだ焼きたてで香ばしい匂いが彼女達を包む。

「おお、確かに美味そうだな。頂きます」
キビが合掌してから食べ始める。


捜査を終えたユキチカ達はキビのオフィスに戻っていた。

「それで、アップルパイを食べて糖質モンスターな飲み物を摂取して何か思いつきましたか?ユキチカくん」

「わかったよー!どこにあるか!」

ユキチカはお土産でかったザクロのパイを食べていた。

「ほー!聞いてみるもんだ、つーかみやげもう食うのか」
「今日の晩御飯は減らしますからね!」
キビとウルルにそう言われたユキチカは一瞬固まる。

そして立ち上がり、オフィスのディスプレイに向かう。

そこには今まで発生した【光のシャボン玉現象】が目撃された場所だ。

「フィッボ、フィッボ!」
「なんだ、それ?」

ユキチカはそのディスプレイにタッチペンで何か書きはじめる。

1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233

ユキチカが発したこの数字の意味はなんなのだろうか。
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