モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
132 / 173
第四部:オケアノス海の冒険 1

第123話 流れ着くのは炎の島 その5

しおりを挟む
 見事にサラマンダーの大群を撃退した俺達を、島民の喝采が迎えてくれた。

 てっきり、なんてことを! と言われると思っていたが……。

「ああなったアータル様は、島民以外見境がなくなるって言い伝えられているわ。じーっと黙って何年も過ごすしかないけれど、あたし達だって食べるものは必要だし、外の世界との交流だってあった方がいいでしょ? アータル様が鎮まるなら、それに越したことはないの」

「思ったよりもドライだった」

「炎の巫女は半分アータル様と一体になってるからね。あっちの気持ちも分かるの。これってただ駄々をこねてるんだよ」

 炎の精霊王アータルは、大きい赤ちゃんみたいなものということか。

「いっつも、どうやってアータルさんは静かになってるですか?」

 おおっ、クルミが解決方法を聞いてくるとは。
 成長したなあ。

 炎の巫女エレーナはうーん、と唸った。

「時間が経つと、炎を出し切って静かになるの。あたしの代だとこれが初めてだけど、百年に一度くらいは暴れるみたいなのね。んで、三年くらい暴れるって」

「なんと迷惑な。だが、そうして炎を出し切ると静かになるはずが、今回は島を割りかねない、と君は話してたみたいだけど」

「そう。なんかねえ、今回のアータル様、かなり炎を溜め込んでるみたいで……ほら。山の一部が崩れてるの分かる?」

 エレーナが指差す先で、確かに山の一角に崩落した跡がある。
 どうやらあれは、アータルが最初に暴れた時に壊れてしまった場所なのだとか。

「なんでなのかよく分からないけど、今回のアータル様は凄く荒れてるの。島が割れちゃったらあたし達はおしまいだし、困ったなあって言ってるところにみんなが来たってわけ」

「ははあ、これは俺達の責任は重大だ」

 なんとなく炎の島に流されてきたけれど、島民の命が掛かっている件なんじゃないか。
 俺達には金がある。
 なので、趣味でこういう人助けをする余裕があるのだ。

「話は決まったか? 俺としちゃ、いきなり山登りしてアータルを攻めてもいいんだが」

 アルディがバーバリアンじみたことを言う。
 辺境伯をやめたこの姿こそが、彼の素なんだろうなあ。
 サラマンダー戦も楽しかったようで何より。

「まあまあ。俺のやり方は、アータルの弱点を見つけてそこを突くことだよ。今、アリサに探ってもらってる」

 少し離れたところで、島民達に見守られながら、アリサが神聖魔法を使っていた。
 精神集中に必要だと言って、ブランに寄りかかってモフモフに埋もれながらである。
 絶対必要ないだろ。

「本当にでかい犬だなあ」

「やっぱりモンスターなんだろうか」

「さわりたーい!」

「これ! 食べられちゃうよ!」

『わふん』

 失敬な、人間はよっぽどことがなければ食べません、と抗議するブラン。
 これを見て、ドレが『にゃにゃにゃにゃにゃ』と笑ったので、ブラン怒りの前足でころんと転がされた。

『うにゃー!』

『ちゅちゅちゅっ』

 俺のポケットから、ローズが飛び出してくる。
 そして腰から肩へと駆け上がってきて、耳たぶをもみもみし始めた。
 大変くすぐったい。

「どうしたんだい、ローズ」

『ちゅっちゅ』

「あ、なるほど」

 最近、ローズの言わんとすることもだんだん分かるようになってきた。
 ローズ、赤ちゃんから子供へと成長をしてるのかも知れない。

 彼が意図するのは、自分をアリサの上に乗せてくれということだった。
 ローズの力とは、運命とか幸運を操るもの。
 確かに、ローズの力を借りればアリサの魔法も効果を高めることができそうだ。

「よし、よろしく頼むよローズ」

『ちゅうー』

 ローズは頷くと、スッと小さい前足を差し出した。
 うん?
 なんだい?

「はい、お駄賃の木の実ですよー」

 クルミが小さいナッツを手渡すと、ローズが『ちゅ!』と嬉しそうに鳴いた。
 そして、ナッツをもぐっと頬袋に詰め込む。

「報酬を要求していたか……」

「ローズは上手におねだりできるようになってるですよ!」

 どうやら、げっ歯類の先輩としてクルミが彼に教育していたようだ。
 餌付けとも言うのだろうか。
 仮にも、因果を操る強大なモンスターのはずなんだが。

「ま、いいか。やる気になってくれたようだし。アリサ、ローズを受け取ってくれ」

「ローズちゃんを!?」

 アリサがくわっと目を見開いた。
 そして両手を差し出してくる。
 ブランに深く埋もれたまま。

「モフモフから離れる気はないということか……! はいどうぞ」

『ちゅー』

 俺の手からアリサの手へ、ローズがちょろっと移動した。
 アリサは彼を大事に受け取ると、胸元にぽんと乗せる。

「あっ、なんだか目標の姿がクリアになりましたわ!!」

 目を閉じ、アリサが叫ぶ。

「見えます、見えます! サーチする力が、わたくしにアータルの核の在り処を教えてくれますわ……! これは……胸元に……卵……?」

 卵?
 なんで卵?

「アータルの卵?」

「精霊王は増えないってば」

 笑う炎の巫女エレーナ。

「でも、それってあたしら炎の民には嬉しいことかも。あのね、属性の精霊王と、属性の竜はセットなんだよ。土の精霊女王レイアには地竜、風の精霊王ゼフィロスには風竜、水の精霊王オケアノスには水竜。なら、炎の精霊王アータル様には?」

「火竜ってことか」

「そう! 先代の火竜はとても強かったと聞くけど、あたしのご先祖でもある魔王に倒されちゃったんだよね。でも、多分新しい火竜が生まれようとしてるんだと思う」

 アータルの中から、次の火竜が生まれるわけか。
 だからこそ、炎の精霊王が荒ぶっている。

「つまり、アータルから卵を取り出せばいいんだな。それが今回の俺達、モフライダーズの目標だ」

 やるべき事がはっきりした。
 炎の島を救い、新たな火竜の誕生を手助けするために、行動開始と行こう。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...