モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第二部:神都ラグナスの冒険 7

第85話 おびき出せ忘却派! 一網打尽作戦 その3

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 作戦内容は、屋外での会食。
 無論、警備は厳重に行う。
 おびき寄せる忘却派を警戒させないためだ。

 警備が厚い方が警戒しないって、考えてみたら不思議だな。
 でも、相手は二大宗教のトップ。
 厳重に守られている方が自然だ。

「アキムさん、船でこっちに来る間、よく襲われませんでしたね」

 俺が尋ねると、彼は髭面に笑みを浮かべた。

「ああ、ここだけの話だがね。船では来てないんだ。いや、空を飛ぶ船とも言えるかな? 今は見えないように姿を消してあるが、これで運河の上空まで来たところで船をその場で組立てて乗ってきた」

「はあ」

 よく分からないことをしている人だ。
 だが確かに、そうでもしないと短期間でアルマース帝国からここまでは来れないだろう。

「とりあえず、俺の護衛は並べておくが、今回の仕事でいちばん重要なのは君だ、オース。どうしても、人間の守りでは限界がある事態がある。そういう状況に、君と仲間のモンスター達は役立つだろう。この作戦の肝となっているのが、君達モフライダーズだとも言えるな」

「プレッシャーを掛けてきますね」

「なに、期待さ。これで君が、世界にとってどういう立ち位置なのかも見極められる」

 最後に怖いことを言って、彼は去っていった。
 なんだか俺がとても警戒されているような。

 会食の準備は急ピッチで進む。
 そして、神都全体にこのイベントの情報が流れるのである。

 アルマース帝国からの使節団が、大教会の重鎮と会食を行う。
 入り口では屋台が広がり、芸人達も催し物をしてさがならお祭りのようになるのだ。

「こりゃあ、やる気満々だな」

 次々と組み立てられていく屋台を見回して、俺は呟いた。
 するとクルミが首を傾げる。

「そうなのです? 楽しいことをするだけみたいに見えるですよ!」

「そういう風に見せたほうが、敵が安心するだろ? ああ、これは普通のお祭りなんだなーって。だから、お祭りに乗じて悪いことをしてやれ、というのを誘えるんだ」

「ふえー! お祭りなのに悪いことするですか!? それは悪いひとですよー!」

「そう。俺達が相手にしてるのは、そういう悪いやつなんだ」

「センセエはいつも悪いひとと戦ってるですね!」

「ええ、そうかなあ?」

 自分では意識していなかった。

 のんびりと、お祭りの広場が作られていく光景を見ている。
 屋台とともに、広場中央のステージが作られる。
 あの上で、吟遊詩人や芸人達がパフォーマンスを繰り広げるのだろう。

 ブランが作業を手伝っていて、山程の資材をそりに乗せて運んでいく。

「おおーっ、すげえなワンころ!」

「これで屋台三軒できるぜ……」

『わふ』

 ブランは暇つぶしで手伝っているのだが、あの圧倒的なパワーだ。
 資材運搬などの仕事がどんどんスムーズになる。

『よくやるにゃ』

「ドレは仕事がない時は何もしない主義だもんな」

『あったりまえにゃ。労働は悪にゃ。生き残らなければならない時だけ、己は労働するにゃ。その時は敗北感でいっぱいにゃ』

「ドレもさいしょは悪いひとだったですからねー」

『己は100%自分のためだけに生きてるにゃ。生きることに善も悪もないにゃ』

 哲学的なことを言う猫だなあ。
 クルミが寄ってきて、ドレの背中や顎をわしわし撫で始めた。
 ドレがゴロゴロと喉を鳴らす。

「そういえば、ローズは?」

「アリサが連れてってるですよ! これからかいぎです!」

「ああ、ラグナ新教側の会議ね。ローズが彼女の精神を安定させるために役立ってるなあ」

 最近では、ローズは自然とアリサの近くにいるようになっている。
 ドレ曰く、

『においに慣れたのにゃ。だからいつも嗅いでいるにおいの近くにいるだけにゃ。主が呼べばすぐ戻ってくるにゃ』

 まだまだ、ローズは赤ちゃんらしい。
 本能のままに生きているんだな。

「おーい、オースさん! 俺らが隠れるところを用意するってさ。見て回りましょうよ!」

 カイルとファルクスが呼びに来たので、俺達も動くことにする。
 ドレが自分の足で歩くのを嫌がったので、いつもどおりクルミに抱っこされた。

 小柄なクルミが大きい猫であるドレを抱きかかえるので、後ろから前足の下を抱きしめる形になる。
 下半身はだらーんと下に伸ばされたままである。

『そのまま己を運ぶにゃー』

「ドレはおっきいのにあんま重くないからふしぎですねえ」

 クルミがふわふわな尻尾をピコピコ振りながら歩いていく。
 その後ろを俺がついていく形だ。

「えーとですね、まずは入り口脇と、それから……」

 何箇所か設けられた、隠れる場所というのを案内される。
 俺達がここに潜み、忘却派の出現を待つのだ。
 
 木の裏側が盛り上がっているかと思ったら、穴が掘ってあって上から芝生模様の布を被るところや、刈り込まれた低木がまるごとくり抜かれているところなど。

『わっふ!』

「ブラン。お手伝いは終わったのかい?」

『わふー』

 お祭り広場では、職人さん達がブランに手を振っている。
 なるほど、山のような資材が積み上がってるな。
 あれ全部運んだのか。

「偉いぞブラン。っていうか暇つぶしで凄いことするなあ」

 俺はリュックからブラシを取り出すと、わっしゃわっしゃとブランの体をブラッシングしてやる。

『わふわふ』

 ブランも気持ちいいようだ。

「ところでブラン」

『わふ?』

「忘却派に備えるため、俺達はこの隠れる場所……隠し場と言っとこうか。そこに身を潜めることになるんだが」

『わふ』

「低木の中は葉っぱがついちゃうだろうし、土の中は泥がつきそうだし……。どうする?」

『わふーん』

 ブランと俺とで考え込む。
 彼の真っ白な毛は汚れや付着物が目立つからなあ。
 それに、彼は牡牛ほどの大きさがある。
 テーブルの下に隠れる、などの方法は取れないのだ。

『わっふ!』

 ここでブランから名案が飛び出した。
 それはなんと……。

 屋台の一つをもらってきて、それを犬小屋にすることだった。
 犬小屋の上から枝や土をかぶせて、事が起こるまではその中で大人しくしていると。

「まさかブラン、これを見越して職人の人達を手助けしていたのかい?」

『わふん?』

 ブランは、何のこと?
 と、いつもの笑ってるみたいな顔を見せるのだった。


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