モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
145 / 173
第四部:オケアノス海の冒険 4

第136話 いざ上陸……と思ったらクラーケン その3

しおりを挟む
「でも結局調べてしまう辺りがオースさんの人の良さですわねえ」

「俺としちゃ大歓迎だがな。のっけから精霊王相手に大立ち回りできるなんて、リーダー、あんた持ってるぜ」

 アリサとアルディに散々な事を言われながら、港町で情報収集する俺なのだ。

「いや、まあそうだけどね……。アドポリス方面にもクラーケンが出てるとかで、船が減ってるって言うじゃないか。それまでの間に手持ち無沙汰でいるよりは、少しでも仕事をしてたほうがね」

 どうも俺は、働いている方が楽な性分らしい。
 ニコニコしながら横をクルミがついてくる。

「仕事してるセンセエはかっこいいですよ!」

「ありがとう。すっかり貧乏性が染み付いてしまったなあ。ま、実家も没落貴族だから貧乏なんだけどさ」

 四匹のモフモフを従えた俺達一行は、かなり目立つ。
 それは、真っ白な体に魚のような下半身を持つマーメイドが行き交う、サフィーロの港町であっても同様だ。

「あら」

 隣をふわふわ、泳ぐように行き過ぎたマーメイドがドレをみて口元を押さえた。

「あの、ちょっと触っても?」

「どうぞ」

『磯の香りがするにゃあ』

「猫ちゃんは私を見ても美味しそうだって思わないのね? それにおしゃべりしてくる」

『己は色々食べてみたけど、陸の食べ物に、何よりミルクが気に入ったにゃあ。それに知的種族を爪に掛けるほど見境がないわけじゃないにゃ』

 ドレ、この世界に来たばかりの頃は、人間を使って色々企んでいたはずでは。
 言わないでおこう。

 マーメイドはドレをもふもふさわさわした後、満足したらしくて手を振りながら去って行った。

「フシギなにおいがする人ですねえ」

「うん。マーメイドは半分魚……というか、イカなんだよ。クラーケンの遠い親戚みたいな人達なんだ」

「ほえー! でも全然見た目が違うですよ?」

 クルミが目を丸くして驚く。

「それはね、イカの頭の部分が彼女達の腰から下になってるからだよ。イカを逆さまにして、目の付いてるところを頭にして、触手を腕にしたら……」

「あ、マーメイドさんになったです!」

「それに、マーメイドは魔法をいつも使ってるのですわねえ。あれ、水と風の精霊魔法を組み合わせて空を泳いでいますわ」

 マーメイドは下半身が魚状のまま、人間達に溶け込みながらであちこちを泳ぎ回っている。
 中には、下半身を海水で満たされた樽につけながら、店を営業しているものもいる。

「セントローにはマーメイドは寄り付かないんだけどよ。なんつうか……なんで女ばかりなんだ?」

「マーマンもいるよ。ただ、彼らは保守的だと聞く。自らはあまり上がってこないで、彼らマーメイドとマーマンの国を守っているのだそうだ」

 クラーケンは、本来ならばそんなマーメイドとマーマンの乗り物だったはず。
 だが、単体であのモンスターイカが暴れているとなると。

「なるほど、マーメイド達に聞いて回るのが一番近道だ。ありがとうアルディ」

「俺の話が何かのヒントになったのか? そいつはどういたしましてだ。じゃあ、さっきのマーメイドのお姉ちゃんを追いかけないとな」

 ということで。

「まあまあ! どうしたんの?」

 先程のマーメイド嬢とお話することになった。
 港町の開放的な酒場にて、彼女にいっぱい奢りながら最近のサフィーロのお話など伺うのだ。

「最近のサフィーロ? うーん、そうねえ。神話返りっていうのは人間の間ではやっている言葉でしょう? あまりピンと来ないわ。世の中、フシギなことってそうは無いもの」

 人魚は真っ白な……文字通り、白い指先を絡めながら頬杖を突いた。
 イカだと分かってても艶めかしい。

 ちなみに外を歩き回るマーメイド達は、陽の光が当たる部分を彩色したりして、擬似的な日焼け状態を作って楽しんでいるようだ。いや、陽の光を散らしてるんだろうか?

「不思議なことが無いって? 同感だ。世の中のどれにも、理由がある。神話返りだってきっとそれは理由があって起こってることだろうね」

「ええ。そう思うわ。私達、気が合うのかもしれないわねえ」

 にっこりとマーメイドが微笑みかけた。
 彼女の名は、ペリル。
 ちょっと俺に興味津々っぽい雰囲気を出してて、なんとなく苦手な感じなんだが……なぜかクルミは鷹揚にこのやり取りを眺めている。

「クルミさん、マーメイドがオースさんにモーションを掛けてますわよ?」

「んー、なんかイカさんは恋敵って気がしないですよねえ」

 ちなみにイカだとしても、マーメイドは人間との間に子どもを残せるんだぞ。
 ここは俺が自衛しておくとしよう。

「例えば、俺がアドポリスで退治してきたモンスターは、人為的に召喚されたものだった。神都ラグナスではテロリストが暗躍していたし、アータル島では火竜の卵が出現したことが、精霊王アータルの再来の原因だった。何もかも、全て原因がある。とりあえずクラーケンに関しては君は詳しいと思うんだけど」

「そうね」

 ペリルが宙を見つめる。

「あれはねえ。誰かへそまがりなマーマンが悪いことしているのだと思うの」

「マーマンが?」

「そう。彼ら、基本的に人間が大嫌いだもの。だから、私達マーメイドが地上に出ていくのが気に入らないんだと思うわ。もう、そんな時代なんて千年も前に終わってしまったのにねえ」

 マーメイドもまた、魔王の出現とともに現れた種族。
 彼らからすると、千年前に突然、海がこちらの世界の海につながったと言う話だった。
 そして海の外に、人間という変わった生き物がたくさんいたと。

「それは港の人達も分かって?」

「分かってはいると思うわ。だから、あちこちで対策が取られ始めてるけど……採算が合わなくて困ってるみたい」

 そりゃあそうだろう。
 マーマンを尋常な手段で倒そうと思ったら、商船じゃなくて軍船が必要になる。
 軍船じゃ商品を運べないしな。

 毎回、商船に軍船の護衛をつけるわけにもいかないだろう。

「よし、じゃあ俺達が解決しよう。ペリル、案内してくれるかい?」

「あなた達が?」

 ペリルが目を見開いた。
 マーメイドの目は黒目がちで、大きい。
 それが見開かれると、目ばかりが印象的になるなあ。

 ペリルは、俺達の他に、モフモフ達を見回した。

「うん、なんだかあなた達ならやれそうな気がしてきたわ。水の中で戦う?」

「水の中はうちのモフモフに任せて、俺は黒幕をおびき出そうかな」

 さあて、港を困らせるクラーケン事件。
 サクッと解決していこうじゃないか。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...