モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第一部:都市国家アドポリスの冒険 9

第45話 おびき出せアンデッド その5

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 長丁場になるかなと思って、せっせと薪を集めたり食べられる野草やキノコを採集していたのだが、事態は思いの他早く動き出した。
 この集めまくった食べ物はどうするんだ。
 保存食にするにも日持ちしないしなあ……。

「センセエ! センセエ! アドポリスがおおさわぎになってるです!!」

「ああ、うん! 食べ物どころじゃなかったね!」

 樹上で街を見張っていたクルミに言われて、俺は気を取り直した。

 さて、時間は旅立った日の夕刻。
 日が暮れ始めた……いわゆる黄昏時。

 普段なら、明かりを取るのに使う油が勿体ないから、住民の皆さんはさっさと寝たりするものなんだが……。

「よっこらせっと……!」

 クルミの下まで登ってからアドポリスを見ると……なるほど。
 明々と光っているなあ。

 あれは街明かりじゃない。
 炎の輝きだ。

 何者かが火を付けたのかな?

「オースさん! すぐに行きましょう! 助けなきゃ!」

「ああ、分かってるよ。だが状況が分からない」

「状況なんて言ってる場合っすか!」

「言っている場合さ。あれが罠だったらどうする? 俺達が罠にはまって死んだらそこで終わりだ。状況は解決されず、黒幕の思うがままになる。焦ってしまうときほど、急がねばならないような時ほど慎重に行く。それが俺の流儀だ」

「そ、それは……」

 カイルが絶句した。
 人情の欠片もないような発言だが、分かって欲しい。
 俺達が状況を解決できてこそ、助かる人間の数は最大になる。

 ここで急ぎ駆けつけて、何人かを救ったところで相手の術中にはまり、殺されてしまったらどうなる?
 助けた人間も助からないことになるだろう。

「そんな顔をしないでくれよカイル。行かないわけじゃない。できうる限りの情報を集めながら、可能なだけ早く街へ向かう」

「そ、そりゃあそうです」

「センセエ! いくですか!」

「ああ、行くよ」

 樹から降りると、ブランと犬車を接続する。

「カイルはすぐに突入したくて堪らないようだから、ドレを連れて行ってくれ。君は先行し、できる範囲で状況を解決。ドレ、カイルをサポートしてやってくれ」

「はい!」

『めんどくさいにゃん』

「あとで好きなだけミルクを飲ませてやる」

『やるにゃん』

 現金な猫だ。

「あとはカイル、これだけは気をつけてくれ」

「うっす、なんすか!」

「死なないように。君が死ぬ気で何人か助けるよりも、生き残って助け続ける方が世の中のためになる。だから死ぬな」

「……! うっす!!」

 カイルは気合の入った返事をすると、駆け出していった。
 俺達もその後に続く。

 だが、そこへ。
 カイルの目の前を塞ぐように、大きくて長いものが出現した。

『るるるるるあああああ』

 喉を鳴らすような声が響き渡る。
 この声も聞き慣れたな。

「なっ」

「カイル、無視して走れ。頭を上げず、地面を見て走る」

「うす!!」

 カイルは疑問を挟まず、俺の言葉の通りに走る。
 目の前に現れた、その巨大なモンスター目掛けて一直線に。

 俺は、モンスターに呼びかけた。

「バジリスク! こっちだ!!」

 そのモンスター……恐らくは、召喚されたであろうバジリスクが俺を睨む。
 そこには既に、手鏡があった。

『るお……お…………』

 バジリスクの視線はすでに見切っている。
 俺の鏡は、石化の呪いを最小限の動きで正確に反射した。
 モンスターがみるみる石に変わる。

「ドレ!」

『めんどくさいにゃん』

 やる気なさそうに、だがやる時はやるクァールのドレ。
 カイルの肩上で身を起こすと、全身を震わせた。

 彼がマインドブラストと呼ぶ攻撃だ。
 その空間を揺るがす振動波が、既に石になっているバジリスクを粉々にする。

「どもっす!!」

 それだけ告げて、カイルはアドポリスへ一直線に向かっていった。

「まあ、それにしても……。バジリスク退治、今までの最短記録だったんじゃありませんか?」

 アリサが呆れたように言った。

「オースさん、普段からちょっと慎重すぎるんじゃないですか?」

「よく言われる。今は咄嗟だったから、安全マージン取るの忘れてたよ。ブラン、走って。急がないで、ゆっくり。クルミ、俺の肩に乗って、できるだけ遠くを見て」

『わふん』

「はいです!」

 砕かれたバジリスクを踏み越えて、俺達は進む。
 燃え上がるアドポリス。

 その向こうで何が起こっているのか?
 しっかり見て、考えて、対策を立てる。
 猶予はないぞ。

 俺が持つ知識と経験を総動員して、速攻で対策を立てていかないとな。

 だが、起きるであろう最悪の事態に対してだけは、きちんと対策済みなのだ。
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