異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬

文字の大きさ
9 / 74

第9話 翼を持つ仔馬と不思議な夢の導き

しおりを挟む
朝焼けに染まる空が、牧場全体を温かな光で包み込んでいた。白石悠真は早朝から牧舎の掃除に精を出していた。柔らかな藁をフォークで集めながら、時折ウィンドの様子を見やる。

「おはよう、ウィンド。今日も元気そうだな」

小さな翼を持つ白い仔馬は、悠真の声に反応して嬉しそうに鼻を鳴らした。牧場に来てからもう一週間が経つが、すっかり馴染んでいる様子だ。

「起きるの早いですね、悠真さん!」

振り返ると、ミリアムが両手に水の入ったバケツを持って立っていた。朝日に照らされた彼女の亜麻色の髪が、まるで金色の冠のように輝いている。

「ミリアムこそ、もう起きてたのか」

「はい!朝日が昇る瞬間、薬草の採取に最適なんです。露の落ちる前に集めると、効果が高まるって」

彼女は誇らしげに、腰に下げた小さな布袋を見せた。中には様々な色の葉や花が見える。

「それと、これ、持ってきました!」

ミリアムが差し出したのは、木の皿に載せた焼きたてのパンとチーズ、そしてリンゴ。シンプルだが、香ばしい匂いが悠真の空腹を刺激する。

「ありがとう、助かる」

朝食を受け取り、二人は牧舎の入り口付近に置かれた木製のベンチに腰を下ろした。美味しそうにパンをかじりながら、悠真は牧場の動物たちを眺める。

「そういえば、あの時の魔石はどうしたんだ?」

「大切に保管してありますよ。必要な時のために…あ、これを見てください!」

ミリアムはウィンドを指さした。白い仔馬は牧場を駆け回り、背中の小さな翼がバタバタと動いている。まだ飛べるほどの大きさではないが、確かに地面から少し浮いているように見える瞬間がある。

「成長するにつれて、本当に飛べるようになるのかな」

悠真が呟くと、ミリアムは目を輝かせた。

「きっとそうなりますよ!この辺りの伝承によると、翼を持つ馬は古くから存在していて、特別な絆を結んだ人とだけ飛ぶんだそうです」

「特別な絆、か…」

悠真はウィンドを見つめながら考え込んだ。森の泉で出会った水の精霊も、この牧場に現れた翼を持つ仔馬も、どこか繋がりがあるように思える。

――――――

その夜、悠真は不思議な夢を見た。

広大な草原を駆けるウィンドの姿。成長した彼は立派な翼を広げ、空高く舞い上がっていく。その背には悠真自身が乗っていた。下界が小さく見える高さにのぼると、ウィンドは遠くの山脈へと向かっていく。

山々の間に広がる渓谷には、青白い光に満ちた湖が見える。その湖は、森で見つけた泉と同じような神秘的な輝きを放っていた。湖の岸辺には、様々な種類の動物たちが集まっていた。翼を持つものも、角を生やしたものも、普通の姿のものも。

そして湖の中央には、水面から身を乗り出した大きな存在がいた。全身が光に包まれ、はっきりとした姿は見えないが、水の精霊の姿に似ている。

「来たれ…」

低く響く声が悠真の心に直接語りかけてきた。

――――――

「うわっ!」

悠真は汗ばんだ体で目を覚ました。窓の外はまだ暗く、明け方前だと分かる。夢の内容が鮮明に脳裏に残っている。

「なんだったんだ、あれは…」

服を着替え、部屋を出ると、驚いたことに玄関先にウィンドが立っていた。明かりもない中、なぜそこにいるのか。仔馬は悠真を見ると、鼻を鳴らして前脚でゆっくりと地面を掘る仕草をした。

「お前も、何か感じてるのか?」

悠真がゆっくりと近づくと、ウィンドは首を伸ばして悠真の肩に鼻先を押し付けてきた。暖かい吐息が首筋に感じられる。

「よし、ちょっと散歩に行こうか」

悠真はウィンドの首筋を優しく撫でながら、牧場の外に出た。満月に照らされた風景は、日中とは違う神秘的な美しさを湛えている。

小道を歩いていると、ふと視界の端に青白い光が見えた。振り向くと、一瞬、森の方向に何かが光ったように思えた。

「あの方向は…前に泉を見つけた場所だ」

悠真は立ち止まり、ウィンドを見た。仔馬は目を輝かせ、森の方へ首を伸ばしている。決心した悠真は、ウィンドと共に森へ向かった。

――――――

月明かりに照らされた森の小道を進んでいくと、前回と同じ小川に出た。水面が月光を反射して銀色に輝いている。

「確かこの上流に…」

小川沿いに歩いていくと、見覚えのある小さな滝が現れた。前回訪れた時と変わらぬ姿だが、今夜は特別だった。滝壺全体が青白い光に包まれ、周囲の花々も幻想的に輝いている。

滝壺の前に立つと、水面がゆっくりと波打ち始めた。そして、水しぶきを上げながら、あの水の精霊が姿を現した。

「おまえは…」

精霊は悠真を見つめ、ゆっくりと頷いた。そして、滝壺の中央に浮かび上がり、頭上に何かを掲げた。それは小さな水晶のような物体だった。

「なにか伝えたいのか?」

精霊はもう一度頷き、水晶を悠真に差し出した。恐る恐る手を伸ばすと、水晶は光を放ち、悠真の手のひらに吸い込まれるように消えた。

「え?これは…」

その瞬間、頭の中に映像が流れ込んできた。遠い山々の間にある湖、その湖が枯れかけている様子、そしてその近くで苦しむ水の精霊たち。夢で見た場所と同じだ。

「水が…足りないのか?」

精霊は悠真の言葉に反応して激しく首を振った。違うらしい。そして、湖の水面に何かが落ちる映像が浮かんだ。黒い影のようなもの。それが水に触れると、湖全体が徐々に濁り始める。

「湖が汚されてる…?」

精霊は頷いた。そして最後に、翼を持つ馬が空を飛ぶ映像が浮かび、その背に乗った人間が湖に何かを投げ入れる姿が見えた。湖は再び輝きを取り戻す。

「俺とウィンドに…何かしてほしいってことか?」

精霊は嬉しそうに水面で跳ねた。どうやらそういうことらしい。

「でも、ウィンドはまだ小さいし、飛べないよ」

悠真がウィンドを見ると、仔馬は滝壺に近づき、水面に鼻先を浸した。すると、全身が淡い光に包まれ、背中の小さな翼がわずかに大きくなった気がする。

「これは…」

精霊は水面に沈み、再び浮上すると、別の小さな水晶を口にくわえていた。それをウィンドの前に落とすと、仔馬は迷わずそれを食べた。

「お、おい、大丈夫なのか?」

心配する悠真をよそに、ウィンドは元気に鼻を鳴らした。精霊は満足そうに頷き、最後に悠真を見つめると、滝壺の奥深くへと消えていった。

「何が起きたんだ…」

頭に浮かんだ映像と、ウィンドの変化。すべてが不思議で理解しがたいが、一つだけ確かなことがある。遠くの山々にある湖が危機に瀕しており、悠真たちに助けを求めているということだ。

――――――

牧場に戻ると、朝日がちょうど地平線から顔を出し始めていた。悠真がウィンドを牧舎に連れて行こうとしたとき、ミリアムが慌てた様子で近づいてきた。

「悠真さん!どこに行ってたんですか?心配しました!」

「ごめん、ちょっと森に行ってたんだ」

悠真は簡単に森での出来事を説明した。水の精霊との再会、湖の危機、そしてウィンドの変化について。

「それって…きっと『聖なる泉』のことですね!」

ミリアムは目を輝かせた。

「聖なる泉?」

「はい!この地方の古い言い伝えで、山々の奥にある神秘の湖のことです。水の精霊たちが守っていて、その水には様々な生き物を癒す力があるって」

ミリアムは興奮した様子で説明を続けた。

「でもだいぶ前から、その湖の話も聞かなくなったようです。魔物が増えて危険になったり、道が変わったりしたからかもしれません」

「そうか…精霊たちは、俺たちにその湖を助けてほしいんだな」

悠真はウィンドを見た。仔馬は朝日に照らされ、背中の翼が以前より少し大きくなっているように見える。

「でも、なぜ俺たちなんだろう?」

「きっと、悠真さんとウィンドちゃんには特別な力があるんですよ!」

ミリアムは確信に満ちた顔で言った。

「水の精霊が選んだんです。それに…」

彼女は少し声を落として続けた。

「翼を持つ馬は、伝説では『風の使い』と呼ばれているんです。空の道を知り、最も遠くまで行ける存在だって」

悠真は考え込んだ。夢の中で見た成長したウィンドの姿、そして空を飛ぶ感覚が鮮明に蘇る。

「でも、ウィンドはまだ仔馬だし…」

「大丈夫です!水晶を食べたってことは、きっと成長が早まるんですよ!」

ミリアムの言葉に、ウィンドが元気よく鼻を鳴らして同意するかのように首を振った。

「そうか…じゃあ、しばらくはウィンドの成長を見守りながら準備をするか」

悠真は空を見上げた。どこかの山々の向こうで、湖が彼らの助けを待っている。新たな冒険の予感に、胸が高鳴るのを感じた。

「よし、今日から特別な訓練を始めよう!ウィンド、よろしく頼むぞ」

悠真が手を差し出すと、ウィンドは嬉しそうに鼻先でその手に触れた。そこには確かな絆が生まれていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について

国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”  人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ
ファンタジー
社畜OL、水城愛璃(みずきあいり)は、女神のうっかりミスにより25歳の若さで死んだ。 お詫びとして女神が提案したのは、オッドアイの幼女ボディへの転生。 そうして幼女の姿で異世界転生を果たしたアイリだったが、 特異体質により『感情が高ぶると暴発する魔眼』が宿っていることが発覚! しかも両目!? それを封じるため、女神から与えられたユニークスキルは、『神のサングラス』。 このサングラスをかければ、魔眼の暴発を抑えられるらしいけど……常にグラサンかけてる幼女とか怪しすぎじゃない!? だけど、とある"激レア魔道具"があれば 、なんと魔眼を完治できるらしい。 ならばその魔道具を手に入れるため、異世界を巡るしかないっ! さらに旅の道すがら、もふもふフェンリルや忍者少女、特異スライムを仲間にし、珍道中はさらに加速していって――!! まったりのんびりをモットーに、たまに魔物や刺客に襲われちゃう。 【グラサン幼女】の破天荒な異世界旅が始まる! ※更新は不定期です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...