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第四部:オケアノス海の冒険 5
第143話 沼地のヒュドラー……じゃなくヒドラ その5
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夕方になった頃、アルディと再会した。
フランメが上空から俺達を見つけ、合流できたのだそうだ。
「いやはや、群島の港町だっていうのに恐ろしい賑わいだな。まるでうちの王都と変わらないぜ」
「セントロー王国は国土が広いからね。都も広いから、たくさんの人がいても分散しててギュウギュウにはならない。この港町は少し時間をかければ隅から隅まで歩けてしまうほどの広さだろう? そこにそれなりの人間がいればこうなるさ」
「なるほどなあ。だが、狭いところに人が集まってると、やっぱり合流は難しいぜ。フランメには助けられたな」
『なんの、気にすることはないチュン。美味い焼鳥をもらった礼チュン』
どうやら二人で、屋台か何かでおやつを食べてきたようだ。
すっかり意気投合しているな。
「それで、リーダーのところはどうだったんだ? 何か情報は掴めたのか」
俺はアルディに、こちらで判明した情報と推測される事柄を説明する。
その後、地図を見せた。
「流石だな……! ほぼ全部じゃねえか。山頂の集落か? そこに向かえば、事の起こりは分かるし、場合によっちゃ解決もできるってわけだな」
「あくまで推測でしかないけどね。それで、アルディはどうだったんだい?」
「リーダーが調べた通りさ。俺も知ってるようなモンスターが多くいたが、どいつもこいつもニセモノだ。強さは本物にも劣らないし、根本的に違う生物だから対処方法が分からない。ってことで、ここの連中は苦労してるらしいぜ」
そうは言うものの、アルディは嬉しそうだ。
強敵との戦いに燃え上がる男なのだ。
「ひとまず、何種類かのモンスターの対処方法をメモってきた。こいつを見てくれ」
アルディが差し出してきたメモは、実に読みやすい。
「あら、アルディってば案外字が上手いんですのね」
アリサが感心する。
「そりゃあな。俺はこう見えても貴族の生まれで育ちだ。一通りの教養やマナーは身につけているぜ。少なくとも、両親が死んでから何年かは辺境伯を勤め上げたわけだしな」
そうだった。
ちょくちょく、アルディの素性のことを失念してしまうな。
それくらい、一介の戦士としての彼は堂に入っている。
ちなみに、クルミは文字の上手下手はよく分からないらしい。
最近文字を覚えた彼女だが、ちょっと変わった才能があって、どんな悪筆でも何が書かれているか読み取ってしまうのだ。
どうやら、筆跡にはその人間が持つ魔力の痕跡があるらしく、これを見てどういう意味の言葉なのかを察しているきらいがある。
「? よくわかんないです! でも、コッカトリスってコカトリスです? センセエとクルミが一緒にやっつけたですねえ」
「おう。コカトリスなら鳥なんだが、コッカトリスは二本足で走るアリクイだ」
「はえー!! じゃあ、このバシリスクってゆうのはヘビみたいな足がいっぱいあるトカゲさんじゃないですか!」
「ああ。どうやらでかいムカデらしい」
「ほえええー」
クルミがいちいちビックリするので、アルディも語っていて楽しいようだ。
確かに、自分が知っているモンスターが全く違う生物によって再現されている事態というのは、びっくりするよな。
だが、神話返りを起こした何者かがいるとして、そいつのモンスターをチョイスするセンスは独特だと言わざるをえない。
似てるようで明らかに違うのを、どうしてこうも選択するかなあ……。
ああ、いや。
もととなったモンスターと近い種類の動物が、この島に生息していないだけかも知れないな。
「バシリスク、コッカトリス、セイレーヌが鳥じゃなくて蛾の……いやあ、本当にニセモノモンスターが次々に出てくるもんだな。だけど、元となったものが何なのかさえ分かれば対策を立てやすい。出発までには、対応する戦法と装備を考えておくから安心していてくれ」
俺の言葉に、仲間達は信頼した顔で頷いた。
力押しでだって行けてしまうかも知れないが、それに慣れてしまった後で万一、力押しできないような状況になった時には危険だ。
常に自分達の力で状況を解決できるようにしておいた方がいい。
これが俺のスタンス。
「ということで、みんなは今回もサポートをお願いするよ」
『ご主人はほんとに回りくどいことが好きにゃ』
『己の力でやろうとするのは好ましいチュン』
『ちゅっちゅ』
『わふ』
最後にブランが、いつものことだね、と笑ったような顔をした。いや、これが素の顔だったな。
「それでセンセエ、どういうのがいりそうです?」
「大体炎晶石で足りるけど、戦闘が山の中だろ? 木々に燃え移る可能性もあるかもしれない。一応ここ、湿気の多いところだから大丈夫だとは思うけど。ということで、ちょっと搦め手で行ってみようか」
「からめて?」
「そう。氷晶石を中心に戦術を組み立ててみよう。アリクイばかりは寒さに強そうな気がするけど、昆虫系が多いようだ。彼らは低温時の体温調節機能が無いからね」
「ふむむ?」
クルミにはちょっと難しい物言いだった。
「つまり、寒さに弱いってことさ。本当はアータルとの対決でもあったほうが良かった……いや、焼け石に水かあ。だけど、今回の相手はほどほどのサイズだ。効果抜群だぞ」
「オースさん、張り切ってますわねえ……」
「俺に負けず劣らず、リーダーも戦うの好きだよなあ」
俺は平和主義者だ。
だけど、工夫することで倒せる相手との戦いは、嫌いじゃないのだ。
さーて、どんな戦術を組み立てようか。
今から楽しみだったりする。
フランメが上空から俺達を見つけ、合流できたのだそうだ。
「いやはや、群島の港町だっていうのに恐ろしい賑わいだな。まるでうちの王都と変わらないぜ」
「セントロー王国は国土が広いからね。都も広いから、たくさんの人がいても分散しててギュウギュウにはならない。この港町は少し時間をかければ隅から隅まで歩けてしまうほどの広さだろう? そこにそれなりの人間がいればこうなるさ」
「なるほどなあ。だが、狭いところに人が集まってると、やっぱり合流は難しいぜ。フランメには助けられたな」
『なんの、気にすることはないチュン。美味い焼鳥をもらった礼チュン』
どうやら二人で、屋台か何かでおやつを食べてきたようだ。
すっかり意気投合しているな。
「それで、リーダーのところはどうだったんだ? 何か情報は掴めたのか」
俺はアルディに、こちらで判明した情報と推測される事柄を説明する。
その後、地図を見せた。
「流石だな……! ほぼ全部じゃねえか。山頂の集落か? そこに向かえば、事の起こりは分かるし、場合によっちゃ解決もできるってわけだな」
「あくまで推測でしかないけどね。それで、アルディはどうだったんだい?」
「リーダーが調べた通りさ。俺も知ってるようなモンスターが多くいたが、どいつもこいつもニセモノだ。強さは本物にも劣らないし、根本的に違う生物だから対処方法が分からない。ってことで、ここの連中は苦労してるらしいぜ」
そうは言うものの、アルディは嬉しそうだ。
強敵との戦いに燃え上がる男なのだ。
「ひとまず、何種類かのモンスターの対処方法をメモってきた。こいつを見てくれ」
アルディが差し出してきたメモは、実に読みやすい。
「あら、アルディってば案外字が上手いんですのね」
アリサが感心する。
「そりゃあな。俺はこう見えても貴族の生まれで育ちだ。一通りの教養やマナーは身につけているぜ。少なくとも、両親が死んでから何年かは辺境伯を勤め上げたわけだしな」
そうだった。
ちょくちょく、アルディの素性のことを失念してしまうな。
それくらい、一介の戦士としての彼は堂に入っている。
ちなみに、クルミは文字の上手下手はよく分からないらしい。
最近文字を覚えた彼女だが、ちょっと変わった才能があって、どんな悪筆でも何が書かれているか読み取ってしまうのだ。
どうやら、筆跡にはその人間が持つ魔力の痕跡があるらしく、これを見てどういう意味の言葉なのかを察しているきらいがある。
「? よくわかんないです! でも、コッカトリスってコカトリスです? センセエとクルミが一緒にやっつけたですねえ」
「おう。コカトリスなら鳥なんだが、コッカトリスは二本足で走るアリクイだ」
「はえー!! じゃあ、このバシリスクってゆうのはヘビみたいな足がいっぱいあるトカゲさんじゃないですか!」
「ああ。どうやらでかいムカデらしい」
「ほえええー」
クルミがいちいちビックリするので、アルディも語っていて楽しいようだ。
確かに、自分が知っているモンスターが全く違う生物によって再現されている事態というのは、びっくりするよな。
だが、神話返りを起こした何者かがいるとして、そいつのモンスターをチョイスするセンスは独特だと言わざるをえない。
似てるようで明らかに違うのを、どうしてこうも選択するかなあ……。
ああ、いや。
もととなったモンスターと近い種類の動物が、この島に生息していないだけかも知れないな。
「バシリスク、コッカトリス、セイレーヌが鳥じゃなくて蛾の……いやあ、本当にニセモノモンスターが次々に出てくるもんだな。だけど、元となったものが何なのかさえ分かれば対策を立てやすい。出発までには、対応する戦法と装備を考えておくから安心していてくれ」
俺の言葉に、仲間達は信頼した顔で頷いた。
力押しでだって行けてしまうかも知れないが、それに慣れてしまった後で万一、力押しできないような状況になった時には危険だ。
常に自分達の力で状況を解決できるようにしておいた方がいい。
これが俺のスタンス。
「ということで、みんなは今回もサポートをお願いするよ」
『ご主人はほんとに回りくどいことが好きにゃ』
『己の力でやろうとするのは好ましいチュン』
『ちゅっちゅ』
『わふ』
最後にブランが、いつものことだね、と笑ったような顔をした。いや、これが素の顔だったな。
「それでセンセエ、どういうのがいりそうです?」
「大体炎晶石で足りるけど、戦闘が山の中だろ? 木々に燃え移る可能性もあるかもしれない。一応ここ、湿気の多いところだから大丈夫だとは思うけど。ということで、ちょっと搦め手で行ってみようか」
「からめて?」
「そう。氷晶石を中心に戦術を組み立ててみよう。アリクイばかりは寒さに強そうな気がするけど、昆虫系が多いようだ。彼らは低温時の体温調節機能が無いからね」
「ふむむ?」
クルミにはちょっと難しい物言いだった。
「つまり、寒さに弱いってことさ。本当はアータルとの対決でもあったほうが良かった……いや、焼け石に水かあ。だけど、今回の相手はほどほどのサイズだ。効果抜群だぞ」
「オースさん、張り切ってますわねえ……」
「俺に負けず劣らず、リーダーも戦うの好きだよなあ」
俺は平和主義者だ。
だけど、工夫することで倒せる相手との戦いは、嫌いじゃないのだ。
さーて、どんな戦術を組み立てようか。
今から楽しみだったりする。
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