異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬

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第17話 リーフィアの歓迎会

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朝の光が牧場に降り注ぐ中、悠真は納屋の掃除を終えて一息ついていた。汗を拭いながら空を見上げると、雲一つない青空が広がっている。

「こんな日は何か特別なことをしてもいいかもな」

そう呟いた時、納屋の扉が開き、リーフィアが顔を覗かせた。銀色の髪が朝日に輝いている。

「悠真さん、朝の作業は終わりましたか?」

「ああ、ちょうど今終わったところだ。リーフィアも早いな」

リーフィアは少し照れたように微笑んだ。

「朝の水やりを済ませてきました。ハーブガーデンの植物たち、とても元気ですよ」

悠真はリーフィアの様子を見ながら、ふと考えを思いついた。彼女が牧場に来てからもう二週間になる。記憶は戻っていないが、すっかり牧場の一員として溶け込んでいた。

「そういえば、リーフィアの歓迎会をまだやってなかったな」

「歓迎会ですか?」

リーフィアは驚いた表情を浮かべた。

「ああ。と言っても大したことはできないけど。明日あたり、少し豪華な食事でもしようか。ミリアムも呼んでさ」

リーフィアの顔が明るく輝いた。

「素敵ですね!私も何か手伝わせてください」

「じゃあ、今日はアスターリーズまで買い出しに行こうか」

リーフィアは嬉しそうに頷いた。その姿を見ていると、悠真の心も温かくなる。リーフィアがこの牧場に来てから、何か不思議と活気が増したように感じていた。

――――――

アスターリーズの市場は人で賑わっていた。屋台が並び、新鮮な野菜や果物、肉や魚が所狭しと並べられている。

「わぁ、活気がありますね」

リーフィアは好奇心に満ちた目で周囲を見回していた。悠真は彼女の反応を見て微笑む。

「ここは地方では一番大きな市場だからな。だいたいのものは手に入る」

二人は食材を次々と買い込んでいった。新鮮な野菜、特製のチーズ、香ばしいパン。リーフィアは色とりどりのハーブにも目を輝かせた。

「これを使えば、素敵なお茶ができますよ」

「そうか、じゃあそれも買おう」

買い物を終え、二人が荷物を車に積み込んでいると、知った声が聞こえてきた。

「悠真さん!リーフィアさん!」

振り返ると、ミリアムが手を振って駆けてきた。緑のドレスに身を包み、明るい笑顔を浮かべている。

「おや、ミリアム。こんな所で会うとは」

「薬草の取引に来てたの。でも、二人ともどうしたの?こんなに買い物して」

悠真が事情を説明すると、ミリアムは目を輝かせた。

「歓迎会!素敵ね!私も何か持っていくわ。新しく作ったハーブケーキはどう?」

「それはぜひお願いしたいな」

話しているうちに、悠真の目に市場の隅にある古い書店が映った。

「ちょっと待っててくれ。何か面白いものがないか見てくる」

悠真が書店に入ると、棚には古びた本が並んでいた。彼は手にとった一冊の本に目が留まった。『世界の希少生物図鑑』というタイトルだ。

「リーフィアも喜ぶかもしれないな」

彼はその本を購入し、二人の待つ場所へ戻った。

――――――

歓迎会の日、牧場の小屋は温かな光に包まれていた。悠真は朝から料理の準備に取り掛かり、リーフィアはテーブルを美しく飾り付けている。

「リーフィア、このパイはどう思う?」

悠真が焼き上げたばかりのキノコパイをリーフィアに見せると、彼女は嬉しそうに笑った。

「とても美味しそうです!いい香りがしますね」

ドアがノックされ、ミリアムが入ってきた。手には大きなハーブケーキを持っている。

「こんにちは!約束のケーキを持ってきたわ!」

「おお、見事だな。ありがとう」

悠真がケーキを受け取り、テーブルに置くと、ミリアムはリーフィアの肩を抱いた。

「リーフィアさん、この牧場での生活はどう?」

「とても楽しいです。毎日新しい発見があって……」

リーフィアが話す間に、悠真は小屋の外の様子を窓から見た。ヘラクレスとベルが納屋の前で寝そべり、アクアとトレジャーは木の上で遊んでいる。サクラは草を食み、ウィンドは空を優雅に舞っていた。

「みんな平和だな」

悠真がそう呟いた時、ルナが小屋に入ってきた。黒猫は悠真の足元にすり寄り、「ニャー」と鳴いた。

「ああ、もうすぐ始めるよ」

悠真はルナを撫でながら言った。リーフィアとミリアムはその様子を見て微笑んだ。

「ルナちゃん、お腹すいたの?」

ルナは一度鳴き、それからテーブルの方へ歩いていった。

「さあ、そろそろ始めようか」

悠真の提案に二人は頷き、料理を並べ始めた。キノコパイ、焼き魚、新鮮なサラダ、そしてミリアムの特製ハーブケーキ。テーブルは美味しそうな料理で溢れた。

「では、乾杯!リーフィア、牧場へようこそ」

三人がグラスを掲げた瞬間、奇妙な出来事が起きた。小屋の扉がゆっくりと開き、一匹の赤い狐が姿を現したのだ。

「え?」

ミリアムが驚いた声を上げた。狐は警戒心を見せず、むしろ好奇心に満ちた目で三人を見つめている。その毛並みは朝日のように赤く、尻尾の先は炎のように白い。

「か、可愛い…」

リーフィアはその狐を見つめながら呟く。悠真はゆっくりとテーブルから離れ、狐に近づいた。

「おいで。怖くないよ」

狐は少し躊躇したが、悠真の手が近づくと、それに鼻を寄せた。

「まあ、なんて可愛い子!」

ミリアムは目を輝かせた。

「この子も牧場の新しい仲間ですね」

「ははっ、どうやら主役が二人になってしまったみたいだな」

狐は悠真の言葉を理解したかのように、尻尾を振った。そして、躊躇いなくテーブルの近くに座り、食事を見つめた。

「お腹が空いているのかな?」

リーフィアが小さな皿に焼き魚を載せ、狐の前に置いた。狐は礼儀正しくそれを食べ始めた。悠真は新しく来た狐を見ながら、アスターリーズで買った本を思い出した。彼はすぐに本を取り出し、ページをめくった。

「あった。『火狐』というらしい。炎の属性を持つ妖狐で、賢く忠誠心が強いとされているらしい」

「炎の属性……」

リーフィアは狐の尻尾の先を見つめた。確かに、白い部分は炎のように揺らめいているように見える。

「この子にも、名前をつけなきゃね」

ミリアムの言葉に、悠真は狐をしばらく見つめ、笑顔を向けた。

「フレア、どうだ?」

狐は嬉しそうに短く鳴き、尻尾を振った。

「気に入ったみたいですね」

「よし、じゃあこれからはフレアだ。リーフィアと一緒に歓迎会だ」

悠真はグラスを上げ直した。

「リーフィアとフレア、牧場へようこそ!」

三人の声が小屋に響き、動物たちも嬉しそうに鳴いた。テーブルの上では、ルナとフレアが並んで座り、お互いを観察している。二匹は初めて会ったとは思えないほど、すぐに打ち解けた様子だった。

「不思議な縁ですね」

リーフィアの言葉に悠真は頷いた。窓の外では、夕日が美しく沈みかけていた。牧場に新たな仲間を迎え、家族のような絆はさらに強くなっていくのだった。

「さあ、みんなで食べよう。料理が冷めちゃうよ」

悠真の言葉に、全員が笑顔で食事を始めた。フレアも含めた新しい家族での、温かな時間が流れていった。
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