モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
143 / 173
第四部:オケアノス海の冒険 4

第134話 いざ上陸……と思ったらクラーケン! その1

しおりを挟む
 神話返りという大変物騒な状況になっている、サフィーロ群島国家。
 絶対に物騒なことに巻き込まれるぞ、という予感を抱きながら、旅は続いた。

 船旅は、時間がゆったりと流れていく。
 のんびり過ごすもよし。
 釣りをするもよし。

 俺はクルミやアルディとともに、訓練をすることにしていた。

「とやー!」

 クルミがスリングを素早く取り出して振り回す。
 飛んだ玉が、船の船長室に当たってポスっと落ちた。
 当たっても痛くない、ブランの抜け毛が入った柔らか玉である。

「ふむむ! クルミはうでが上がったですねえ」

「うん、アドポリスの時よりも、速さも正確さも上がってる。Bランクレンジャーくらいの実力にはなってるね」

「やったです!」

「飛び道具なあ。俺は飛び道具はどうにも苦手でな。ま、射たれたら受け流すか打ち返せばいい」

 アルディはスリングや、弓といった飛び道具は使う気が一切無いらしい。
 接近戦、しかも剣のみ。
 それでアータル島での戦いをしれっとこなしたんだから大したもんだ。

 俺がいない間の彼の活躍を聞いていたけれど、モフモフ達と同等レベルの戦いぶりを示したらしい。
 しかも、実に楽しそうだったと。

「辺境伯に生まれたのが不運でしたわね、彼」

 とはアリサの言葉だ。
 ちなみに彼女は、日課のモフモフブラッシングで忙しい。
 午前中いっぱいを使ってブランをブラッシングすると、午後はドレを追いかけて船の中を駆け回り、夕方はローズをモフり、夜はフランメをモフって眠る。

 とても幸せそうである。
 この生活が彼女にとっての約束の地かもしれない。

「よし、リーダー、今度は俺とやろうぜ。あんた、ショートソードの腕前も結構なもんじゃねえか」

「まあね。人並み程度には訓練してる」

 スリングだけとはいかないのが俺のスタイルだ。
 投擲、体術、剣の腕。
 どれも研ぎ澄ませておかないとな。

 ということで、アルディに一手指南を願うのだ。
 間違いなく、アルディは俺が知る限り最強の剣士である。

 彼と打ち合っているだけで、自分の腕がメキメキ上がっていくのが分かる。

「リーダーの吸収力は半端じゃないな! わはは! うちの騎士連中だって、そこまで飲み込みが良くなかったぜ! 俺の技が翌日には通じなくなってる!」

「学習して対策を練るのが俺のスタイルだからね。強い先生がいてくれて本当に助かってるよ!」

 魔法のショートソードと、アルディの魔剣がぶつかり合うたびに火花が散る。
 船の上という不安定な環境もいい。
 ボディバランスを整えながら、強敵と打ち合う感触が得られる。

 かくして、船の上ではゆったりと時間が流れるものだが、俺の体感時間は早く過ぎ去っていった。

 この光景を、船員達は感心しながら眺めていたものである。

「閣下とやりあえる奴なんて初めて見たぜ」

「まだまだ閣下にゃ及ばねえけどよ。でも、うちの騎士よりも強いだろあれ」

「さすがはモフライダーズのリーダーだなあ」

 いやいや、そんな大したものでは。
 でもとりあえず、動体視力とショートソードの扱い方はみっちりと訓練できたかな。

 そんな辺りで、船は群島国家へ到着だ。
 水平線に、緑色のポツポツとした島々が見えてきた。

「陸ですー!」

 マストに登っていたクルミが歓声をあげる。
 ゼロ族の彼女は、ロープも何も必要なく、マストを見張り台まであっという間に登ってしまう。
 お陰で、船の見張り担当は、昼間はクルミがやっていた。

 今、船では真剣に、ゼロ族を船員として雇うべきではないかという議論が交わされている。
 クルミがあちこちでゼロ族の可能性を見せつけているから、そのうちこのリスの力を持った種族が世界に広がっていくかも知れないな。

 そんな事を考えていたら、またクルミが声を上げた。

「船がおそわれてるですー!」

「な、なんだってー!?」

 これには俺達もびっくり。
 みんなで舳先に集まって、遠くにある船を見る。

 そこは、陸地にほど近い海。
 それでも水深はそれなりにあるようで、水底を見通すことができない。

 どうやらサフィーロに属するらしい商船が、その場で何者かに襲われているようだった。
 だが、船影はない。

「クルミ! 他に船は無いようだけど」

「えっと! 船じゃないです! なんか青いぬるぬるっとしたのが、海から出てきてるですよー!!」

 青いぬるぬるっとしたの!?
 よくよく目を凝らす。

 すると、船に巻き付いた長くて青いものが見える。
 あれは船の装飾品とかではなく?
 何らかのモンスターだとでも言うんだろうか。

 すると、青いものに巻かれた船体の一部がひしゃげ、ひび割れた。

 モンスターだ!

 向こうの船の上では、船員たちがわあわあと叫んで走り回っている。
 青いものに、必至に刃物を振り下ろしたりしているようだが……あれは効いてないな。

「野郎ども! 突っ込め! 向こうの船を救うぞ!」

 アルディが吠えた。

「了解ですぜ閣下ーっ!!」

 盛り上がるバルゴン号のクルー達。
 かくして、大きく帆が張られて船が加速する。
 向かうはサフィーロ沖、謎の大型モンスターに襲われる船!

 あの細長いのはなんだ?
 蛇……?
 海蛇の一種かもしれないな。

 そう俺が思った時だ。
 水面から、やつの本体が姿を現した。

 真っ青な肌色に、黄色く瞬く光の斑点。
 頭は尖って天を突き、目玉はぎょろりと大きくて、人の頭ほどもある。

 これは……バカでかいイカだ!
 そして俺は、こいつのことを書物で知っていた。

「みんな、クラーケンだ! モンスターイカだぞ!!」

 サフィーロ上陸前に、モンスターとの一戦が始まるのだ。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...