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第一部:都市国家アドポリスの冒険 5
第23話 カトブレパス対処法 その3
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道すがら、Bランクパーティの戦士がカトブレパスとの戦いを語ってくれる。
「俺達だって、何も準備をしていかなかったわけじゃない。カトブレパスが死の呪いとやらをやってくるモンスターだって言うのは知ってたんだ。だけど、どうやって呪いを掛けてくるかは知らなかった」
よくある話だ。
そのモンスターの特徴的な攻撃は知られていても、その細部に関する知識がない。
そういうパターンは多い。
大体は伝聞だし、人の間を伝わるうちに細かい情報が抜け落ちている。
あるいは、ギルドに記録された危険モンスターの記録にしても、記録者本人がモンスターを確認したわけじゃない。
モンスターを討伐した冒険者から聞いた記録なのだ。
もし、その冒険者が、該当のモンスターが実力を発揮する前に幸運にも倒していたら?
そこに、そのモンスターに関する真実の知識は無いことになる。
「カトブレパスは特に呪いによる攻撃方法が複雑で、そこを知らないと結構致命的なことになるからね」
俺の言葉に、戦士は頷いた。
「ああ。呪いは視線を通じてくる事は調べがついた。視線を跳ね返すと言ったら鏡だ。だから、俺達は鏡を用意して行ったんだが……。鏡はなんの力も発揮しなかった。どうしてなんだ……。それで、最初にうちの魔法使いが死んだ。呪文を詠唱しているうちに……」
「カトブレパスの視界の中で、立ち止まったね?」
「あ、ああ。でも、鏡越しだったんだ」
「鏡は全身を覆うサイズだった?」
「まさか」
「だったらあいつの視線は防げない」
それに、視線を防ぐだけでそこに含まれた呪いは、反射できない。
カトブレパスの呪いとは、バジリスクのそれとは全く違うのだ。
「バジリスクは、センセエひとりでやっつけたですねー。でも、バジリスクとちがうです?」
「クルミ、バッチリのタイミングでいい質問だよ。バジリスクは自然の光に呪いを頼ってる。あいつの呪いは、光を通じて発されるんだ。だから反射できる。呪いだけの関して言えば、あまり恐ろしい能力とは言えないね」
「バジリスクが恐ろしくない……!?」
戦士が絶句した。
「バジリスクそのものの強さは、あの強靭な身体能力だよ。あれに石化の視線がなければ、もっと厄介だっただろうね。だが、自らにも効果がある強力な呪いを持っているが故に、備えることさえできればバジリスクには必勝できるんだ」
「バジリスクに……必勝……」
「問題はカトブレパスでね。こいつの死の呪いはさして強力じゃない」
「強力じゃない!? だ、だが俺の仲間はみんな呪いでやられて……」
「恐らく俺が思うに、君が死ななかったのはその鎧で全身を覆っていて、カトブレパスが君の生身をまともに視認できなかったせいだと思っている。現に、君の仲間は誰もが君よりも軽装だっただろ?」
「あ、ああ」
戦士は頷く。
「まずは備え。カトブレパスとの戦いは、一瞬では決まらない。長期戦になるから、攻めの備えよりは守りの備えが大事になる。それはこれから見せていくから、今後のために覚えていって欲しい。それから、武器。遠距離戦で立ち止まっていたら、視認されて殺される。近距離戦でわざわざ接近したら、攻撃が届く前の距離で殺される。ならば何が必要だと思う?」
戦士が首を傾げた。
「遠くも近くも駄目って、それじゃあ……無理じゃねえか……」
「ハイ、センセエ!!」
だが、クルミが元気よく手を挙げる。
「クルミ、どうぞ」
「えっとね。動きながら、スリングで石を投げればいいとおもうです!」
「正解! スリングに頼る必要はないけど、死の呪いに対する守りを固めながら、動きつつ中距離くらいの攻撃。これが効果大だね。このやり方もこれから見せていくよ。呪文を詠唱するなら、全身を壁なりで覆って、壁越しに広範囲魔法でまとめてやった方がいい。前衛も巻き込むけど、それを恐れて前衛がいなければ、カトブレパスが直接近寄ってきちゃうしね」
「む、難しい……」
「そう。その難しさこそが、カトブレパスをAランクモンスターにしている理由だよ。だが、これは解の明らかな計算問題みたいなものだ。ちゃんと一つずつ手順を踏んでいけば、あのモンスターは倒せる。それにお誂え向きに、カトブレパスは沼沢地にいるんだ。これはこちらが有利だよ」
俺の言葉を、いまいち理解できてないという戦士の顔だった。
百聞は一見に如かずと言う。
まずは、我らモフ・ライダーズの戦いを見てもらおうじゃないか。
「俺達だって、何も準備をしていかなかったわけじゃない。カトブレパスが死の呪いとやらをやってくるモンスターだって言うのは知ってたんだ。だけど、どうやって呪いを掛けてくるかは知らなかった」
よくある話だ。
そのモンスターの特徴的な攻撃は知られていても、その細部に関する知識がない。
そういうパターンは多い。
大体は伝聞だし、人の間を伝わるうちに細かい情報が抜け落ちている。
あるいは、ギルドに記録された危険モンスターの記録にしても、記録者本人がモンスターを確認したわけじゃない。
モンスターを討伐した冒険者から聞いた記録なのだ。
もし、その冒険者が、該当のモンスターが実力を発揮する前に幸運にも倒していたら?
そこに、そのモンスターに関する真実の知識は無いことになる。
「カトブレパスは特に呪いによる攻撃方法が複雑で、そこを知らないと結構致命的なことになるからね」
俺の言葉に、戦士は頷いた。
「ああ。呪いは視線を通じてくる事は調べがついた。視線を跳ね返すと言ったら鏡だ。だから、俺達は鏡を用意して行ったんだが……。鏡はなんの力も発揮しなかった。どうしてなんだ……。それで、最初にうちの魔法使いが死んだ。呪文を詠唱しているうちに……」
「カトブレパスの視界の中で、立ち止まったね?」
「あ、ああ。でも、鏡越しだったんだ」
「鏡は全身を覆うサイズだった?」
「まさか」
「だったらあいつの視線は防げない」
それに、視線を防ぐだけでそこに含まれた呪いは、反射できない。
カトブレパスの呪いとは、バジリスクのそれとは全く違うのだ。
「バジリスクは、センセエひとりでやっつけたですねー。でも、バジリスクとちがうです?」
「クルミ、バッチリのタイミングでいい質問だよ。バジリスクは自然の光に呪いを頼ってる。あいつの呪いは、光を通じて発されるんだ。だから反射できる。呪いだけの関して言えば、あまり恐ろしい能力とは言えないね」
「バジリスクが恐ろしくない……!?」
戦士が絶句した。
「バジリスクそのものの強さは、あの強靭な身体能力だよ。あれに石化の視線がなければ、もっと厄介だっただろうね。だが、自らにも効果がある強力な呪いを持っているが故に、備えることさえできればバジリスクには必勝できるんだ」
「バジリスクに……必勝……」
「問題はカトブレパスでね。こいつの死の呪いはさして強力じゃない」
「強力じゃない!? だ、だが俺の仲間はみんな呪いでやられて……」
「恐らく俺が思うに、君が死ななかったのはその鎧で全身を覆っていて、カトブレパスが君の生身をまともに視認できなかったせいだと思っている。現に、君の仲間は誰もが君よりも軽装だっただろ?」
「あ、ああ」
戦士は頷く。
「まずは備え。カトブレパスとの戦いは、一瞬では決まらない。長期戦になるから、攻めの備えよりは守りの備えが大事になる。それはこれから見せていくから、今後のために覚えていって欲しい。それから、武器。遠距離戦で立ち止まっていたら、視認されて殺される。近距離戦でわざわざ接近したら、攻撃が届く前の距離で殺される。ならば何が必要だと思う?」
戦士が首を傾げた。
「遠くも近くも駄目って、それじゃあ……無理じゃねえか……」
「ハイ、センセエ!!」
だが、クルミが元気よく手を挙げる。
「クルミ、どうぞ」
「えっとね。動きながら、スリングで石を投げればいいとおもうです!」
「正解! スリングに頼る必要はないけど、死の呪いに対する守りを固めながら、動きつつ中距離くらいの攻撃。これが効果大だね。このやり方もこれから見せていくよ。呪文を詠唱するなら、全身を壁なりで覆って、壁越しに広範囲魔法でまとめてやった方がいい。前衛も巻き込むけど、それを恐れて前衛がいなければ、カトブレパスが直接近寄ってきちゃうしね」
「む、難しい……」
「そう。その難しさこそが、カトブレパスをAランクモンスターにしている理由だよ。だが、これは解の明らかな計算問題みたいなものだ。ちゃんと一つずつ手順を踏んでいけば、あのモンスターは倒せる。それにお誂え向きに、カトブレパスは沼沢地にいるんだ。これはこちらが有利だよ」
俺の言葉を、いまいち理解できてないという戦士の顔だった。
百聞は一見に如かずと言う。
まずは、我らモフ・ライダーズの戦いを見てもらおうじゃないか。
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