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第172話
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病院の部屋、二人の希望通り俺は最初の遭遇から今までの事を話した。内容の都合上ドクトルやルシエにも同席してもらった。
「今の話は全て真実です。魔王国第一王女として保証します」
二人は複雑そうな顔をしていたがまぁしょうがないかな。
「こんなの私達ただの道化じゃない……」
「方針が違うから一つになれないし争ってるんだ。実際利用されていたのだろうことは否定できないだろうけどね」
正直現状も彼女達にとってはキツイとは思う。なにせ今までの敵に囲まれてるし怪我してる子の方は多分俺がトラウマだろうしね。ちなみに何人殺したかは覚えてない、気にすらしてなかったし。
「貴女達の友人が亡くなって悲しいのはわかりますけど我々の同胞も沢山亡くなっているのです。それだけはご理解してください」
そして帝国側がその連鎖を止めるために動いたお姫様の邪魔をしたと……それくらいは理解してくれるといいけどどうだろ?
「それは、わかってます……」
「二人とそのお友達が経験値だモンスターだと言って倒してた一人一人に家族が居て守るべき大切なモノがあったんだよ。君らも帰りたいとか目的があったのも知ってるつもりだけど」
「はい……」
ちょっと追撃したら声を出さなくなっちゃった……
「まぁ、俺は最初介入するつもりは無かったんだけどね、交流があったドクトルとの縁もあったし魔王国を助ける形にはなってるけど」
「それならもし、私達が最初から貴方と友好的に接してたら協力してくてたってことですか?」
「絶対しない」
俺のきっぱりとした即答にギョッとしてたけど。アズハの件といいワイバーンにルーフェ襲来、その他もろもろ当然協力する筋合いは無い!! まぁ助言位はしてもいいかな?
「話してないけどここに来てからいろいろと悪縁があってね。今の状況は必然と言えば必然だよ」
何があったか知っているルシエは笑っているが二人はすっごく不安そうな顔してる。
「気になるなら皆に聞いてみるといい、昔から居る家族は皆知ってるしね」
もしこのままここに居座るなら仲良くなる切っ掛けになるだろうし……なるかな?
「とりあえず話はこんなもんかな?」
「はい、ありがとうございます」
「もう勇者じゃないんだしこれからの事は二人で考えな。好きにするといい、じゃあね」
こうして俺達は部屋を後にした。二人でゆっくり考える時間は必要だしね。
「で、ドクトル。話があるんでしょ?」
次はドクトルの部屋で会議だ。正直こっちが本命だったりする。
「はい、ヴリトラ様。お時間作っていただきありがとうございます」
「前置きはいいよ」
「では早速。近々最終決戦を仕掛けます」
ちょっとビックリ、今まで地球の兵器に苦戦してうだうだやっていたのに突然動いた。
「この前の王子様に何か?」
「いえ、王子殿下はヴリトラ様のお陰で無事ですし今はもう動ける位に回復しています」
「じゃあ別の理由が?」
「はい、あの勇者の少女から聞いた話を元に推測ですが……おそらく彼らは帝国の最終兵器ではございません」
「ほう……」
「おそらくなにかをやるための生贄なんだと思われます」
意外な答えが返ってきた。流石に異世界召喚で呼び寄せた勇者を生贄にするとか聞いた事なかったし。
「勇者を生贄ねぇ……」
「異世界から呼び寄せた強者はこの世界の者では得られない特別な力の他に膨大な生命力、魔力を持ち存在自体が本来許されないほどの方々なのです。そしてそれは死した肉体、魂だけですらも価値は想像できない程に」
正直俺もその許されない存在の一人なんだけど……黙っておこう。
「それを触媒になにかやらかすと?」
「はい、その前にどうにか潰さなければ。国が亡ぶほどの何かが起きると予想されます」
「あの帝国だからなぁ……何やってもおかしくないわな」
「はい……」
あの馬鹿帝国なら何をやらかしてもおかしくない、被害者の俺が保証する。
「今回、魔王様が直接前線に行き勇者を含め一掃いたします」
「あの結界はどうするんだ?」
「魔王様ならあの結界を無視した地脈魔法など大規模魔法の発動ができる事は確認済みです」
何か知らない単語が出てきた……後でウンディーネあたりに聞いておこう。
「で、俺にも参加してくれって感じ?」
流れ的に協力要請かな? と思ったけど違うみたいだった。
「いえ、ヴリトラ殿は我が国には関係ないお方。もちろん協力していただけるならそれほど頼もしいことはございませんが……最悪、魔王様達に何かあっても姫様達が無事ならもう一度立ち上がることができるでしょう。なのでどうか姫様達と重傷のモルテナを何としてもお守りしていただきたいのです」
なるほど、たとえ自分達がダメでもルシエ達が居ればもう一度魔王国として復興を目指せるということらしい。
「それに関しては安心して欲しい。ルシエ達はもう家族だし絶対に守ると保証する俺の全力にかけてね」
「ありがとうございます……それでは私は国へ戻ります」
「ドクトル、お前も全快じゃないだろ?」
むしろまだ戦える状態じゃないだろ……松葉杖も必要だろうし。
「私は四天王です。魔王様が最前線に行くというのに黙っているわけにはいかないのです」
そう言うとドクトルは笑ってみせる。これは止められないな……誇りとかそういうやつもあるだろうがこういう男だからこそ四天王として信頼されているんだろう。
「そっか、無事の帰還を祈ってるよ」
「ヴリトラ殿、改めて感謝を……そしてどうか姫様達をお願いいたします」
そう言うとお辞儀をして転移魔法でドクトルは飛んでいったのだった。
「さてと、盗み聞きは感心しないぞ?」
俺がそう言うとドアを開けてホノカが入ってきた。
「ホノカさん、いらしてたんですね……」
「はい、ごめんなさい……」
申し訳なさそうに彼女は縮こまっていた。しかし俺に向き直り真剣な視線を送る。
「タカトさん……お願いがあります!」
俺は黙って促す。
「私を戦場に連れて行ってください!」
「なぜ? 今の話を聞いてなお魔王軍ともう一度戦うのか? お前はもう勇者ではないんだぞ?」
「違う! 私は友達を止めたいの!」
その目は真剣だし本気なのは伝わってくる。
「偽善じゃなにも救えないぞ? それに今のお前は殺せるのか?」
あえてなにをとは言わなかった、意味は伝わるかな?
「わからない……でも私は止めて見せる! 皆を生贄になんてさせたくない」
「策は考えているのか?」
「要は帝国の道具にされないよう全員を説得、無理なら無力かして連れ出します」
「一人でできると?」
「やります!」
「期待してるなら悪いが流石に馬鹿共全員を受け入れるつもりは無いぞ?」
正直高校生とかめんどくさすぎる。ホノカはまだ話ができる子だったから助けたが全員とかお断りだ。
「そうしたら、皆で旅をしながら考えます……」
ブレないらしい。
「はぁ……ついてきな」
俺はため息を吐きつつホノカとルシエを連れてある場所へ向かった。ちなみにルシエは無言のままついて来ている、思うことはあるだろうけど言わないでいてくれているみたいだ。
「クーネリア、今大丈夫か?」
俺達はクーネリアの工房へとやってきた。ここでは服などの布製品や皮の加工をメインクーネリアを筆頭に蜘蛛達とそういうのに興味があるメンツが作業をしている。
「おや主様、っと勇者の娘さん……ってことは例の件だね」
「あぁ、たのむ」
俺とクーネリアのやり取りにキョトンとするホノカだったが次の瞬間クーネリアに手を掴まれる。
「えっ!?」
「じゃあさっそく、こっちおいで!」
「ちょっ!? えっ!? あぁぁぁぁ~」
あっという間に工房の奥へと引きずり込まれていった。
「あの、ヴリトラ様?」
ルシエも驚いていた。
「正直、あの子は真面目だし正義感も強かったからこうなるんだろうなとは思ってたんだよね」
「そう、ですか」
ルシエは少し笑っていた気がする。何に対してかは……まぁいっか、今回、俺の行動が甘いのは認めておこう。
「あの……これは?」
しばらくして新たな衣装を身に纏ったホノカがクーネリアに連れてこられた。
「娘の着ていたせーらー服といったか? あれを参考に機動性と防御力を両立させて素材を厳選して作った特別製じゃ! 我ながら最高傑作と言ってもいいじゃろ!」
実際クーネリアは未知のデザインに超興奮してたしインスピレーションも大爆発していた。そういう意味では無駄ではないし作ったからには使わないともったいないだろうしね。
「こんないい装備……私お金は……」
「お前の体型にあわせて作ってるしやるよ、俺はそういうのいらないし」
最初は暇つぶしだったけどセーラー服をベースに侍甲冑の要素を織り交ぜたまさにファンタジーという改造を設計させてもらった。体の動きを邪魔しないようクーネリアが工夫してくれてるし耐久もたぶん帝国製の物より桁違いの性能だろう。
「後はこれじゃ、ガンプ達から預かっとる」
クーネリアが一振りの刀をホノカへ差し出す。
「これは……」
ホノカはそれを受け取り、鞘から抜き放ち驚いていた。綺麗な黒銀の刀身は若干緑色に光るとてつもなく美しい物だったからだ。
「竜星丸・弐式疾風だってさ」
前に落ちてきた隕石と俺の鱗を使った特殊金属で打った最高級の刀で彼女の属性に合わせて風の魔石を混ぜているらしい。ちなみに弐式なのは最初の一本が隕石の加工が上手くいかず失敗したかららしい。これまた彼らの試行錯誤の末の最高傑作だ。
「うちからの餞別だよ。それでやってみな、自分の意思を貫けるかどうかね」
「すごい……本当に、ありがとうございます!!」
ホノカは深々とお辞儀をした。
「アニメやゲームもだけど、勇者や英雄ってのは他人には想像できない何かを背負っているもんだし。遊び感覚なんて許されない、君がそれを成し遂げられるかどうか頑張ってみな」
彼女はなにかハッとしてたけど、なにかはわからない。これだけやってあげたのだから後は自分でどうにかしてみせろ、仮にも勇者だったのだからね。ちなみにルシエやクーネリアはアニメという謎の単語を不思議そうにしていた。ちょっと不用意だった……
「それじゃあ練習場で最終確認しておいで」
「はい、本当にありがとうございます!!」
ホノカはそう言うと走っていくのだった。
「ヴリトラ様……」
「わかってるよ」
ルシエの頭を撫でながら俺はそう返す。彼女の願いは最初からわかってるし、こうなることもなんとなくわかっていた……
「後はなるようになる、神すら結果はわからないだろうけどね」
「はい……」
その数日後、魔王国と帝国の最終決戦の幕があがるのだった。
「今の話は全て真実です。魔王国第一王女として保証します」
二人は複雑そうな顔をしていたがまぁしょうがないかな。
「こんなの私達ただの道化じゃない……」
「方針が違うから一つになれないし争ってるんだ。実際利用されていたのだろうことは否定できないだろうけどね」
正直現状も彼女達にとってはキツイとは思う。なにせ今までの敵に囲まれてるし怪我してる子の方は多分俺がトラウマだろうしね。ちなみに何人殺したかは覚えてない、気にすらしてなかったし。
「貴女達の友人が亡くなって悲しいのはわかりますけど我々の同胞も沢山亡くなっているのです。それだけはご理解してください」
そして帝国側がその連鎖を止めるために動いたお姫様の邪魔をしたと……それくらいは理解してくれるといいけどどうだろ?
「それは、わかってます……」
「二人とそのお友達が経験値だモンスターだと言って倒してた一人一人に家族が居て守るべき大切なモノがあったんだよ。君らも帰りたいとか目的があったのも知ってるつもりだけど」
「はい……」
ちょっと追撃したら声を出さなくなっちゃった……
「まぁ、俺は最初介入するつもりは無かったんだけどね、交流があったドクトルとの縁もあったし魔王国を助ける形にはなってるけど」
「それならもし、私達が最初から貴方と友好的に接してたら協力してくてたってことですか?」
「絶対しない」
俺のきっぱりとした即答にギョッとしてたけど。アズハの件といいワイバーンにルーフェ襲来、その他もろもろ当然協力する筋合いは無い!! まぁ助言位はしてもいいかな?
「話してないけどここに来てからいろいろと悪縁があってね。今の状況は必然と言えば必然だよ」
何があったか知っているルシエは笑っているが二人はすっごく不安そうな顔してる。
「気になるなら皆に聞いてみるといい、昔から居る家族は皆知ってるしね」
もしこのままここに居座るなら仲良くなる切っ掛けになるだろうし……なるかな?
「とりあえず話はこんなもんかな?」
「はい、ありがとうございます」
「もう勇者じゃないんだしこれからの事は二人で考えな。好きにするといい、じゃあね」
こうして俺達は部屋を後にした。二人でゆっくり考える時間は必要だしね。
「で、ドクトル。話があるんでしょ?」
次はドクトルの部屋で会議だ。正直こっちが本命だったりする。
「はい、ヴリトラ様。お時間作っていただきありがとうございます」
「前置きはいいよ」
「では早速。近々最終決戦を仕掛けます」
ちょっとビックリ、今まで地球の兵器に苦戦してうだうだやっていたのに突然動いた。
「この前の王子様に何か?」
「いえ、王子殿下はヴリトラ様のお陰で無事ですし今はもう動ける位に回復しています」
「じゃあ別の理由が?」
「はい、あの勇者の少女から聞いた話を元に推測ですが……おそらく彼らは帝国の最終兵器ではございません」
「ほう……」
「おそらくなにかをやるための生贄なんだと思われます」
意外な答えが返ってきた。流石に異世界召喚で呼び寄せた勇者を生贄にするとか聞いた事なかったし。
「勇者を生贄ねぇ……」
「異世界から呼び寄せた強者はこの世界の者では得られない特別な力の他に膨大な生命力、魔力を持ち存在自体が本来許されないほどの方々なのです。そしてそれは死した肉体、魂だけですらも価値は想像できない程に」
正直俺もその許されない存在の一人なんだけど……黙っておこう。
「それを触媒になにかやらかすと?」
「はい、その前にどうにか潰さなければ。国が亡ぶほどの何かが起きると予想されます」
「あの帝国だからなぁ……何やってもおかしくないわな」
「はい……」
あの馬鹿帝国なら何をやらかしてもおかしくない、被害者の俺が保証する。
「今回、魔王様が直接前線に行き勇者を含め一掃いたします」
「あの結界はどうするんだ?」
「魔王様ならあの結界を無視した地脈魔法など大規模魔法の発動ができる事は確認済みです」
何か知らない単語が出てきた……後でウンディーネあたりに聞いておこう。
「で、俺にも参加してくれって感じ?」
流れ的に協力要請かな? と思ったけど違うみたいだった。
「いえ、ヴリトラ殿は我が国には関係ないお方。もちろん協力していただけるならそれほど頼もしいことはございませんが……最悪、魔王様達に何かあっても姫様達が無事ならもう一度立ち上がることができるでしょう。なのでどうか姫様達と重傷のモルテナを何としてもお守りしていただきたいのです」
なるほど、たとえ自分達がダメでもルシエ達が居ればもう一度魔王国として復興を目指せるということらしい。
「それに関しては安心して欲しい。ルシエ達はもう家族だし絶対に守ると保証する俺の全力にかけてね」
「ありがとうございます……それでは私は国へ戻ります」
「ドクトル、お前も全快じゃないだろ?」
むしろまだ戦える状態じゃないだろ……松葉杖も必要だろうし。
「私は四天王です。魔王様が最前線に行くというのに黙っているわけにはいかないのです」
そう言うとドクトルは笑ってみせる。これは止められないな……誇りとかそういうやつもあるだろうがこういう男だからこそ四天王として信頼されているんだろう。
「そっか、無事の帰還を祈ってるよ」
「ヴリトラ殿、改めて感謝を……そしてどうか姫様達をお願いいたします」
そう言うとお辞儀をして転移魔法でドクトルは飛んでいったのだった。
「さてと、盗み聞きは感心しないぞ?」
俺がそう言うとドアを開けてホノカが入ってきた。
「ホノカさん、いらしてたんですね……」
「はい、ごめんなさい……」
申し訳なさそうに彼女は縮こまっていた。しかし俺に向き直り真剣な視線を送る。
「タカトさん……お願いがあります!」
俺は黙って促す。
「私を戦場に連れて行ってください!」
「なぜ? 今の話を聞いてなお魔王軍ともう一度戦うのか? お前はもう勇者ではないんだぞ?」
「違う! 私は友達を止めたいの!」
その目は真剣だし本気なのは伝わってくる。
「偽善じゃなにも救えないぞ? それに今のお前は殺せるのか?」
あえてなにをとは言わなかった、意味は伝わるかな?
「わからない……でも私は止めて見せる! 皆を生贄になんてさせたくない」
「策は考えているのか?」
「要は帝国の道具にされないよう全員を説得、無理なら無力かして連れ出します」
「一人でできると?」
「やります!」
「期待してるなら悪いが流石に馬鹿共全員を受け入れるつもりは無いぞ?」
正直高校生とかめんどくさすぎる。ホノカはまだ話ができる子だったから助けたが全員とかお断りだ。
「そうしたら、皆で旅をしながら考えます……」
ブレないらしい。
「はぁ……ついてきな」
俺はため息を吐きつつホノカとルシエを連れてある場所へ向かった。ちなみにルシエは無言のままついて来ている、思うことはあるだろうけど言わないでいてくれているみたいだ。
「クーネリア、今大丈夫か?」
俺達はクーネリアの工房へとやってきた。ここでは服などの布製品や皮の加工をメインクーネリアを筆頭に蜘蛛達とそういうのに興味があるメンツが作業をしている。
「おや主様、っと勇者の娘さん……ってことは例の件だね」
「あぁ、たのむ」
俺とクーネリアのやり取りにキョトンとするホノカだったが次の瞬間クーネリアに手を掴まれる。
「えっ!?」
「じゃあさっそく、こっちおいで!」
「ちょっ!? えっ!? あぁぁぁぁ~」
あっという間に工房の奥へと引きずり込まれていった。
「あの、ヴリトラ様?」
ルシエも驚いていた。
「正直、あの子は真面目だし正義感も強かったからこうなるんだろうなとは思ってたんだよね」
「そう、ですか」
ルシエは少し笑っていた気がする。何に対してかは……まぁいっか、今回、俺の行動が甘いのは認めておこう。
「あの……これは?」
しばらくして新たな衣装を身に纏ったホノカがクーネリアに連れてこられた。
「娘の着ていたせーらー服といったか? あれを参考に機動性と防御力を両立させて素材を厳選して作った特別製じゃ! 我ながら最高傑作と言ってもいいじゃろ!」
実際クーネリアは未知のデザインに超興奮してたしインスピレーションも大爆発していた。そういう意味では無駄ではないし作ったからには使わないともったいないだろうしね。
「こんないい装備……私お金は……」
「お前の体型にあわせて作ってるしやるよ、俺はそういうのいらないし」
最初は暇つぶしだったけどセーラー服をベースに侍甲冑の要素を織り交ぜたまさにファンタジーという改造を設計させてもらった。体の動きを邪魔しないようクーネリアが工夫してくれてるし耐久もたぶん帝国製の物より桁違いの性能だろう。
「後はこれじゃ、ガンプ達から預かっとる」
クーネリアが一振りの刀をホノカへ差し出す。
「これは……」
ホノカはそれを受け取り、鞘から抜き放ち驚いていた。綺麗な黒銀の刀身は若干緑色に光るとてつもなく美しい物だったからだ。
「竜星丸・弐式疾風だってさ」
前に落ちてきた隕石と俺の鱗を使った特殊金属で打った最高級の刀で彼女の属性に合わせて風の魔石を混ぜているらしい。ちなみに弐式なのは最初の一本が隕石の加工が上手くいかず失敗したかららしい。これまた彼らの試行錯誤の末の最高傑作だ。
「うちからの餞別だよ。それでやってみな、自分の意思を貫けるかどうかね」
「すごい……本当に、ありがとうございます!!」
ホノカは深々とお辞儀をした。
「アニメやゲームもだけど、勇者や英雄ってのは他人には想像できない何かを背負っているもんだし。遊び感覚なんて許されない、君がそれを成し遂げられるかどうか頑張ってみな」
彼女はなにかハッとしてたけど、なにかはわからない。これだけやってあげたのだから後は自分でどうにかしてみせろ、仮にも勇者だったのだからね。ちなみにルシエやクーネリアはアニメという謎の単語を不思議そうにしていた。ちょっと不用意だった……
「それじゃあ練習場で最終確認しておいで」
「はい、本当にありがとうございます!!」
ホノカはそう言うと走っていくのだった。
「ヴリトラ様……」
「わかってるよ」
ルシエの頭を撫でながら俺はそう返す。彼女の願いは最初からわかってるし、こうなることもなんとなくわかっていた……
「後はなるようになる、神すら結果はわからないだろうけどね」
「はい……」
その数日後、魔王国と帝国の最終決戦の幕があがるのだった。
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