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第47話 王国の事情
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キングバイ王国で、王と謁見する。
俺とイングリドとギスカが並んでいる様子をみて、白髪白髯の堂々たる偉丈夫、エイリーク六世は深く頷いた。
「あれほどの事件を、誰が解決してくれたかと思えば、そなたか、オーギュスト! なるほど、納得だ」
豪快に笑う。
「ご縁がありましてね。冒険者になり、伝手を得たアキンドー商会より仕事を賜り、こうして陛下の御前に再び罷り越した次第です」
仰々しく礼をすると、エイリーク六世は笑った顔のまま、よせよせ、と手付きで示す。
「芝居がかったそなたの所作は、懐かしいが、余の宮廷のマナーではない。キングバイ王国は海賊の王国ぞ? そんな鯱張った礼儀など捨て置け! 余とそなたの仲でもあろう!」
「陛下直々のお言葉とあらば」
俺は立ち上がる。
エイリーク六世とは、彼がまだ王子で会った頃からの付き合い。
その頃、エミル王子とキルステンは子どもだったわけだ。
その当時から、エイリーク六世は武勇で鳴らす王子だった。
幾人もの兄弟がおり、彼らと腕くらべを行い、圧倒的な力で勝利した彼が王位についた。
キングバイ王家は、力の法則で動いているのである。
力の強さで王を決めたら、これはこれで問題が起きそうではある。
この点については大丈夫。
王家に生まれた子どもたちは、それぞれ家庭教師がついて猛勉強するのだ。
他国から臨時講師が雇われる場合もある。
俺の場合はそれだ。
エミル王子の臨時講師をやった。
そしてこの勉強でそれなりの成績を修められない子どもは排除される。
王位継承権を失うのだ。
結局、残るのは、力と頭脳を兼ね備えたエリートだけになる。
そのエリート同士の戦いを勝ち抜いたのが、エイリーク六世なのだ。
俺が彼と、積もる話をしていると、ギスカがイングリドに何やら囁いている。
聞き耳スキルを使ってみる。
「なんだか、パーティに入っていきなり王様のところに来るとか、とんでもないことになってるんだけど……。そもそもあたい、今回の仕事だと船酔いしただけでなんにもしてないよ?」
「大丈夫だ。もらえるものはもらっておけばいい。ギスカが死んでないだけで私は嬉しいからな!」
「基準があまりにも大雑把じゃないかい……!?」
そんなものだ。
エイリーク王との話は延々と続いたので、二人は食事に行ってもらった。
海の幸たっぷりのキングバイ料理を楽しんだようだ。
さて、ここでエイリーク王との話をして、キングバイ王国の現状を確認した。
戦争をする余力は、あまりない。
これはどこの国でも一緒だ。
小規模な小競り合いはしても、国と国をぶつけ合う戦争をするなんて正気の沙汰ではない。
この正気を取り払うのが、国の威信を賭けた戦いになる。
マールイ王国の外交官は事もあろうに、公式の場でキングバイ王国を侮辱したのだそうだ。
「野蛮な海賊の子孫」とか。
本人たちが誇りを込めて海賊の子孫と自称するのは良い。
他人から海賊の子と呼ばれるのは、許されない。
そういうものだ。
かくして、キングバイ王国は全面戦争の態勢に入った。
マールイ王国が平謝りした上で、多額の賠償金を払わなければ引っ込みがつくまい。
あーあ。
マールイ王国は本当にひどいことになっている。
今までは本当に大丈夫か? という気持ちだったが、これはもう駄目だろう。
俺がいなくなって、ほんの数ヶ月でここまで転落していくとは。
あの国は終わってしまうかも知れない。
それはそれで寂しいものがある。
俺の人生の百年という、短からぬ時間を費やした場所だからだ。
戦乱に明け暮れ、人も資源も何もかも失い、崩壊寸前だったかの国を、キュータイ一世という少年が受け継いだ。
彼は一人の道化師と知り合い、それを一の腹心としたのである。
彼とともに再生させてきたマールイ王国も、これで終わりだ。
キュータイ一世陛下、魂がどこかにまだあるならば、悲しむだろうか。
いやいや、流石にこの現状を見たら、まあ仕方ないと諦めることだろう。
俺たちはキングバイ王国から、それなりに大量の報酬をもらった。
当分の間、仕事をしなくて済むくらいの金額だ。
つつましく暮せば、十年は持つな……。
「これでまた鉱石がじゃらじゃら買えるねえ! 本当についてきて良かったよ!」
ギスカがニコニコしている。
いかん、彼女は速攻で使い切るぞ。
これはまた、新しい仕事を探さねばなるまい。
さあ、そのために帰還だと、帰りの船を用意してもらう段になって、イングリドがとんでもないことを言い出した。
「せっかく海に来たんだ。泳ごう! キングバイ王国には、水着というものがあるらしいぞ! 濡れても大丈夫な布で作られた特別なもので、これを纏って泳ぐそうだ!」
「知っているよ。だが、高いぞ……。金持ちの道楽の品だからね」
「お金ならあるじゃないか」
きょとんとするイングリドなのだった。
王女様はお金の重みを知らない……!
こうして、イングリドは水着を買った。
白い肌の彼女によく似合う、白と黒の水着だ。
胸の谷間や脇腹があらわになっており、正面で白黒の布がクロスして複雑な形を描き、辛うじて見えては行けない部分を上下で覆っている。
「動きやすくていいな!」
「うーん、やはり恥じらいというものを知らない」
「……イングリド、いつもこうなのかい? あ、あたいは泳がないよ? 水に浸かったら沈むからね。塩水なんざ、錆びちまう……」
王族が使うという砂浜を貸し切りにして、イングリドは遊ぶ。
そこに、彼女に懐いたオルカもやって来て、傍目にはとても楽しそうな光景が展開しているのだった。
俺とイングリドとギスカが並んでいる様子をみて、白髪白髯の堂々たる偉丈夫、エイリーク六世は深く頷いた。
「あれほどの事件を、誰が解決してくれたかと思えば、そなたか、オーギュスト! なるほど、納得だ」
豪快に笑う。
「ご縁がありましてね。冒険者になり、伝手を得たアキンドー商会より仕事を賜り、こうして陛下の御前に再び罷り越した次第です」
仰々しく礼をすると、エイリーク六世は笑った顔のまま、よせよせ、と手付きで示す。
「芝居がかったそなたの所作は、懐かしいが、余の宮廷のマナーではない。キングバイ王国は海賊の王国ぞ? そんな鯱張った礼儀など捨て置け! 余とそなたの仲でもあろう!」
「陛下直々のお言葉とあらば」
俺は立ち上がる。
エイリーク六世とは、彼がまだ王子で会った頃からの付き合い。
その頃、エミル王子とキルステンは子どもだったわけだ。
その当時から、エイリーク六世は武勇で鳴らす王子だった。
幾人もの兄弟がおり、彼らと腕くらべを行い、圧倒的な力で勝利した彼が王位についた。
キングバイ王家は、力の法則で動いているのである。
力の強さで王を決めたら、これはこれで問題が起きそうではある。
この点については大丈夫。
王家に生まれた子どもたちは、それぞれ家庭教師がついて猛勉強するのだ。
他国から臨時講師が雇われる場合もある。
俺の場合はそれだ。
エミル王子の臨時講師をやった。
そしてこの勉強でそれなりの成績を修められない子どもは排除される。
王位継承権を失うのだ。
結局、残るのは、力と頭脳を兼ね備えたエリートだけになる。
そのエリート同士の戦いを勝ち抜いたのが、エイリーク六世なのだ。
俺が彼と、積もる話をしていると、ギスカがイングリドに何やら囁いている。
聞き耳スキルを使ってみる。
「なんだか、パーティに入っていきなり王様のところに来るとか、とんでもないことになってるんだけど……。そもそもあたい、今回の仕事だと船酔いしただけでなんにもしてないよ?」
「大丈夫だ。もらえるものはもらっておけばいい。ギスカが死んでないだけで私は嬉しいからな!」
「基準があまりにも大雑把じゃないかい……!?」
そんなものだ。
エイリーク王との話は延々と続いたので、二人は食事に行ってもらった。
海の幸たっぷりのキングバイ料理を楽しんだようだ。
さて、ここでエイリーク王との話をして、キングバイ王国の現状を確認した。
戦争をする余力は、あまりない。
これはどこの国でも一緒だ。
小規模な小競り合いはしても、国と国をぶつけ合う戦争をするなんて正気の沙汰ではない。
この正気を取り払うのが、国の威信を賭けた戦いになる。
マールイ王国の外交官は事もあろうに、公式の場でキングバイ王国を侮辱したのだそうだ。
「野蛮な海賊の子孫」とか。
本人たちが誇りを込めて海賊の子孫と自称するのは良い。
他人から海賊の子と呼ばれるのは、許されない。
そういうものだ。
かくして、キングバイ王国は全面戦争の態勢に入った。
マールイ王国が平謝りした上で、多額の賠償金を払わなければ引っ込みがつくまい。
あーあ。
マールイ王国は本当にひどいことになっている。
今までは本当に大丈夫か? という気持ちだったが、これはもう駄目だろう。
俺がいなくなって、ほんの数ヶ月でここまで転落していくとは。
あの国は終わってしまうかも知れない。
それはそれで寂しいものがある。
俺の人生の百年という、短からぬ時間を費やした場所だからだ。
戦乱に明け暮れ、人も資源も何もかも失い、崩壊寸前だったかの国を、キュータイ一世という少年が受け継いだ。
彼は一人の道化師と知り合い、それを一の腹心としたのである。
彼とともに再生させてきたマールイ王国も、これで終わりだ。
キュータイ一世陛下、魂がどこかにまだあるならば、悲しむだろうか。
いやいや、流石にこの現状を見たら、まあ仕方ないと諦めることだろう。
俺たちはキングバイ王国から、それなりに大量の報酬をもらった。
当分の間、仕事をしなくて済むくらいの金額だ。
つつましく暮せば、十年は持つな……。
「これでまた鉱石がじゃらじゃら買えるねえ! 本当についてきて良かったよ!」
ギスカがニコニコしている。
いかん、彼女は速攻で使い切るぞ。
これはまた、新しい仕事を探さねばなるまい。
さあ、そのために帰還だと、帰りの船を用意してもらう段になって、イングリドがとんでもないことを言い出した。
「せっかく海に来たんだ。泳ごう! キングバイ王国には、水着というものがあるらしいぞ! 濡れても大丈夫な布で作られた特別なもので、これを纏って泳ぐそうだ!」
「知っているよ。だが、高いぞ……。金持ちの道楽の品だからね」
「お金ならあるじゃないか」
きょとんとするイングリドなのだった。
王女様はお金の重みを知らない……!
こうして、イングリドは水着を買った。
白い肌の彼女によく似合う、白と黒の水着だ。
胸の谷間や脇腹があらわになっており、正面で白黒の布がクロスして複雑な形を描き、辛うじて見えては行けない部分を上下で覆っている。
「動きやすくていいな!」
「うーん、やはり恥じらいというものを知らない」
「……イングリド、いつもこうなのかい? あ、あたいは泳がないよ? 水に浸かったら沈むからね。塩水なんざ、錆びちまう……」
王族が使うという砂浜を貸し切りにして、イングリドは遊ぶ。
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