モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第一部:都市国家アドポリスの冒険 10

第48話 アドポリスを救え! その3

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「やったですよー!」

 うおーっと雄叫びをあげるクルミ。
 想像以上の働きだ。

「よくやったねクルミ! 偉いよ!」

「ほんとですか! センセエも、あの鎧のアンデッドをやっつけたですか! すごいです!」

 二人で無事を喜びあい、健闘を称え合う。
 この場には、俺とクルミとブランしかいない。

 アリサは群がるレブナントを制圧しに街に行っている。
 あちこちで火の手が鎮火されだしているから、きっとアンデッド騒ぎも終わりつつあるのだろう。

『わふん』

 ブランがトコトコと戻ってきた。
 サブマスターが召喚したモンスターを、全て片付けたということらしい。
 しかしまあ、これだけのモンスターを使いこなすとは、この男は凄まじい使い手であったことは間違いないだろう。

 間違いなく、Sランクの召喚士だ。
 ちなみに、召喚士は極めてレアなクラスだ。

「これだけの才能を我欲のために使ってしまったんだな。君には、神都ラグナスの裁判をうけてもらわないとな」

 サブマスターをロープで縛り上げる。
 彼はクルミの投石で、完全に意識を失っていた。

『わん、わふ』

「おっと、どうしたんだブラン」

 ブランが俺の袖を噛んで引っ張る。
 何かを見せたいようだ。

 召喚士は戦闘不能になっているようだし、ここに放っておいても構わないか。

「ブラン、どうしたです?」

『ふぉふ』

 俺の袖を噛んだまま、もごもご応じるブラン。
 これは流石になんて言ってるのか分からない。

「大丈夫、そっちに行くから袖を離してくれ」

『わふん』

 ブランが解放してくれた。
 そして、先行して教会に向かっていく。

 ちょっと俺達を振り返った。

「はいはい」

 最強の魔獣だって言うのに、仕草はまんま大きな犬だなあ。
 彼に続いて、教会の門をくぐる。

 ブランとモンスター達の戦いで、教会は粉々に破壊されていた。
 完全に瓦礫なのだが、崩れ落ちたものも戦いの余波であちこちに飛び散っており、積み重なってはいない。

 だから、それは埋もれずにその姿を明らかにしていたのだろう。

 それは、砕かれた教会の床下から現れていた。

 まるで、渦巻く風のような文様。
 魔法陣だろうか?

「これは一体……」

 それを知るものは、外で倒れている召喚士だけだ。
 一旦戻り、彼を連れてくることにした。

 顔に水を掛けると、召喚士は激しく咳き込んだ後で目を開いた。

「うぐぐ……。なんたる……なんたることだ……。長年掛けて準備してきたことが、こうも容易く打ち破られる……」

「あなたはSランク相当の召喚士だろう。そんなあなたが、一体何を考えてあんな非道を行った? もしかして、狙いはこれか?」

 渦巻く魔法陣を見せる。
 すると、召喚士はその目を輝かせた。

「ああ、これだ! これを求めていたのだ! お、おい! 少しでいい! 俺の手を自由にしてくれ! 印を結んで詠唱せねばこれは発動できんのだ! ああ……これが魔王を降臨させた、虹の精霊女王の魔法陣……!」

 何を言っているんだ彼は。
 だが、魔王なんておとぎ話にしかでてこない存在の事を語っている。

 マーナガルムをテイムし、空から来たクァールをテイムした俺は、もう魔王がおとぎ話だなんて笑えない。
 世界ではどんな事も起こりうるし、荒唐無稽と思われていたおとぎ話が真実である可能性も十分にあるからだ。

「束縛を解くことはできない。あなたは神都ラグナスで裁かれるべきだ」

「お、俺をあの坊主どもに突き出すというのか! や、やめろ! 貴重な知識が! 技術が失われてしまうんだぞ!!」

「だが、あなたがやらかした事で、多くの人々の命が失われた。これは裁かれねばならない」

「凡百の人間が死んだからどうだというのだ!! お前もお前だ。お前はテイマーなんだろう!? 俺と同じ、レアなクラスの才能を持った人間だ! それがどうして、平凡な連中にくみする……! お前がテイムした、この恐るべきモンスターの力を見たか!? あれが、あれさえあれば、どんな軍隊も相手にはならない! お前は世界の王にだってなれるんだぞ!!」

「俺は権力欲はなくってね。それに、あなたが言う平凡な連中が作り上げてきた技術や知識はバカにできたものじゃない。俺はそれを束ねて、練り上げて、そしてあなたの野望を打ち砕いてきたんだ」

 俺は魔法陣を見下ろす。
 これが、全ての元凶というわけか。
 何が呼び出されるのかは分からない。

 だが、ろくなものではあるまい。
 少し勿体ないが……。

「ブラン、壊してくれ」

『わふん!』

「や、やめろーっ!! よせえええええ!!」

 召喚士が絶叫した。
 彼の目の前で、ブランの全身が真っ赤に染まり、二周りほど大きく膨れ上がる。

『おおおおおおおおおおおんっっっっっ!!』

 地面に向けて叩きつけられたのは、ブランの咆哮だった。
 ドレはこれを、ソニックシャウトと呼んでいたな。

 咆哮の音が甲高くなり……それはついに聞こえなくなる。
 だが、咆哮が聞こえなくなってすぐ、魔法陣が目に見えない力で切断された。
 鋭い刃で切り裂いたような傷跡は、縦横に走り、魔法陣を粉々にしていく。

 すぐに、魔法陣は原型をなくしてしまった。

「ああ……。お、俺の人生が……。貴重な遺産が……」

 呆然とする召喚士。
 完全に魂が抜けた顔をしていた。

 これは、束縛する必要もなさそうだなあ。

『わふん』

 ブランは元の白いモフモフボディに戻ると、鼻を鳴らした。
 いつものサモエドフェイスを見せてくる。

 だが、彼の意思は俺を焦らせた。
 俺だけに分かる言葉で、こう言っていたからだ。

『正解だ、主よ。かつてこの魔方陣によって呼び出された魔王は、世界を変えた。あれには勝てない』

 それは一体、何だ。
 魔王というのは、何だったというのだ。

 最強という概念の権化とすら思えるブランを持ってしても、勝てないとシンプルに言わせる何か。
 そんなものを、召喚士は呼び出そうとしていたのか。

「そいつは良かった」

 それだけ言うので、精一杯だった。

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