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第四部:オケアノス海の冒険 3
第129話 アータル撃退作戦 その1
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何日かすると、山がゴゴゴゴゴ、と唸りだすようになっていた。
どうやら精霊王アータルが力を取り戻したらしい。
「昔は何日でも暴れ続けていたらしいのよね。だけど、一度魔王に負けて滅ぼされてから、アータル様もすっかり弱っちゃって」
「弱ってあれかあ。まあ、一度暴れたらしばらく休息が必要なのは助かるな」
お陰で、作戦を練ることができた。
「みんな、下に降りてくるサラマンダーはよろしく」
「任せておけ!」
「お任せですわ!」
『猫遣いが荒いにゃー』
『わふん』
今回、フランメがいることで地上で戦うメンバーにブランを投入できるのは大きい。
これで危険はぐっと少なくなるだろう。
『では行くチュン』
フランメが宣言すると、彼の雀ボディから強烈な炎の渦が巻き起こった。
これを見ていた島民達が、うおおおーっとどよめく。
炎の渦は形を変え、翼となり、尾羽根となり、そして黄金の嘴と燃え上がるとさかが突き出してきて、あっという間にフェニックスになってしまった。
『乗るがいい』
「よーし! 行くぞフランメ、ローズ!」
『ちゅちゅー!』
ローズが俺の襟元から顔を出して、勇ましく小さい前足を突き上げた。
有事には、完全に俺と一緒に行動することになっているハムスターである。
彼の運を操る能力はとても重要なのだ。
フランメは体から発する熱を利用し、自ら上昇気流を生み出す。
俺が乗り込むと、彼の巨体が羽ばたきもしないのにフワリと浮き上がった。
『掴まっていろ』
「ああ!」
ぎゅっとフランメの背中のモフモフ羽毛をつかむ。
アリサがとても羨ましそうな目をした。
後でモフモフさせてあげるから。
「センセエー!! がんばってくるですよー!!」
クルミは俺を信じている。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら手を振ってくれた。
彼女に片手を振り返しながら、俺はまず一端、オケアノス海へ。
アータル出現の気配を感じ取ったか、オケアノス海は一面の曇り空。
今にも一雨来そうだ。
もちろん、雨程度ではよほどの豪雨ですら、炎属性の大精霊にも通用しない。
ましてや、炎の精霊王アータルならばなおさらだ。
「オケアノス!」
上空から、海に向かって呼びかける。
すると、眼下の海面いっぱいに、嫌そうな表情をした男の顔が浮かび上がった。
『うるさい、分かっているわい』
「ああ。方法は任せるけど、頼むよ」
『ああ、面倒だ。千年掛けて取り戻した力を、こんなところで使わされるとはブツブツブツブツ』
なんて人間的な精霊王なんだ。
だが、彼としてもアータルが大暴れして、海に溶岩を流し込まれるのは困るようだ。
「俺達をアータル島に送り込んだのだから、自分も責任をとるべきでは? じゃあよろしくお願いします。最初は強く当たって、あとは流れで」
『ううーっ、人間なんぞに指図されるとは……ブツブツブツ』
まだブツブツ言ってる。
まあ、これから彼の上を航海するわけだし、あまり言って機嫌を損ねるのも良くないな。
これくらいにしておこう。
フランメを旋回させて、アータル山へ向かう。
そこでは、山頂の火口ギリギリまでマグマがせり上がってきていた。
今まさに、そのマグマの中から2つの目が開き、俺を睨んだところだ。
アータルめ、調子を取り戻しているな。
唐突に、マグマの一部が爆ぜて俺達へと襲いかかってきた。
これをフランメが体を傾けてやり過ごす。
おお、物凄い熱気が通り過ぎていったな。
精霊王アータル、やる気満々だ。
やがて、ぐつぐつと煮えたぎっていたマグマから、巨大な腕が突き出してきた。
ぬっと伸びたそれは、長さだけでもセントロー王国の王城を優に超えるだろう。
それが山頂の端を掴むと、掴んだところから炎が巻き起こった。
サラマンダーだ。
アータルは行動するだけで、全身から炎の精霊を生み出す。
もっとも、それは何をするにもエネルギーを使うので、こうして動き続けているとエネルギー切れで活動できなくなることを現してもいる。
ただ、今回は時間切れを狙う作戦ではないんだよな。
もっと根本的に状況を解決せねばならないのだ。
『オオオオオオオオオオオ────!』
咆哮が響き渡る。
加工のマグマそのものが形を成して起き上がっていく。
あれ全てが、炎の精霊王アータルだ。
炎の色をしているのに、そこだけまるで人間のような目玉が、俺達を追う。
「アータル! 君の核になっている火竜の卵を貰い受けに来たぞ!」
『オオオオオッ!』
精霊王が吠えた。
言葉になっていなくても分かる。
怒りの咆哮だな。
この精霊王はどうも、いつも何かに怒っている。
『やらんぞ……!! わしは火竜と一つになって、今度こそあの忌まわしい男を焼き尽くす力を手に入れるのだ……!!』
「うわあ喋った!! あ、オケアノスが喋るんだからアータルも喋るか」
俺はびっくりした。
背後の海面から、
『そりゃあ喋るじゃろ』
と突っ込みが飛んでくる。
うんうん、オケアノスも状況をしっかり見ているな。
しかしまあ、アータルの言う忌まわしい男とは魔王のことだろう。世界にどれだけ影響を及ぼしたんだ。
前方から来る、アータルの熱風。
それに対して、後方から湿った空気が流れ込んできた。
おっと、風が強くなってきたな。
島の方からは、わあわあと島民が騒ぐ声がする。
海を指差して何かを叫んでいるが……。
一瞬振り返って理解した。
「ああ、竜巻か!?」
あれは風の領域では無いかと思ったが、どうやらオケアノスもできるらしい。
大量の海水を巻き上げた竜巻が発生し、頭上の暗雲がもりもりと膨らんでいくところだった。
オケアノス、やる気バリバリである。
「まずは強く当たって、と言ったが、思った以上に強い一発目が来そうだぞ」
俺はフランメに掴まりながら、それに備えるのだった。
どうやら精霊王アータルが力を取り戻したらしい。
「昔は何日でも暴れ続けていたらしいのよね。だけど、一度魔王に負けて滅ぼされてから、アータル様もすっかり弱っちゃって」
「弱ってあれかあ。まあ、一度暴れたらしばらく休息が必要なのは助かるな」
お陰で、作戦を練ることができた。
「みんな、下に降りてくるサラマンダーはよろしく」
「任せておけ!」
「お任せですわ!」
『猫遣いが荒いにゃー』
『わふん』
今回、フランメがいることで地上で戦うメンバーにブランを投入できるのは大きい。
これで危険はぐっと少なくなるだろう。
『では行くチュン』
フランメが宣言すると、彼の雀ボディから強烈な炎の渦が巻き起こった。
これを見ていた島民達が、うおおおーっとどよめく。
炎の渦は形を変え、翼となり、尾羽根となり、そして黄金の嘴と燃え上がるとさかが突き出してきて、あっという間にフェニックスになってしまった。
『乗るがいい』
「よーし! 行くぞフランメ、ローズ!」
『ちゅちゅー!』
ローズが俺の襟元から顔を出して、勇ましく小さい前足を突き上げた。
有事には、完全に俺と一緒に行動することになっているハムスターである。
彼の運を操る能力はとても重要なのだ。
フランメは体から発する熱を利用し、自ら上昇気流を生み出す。
俺が乗り込むと、彼の巨体が羽ばたきもしないのにフワリと浮き上がった。
『掴まっていろ』
「ああ!」
ぎゅっとフランメの背中のモフモフ羽毛をつかむ。
アリサがとても羨ましそうな目をした。
後でモフモフさせてあげるから。
「センセエー!! がんばってくるですよー!!」
クルミは俺を信じている。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら手を振ってくれた。
彼女に片手を振り返しながら、俺はまず一端、オケアノス海へ。
アータル出現の気配を感じ取ったか、オケアノス海は一面の曇り空。
今にも一雨来そうだ。
もちろん、雨程度ではよほどの豪雨ですら、炎属性の大精霊にも通用しない。
ましてや、炎の精霊王アータルならばなおさらだ。
「オケアノス!」
上空から、海に向かって呼びかける。
すると、眼下の海面いっぱいに、嫌そうな表情をした男の顔が浮かび上がった。
『うるさい、分かっているわい』
「ああ。方法は任せるけど、頼むよ」
『ああ、面倒だ。千年掛けて取り戻した力を、こんなところで使わされるとはブツブツブツブツ』
なんて人間的な精霊王なんだ。
だが、彼としてもアータルが大暴れして、海に溶岩を流し込まれるのは困るようだ。
「俺達をアータル島に送り込んだのだから、自分も責任をとるべきでは? じゃあよろしくお願いします。最初は強く当たって、あとは流れで」
『ううーっ、人間なんぞに指図されるとは……ブツブツブツ』
まだブツブツ言ってる。
まあ、これから彼の上を航海するわけだし、あまり言って機嫌を損ねるのも良くないな。
これくらいにしておこう。
フランメを旋回させて、アータル山へ向かう。
そこでは、山頂の火口ギリギリまでマグマがせり上がってきていた。
今まさに、そのマグマの中から2つの目が開き、俺を睨んだところだ。
アータルめ、調子を取り戻しているな。
唐突に、マグマの一部が爆ぜて俺達へと襲いかかってきた。
これをフランメが体を傾けてやり過ごす。
おお、物凄い熱気が通り過ぎていったな。
精霊王アータル、やる気満々だ。
やがて、ぐつぐつと煮えたぎっていたマグマから、巨大な腕が突き出してきた。
ぬっと伸びたそれは、長さだけでもセントロー王国の王城を優に超えるだろう。
それが山頂の端を掴むと、掴んだところから炎が巻き起こった。
サラマンダーだ。
アータルは行動するだけで、全身から炎の精霊を生み出す。
もっとも、それは何をするにもエネルギーを使うので、こうして動き続けているとエネルギー切れで活動できなくなることを現してもいる。
ただ、今回は時間切れを狙う作戦ではないんだよな。
もっと根本的に状況を解決せねばならないのだ。
『オオオオオオオオオオオ────!』
咆哮が響き渡る。
加工のマグマそのものが形を成して起き上がっていく。
あれ全てが、炎の精霊王アータルだ。
炎の色をしているのに、そこだけまるで人間のような目玉が、俺達を追う。
「アータル! 君の核になっている火竜の卵を貰い受けに来たぞ!」
『オオオオオッ!』
精霊王が吠えた。
言葉になっていなくても分かる。
怒りの咆哮だな。
この精霊王はどうも、いつも何かに怒っている。
『やらんぞ……!! わしは火竜と一つになって、今度こそあの忌まわしい男を焼き尽くす力を手に入れるのだ……!!』
「うわあ喋った!! あ、オケアノスが喋るんだからアータルも喋るか」
俺はびっくりした。
背後の海面から、
『そりゃあ喋るじゃろ』
と突っ込みが飛んでくる。
うんうん、オケアノスも状況をしっかり見ているな。
しかしまあ、アータルの言う忌まわしい男とは魔王のことだろう。世界にどれだけ影響を及ぼしたんだ。
前方から来る、アータルの熱風。
それに対して、後方から湿った空気が流れ込んできた。
おっと、風が強くなってきたな。
島の方からは、わあわあと島民が騒ぐ声がする。
海を指差して何かを叫んでいるが……。
一瞬振り返って理解した。
「ああ、竜巻か!?」
あれは風の領域では無いかと思ったが、どうやらオケアノスもできるらしい。
大量の海水を巻き上げた竜巻が発生し、頭上の暗雲がもりもりと膨らんでいくところだった。
オケアノス、やる気バリバリである。
「まずは強く当たって、と言ったが、思った以上に強い一発目が来そうだぞ」
俺はフランメに掴まりながら、それに備えるのだった。
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