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4th フェーズ 奪
No.97 お尋ね者になりました
しおりを挟む「国際指名手配って……」
「名前は出てないけど顔は思いっきり出てるね」
ニュース番組をみて話すジーナとシャーロット。
「良かった二人は出てないな」
キビがニュースにプライスとアンジェラの情報が出てないことを確認する。
「良くないよ!みんな指名手配されたんだよ!それも全世界で!」
「恐らく前回の施設に襲撃かけた時からこうする予定だったんだろう。それなら顔を隠したたのにバレてる理由がつく。それにほらみろ、介護施設以外にも他施設に襲撃って書いてあるぞ」
キビがニュースの画面を指さして言う。
「この映像には映ってないウルルや私も指名手配されてるし、その線が濃厚ですね」
シャーロットも映像をみて頷く。
「私達はなんとか逃げるしかないな」
「でもその前にアンジェラ様とプライス様の安全を確保しないと」
キビにそう伝えるウルル。
「勿論だ、みんな何か頼れそうなあてはあるか?」
「ということでブルジョ様お願いします!2人を匿って頂けませんか?」
ウルル達はブルジョの所に来ていた。
「えええいきなり?!だが分かったよ!我が友であるユキチカの友達であるならば、是が非でも守ってみせるよ」
戸惑いを隠せないが、それでも要望を受け入れるブルジョ。
「ブルジョさん、よろしくお願いします。私はプライス、この子は娘の」
「アンジェラです」
プライスとアンジェラはブルジョに挨拶をした。
「さあ中に入りなさい。プライスどこかで、そうだハウンドの元代表の方」
「今はウルティメイトが管理する宗教団体の司祭をやらされています」
プライスはブルジョにそう答える。
「それは気の毒に。ヴィクトリアこちらは最重要お客様だ、失礼の無いように」
「承知しております」
ヴィクトリアは2人を案内する。
「それじゃあウルルちゃん無事にまた会おうね」
「ええ必ず。落ち着いたらまた連絡します」
アンジェラとウルルが一時の別れの前にハグをする。
「それで君たちはどうするんだい?良かったらうちの別荘を一つを使うかね?そこもここと同じようにウルティメイトの製品は1つも置いていない」
ブルジョはウルルに提案する、しかしウルルは首を振った。
「いえ、私達は行くべき場所があるので。まずはそちらに向かおうかと」
「ならせめて送らせてくれ」
「ありがとうございます、でもまずは2人の安全を確保してほしいんです。勿論ブルジョさんたちの安全も」
「それを待っていられるほど猶予はない、ということなんだね」
「はい」
ブルジョはウルルの返答を聞いて頷く。
「分かったよ。くれぐれも気を付けるんだ、君たちがタフなのは重々承知しているが、連中も侮れない。何かあったらすぐに頼ってほしい」
「ありがとうございます。それでは」
一礼してウルルはその場を後にした。
「さて、ここから港まではまだまだ距離がある。流石に徒歩なんて悠長な事したくないしな。あの車借りとけば良かったか?」
シドー達は近くに潜んでいた。
「監視カメラに撮られてるから難しいですね」
シャーロットがネットに警察が車の目撃情報を集めているページを見つけてそういう。
「だけど車は必要だ、用意する」
「キビさん、そこら辺から盗むのか?」
シドーは周囲にある車を指さす。
「いいや、借りるんだよ。ちゃんとレンタカーのところからな」
キビは近くにあるレンタカー店を見る。
「もし車を盗んだら盗まれたやつは通報するだろ?そしたら余計に追手を増やしてしまう。レンタカーなら普通に借りて普通に返したら良い。私達が使っていることに気づくことはないだろ」
「ドライブレコーダーは?映像とか音声とか記録されちゃうんじゃ」
キビに質問するジーナ。
「それは問題ない。ドライブレコーダーの映像や音声の扱いに関しては企業で色々な規約がある。プライバシーの侵害はご法度中のご法度だからな。企業はまず見ないし、使うのは警察から事件事故の証拠品として提出要請があった時ぐらいだ。その時も企業は確認せずにデータ丸ごと渡すだけ」
「どうやって借りるんだ?この世界じゃ支払いに色々と記録がつくって聞いたぞ」
今度はシドーがキビに質問した。
「駅か、丁度いいちょっと待ってろ」
キビは人だかりの中に入っていく。
「こっちも借りれば良い、でしょ?」
戻ってきた彼女は内ポケットからカードを何枚も取り出した。
みんなが軽くひいた顔をする。
「ちょっと何その顔、どれだけ犯罪者相手に仕事してると思ってるの?スリの手口ぐらい知ってるよ」
「それも結局盗みじゃないですか、通報されたら……」
ジーナがそういうとキビは首をふる。
「それじゃあジーナちゃんはカードが無い事に気づいた時は一発目に警察に連絡するかな?」
「いいえ、カード会社ですね……そうか!そもそもカードが無かったら盗まれたって思うよりも落としたって先に考えますね。駅なら駅員にまず確認しますね」
キビの発言で彼女の考えを察するジーナ達。
「そういう事、もし通報しても警察はまずカード会社に対応してもらうのを待たないとならない。警察が動き始めた時には私達は既に海の向こうだ」
説明を聞いてシドーは笑う。
「犯罪のプロだな」
「褒めるなよ」
「ご利用ありがとうございました」
「お待たせ、この顔のクリーム便利だな」
キビは車を無事にレンタルし、近くのカフェで軽食を調達していたシドー達を拾う。
「あれIDどうしたんですか?」
「ああそれなら」
ウルルに質問されたキビは、バックミラー越しにシャーロットに目を向けた。
「国のセキュリティなんて、ウルティメイトのに比べたらあって無いようなもんだよ。カードに登録されてる情報から抜き取った、ついでに家族構成の欄もちょっと書き換えてね」
シャーロットが手でVサインを作る。
「施設に潜入する時と違って、一時騙さればそれでOKだしな」
「港まではどれくらいだ?」
「高速使えばすぐだが、流石に監視カメラとかが多いからな。下を通って行く、それでも数時間あればつく」
助手席に座ったシドーにキビがそう伝える。
「とりあえず私が運転してるからみんなは休んでおいてくれ」
それから少しばかり仮眠をとるシドーたち。
「……ん?どうした?」
シドーは眩しい光を浴びて目を覚ます。光の正体はパトカーのランプによる明かりだ。
「マズイな、検問所が出来てる」
キビの視線の先には警察官が何人もいて通る車を調べていた。
「別の道は?」
「試したがどこも同じだった。まあ恐らくウルティメイトが指示したんだろうな。全くこういう時は仕事が早いんだから、いつもは手続きだのでとろい癖に」
首を振るキビ。
「どうする」
「この列から出ていったら、それこそ怪しまれる。みんな起きて、顔がちゃんと変わってるか確認しておいてくれ、シャーロットちゃんさっきと同じように頼む」
自分たちの番になり窓を開けるキビ。
「どうも」
「こんばんは、何かあったんですか?」
キビは警察官に話しかける
「強盗集団がこの辺に潜伏しているとの情報があったので、捜査にご協力をお願いしているんです。IDを確認させて頂いても?」
「はい」
キビはシャーロットが細工したIDを渡す。
「確認できました。この車レンタカーですか、これからご旅行ですか?」
「ああ、そうなんです。私の都合でこんな時間から車を走らせる事になってしまいましたがね。明日の朝一から旅先で観光できるようにね」
警察官の質問に自然と答えるキビ。
「運転が趣味なんですか?アンドロイドに運転させずに自分がするなんて」
キビの返答を聞いた警察官は後部座席を一目みてウルルがいる事に気づく。
「いつもは運転して貰ってるんですが、子ども達の相手をして貰ってたんです。偶に運転するのも良いもんですよね」
「そうなんですか、私もたまには人に運転してもらうのも良い気分転換になるかもしれませんね。そうだ、最後にこの写真の人物に見覚えは?」
警察官はキビたちの顔写真をみせる。
「いいえ、全くしりません」
「ありがとうございます。それでは……ああ!すみません!うっかりしてました、最後にもう一つ検査よろしいですか?これで最後ですので」
警察官はある機器を取り出す。
「網膜スキャンです」
「ええ、良いですよ」
キビは警察官の持つ機器に目を近づけながら、警察官からは見えないように皆に手で合図した。
みんなはゆっくりとシートベルトや取っ手を掴む。
「ん?これは……!」
検査結果をみて驚く警察官。
「それじゃ失礼!」
キビはアクセルを踏み込む。
「あ!待てっ!こちら15番通り!番逃亡犯を発見、追跡します!」
警察官たちは急いでパトカーに飛び乗る。
「網膜スキャンなんてやった事ねぇぞ!ウルティメイトめ豪華なおもちゃを買い与えやがったな、まったく!」
「今どきは目玉も検査できるのか」
シドーは感心した様子で話す。
「結局こうなるのか、みんな舌噛むなよ!」
パトカーを引き連れ道路を走り去るキビ達。
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