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第四部:オケアノス海の冒険 4
第136話 いざ上陸……と思ったらクラーケン その3
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「でも結局調べてしまう辺りがオースさんの人の良さですわねえ」
「俺としちゃ大歓迎だがな。のっけから精霊王相手に大立ち回りできるなんて、リーダー、あんた持ってるぜ」
アリサとアルディに散々な事を言われながら、港町で情報収集する俺なのだ。
「いや、まあそうだけどね……。アドポリス方面にもクラーケンが出てるとかで、船が減ってるって言うじゃないか。それまでの間に手持ち無沙汰でいるよりは、少しでも仕事をしてたほうがね」
どうも俺は、働いている方が楽な性分らしい。
ニコニコしながら横をクルミがついてくる。
「仕事してるセンセエはかっこいいですよ!」
「ありがとう。すっかり貧乏性が染み付いてしまったなあ。ま、実家も没落貴族だから貧乏なんだけどさ」
四匹のモフモフを従えた俺達一行は、かなり目立つ。
それは、真っ白な体に魚のような下半身を持つマーメイドが行き交う、サフィーロの港町であっても同様だ。
「あら」
隣をふわふわ、泳ぐように行き過ぎたマーメイドがドレをみて口元を押さえた。
「あの、ちょっと触っても?」
「どうぞ」
『磯の香りがするにゃあ』
「猫ちゃんは私を見ても美味しそうだって思わないのね? それにおしゃべりしてくる」
『己は色々食べてみたけど、陸の食べ物に、何よりミルクが気に入ったにゃあ。それに知的種族を爪に掛けるほど見境がないわけじゃないにゃ』
ドレ、この世界に来たばかりの頃は、人間を使って色々企んでいたはずでは。
言わないでおこう。
マーメイドはドレをもふもふさわさわした後、満足したらしくて手を振りながら去って行った。
「フシギなにおいがする人ですねえ」
「うん。マーメイドは半分魚……というか、イカなんだよ。クラーケンの遠い親戚みたいな人達なんだ」
「ほえー! でも全然見た目が違うですよ?」
クルミが目を丸くして驚く。
「それはね、イカの頭の部分が彼女達の腰から下になってるからだよ。イカを逆さまにして、目の付いてるところを頭にして、触手を腕にしたら……」
「あ、マーメイドさんになったです!」
「それに、マーメイドは魔法をいつも使ってるのですわねえ。あれ、水と風の精霊魔法を組み合わせて空を泳いでいますわ」
マーメイドは下半身が魚状のまま、人間達に溶け込みながらであちこちを泳ぎ回っている。
中には、下半身を海水で満たされた樽につけながら、店を営業しているものもいる。
「セントローにはマーメイドは寄り付かないんだけどよ。なんつうか……なんで女ばかりなんだ?」
「マーマンもいるよ。ただ、彼らは保守的だと聞く。自らはあまり上がってこないで、彼らマーメイドとマーマンの国を守っているのだそうだ」
クラーケンは、本来ならばそんなマーメイドとマーマンの乗り物だったはず。
だが、単体であのモンスターイカが暴れているとなると。
「なるほど、マーメイド達に聞いて回るのが一番近道だ。ありがとうアルディ」
「俺の話が何かのヒントになったのか? そいつはどういたしましてだ。じゃあ、さっきのマーメイドのお姉ちゃんを追いかけないとな」
ということで。
「まあまあ! どうしたんの?」
先程のマーメイド嬢とお話することになった。
港町の開放的な酒場にて、彼女にいっぱい奢りながら最近のサフィーロのお話など伺うのだ。
「最近のサフィーロ? うーん、そうねえ。神話返りっていうのは人間の間ではやっている言葉でしょう? あまりピンと来ないわ。世の中、フシギなことってそうは無いもの」
人魚は真っ白な……文字通り、白い指先を絡めながら頬杖を突いた。
イカだと分かってても艶めかしい。
ちなみに外を歩き回るマーメイド達は、陽の光が当たる部分を彩色したりして、擬似的な日焼け状態を作って楽しんでいるようだ。いや、陽の光を散らしてるんだろうか?
「不思議なことが無いって? 同感だ。世の中のどれにも、理由がある。神話返りだってきっとそれは理由があって起こってることだろうね」
「ええ。そう思うわ。私達、気が合うのかもしれないわねえ」
にっこりとマーメイドが微笑みかけた。
彼女の名は、ペリル。
ちょっと俺に興味津々っぽい雰囲気を出してて、なんとなく苦手な感じなんだが……なぜかクルミは鷹揚にこのやり取りを眺めている。
「クルミさん、マーメイドがオースさんにモーションを掛けてますわよ?」
「んー、なんかイカさんは恋敵って気がしないですよねえ」
ちなみにイカだとしても、マーメイドは人間との間に子どもを残せるんだぞ。
ここは俺が自衛しておくとしよう。
「例えば、俺がアドポリスで退治してきたモンスターは、人為的に召喚されたものだった。神都ラグナスではテロリストが暗躍していたし、アータル島では火竜の卵が出現したことが、精霊王アータルの再来の原因だった。何もかも、全て原因がある。とりあえずクラーケンに関しては君は詳しいと思うんだけど」
「そうね」
ペリルが宙を見つめる。
「あれはねえ。誰かへそまがりなマーマンが悪いことしているのだと思うの」
「マーマンが?」
「そう。彼ら、基本的に人間が大嫌いだもの。だから、私達マーメイドが地上に出ていくのが気に入らないんだと思うわ。もう、そんな時代なんて千年も前に終わってしまったのにねえ」
マーメイドもまた、魔王の出現とともに現れた種族。
彼らからすると、千年前に突然、海がこちらの世界の海につながったと言う話だった。
そして海の外に、人間という変わった生き物がたくさんいたと。
「それは港の人達も分かって?」
「分かってはいると思うわ。だから、あちこちで対策が取られ始めてるけど……採算が合わなくて困ってるみたい」
そりゃあそうだろう。
マーマンを尋常な手段で倒そうと思ったら、商船じゃなくて軍船が必要になる。
軍船じゃ商品を運べないしな。
毎回、商船に軍船の護衛をつけるわけにもいかないだろう。
「よし、じゃあ俺達が解決しよう。ペリル、案内してくれるかい?」
「あなた達が?」
ペリルが目を見開いた。
マーメイドの目は黒目がちで、大きい。
それが見開かれると、目ばかりが印象的になるなあ。
ペリルは、俺達の他に、モフモフ達を見回した。
「うん、なんだかあなた達ならやれそうな気がしてきたわ。水の中で戦う?」
「水の中はうちのモフモフに任せて、俺は黒幕をおびき出そうかな」
さあて、港を困らせるクラーケン事件。
サクッと解決していこうじゃないか。
「俺としちゃ大歓迎だがな。のっけから精霊王相手に大立ち回りできるなんて、リーダー、あんた持ってるぜ」
アリサとアルディに散々な事を言われながら、港町で情報収集する俺なのだ。
「いや、まあそうだけどね……。アドポリス方面にもクラーケンが出てるとかで、船が減ってるって言うじゃないか。それまでの間に手持ち無沙汰でいるよりは、少しでも仕事をしてたほうがね」
どうも俺は、働いている方が楽な性分らしい。
ニコニコしながら横をクルミがついてくる。
「仕事してるセンセエはかっこいいですよ!」
「ありがとう。すっかり貧乏性が染み付いてしまったなあ。ま、実家も没落貴族だから貧乏なんだけどさ」
四匹のモフモフを従えた俺達一行は、かなり目立つ。
それは、真っ白な体に魚のような下半身を持つマーメイドが行き交う、サフィーロの港町であっても同様だ。
「あら」
隣をふわふわ、泳ぐように行き過ぎたマーメイドがドレをみて口元を押さえた。
「あの、ちょっと触っても?」
「どうぞ」
『磯の香りがするにゃあ』
「猫ちゃんは私を見ても美味しそうだって思わないのね? それにおしゃべりしてくる」
『己は色々食べてみたけど、陸の食べ物に、何よりミルクが気に入ったにゃあ。それに知的種族を爪に掛けるほど見境がないわけじゃないにゃ』
ドレ、この世界に来たばかりの頃は、人間を使って色々企んでいたはずでは。
言わないでおこう。
マーメイドはドレをもふもふさわさわした後、満足したらしくて手を振りながら去って行った。
「フシギなにおいがする人ですねえ」
「うん。マーメイドは半分魚……というか、イカなんだよ。クラーケンの遠い親戚みたいな人達なんだ」
「ほえー! でも全然見た目が違うですよ?」
クルミが目を丸くして驚く。
「それはね、イカの頭の部分が彼女達の腰から下になってるからだよ。イカを逆さまにして、目の付いてるところを頭にして、触手を腕にしたら……」
「あ、マーメイドさんになったです!」
「それに、マーメイドは魔法をいつも使ってるのですわねえ。あれ、水と風の精霊魔法を組み合わせて空を泳いでいますわ」
マーメイドは下半身が魚状のまま、人間達に溶け込みながらであちこちを泳ぎ回っている。
中には、下半身を海水で満たされた樽につけながら、店を営業しているものもいる。
「セントローにはマーメイドは寄り付かないんだけどよ。なんつうか……なんで女ばかりなんだ?」
「マーマンもいるよ。ただ、彼らは保守的だと聞く。自らはあまり上がってこないで、彼らマーメイドとマーマンの国を守っているのだそうだ」
クラーケンは、本来ならばそんなマーメイドとマーマンの乗り物だったはず。
だが、単体であのモンスターイカが暴れているとなると。
「なるほど、マーメイド達に聞いて回るのが一番近道だ。ありがとうアルディ」
「俺の話が何かのヒントになったのか? そいつはどういたしましてだ。じゃあ、さっきのマーメイドのお姉ちゃんを追いかけないとな」
ということで。
「まあまあ! どうしたんの?」
先程のマーメイド嬢とお話することになった。
港町の開放的な酒場にて、彼女にいっぱい奢りながら最近のサフィーロのお話など伺うのだ。
「最近のサフィーロ? うーん、そうねえ。神話返りっていうのは人間の間ではやっている言葉でしょう? あまりピンと来ないわ。世の中、フシギなことってそうは無いもの」
人魚は真っ白な……文字通り、白い指先を絡めながら頬杖を突いた。
イカだと分かってても艶めかしい。
ちなみに外を歩き回るマーメイド達は、陽の光が当たる部分を彩色したりして、擬似的な日焼け状態を作って楽しんでいるようだ。いや、陽の光を散らしてるんだろうか?
「不思議なことが無いって? 同感だ。世の中のどれにも、理由がある。神話返りだってきっとそれは理由があって起こってることだろうね」
「ええ。そう思うわ。私達、気が合うのかもしれないわねえ」
にっこりとマーメイドが微笑みかけた。
彼女の名は、ペリル。
ちょっと俺に興味津々っぽい雰囲気を出してて、なんとなく苦手な感じなんだが……なぜかクルミは鷹揚にこのやり取りを眺めている。
「クルミさん、マーメイドがオースさんにモーションを掛けてますわよ?」
「んー、なんかイカさんは恋敵って気がしないですよねえ」
ちなみにイカだとしても、マーメイドは人間との間に子どもを残せるんだぞ。
ここは俺が自衛しておくとしよう。
「例えば、俺がアドポリスで退治してきたモンスターは、人為的に召喚されたものだった。神都ラグナスではテロリストが暗躍していたし、アータル島では火竜の卵が出現したことが、精霊王アータルの再来の原因だった。何もかも、全て原因がある。とりあえずクラーケンに関しては君は詳しいと思うんだけど」
「そうね」
ペリルが宙を見つめる。
「あれはねえ。誰かへそまがりなマーマンが悪いことしているのだと思うの」
「マーマンが?」
「そう。彼ら、基本的に人間が大嫌いだもの。だから、私達マーメイドが地上に出ていくのが気に入らないんだと思うわ。もう、そんな時代なんて千年も前に終わってしまったのにねえ」
マーメイドもまた、魔王の出現とともに現れた種族。
彼らからすると、千年前に突然、海がこちらの世界の海につながったと言う話だった。
そして海の外に、人間という変わった生き物がたくさんいたと。
「それは港の人達も分かって?」
「分かってはいると思うわ。だから、あちこちで対策が取られ始めてるけど……採算が合わなくて困ってるみたい」
そりゃあそうだろう。
マーマンを尋常な手段で倒そうと思ったら、商船じゃなくて軍船が必要になる。
軍船じゃ商品を運べないしな。
毎回、商船に軍船の護衛をつけるわけにもいかないだろう。
「よし、じゃあ俺達が解決しよう。ペリル、案内してくれるかい?」
「あなた達が?」
ペリルが目を見開いた。
マーメイドの目は黒目がちで、大きい。
それが見開かれると、目ばかりが印象的になるなあ。
ペリルは、俺達の他に、モフモフ達を見回した。
「うん、なんだかあなた達ならやれそうな気がしてきたわ。水の中で戦う?」
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サクッと解決していこうじゃないか。
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