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第二部:神都ラグナスの冒険 4
第70話 モフモフスリー その3
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キメラ養殖業者。
どうやら神都ラグナスでは、ちょくちょくキメラが出現する事件が起こっていたらしい。
それらは大教会の意向を受けた上位の冒険者と、盗賊ギルドが内密に処理していた。
そこで、俺達が発見した下水のキメラと来る。
たくさんの動物と、それを用いて何かする装置。
大教会はこれこそが、キメラを作り上げる何かだと考えたのである。
ファルクス曰く、動物に何かを取り付ける装置ではということだったが……。
どうやら俺達が知らない機能が、あの魔法装置にはあったらしい。
「そう言うわけで、幾つか貴族がリストアップされた。この間あんた達が捕まえた貴族の交友関係を洗ってだな」
「なるほど。結構広いですね」
「ああ。それでも、この国じゃ枢機卿にならない限りは権力を握れない。貴族なんてのは、地方の領土を管理するだけの監督役みたいなものだ。他国の貴族よりも権限は絞られているし、うまみも少なかろうよ」
俺はギルド長ドナートの言葉を聞いて考えた。
「ひょっとしてですが、貴族達は国家の転覆を狙っているのでは? あるいは、権力構造を大きく変えて、他国と同じようにしようとしてるとか」
ドナートが少しだけ目を見開いた。
「何故そう思う」
「イリアノス王国の貴族は、冷や飯を食わされているように思えたので。それが他国のように、貴族に権限が与えられれば自由に商売や領地の管理ができるでしょう。言い換えれば、利益をどんどん上げて自分達の懐を潤せるようになる。それが狙いかなと」
「お前、頭が切れ過ぎるのは自分の首を締めることもあると知れ」
概ね合っているようだな。
大教会は、この国における絶対的な権力だ。
枢機卿であるフランチェスコが、どこにでも手を伸ばして言うことを聞かせられるらしいことを思えば、その影響力の強さが分かる。
「?」
難しい話になったので、クルミが首を傾げた。
『にゃんにゃん』
「ドレもタイクツになったですか? クルミもですー」
一人と一匹で遊び始めた。
手と肉球を、ポンポンタイミングよく合わせる遊びだ。
飽きてきたな。
「では、怪しいのは貴族の家ですね?」
「ああ。下水から行ける。あんたら、下水は手慣れたもんなんだろ?」
『にゃっ!?』
下水という言葉を聞いたドレが、ヒゲをピーンと伸ばしたのだった。
『うにゃあああああ! ま、また下水にゃあああ。ご主人、仕事は選ぶにゃあああ』
『わふわふん』
じたばたもがくドレの首の皮を、ブランがくわえて歩いている。
これでドレは逃げられない。
ここは下水。
盗賊ギルドからもらった情報によれば、下水からの特定のルートは、どれもが貴族の家の地下に繋がっているらしい。
これは、俺達が先日つきとめたキメラ製造施設らしきところを、ギルドが調べた結果分かったことのようだ。
ただ、貴族の邸宅に向かうルートに、最近キメラが配置されており、ギルドの人間だけでは突破ができない。
ということで、俺達がやることになったと。
「わたくし、下水に潜るの初めてなんですのよ! 暗くて臭くて、なんだかドキドキしますわねえ」
「なんであんたそんなに楽しそうなんだよお」
おっ、アリサとカイルの掛け合いが始まった。
アリサはとにかく、教会から外に出られれば、見るもの聞くもの、どんなものでも大歓迎なのかも知れないな。
途中、例の大型ネズミが出てきたが……。
「コール・コマンド・ホーリーライト」
アリサが神聖魔法でピカピカ光り、ネズミたちの目を眩ませた。
フラフラするネズミを、下水に放り込んで終わりだ。
「ぢゅーっ!」
「ぢゅっ!」
「もがーっ」
あれ?
何か白くて大きいものが出てきたぞ。
それがネズミをパクパク食べてる。
「あれは……ワニだなあ。真っ白で大きなワニだ。下水に住んでるのかあ」
下水には落ちないようにしよう。
ワニはネズミでそこそこお腹が膨れたようで、俺達を無視して通り過ぎていった。
『うええ、こんなところのネズミを食うなんて、なんたる悪食にゃ』
「ドレはグルメだもんな」
『そうにゃ。肉もミルクもちゃんとしたのじゃなきゃいやにゃ』
ブランにぶら下げられつつも、堂々としたドレの物言いなのである。
そして俺達は目的地へ一直線。
途中でキメラが出たが、これは今度はみんなで倒す。
アリサのホーリーライトで目眩ましをし、ファルクスの歌で誘導し、カイルの槍と俺とクルミのスリングで3つの頭を一度に潰し、それをブランが下水に放り込んだ。
「もがーっ」
あっ、ワニ!
キメラを咥えると、水中に沈んでいった。
あいつもしや、俺達についてくるとご飯がもらえると学習しているのでは……?
「センセエ! ワニは仲間にならないですか?」
「毛がないから無理だねえ」
そのようなやり取りをしつつ、目的地となる貴族の家に到着。
前回と同じような扉を、カチャカチャと開く。
おや? 今回は魔法の鍵が施されている。仲間がやられて学習したな。
「だが、こんな事もあろうかと」
「オースさん、また何か用意してきたっすか!?」
「ああ。魔法の鍵を解錠する魔法のツールだよ。これは盗賊ギルドで買ったもので、使い捨てで高価なんだけどね……」
カチャッと開く、魔法の鍵。
「ほらね。あ、これ、この扉の感触……。みんな、横に避けててね」
俺は扉を開きながら、入り口に体は晒さない。
すると、そこから猛烈な勢いで飛び出してくる者があった。
『がううううっ!!』
翼の生えた、全身鱗だらけの猿、という外見のモンスターだ。
オリジナルのキメラかな。
扉を開けた人間を殺すべく待ち構えていたのだろう。
だが、扉に密着してるんだもの。
開けるときの感覚で分かる。
俺は飛び出したキメラの足を引っ掛けた。
『がうーっ!?』
己の勢いのまま、ポーンと下水に向かって跳ね上がるキメラ。
「もがーっ!」
それを下水から飛び出してキャッチするワニ。
「お上手ですー!」
クルミがパチパチと拍手をしたのだった。
どうやら神都ラグナスでは、ちょくちょくキメラが出現する事件が起こっていたらしい。
それらは大教会の意向を受けた上位の冒険者と、盗賊ギルドが内密に処理していた。
そこで、俺達が発見した下水のキメラと来る。
たくさんの動物と、それを用いて何かする装置。
大教会はこれこそが、キメラを作り上げる何かだと考えたのである。
ファルクス曰く、動物に何かを取り付ける装置ではということだったが……。
どうやら俺達が知らない機能が、あの魔法装置にはあったらしい。
「そう言うわけで、幾つか貴族がリストアップされた。この間あんた達が捕まえた貴族の交友関係を洗ってだな」
「なるほど。結構広いですね」
「ああ。それでも、この国じゃ枢機卿にならない限りは権力を握れない。貴族なんてのは、地方の領土を管理するだけの監督役みたいなものだ。他国の貴族よりも権限は絞られているし、うまみも少なかろうよ」
俺はギルド長ドナートの言葉を聞いて考えた。
「ひょっとしてですが、貴族達は国家の転覆を狙っているのでは? あるいは、権力構造を大きく変えて、他国と同じようにしようとしてるとか」
ドナートが少しだけ目を見開いた。
「何故そう思う」
「イリアノス王国の貴族は、冷や飯を食わされているように思えたので。それが他国のように、貴族に権限が与えられれば自由に商売や領地の管理ができるでしょう。言い換えれば、利益をどんどん上げて自分達の懐を潤せるようになる。それが狙いかなと」
「お前、頭が切れ過ぎるのは自分の首を締めることもあると知れ」
概ね合っているようだな。
大教会は、この国における絶対的な権力だ。
枢機卿であるフランチェスコが、どこにでも手を伸ばして言うことを聞かせられるらしいことを思えば、その影響力の強さが分かる。
「?」
難しい話になったので、クルミが首を傾げた。
『にゃんにゃん』
「ドレもタイクツになったですか? クルミもですー」
一人と一匹で遊び始めた。
手と肉球を、ポンポンタイミングよく合わせる遊びだ。
飽きてきたな。
「では、怪しいのは貴族の家ですね?」
「ああ。下水から行ける。あんたら、下水は手慣れたもんなんだろ?」
『にゃっ!?』
下水という言葉を聞いたドレが、ヒゲをピーンと伸ばしたのだった。
『うにゃあああああ! ま、また下水にゃあああ。ご主人、仕事は選ぶにゃあああ』
『わふわふん』
じたばたもがくドレの首の皮を、ブランがくわえて歩いている。
これでドレは逃げられない。
ここは下水。
盗賊ギルドからもらった情報によれば、下水からの特定のルートは、どれもが貴族の家の地下に繋がっているらしい。
これは、俺達が先日つきとめたキメラ製造施設らしきところを、ギルドが調べた結果分かったことのようだ。
ただ、貴族の邸宅に向かうルートに、最近キメラが配置されており、ギルドの人間だけでは突破ができない。
ということで、俺達がやることになったと。
「わたくし、下水に潜るの初めてなんですのよ! 暗くて臭くて、なんだかドキドキしますわねえ」
「なんであんたそんなに楽しそうなんだよお」
おっ、アリサとカイルの掛け合いが始まった。
アリサはとにかく、教会から外に出られれば、見るもの聞くもの、どんなものでも大歓迎なのかも知れないな。
途中、例の大型ネズミが出てきたが……。
「コール・コマンド・ホーリーライト」
アリサが神聖魔法でピカピカ光り、ネズミたちの目を眩ませた。
フラフラするネズミを、下水に放り込んで終わりだ。
「ぢゅーっ!」
「ぢゅっ!」
「もがーっ」
あれ?
何か白くて大きいものが出てきたぞ。
それがネズミをパクパク食べてる。
「あれは……ワニだなあ。真っ白で大きなワニだ。下水に住んでるのかあ」
下水には落ちないようにしよう。
ワニはネズミでそこそこお腹が膨れたようで、俺達を無視して通り過ぎていった。
『うええ、こんなところのネズミを食うなんて、なんたる悪食にゃ』
「ドレはグルメだもんな」
『そうにゃ。肉もミルクもちゃんとしたのじゃなきゃいやにゃ』
ブランにぶら下げられつつも、堂々としたドレの物言いなのである。
そして俺達は目的地へ一直線。
途中でキメラが出たが、これは今度はみんなで倒す。
アリサのホーリーライトで目眩ましをし、ファルクスの歌で誘導し、カイルの槍と俺とクルミのスリングで3つの頭を一度に潰し、それをブランが下水に放り込んだ。
「もがーっ」
あっ、ワニ!
キメラを咥えると、水中に沈んでいった。
あいつもしや、俺達についてくるとご飯がもらえると学習しているのでは……?
「センセエ! ワニは仲間にならないですか?」
「毛がないから無理だねえ」
そのようなやり取りをしつつ、目的地となる貴族の家に到着。
前回と同じような扉を、カチャカチャと開く。
おや? 今回は魔法の鍵が施されている。仲間がやられて学習したな。
「だが、こんな事もあろうかと」
「オースさん、また何か用意してきたっすか!?」
「ああ。魔法の鍵を解錠する魔法のツールだよ。これは盗賊ギルドで買ったもので、使い捨てで高価なんだけどね……」
カチャッと開く、魔法の鍵。
「ほらね。あ、これ、この扉の感触……。みんな、横に避けててね」
俺は扉を開きながら、入り口に体は晒さない。
すると、そこから猛烈な勢いで飛び出してくる者があった。
『がううううっ!!』
翼の生えた、全身鱗だらけの猿、という外見のモンスターだ。
オリジナルのキメラかな。
扉を開けた人間を殺すべく待ち構えていたのだろう。
だが、扉に密着してるんだもの。
開けるときの感覚で分かる。
俺は飛び出したキメラの足を引っ掛けた。
『がうーっ!?』
己の勢いのまま、ポーンと下水に向かって跳ね上がるキメラ。
「もがーっ!」
それを下水から飛び出してキャッチするワニ。
「お上手ですー!」
クルミがパチパチと拍手をしたのだった。
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