モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第一部:都市国家アドポリスの冒険 10

第47話 アドポリスを救え! その2

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 ショーナウンは全力だ。
 俺を殺す気で来る。

 だからこそ隙があるのだ。
 こいつが正気だったら俺は死んでいたかも知れない。
 相手を絶対に殺すと考えているなら、そこに力みが生じないはずがないのだ。

 そういうわけで、俺はこれを利用してショーナウンの攻撃を捌く。

『うらああああっ!!』

「おっと!!」

 魔剣とショートソードがぶつかりあい、火花を散らす。
 そうそう。
 俺のショートソードも魔剣なんだ。だから、あいつの剣でも簡単に折る事はできない。

 戦いにおいて、このショートソードを振るうことはほとんどない。
 なので、俺が魔剣を持っているという事を知っている人はほとんどいないんだよな。

 そしてこのショートソードが持つ、魔剣としての能力がある。
 それは……持ち主に近づく攻撃を、弾きやすくなること。

 お陰で、俺は凶悪なモンスターをソロで討伐しなければならない時、何度もこいつの世話になった。
 今も同じだ。
 ショーナウンの攻撃を受け流しながら、俺は彼の動きを記憶していく。

 同時に行うのは、勝利のための布石づくりだ。
 俺は魔剣任せに、どこまでも後退しながら奴の攻撃を捌くだけ。
 捌きながら、空いた片手はポーチからリュックから懐から、必要なものを次々に地面へとばらまく。
 まあ、大体がアルコールなんだけど。

 瓶をあらかた地面に落としたら、体が軽くなった!
 そうそう。
 落ちても割れないような、柔らかい地面の場所だけを狙っている。こういうのは得意だ。

『むっ!』

 ショーナウンがアルコール瓶を踏みつけて、中身を飛び散らせた。
 鎧の中に少しは侵入したのだろう。
 慌てて足を止めたようだ。

 よし、勝機。
 俺の方は、あいつの剣に少しでも傷をつけられたら終わり。
 恐らく、そこからレブナントになる。

 犠牲になった僧兵達には悪いが、おおよそのショーナウンのやり方は観察させてもらった。
 俺は善人じゃない。
 自分が生き残り、確実に勝利するためならば待ちに徹しもする。

 そして、あいつもアルコールに触れた部分が不活性化して、動きが鈍くなる。
 こちらは彼が纏うアーマー、そのまんまなネーミングの、アンデッドアーマーによってレブナント化しているのだから確実だ。

 そしてここからが俺の、本格的な攻撃開始。
 足元の小瓶を強めに蹴り上げると、割れながら宙に飛び上がる。

 これを、さっき盗賊を掴んでいた布でキャッチする。

 布がアルコールに濡れる。
 揮発するまでが勝負だ。

「ふっ……!」

 布をショーナウン目掛けて繰り出した。
 咄嗟に剣でガードしようとするあいつだが、柔らかな布を防げるものじゃない。
 アルコールの飛沫が飛び、これを受けてショーナウンが呻いた。少し動きが鈍くなる。

 俺はポンポンと瓶を蹴り上げ、次々布へアルコールを追加していく。
 布を手首の返しで戻し、振り回しながら再び繰り出す。

 ショーナウンはこれを剣で弾こうとしたが……布は当たった部位から折れ曲がり、たっぷりとアルコールを含んだまま、ショーナウンの顔面に叩きつけられた。

 兜の隙間からも、たっぷりと染み込んだことだろう。

『ぐ、ぐわあああああっ!!』

「聖水の構造を分解してみたんだ。これを言うと教会は激怒するだろうけどね。あれはつまり、限りなく純度を高めた水だ。混ざり気のない水。それでもお前達アンデッドはおかしくなる。そして、可能な限り純度を高めたアルコールでも同じことが起こる」

 顔を押さえてたたらを踏むショーナウン。

『オース! おのれ、オース、オースゥッ!! お前が、お前がいたから俺はーっ!!』

「だいぶ言葉がしっかりしてきたな……。アンデッドはすっかり、元の人間と置き換わってるもんだと思ってたけど……そうでもないのか?」

『オースゥゥゥゥゥゥッ!!』

 顔を押さえながら、ショーナウンは剣をめちゃくちゃに振り回した。
 剣閃は鋭いが、太刀筋がでたらめ過ぎる。

 そんなものに当たるわけがない。

 俺は落ち着いて、間合いの外に出る。
 そして、スリングを振り回す。

「終わりだ、ショーナウン」

『オースッ!!』

 武器を拾い上げるには十分な隙だ。
 ショートソードは腰に収め、俺の片手は既にフリーになっている。

 つまり。

 スリングが、小瓶を投擲する。
 剣撃の隙間をかいくぐり、ショーナウンに命中して砕け散る。

 次に、スリングが放つのはマジックトラップ。
 落とし穴となり、ショーナウンの足を掬う。

 そして放つのは炎晶石。
 炎の爆発がショーナウンを撃つ。

『おお……おおおおおっ!』

 高濃度のアルコールは、よく燃えるんだ。
 炎に包まれ、アンデッドナイトとなったショーナウンが呻いた。

 彼は、ブランが呼び出した満月を見上げる。

『おお……オース……。お前は、俺の……俺の……俺の見立てた通りの……だから言ったんだ……あいつは……俺達のランクまで上がってくるって……俺は……俺はなんで……オース……』

「じゃあな、ショーナウン。なんだかんだ言って、あんたが目標になっててくれたから、俺はここまで走ってこれたんだ。そこは感謝している」

 ヒュンッと音を立てて、スリングが回る。
 放つのは、石。
 何の変哲もない石だ。

 だが、スリングはその威力を、人間の力の限界を遥かに超えるほど高める。

 高速で放たれた石は、ショーナウンの兜を打った。
 兜はひしゃげ、全身に炎をアルコールが塗れたショーナウンは、その一撃で砕け散った。

 後には、アンデッドアーマーだけが残っている。

「な、なんということだ!!」

 叫び声が聞こえた。
 それは、黒ローブの男……元、アドポリス冒険者ギルドのサブマスターの上げる声だった。
 そして直後に、サブマスターは叫んだ。

「ウグワーッ!!」

 おっ!
 クルミの尻尾スリングから放たれる弾丸が炸裂したな。

 サブマスターはぶっ倒れると、そのまま白目を剥いて動かなくなったのだった。

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