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第一部:都市国家アドポリスの冒険 4
幕間 Sランクパーティ、空中分解する
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「はぁ、はぁ……」
「待って! 置いていかないで!」
逃げているのは、かつてショーナウン・ウインドだった、盗賊とヒーラーだ。
彼らは追われていた。
『待て……待て、裏切り者ども……!!』
背後からは、ガシャン、ガシャン、と金属が擦れる音が響く。
何者かが追ってきているのだ。
ここは冒険者の街、アドポリス。
そろそろ日が暮れ、辺りが暗闇になるころ。
黄昏時というやつだ。
普段なら家路を急ぐ人々で賑わう大通り。
だが、今は人っ子一人いない。
盗賊とヒーラーの足音。
そして追ってくる金属の音だけが響き渡る。
「許して、許してくれショーナウン! お前についていったら終わっちまうんだ! 駄目だったんだよ! 俺達じゃ、Sランク冒険者としてはやってけなかったんだ!」
『裏切り者め……裏切り者め……』
「ひいっ、ごめんなさい! 戻るから! パーティに戻るから!」
ヒーラーの懇願が聞こえる。
『パーティは……終わりだ。お前達が裏切ったせいだ……! いや、何もかも、あいつだ。オースが悪い……』
「そ、そうだよね! オースが悪いよね! だから私は見逃して、お願い見逃し……ぎゃあっ」
ヒーラーの叫び声が上がり、すぐに途切れた。
盗賊は真っ青になり、必死に走る。
ヒーラーの足音はもうしない。
殺された。
ショーナウンに殺されたのだ。
なんでこうなった!?
こんな理不尽な状況に、どうしてなった!?
盗賊は何も理解できないまま、無人の街を走る。
オースに謝ると言ってパーティを抜けたが、結局会うことはできなかった。
各地で発生している、呪いのモンスター依頼を請け負って旅立ったのだという。
それならば待たせてもらうかと、ゆっくりしたのが間違いだった。
自分達もオースの後を追うべきだったのだ。
「くそっ、くそっ、くそっ! 助けてくれ! 誰か、助けてくれ!!」
叫んでも、誰も応えてはくれない。
この街には、自分とヒーラーとショーナウン以外、誰もいないのだ。
ここは、魔法の結界に包まれていた。
『追いついたぞ』
すぐ後ろで声がした。
「ぎゃ、ぎゃあああああああ!! や、やめてくれショーナウン! 俺とお前の仲じゃないか! 俺はお前の最初の仲間で、Eランクの頃から一緒に……」
『お前は俺を裏切った。裏切り者め、裏切り者め……!!』
ショーナウンの声がくぐもって聞こえる。
盗賊の視界の端に、真っ黒な鎧兜に身を包んだショーナウンの姿が見えた。
兜の奥で、赤く目が輝いている。
ショーナウンは変わってしまった。
化け物になってしまったのだ。
それを実感する。
「頼む……頼む、助けてくれ。俺が悪かった。俺が……」
『裏切り者は……死ね……!!』
剣が振り上げられ、振り下ろされた。
「ぎゃあーっ!!」
盗賊の絶叫が響き渡る。
そしてすぐに途切れた。
ショーナウンは血に濡れた剣をだらりと下げ、棒立ちになった。
『裏切り者は……死んだ。だが、まだ裏切り者はいる……。オース。オース、オース、オース……!!』
ショーナウンは叫んだ。
あの黒いローブの男の力を得てから、彼は変わったのだ。
この肉体にみなぎる力はなんだ。
今ならば、バジリスクにだって絶対に負けない。
石化の呪いだろうが、跳ね返してみせよう。
そんな自信が沸いてくる。
当たり前だ。
ショーナウンは今や、呪いそのものになっている。
呪いの騎士、あるいは、アンデッドナイト。
それが彼の姿だった。
ショーナウンに斬り殺された、盗賊とヒーラーが起き上がる。
彼らの目が黄色く濁り、全身から淡い輝きを放つようになっている。
アンデッドナイトに殺された者は、レブナントになって蘇る。
言わば、高ランクのゾンビである。
『お前達はもう、二度と俺を裏切らない』
盗賊とヒーラーは、頷いた。
『もちろんだ、ショーナウン』
『任せてよ、ショーナウン』
『いいだろう。ショーナウン・ウインド再結成だ。俺達は最強の冒険者、Sランク冒険者だ。Sランクパーティだ。それを分からせてやろう……! 俺達をあざ笑った連中に! 裏切り者のオースに……!!』
ショーナウンは剣を天にかざした。
彼の口から、人間のものとは思えない、恐ろしい叫び声が上がる。
そして……叫び声と同時に、魔法の結界が消滅した。
ショーナウン達の姿もまた、無い。
そこは、いつものアドポリスだった。
冒険者の街は夕暮れになっても賑わっている。
「あら?」
所用で外に出ていた、冒険者ギルドの受付嬢は妙なものに気付いた。
「道端に、血が……。でも、誰もいない……。なんなのかしら、この血は……」
陰謀が、蠢き始めている。
誰も知らないところで。
「待って! 置いていかないで!」
逃げているのは、かつてショーナウン・ウインドだった、盗賊とヒーラーだ。
彼らは追われていた。
『待て……待て、裏切り者ども……!!』
背後からは、ガシャン、ガシャン、と金属が擦れる音が響く。
何者かが追ってきているのだ。
ここは冒険者の街、アドポリス。
そろそろ日が暮れ、辺りが暗闇になるころ。
黄昏時というやつだ。
普段なら家路を急ぐ人々で賑わう大通り。
だが、今は人っ子一人いない。
盗賊とヒーラーの足音。
そして追ってくる金属の音だけが響き渡る。
「許して、許してくれショーナウン! お前についていったら終わっちまうんだ! 駄目だったんだよ! 俺達じゃ、Sランク冒険者としてはやってけなかったんだ!」
『裏切り者め……裏切り者め……』
「ひいっ、ごめんなさい! 戻るから! パーティに戻るから!」
ヒーラーの懇願が聞こえる。
『パーティは……終わりだ。お前達が裏切ったせいだ……! いや、何もかも、あいつだ。オースが悪い……』
「そ、そうだよね! オースが悪いよね! だから私は見逃して、お願い見逃し……ぎゃあっ」
ヒーラーの叫び声が上がり、すぐに途切れた。
盗賊は真っ青になり、必死に走る。
ヒーラーの足音はもうしない。
殺された。
ショーナウンに殺されたのだ。
なんでこうなった!?
こんな理不尽な状況に、どうしてなった!?
盗賊は何も理解できないまま、無人の街を走る。
オースに謝ると言ってパーティを抜けたが、結局会うことはできなかった。
各地で発生している、呪いのモンスター依頼を請け負って旅立ったのだという。
それならば待たせてもらうかと、ゆっくりしたのが間違いだった。
自分達もオースの後を追うべきだったのだ。
「くそっ、くそっ、くそっ! 助けてくれ! 誰か、助けてくれ!!」
叫んでも、誰も応えてはくれない。
この街には、自分とヒーラーとショーナウン以外、誰もいないのだ。
ここは、魔法の結界に包まれていた。
『追いついたぞ』
すぐ後ろで声がした。
「ぎゃ、ぎゃあああああああ!! や、やめてくれショーナウン! 俺とお前の仲じゃないか! 俺はお前の最初の仲間で、Eランクの頃から一緒に……」
『お前は俺を裏切った。裏切り者め、裏切り者め……!!』
ショーナウンの声がくぐもって聞こえる。
盗賊の視界の端に、真っ黒な鎧兜に身を包んだショーナウンの姿が見えた。
兜の奥で、赤く目が輝いている。
ショーナウンは変わってしまった。
化け物になってしまったのだ。
それを実感する。
「頼む……頼む、助けてくれ。俺が悪かった。俺が……」
『裏切り者は……死ね……!!』
剣が振り上げられ、振り下ろされた。
「ぎゃあーっ!!」
盗賊の絶叫が響き渡る。
そしてすぐに途切れた。
ショーナウンは血に濡れた剣をだらりと下げ、棒立ちになった。
『裏切り者は……死んだ。だが、まだ裏切り者はいる……。オース。オース、オース、オース……!!』
ショーナウンは叫んだ。
あの黒いローブの男の力を得てから、彼は変わったのだ。
この肉体にみなぎる力はなんだ。
今ならば、バジリスクにだって絶対に負けない。
石化の呪いだろうが、跳ね返してみせよう。
そんな自信が沸いてくる。
当たり前だ。
ショーナウンは今や、呪いそのものになっている。
呪いの騎士、あるいは、アンデッドナイト。
それが彼の姿だった。
ショーナウンに斬り殺された、盗賊とヒーラーが起き上がる。
彼らの目が黄色く濁り、全身から淡い輝きを放つようになっている。
アンデッドナイトに殺された者は、レブナントになって蘇る。
言わば、高ランクのゾンビである。
『お前達はもう、二度と俺を裏切らない』
盗賊とヒーラーは、頷いた。
『もちろんだ、ショーナウン』
『任せてよ、ショーナウン』
『いいだろう。ショーナウン・ウインド再結成だ。俺達は最強の冒険者、Sランク冒険者だ。Sランクパーティだ。それを分からせてやろう……! 俺達をあざ笑った連中に! 裏切り者のオースに……!!』
ショーナウンは剣を天にかざした。
彼の口から、人間のものとは思えない、恐ろしい叫び声が上がる。
そして……叫び声と同時に、魔法の結界が消滅した。
ショーナウン達の姿もまた、無い。
そこは、いつものアドポリスだった。
冒険者の街は夕暮れになっても賑わっている。
「あら?」
所用で外に出ていた、冒険者ギルドの受付嬢は妙なものに気付いた。
「道端に、血が……。でも、誰もいない……。なんなのかしら、この血は……」
陰謀が、蠢き始めている。
誰も知らないところで。
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