116 / 135
5th フェーズ 決
No.116 激戦は加速する
しおりを挟む「俺こそが戦いなんだ!」
暴れまわるガンマに抵抗するシドー。
「本当に、どうなってんだその身体」
「どうだ日本兵!これこそ人の姿!闘争だ!」
外骨格アーマーと融合し、もはや人の姿ではないガンマは高らかにそう宣言する。
「あーあ、頭まで侵食されたか?とうとうなに言ってるんか本格的に分からなくなって来た」
(にしてもコイツどうするかなぁ。いくら斬っても回復しやがるし)
シドーは刀で斬りつけるが立ちどころに相手の身体は傷を治していく。
治療というよりは外骨格アーマーから伸びたケーブルのようなものが斬撃により生まれた傷を埋めていくのだ。
「どうした!もう終わりじゃないだろう!」
「っぐ!」
ガンマの一撃を受けて大きくと飛ばされるシドー。
「アホみたいな力しやがって……」
彼は壁を複数ぶち抜いて倒れる。
そんな彼を見て誰かが声をかけた。
「ここにいたか!」
「ヤスシさん?」
ヤスシが手を貸し、シドーを起こす。
「ブルズアイから連絡があってな、あんたに手を貸してほしいって」
「ありがたいね」
壁の向こうからガンマがやって来る。
「なんだ?もう一人戦士が増えたな!良いぞ、まとめてかかって来るが良い!」
「なるほど、バケモン退治か」
「そういうこと」
ガンマを気怠そうに指さすヤスシ。
「で?あのバケモンは一体誰なんだ?もしかしてヴァーリか?」
「残念ながら違う、だけど同じぐらいムカつくやつさ。おれと同じ元軍人……そしてイヴ先生を殺した奴だ」
シドーの言葉を聞いて眉間に皺を寄せるヤスシ。
「そいつは見過ごせねぇな」
「貴様も良い殺気だ!素晴らしい!さあ共に限界まで殺し合おうじゃないか!」
ガンマは歓喜の声を上げる。
一方その頃、バベッジに対峙しているチザキ。
「抵抗はよした方が良い。確かに君の耐久力テストも行いたいが、やりすぎて死なれては可愛そうだ……私の知的好奇心が満たされないじゃないか」
バベッジが片手を上げると部屋の扉が動き始めた。
「だれ?」
部屋の壁が開き、そこから複数のアンドロイドが現れた。
「このアンドロイドはより戦闘用に特化させた実験機でね、ガーディアンと呼んでいる」
バベッジの前にガーディアンと呼ばれる機械兵が複数並んだ。
「耐久性、積載力、機動力、いずれも最優であり、器用さも持ち合わせている」
「ふん!」
チザキはその説明を大人しく聞いている訳もなく攻撃を仕掛ける。
彼女は血の槍を生み出し放つ。
「あれ?」
血の槍が勢いよく飛んだが、空中で霧散してしまった。
「君の血液の能力、明らかに君のサイズでは考えられない量を扱っているな。興味深い、だが大元が血であることは変わりないだろう?凝固した血液を分解させる薬品を噴射させる機構を取り付けてみたのだが、どうやら成功だな」
チザキは即座にバベッジに向かって詰め寄る。
「兵士を掻い潜って私を狙い撃ちか、悪くない判断だ。しかし……」
バベッジはその腕からレーザーを放った。
「私も当然、自らの身体を改造しているよ。カイ・ザイクの実験結果に感謝せねばな」
レーザーにより脇腹を撃たれ、倒れるチザキ。
「さあ、抵抗は辞めるんだ」
チザキは腹を抑えながら立ち上がった。
「ほう、回復が遅くなってきたな。ここまでの戦闘で血を使いすぎたか?」
バベッジは自身の腕を展開させ、そこに映し出される情報に目を向ける。
「いや違うな、君の血中にいる微生物の活動が弱まってきている。さてはここまでに補給をしていないな?」
「ほきゅう?」
チザキは首を傾げた。
「血のことだ、血を飲んでないだろう」
バベッジはガーディアンに触れる。
「ここにいる兵の殆どは機械だしな。外にいるサイボーグ達も生来の血液は使用していない」
彼の言う通りだった、ここまでチザキは血の補給を行えていなかった。
普段の生活ならそこまで支障はないが、激しい戦闘を続けてきた彼女には死活問題だ。
「君にとっては補給ができない戦場だ。それが輸血パックか?」
チザキはポケットから輸血パックを取り出した。
「んぐ、ん、ぺっ!」
血を口に含んだチザキはすぐに吐き出した。
「おや、どうしたんだ?」
「まずい、なにこれ?」
バベッジはニヤリと笑って注射器を取り出す、同じものをガーディアン達が持っていた。
「ひょっとして何処かの誰かに毒でも混入させられたのかな?」
「おまえ!」
チザキはバベッジを睨みつける。
「さて、どうするかな?実験記録を取らせて貰おうじゃないか」
その頃、ヴァ―リとアンドロイド達と戦闘を繰り広げるヒメヅカとキリサメ。
通路には無数のアンドロイドの残骸が転がっていた。
「ただの肉体でよくそこまで戦えるものだ。だが……」
「はあ、はあ」
「すぐに疲労し、怪我の回復も遅い。時間の問題だな」
肩で息をするヒメヅカを見てそう言うヴァ―リ。
「そうかもしれませんね!」
「……ッ!」
突如背後から現れたキリサメに首を斬り落とされるヴァ―リ。
「キリサメさん?」
「まだ死んでない」
キリサメはヒメヅカの前に立ち、構える。
「いやはや、首を斬られるとはね」
地面に落ちたヴァ―リの首は粒子となって体に戻っていく。
「私の身体はもはや人のそれとは違う」
ヴァ―リは自分の腕を粒子化させて変形させる。
「ナノマシン、粒子のような機械が私の身体を作り上げている」
「とうとう怪物になりましたか」
ヒメヅカの言葉を聞いて鼻で笑うヴァ―リ。
「君等のように前時代の考えしか持たぬ狭窄な者には、この姿理解出来ぬのも無理はない……これこそが次に来るべき人の姿だ」
ヴァ―リは両手を広げて歪んだ笑みを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で農業を -異世界編-
半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。
そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる