強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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5th フェーズ 決

No.117 追いやられる者たち

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 バベッジの戦闘の中で、チザキは追い詰められていた。

「ぐ……」

「ふむ、結構厳しい状況に追いやられているな。ああ勿論君が追いやられている側だがな。傷の治りも先ほどよりも更に遅くなっている。ガーディアンからの攻撃を凌いで反撃するのに能力を使い過ぎたかな?」

 いかなる傷も瞬時に回復するチザキだが、今は満身創痍。息を切らし、足取りはおぼつかない様子だ。

「はぁ……はぁ……」

「さぁ捕まって貰おうか。君にこんな所で死なれるのは興ざめも良いところなんでな」
 ガーディアンを差し向けるバベッジ。 

「いやだ!」
 チザキは背を向けて走り出した。

「ほう、逃げる体力はしっかりあるようだ」
 逃げる彼女を追うガーディアン。
 追撃をまぬがれ、チザキは通気口に飛び込んだ。

「通気口か、ガーディアンではそこに入れん、追いかけられんな」
 チザキが通気口に入ったのを見届けたバベッジはガーディアンに命令し自分のもとに戻らせた。



 一方その頃ブルズアイを担ぎながら進むユキチカとジーナ。

「ここ!」
「一旦ここで傷の様子みるから」
 ユキチカ達は部屋に入り、そこにある台にブルズアイを横たわらせた。

「ありがとう。大丈夫、自分でも処置できるよ」
「ほら、そんな事を言わないでここに座って」
 ジーナは自分のアーマーに内蔵されている治療キットを取り出した。

 彼女は手際良く傷の処置をしていく。

「これで傷は塞がった」

「ありがとう二人とも、私はもう大丈夫だから二人は先に行って。私はインファマスの連中に連絡入れて助けに来てもらうよ。それまで一緒に待ってもらえるほど余裕がある状況とは思えないし」
 ブルズアイは笑って見せた。

「ね?ユキチカ、ジーナちゃんお願い」
 彼女の言葉に何も返すことが出来なかった2人。

「この戦い、私達が勝たないと全てが終わるんでしょ?勝つには君たちの力がないと、だから君たちは先に進んで」
 ここでようやくユキチカがうなずいた。

「……わかった、ジーナ行こう」
 ユキチカがジーナの手を引いて部屋を出ていく。

「ふぅ、ユキチカは本当に賢いなぁ。ちょっと悪い事したかな」
 ブルズアイは小さくそう呟いた。



「こっちです!」
「もう少しでネットワークに侵入して、その後はすぐに皆に合流しよ!」
 シャーロットとウルルはこの島のネットワークを掌握するために走っていた。

 ふとその時、天井が二人目掛け落下してきた。

「……?!」
「シャロ様!」
 ウルルは辛うじてシャーロットを押し出した。

「今度は扉?!もうっ!ウルル!大丈夫?」
「はい、問題ありません!シャロ様は?」
 二人の間には分厚い扉がそびえたっていた。

「私も平気、また別行動だね」
「すぐに別の道を探して合流いたします!」
 シャーロットとウルルはここでまた別行動を余儀なくされてしまう。


「さて、一人になっちゃったな」
 とりあえず当面の目的を達成する為に進み始めた。

「うわ!何!?アンドロイドの強化型?まだ種類あるんだ」
 突如現れた敵の攻撃を回避するシャーロット。

「ふむ、こっちに当たったか」
 彼女の前に現れたのはチャールズ・バベッジだ。

「あんたは!チャールズ!」

「一目で分かるか、色々と改造を繰り返し、かなり外見は変わっているものと思っていたが」
 バベッジは落ち着いた様子で話す。

「あんただけは!」
 シャーロットの目つきが変わった。

「やめろ、ありきたりなセリフを言わなくても君の怒りは伝わってくる。無駄なことにその頭脳を使うな」
 頭を横に振るバベッジ。

「どうだシャーロット、私と共にここで研究でもしてみないか?」
「ふざけないで!」
 シャーロットが怒りの声を上げる。

「こうなるか。ガーディアン!」
 彼が手を上げるとガーディアンが並ぶ。

「……っ!」
「娘とはいえ容赦はしない、分かっているだろ?」
 バベッジはその冷たい視線をシャーロットに向ける。


「はやくしないと、恐らくこちらに……」
(この先に生体反応、でもかなり弱っている。敵?)
 ウルルは周囲の情報を集めながら走る。

 念のため確認する為に生体反応の場所に向かうウルル。

「あなたは!」

「やぁ……あー、ウルルであってるかな?」
 壁に寄りかかり座っているリリィがそこにいた。

「どうしてここに……」
「まあ色々あってね。本当に良い所で来てくれたよ」
 ウルルはリリィの様子を見る。

「毒素を検出、これは一体?!」
「ああ、それは大した問題ないよ。それよりもあっちのがしんどかったよ」
 リリィはウルルが来た方向とは逆を指さした。

 その方向には数々の破壊されたアンドロイドが転がっていた。

「あれはあなたが?」
「初実戦でここまでなら上等じゃない?はぁはぁ、本当、急に動くと脇腹がいたい。イメトレではもっとかっこよく片付けてたんだけどね」
 ニヤッと笑ってみせるリリィ。

「ごめん、ちょっと肩貸してくれない?」
「う……」
 ウルルは少し戸惑った。

「ああ、そうだよね。私達は敵同士だからね。でもお願い、イヴ様をここに迎え入れる為に、行かないといけないんだ」

「分かりました、今は手を貸します」
 ウルルはリリィに肩を貸し、彼女を立たせた。

「なんならおぶってくれても良いんだよ?」
「文句言わないでください。ビリビリってしますよ」
「君も手厳しいな」
 リリィとウルルは通路を進んで行く。

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