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第一部:都市国家アドポリスの冒険 8
第39話 モフモフまた一匹 その4
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ドレを連れて、宿場町の被害者たちを治して回ることにする。
もともとは彼が仕掛けた洗脳なのだ。
伸ばした触手が被害者に触れると、彼らはたちまち正気に戻った。
「ドレ、これは何をしていたんだい?」
『救難信号のようなものにゃん。己は自己で大気圏を突破する力を持たないにゃん。思念波を宇宙へ送り、己の仲間が助けに来ることに賭けたのにゃん。それがまさか原住民の飼い猫になってしまうとは……はあ~困ったものにゃん』
口調はごくごく冷静に聞こえるものの、今の彼はアリサに抱っこされ、下半身をだらーんと下に伸ばした大きめの猫そのものだ。
抱きかかえられるくらいのモフモフを得たアリサはご満悦。
ブランと張り合えそうなほど強大な、外の世界から来たモンスターでも、モフモフしてさえいれば文句はないらしい。
「しっかし……この犬もやっぱモンスターだったんすね」
カイルがブランからちょっと距離を取っている。
「オースさん、テイマーだってのは分かってんですけど、大丈夫すか」
「大丈夫大丈夫。ブランは人ができてるから」
「ブランはいい犬ですー!」
クルミがジャンプして、ブランの背中にダイブした。
おお、ゼロ族のジャンプ力は凄いなあ!
今度、それも戦術に組み込んでみようか。
周囲に木や家の壁なんかがあると生きてくるかもしれないな。
「あっあっ、大丈夫なのかそんなに雑に扱って……」
「大丈夫だよ。カイルだってさっきまで、ブランの毛を指でくるくるやったりしてただろう」
「そりゃあそうっすけど……」
『わふん』
ほら、ブランも構わないと言っている。
とても人間ができているモンスターなのだ。
そして、アリサにされるがままのドレも。
『うーむ、なんたる屈辱にゃーんにゃにゃにゃにゃにゃ』
無力感あふれる感じで言いながら、アリサにわしゃわしゃかき回されている。
そしてついにドレが反抗した。
『うにゃ』
肉球パンチがアリサの手を弾く。
その隙に、ドレがスッと起き上がって距離を取った。
俺の足元まで来て、膝を肉球で叩く。
「抱っこしろというのか」
『保護を求むにゃ』
仕方ない。
「ああ~!」
恨めしそうなアリサの視線を受けながら、俺はドレを抱っこした。
本当に、大きい猫くらいの重さしかなくなっているな。
それに、でかかったころよりも毛量が増えてるような。
モフモフのふかふかだ。
これはアリサの気持ちもよく分かる。
モフモフしてしまうなあ。
「オースさん……ドレちゃん……あのう……わたくしにもちょっとだけモフモフを……」
「こう言っているけれど」
『節度を守るにゃ』
ドレの言葉は、声ではなく頭の中に直接響く。
つまり、その気になれば誰とでも会話できるということだ。
彼、or彼女が激昂すると、思念が周囲にだだ漏れになるようだ。
ともかく、ドレから直々にお許しをもらったアリサ。
ははーっとうやうやしく礼をすると、優しくもみもみとドレをいじり始めた。
『苦しゅうないにゃ』
よし、この隙にドレをまたアリサに手渡そう。
『己を見捨てるのかにゃ。それでも主にゃ』
「俺は仕事があるんでね。それにドレの事情なら後で幾らでも聞けるだろう」
ということで、俺は仕事仕事。
町の人々を、おおよそ治しきったところで、彼らには大いに感謝された。
「モフライダーズですか! なんと、つい最近結成したばかりのパーティ? それでこれだけのことができるなんて……。本当にありがとうございました! あなたがたはこの町の恩人です!!」
この町を危機に陥れたモンスターで、それを治して回ってるだけなんだけどね。
素直に喜べないところがあるなあ。
だけど、俺達の名声みたいなのはこの上なく高まったようだ。
宿代は無料になったし、食事だって豪勢なものになった。
みんな大いに食事を楽しみ、宿で一番豪華な部屋で熟睡した。
よし、誰も新しく増えた猫の事を気にしていないな?
連泊したいところだけど、ここはさっさと去ることにしよう。
俺達が悪いのではないが、厚意に甘えすぎているのも気が引ける。
「アドポリスに向かわれるんですよね」
旅立ちの準備をしていると、宿の主人が声を掛けてきた。
「ええ。もう戻らないと。仕事がまだまだありますし」
「なるほど。あなた方ほどの腕利きならばそうなんでしょうねえ。最近はアドポリスの若手冒険者も、どんどん仕事をこなしてくれるようになって助かっていると評判ですよ。今までよりもずっと熱心に、依頼の情報を集めて回ったりしてるらしいですし」
「ああ、それは何よりです!」
俺は笑顔になった。
俺の講義を受けた子達だろうか。
ちゃんと実践しているようで何より。
「ただ、気をつけてください。最近のアドポリスは、アンデッドがよく出るという噂で。町にいた浮浪者達がいなくなって、みんなアンデッドになってしまったとか」
「なんですって」
これは聞き捨てならない情報を得た。
先日の、Eランクパーティがアンデッドになった事件以来、冒険者達も身の安全に気を配るようになっていた。
これは市民にも知見が共有され、暗いところに行かないことや、人目がない場所は避けることなど、アドポリスにおける共通の見解となっていたのだ。
だが、社会から弾かれている浮浪者達にはそれは伝わっていなかったのだろう。
むしろ、彼らの居場所は闇の中にしか無い。
そこを突かれたか。
「みんな、急いで戻ろう。これは間違いなく何者かの陰謀だ。アドポリスをひっくり返そうとする奴が、いよいよ本格的に動き出している」
俺の呼びかけに、仲間達は頷いた。
もともとは彼が仕掛けた洗脳なのだ。
伸ばした触手が被害者に触れると、彼らはたちまち正気に戻った。
「ドレ、これは何をしていたんだい?」
『救難信号のようなものにゃん。己は自己で大気圏を突破する力を持たないにゃん。思念波を宇宙へ送り、己の仲間が助けに来ることに賭けたのにゃん。それがまさか原住民の飼い猫になってしまうとは……はあ~困ったものにゃん』
口調はごくごく冷静に聞こえるものの、今の彼はアリサに抱っこされ、下半身をだらーんと下に伸ばした大きめの猫そのものだ。
抱きかかえられるくらいのモフモフを得たアリサはご満悦。
ブランと張り合えそうなほど強大な、外の世界から来たモンスターでも、モフモフしてさえいれば文句はないらしい。
「しっかし……この犬もやっぱモンスターだったんすね」
カイルがブランからちょっと距離を取っている。
「オースさん、テイマーだってのは分かってんですけど、大丈夫すか」
「大丈夫大丈夫。ブランは人ができてるから」
「ブランはいい犬ですー!」
クルミがジャンプして、ブランの背中にダイブした。
おお、ゼロ族のジャンプ力は凄いなあ!
今度、それも戦術に組み込んでみようか。
周囲に木や家の壁なんかがあると生きてくるかもしれないな。
「あっあっ、大丈夫なのかそんなに雑に扱って……」
「大丈夫だよ。カイルだってさっきまで、ブランの毛を指でくるくるやったりしてただろう」
「そりゃあそうっすけど……」
『わふん』
ほら、ブランも構わないと言っている。
とても人間ができているモンスターなのだ。
そして、アリサにされるがままのドレも。
『うーむ、なんたる屈辱にゃーんにゃにゃにゃにゃにゃ』
無力感あふれる感じで言いながら、アリサにわしゃわしゃかき回されている。
そしてついにドレが反抗した。
『うにゃ』
肉球パンチがアリサの手を弾く。
その隙に、ドレがスッと起き上がって距離を取った。
俺の足元まで来て、膝を肉球で叩く。
「抱っこしろというのか」
『保護を求むにゃ』
仕方ない。
「ああ~!」
恨めしそうなアリサの視線を受けながら、俺はドレを抱っこした。
本当に、大きい猫くらいの重さしかなくなっているな。
それに、でかかったころよりも毛量が増えてるような。
モフモフのふかふかだ。
これはアリサの気持ちもよく分かる。
モフモフしてしまうなあ。
「オースさん……ドレちゃん……あのう……わたくしにもちょっとだけモフモフを……」
「こう言っているけれど」
『節度を守るにゃ』
ドレの言葉は、声ではなく頭の中に直接響く。
つまり、その気になれば誰とでも会話できるということだ。
彼、or彼女が激昂すると、思念が周囲にだだ漏れになるようだ。
ともかく、ドレから直々にお許しをもらったアリサ。
ははーっとうやうやしく礼をすると、優しくもみもみとドレをいじり始めた。
『苦しゅうないにゃ』
よし、この隙にドレをまたアリサに手渡そう。
『己を見捨てるのかにゃ。それでも主にゃ』
「俺は仕事があるんでね。それにドレの事情なら後で幾らでも聞けるだろう」
ということで、俺は仕事仕事。
町の人々を、おおよそ治しきったところで、彼らには大いに感謝された。
「モフライダーズですか! なんと、つい最近結成したばかりのパーティ? それでこれだけのことができるなんて……。本当にありがとうございました! あなたがたはこの町の恩人です!!」
この町を危機に陥れたモンスターで、それを治して回ってるだけなんだけどね。
素直に喜べないところがあるなあ。
だけど、俺達の名声みたいなのはこの上なく高まったようだ。
宿代は無料になったし、食事だって豪勢なものになった。
みんな大いに食事を楽しみ、宿で一番豪華な部屋で熟睡した。
よし、誰も新しく増えた猫の事を気にしていないな?
連泊したいところだけど、ここはさっさと去ることにしよう。
俺達が悪いのではないが、厚意に甘えすぎているのも気が引ける。
「アドポリスに向かわれるんですよね」
旅立ちの準備をしていると、宿の主人が声を掛けてきた。
「ええ。もう戻らないと。仕事がまだまだありますし」
「なるほど。あなた方ほどの腕利きならばそうなんでしょうねえ。最近はアドポリスの若手冒険者も、どんどん仕事をこなしてくれるようになって助かっていると評判ですよ。今までよりもずっと熱心に、依頼の情報を集めて回ったりしてるらしいですし」
「ああ、それは何よりです!」
俺は笑顔になった。
俺の講義を受けた子達だろうか。
ちゃんと実践しているようで何より。
「ただ、気をつけてください。最近のアドポリスは、アンデッドがよく出るという噂で。町にいた浮浪者達がいなくなって、みんなアンデッドになってしまったとか」
「なんですって」
これは聞き捨てならない情報を得た。
先日の、Eランクパーティがアンデッドになった事件以来、冒険者達も身の安全に気を配るようになっていた。
これは市民にも知見が共有され、暗いところに行かないことや、人目がない場所は避けることなど、アドポリスにおける共通の見解となっていたのだ。
だが、社会から弾かれている浮浪者達にはそれは伝わっていなかったのだろう。
むしろ、彼らの居場所は闇の中にしか無い。
そこを突かれたか。
「みんな、急いで戻ろう。これは間違いなく何者かの陰謀だ。アドポリスをひっくり返そうとする奴が、いよいよ本格的に動き出している」
俺の呼びかけに、仲間達は頷いた。
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