モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
40 / 173
第一部:都市国家アドポリスの冒険 7

第34話 デュラハンとその事情 その4

しおりを挟む
「こ……こんなに前準備に金を使うんですか?」

 俺が山のように消耗品のマジックアイテムを買っているので、カイルが目を回しそうになっている。

「命には代えられないからね。これが一つあるだけで、安全性が一つ増す」

「うわあー、ほかほかするですよこれー!」

 クルミが尻尾をピコピコさせながら、マジックアイテムに頬ずりする。
 これは炎晶石。
 魔力を込めて投げつければ、炎を発して相手を焼く。

 そのままだと、ホカホカ暖かな石だ。
 オレンジ色に透き通っているので、まあまあきれいではある。

「クルミ、魔力を込めないように注意してね」

「はいです!」

 大量の炎晶石、それから魔法の罠。
 地面に投げつけると、一瞬だけ落とし穴になるものだ。
 これを幾つか。

 よし、十分だろう。

「デュラハンの金は高いから、赤字にはなんないですけど……。こんなに使ったら儲けが……」

「ここのデュラハンは強いらしいからね。いつもの二倍くらい用意した」

「慎重……!」

「センセエはちゃーんと準備するです! すごいのです!」

 なぜか自慢げなクルミだ。
 カイルはじっとクルミを見て、首を傾げた。

「そう言えば、このちっこいのは何なんですか? 確かナントカ族っていう獣人ですよね?」

「ゼロ族のクルミだよ。俺の仲間だ」

「奥さんです!」

 俺はガクッと来た。

「いや、クルミ……。確定じゃない。確定じゃないからね」

「むっふっふー。クルミ、センセエがすごい人でいい人だってゆうのは、もうハッキリわかるです! 満点なのですよー」

 いけない、俺の将来が危ない……!
 これは想定していなかった……!

「ははあ、オースさんにも苦手なものがあるんすね? こりゃあいいや」

 カイルがにやにやした。
 やめてくれたまえ。

「はあ~」

 そこで盛大に溜息をつく者がいる。
 アリサだ。

「はあ~。なーんで。なーんで、モフモフのモンスターでも獣人さんでもなくて、ムキムキの汗臭い戦士さんが仲間になっているのでしょうか? わたくしには分かりませんわあ」

「オースさん、このクソ生意気な女僧侶なんですか。胸ばかりでかいくせに」

「は? は? あなたにこの逃れ得ぬ肩こりとの戦いがお分かりになりまして!? 灰色の大教会生活から抜け出したら、慢性肩こりも癒えてしまうようなモフモフとの出会い! これからわたくしのバラ色のモフモフライフが始まりますわ! と思った先にガチムチの戦士が仲間に加わった失望感!」

「わかんねえよ!? そもそも何言ってんだあんた!?」

「まあまあ。次は必ずモンスターをテイムするから。あまりにも長い間テイマーとして働いてなかったせいで、テイムの仕方がもう曖昧なんだよね」

 俺がそう言うと、アリサもカイルも、ぽかんとしたのだった。



 その日の夜。
 俺達モフライダーズは、アドパークの外に陣取った。
 デュラハンは毎夜の如く出現し、町を駆け抜けていくのだという。

 乗り物は戦車。
 となれば、道があるところを選んで走るものだ。
 例えモンスターだって、走りやすいところがいいに決まっている。

 予想通り、モンスターはやって来た。

 馬のいななきが聞こえる。

「来た……!」

 カイルが緊張した声で呟いた。
 コルセスカを握る手に、力がこもっている。

「リラックスして行こう、カイル。備えは万全。あとはきちんと段取りを踏むだけだ」

「ええ、分かりましたよオースさん。ってか、まさかこんな手段であの呪いを防げるなんて……。まだちょっと信じられないんですが」

「実際にやれば分かるさ」

 俺達の胸の上には、細かく砕いた炎晶石をくっつけてある。
 対策はこれだけ。

「……だったら、なんであんな量の炎晶石を買ったんすか?」

「炎晶石は武器にもなるだろ」

 つまりそういうこと。
 さあ、闇夜を切り裂いて、漆黒の鎧が現れる。

 こちらは、篝火かがりびいて待ち受けていたのだ。

『おぉぉぉぉ……。憎い、憎いィィィィィ!! あの魔術師めが、許さぬぞォォォォォ!!』

「その魔術師について教えてくれないか」

 俺は、怨嗟の声を上げるデュラハンに話しかけた。
 すると、首なし騎士の抱えた頭が、じろりとこちらを睨んだ。

『邪魔立てをするかァァァァ!! 汝に死を与える……!!』

 一見して不可視とも思える、デュラハンの呪いが俺を襲う。
 俺の胸元で、炎晶石の破片がジュッと音を立てた。

 それだけだ。
 俺は新たに、破片を補充した。

『……なにっ……!?』

「対策はして来た。君の呪いはもう通じないぞ。呪いは魔法に近い効果で、相手の心臓を凍りつかせる。だが、その魔力で炎晶石が燃え上がり、さらに凍りつく呪いと相殺される。量の配分が難しいんだこれが」

『汝に死を与える……!』

 再び、俺の胸元でジュッと音がした。
 それだけだ。

「分かったかな。君の呪いは封じられた。さあ、正々堂々の勝負と行こう」

 俺は首なし騎士を手招きする。
 そして、スリングを振り回しながら前進だ。

『おのれェェェェェッ、人間ンンンンンッ!』

 駆け寄ってくる、首なし馬と戦車。
 それは俺に向かって一直線に……。

「そいっ!!」

 目の前に、俺はスリングの中身を叩きつけた。
 出現するのはマジックトラップ。

 こいつの効果は、インスタントな落とし穴だ。
 首なし馬の前足が、穴にはまった。

 つんのめる首なし馬。
 跳ね上がる戦車。

 吹き飛ばされるデュラハン。

『ぬうおおおおおおおっ!?』

 ちょっと離れたところに、デュラハンが頭から落下した。
 いや、頭は抱えているから、肩からか。

 彼はふらふらと起き上がりながら、再び抱えた頭を俺に向けた。

『汝、死ね! 死ねェェェェェッ!!』

 俺の胸元で、ジュッと音がする。

「さあモフライダーズ、気合を入れよう。デュラハンを仕留めるぞ!」

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...