モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第二部:神都ラグナスの冒険 6

第79話 追跡! 神都包囲網 その2

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「センセエー!」

 帰る途中でクルミと合流した。
 背中にドレをぶら下げている。
 彼女も一仕事終えてきたところのようだ。

 後ろから、ファルクスがひいひい言いながら走ってくる。

「クルミ、ドレ、ファルクス、お疲れ様」

「おつかれさまです! やっつけてきたですよ!」

「いやあ、忘却派の方々を懲らしめるのは楽だったのですが、戻りでクルミ殿がいきなり走りはじめましてなあ……。わたくしめ、もう年なので体がついていかず」

 現在60歳のファルクス、人間に直すと40手前くらいだとか。
 なるほど、元気ハツラツなクルミについていくのは大変だよな。

「センセエ、あのですね! あのですね! クルミが雷晶石でびゅーんとですね!」

 興奮してまくしたててくるクルミ。
 すっかりやる気を失って、だらんとぶら下がるままになったドレ。

 息を整えたファルクスが代わって説明してくれた。

「わたくしめどもは、路地にて忘却派と交戦したのですよ。街路や壁を縦横無尽に走るクルミ殿と、壁面で呪歌を反響させられるわたくしめですから、まあまあ楽な仕事ではございましたな。ですがな、少々楽過ぎると」

「あ、ファルクスもそれ思ったかい? 俺もなんだ」

「うんうん!!」

 クルミが横合いから話に混じってきた。
 お話したくてたまらないようだ。

「あのですね! クルミとセンセエがいっしょにやった、悪いひとがいたですよね! あのひとより、弱いひとしか出てこないです!」

「やっぱりそうか。アストラルは忘却派の下っ端を使って、神都に騒動を起こそうとしてるんだろう。でも、その目的は何なんだろうな。俺とカイルとブランで潰した相手は、商船に積まれてる貴金属類を奪おうとしていたんだ。資金調達までして、この神都ラグナスに根を張り騒動を起こす。間違いなく目的があるんだろうが」

 仲間たちと、忘却派対策本部となった酒場に戻る。
 すると、店内には冒険者や亜人、僧兵と言った面々がひしめいていた。

 アリサがローズを胸元にくっつけたまま、そういった面々に指示を出している。
 彼女は最近、ローズに花の種を貢物として差し出すことで、信頼を得たらしい。

 ローズは、すっかりアリサが種をくれる人だと思いこんで、張り付いている。

「皆様、おかえりなさいませ! こちらも順調ですわ! まさかしぶちんのお師様が、こうも潤沢に活動資金を出してくださるとは思いませんでしたわー」

 酒場に集まった面々は、モフライダーズの仕事に協力する有志なのだ。
 もちろん、報酬は出るが。

 仕事があるかどうかも分からない冒険者をやるよりは、確実に何か仕事があり、定額の報酬が出る対策本部に協力したほうが得だと考える者達なのだろう。
 正直、助かる。
 俺達だけじゃどうやっても手が足りないからな。

「オー!! オースのお帰りかよ! 俺は今から出かけるところだぜ!」

 ミノタウロスが歩み寄ってきて、俺の肩をバンバン叩いた。

「ジャミじゃないか! もう労働は終わったのか?」

「それがよ、あんたらに協力するのも労役の一つにできるんだよ。俺はな、オースの手伝いをしてみたくてな! なんつーの? ぼーきゃくは? よくわかんねえけど、それっぽいのを叩けばいいんだろ? いっちょ行ってくるわ!」

 豪快に笑いながら、ミノタウロスの青年は外に飛び出していった。
 その後を、彼の仲間らしき者達が追いかけていく。

 みんな、通りすがりに俺をチラチラ見るな。

「あれがジャミをぶん投げたっていう!?」

「モフライダーズのオースだぜ」

「思ってたより普通の感じなんだな」

「ばっか、本物ほど、らしくない見た目してるんだよ!」

 また俺に関しての噂が広がってないか?
 ファルクスをちらりと見ると、彼はそっぽを向いて口笛を吹いた。

 ま、いいか。
 彼のお陰で、俺のネームバリューというものが生まれ、それに釣られてたくさんの人が集まったのだ。

「はいはーい、大教会裏手の第二港湾、倉庫地帯で暴動発生ですわー」

「おっし、じゃあ俺らが行くわ」

「規模が大きいようですから、3チームで向かってくださいな」

「了解!」

 アリサは直接、教会側からの神聖魔法による通信を受けている。
 これで迅速に情報を集め、人を動かしているのだ。

 そのために酒場から彼女が移動することはできない。
 最初は、「いっ、いやですわー!! モフモフちゃん達と一緒に行動したいですわー!! なんのために修道院を脱走したと思っていますのー!!」とか吠えていたのだが、ローズを買収する技を身に着けたアリサは、もはや鋼の精神を持つ超一級の司祭だ。
 時々ローズをつまんで、もりもり花の種を食う彼を眺めてはニヤニヤしている。

『あのネズミが来てから平和でいいにゃ』

『わふ』

 うちの二大モフモフも安寧を手に入れたようだな。
 さてさて!
 のんびりしたいのは山々だが、俺が仕事をしている間に情報が集まっていることだろう。

 時折、酒場に飛び込んでくる男がいて、文字をなぐり書きした紙の束をテーブルに置いていく。
 あれが盗賊ギルドからの使者だ。
 何かの情報が集まる度に、内容の精査は二の次にしてとにかくこちらに流してくる。

 情報の真贋を見極めるのは、アリサに従う僧兵達だ。
 どうも、神聖魔法にはこういうものを調査する魔法まであるらしい。

 彼らを通して信頼性の高い情報を集めた後、重要性が高いものは俺が出る。

「しっかし、大事になって来たっすねえ……。オースさん、よくこの仕事やってられますよね。俺だったら頭がパンクしてるっすよ」

 カイルが肩を竦めながら、手近な椅子についた。
 俺もクルミと並んで椅子に掛けながら、考える。

 確かに、面倒な状況になってきてるのに、俺はやる気だな。
 これは多分、あれだ。

「俺の私怨みたいなものじゃないかな?」

「へ? オースさんが? まっさかあ」

 カイルは俺が冗談を言ったと思ったらしい。
 笑いながら、料理と飲物を注文する。

「いやいや。案外モチベーションって、そういう負の感情からも生まれてくるものなんだよ。私は関係ありません、みたいな顔してる彼女に、一泡吹かせてやりたくて忘却派の邪魔を全力でやってるところはあるかもね」

「マジっすか」

 話を理解できてないようだったクルミが、最後のカイルの言葉に反応した。

「センセエはいつもマジなのです!」

 うん、俺はいつでもマジなのだ。



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