170 / 173
最終幕:エルフェンバイン王国の冒険 2
第161話 空から降り来たる その3
しおりを挟む
『侵入者よ、警告します。速やかに退去しなさい。警告します。速やかに退去しなさい』
船の中に踏み入った瞬間、どこからかそんな声が聞こえる。
ソラフネ山のアレクシアは、俺達の言葉を話せるようになるまで少し掛かったものだが……。
「最初からこちらの言葉が分かるのか」
『現地にて稼働している船より、情報を受け取っています。あなた達は危険です。速やかに退去しなさい。さもなくば実力で排除します』
なるほど、アレクシアと、何らかの手段で連絡を取り合ったようだ。
そして俺達の事を知っていると。
「そうはいかない。退去してほしいのは君なんだけどね。ここは俺の実家がある農場なんだ。そんなところに、大きな船を降ろされちゃ堪らない」
『叶いません。私の役割は、この地をあとから来る民のためにテラフォーミングすること。この惑星X10-9421は新たなる民達の母星となるのです』
「ドレ、通訳してくれる?」
『つまりこいつを作った奴らが住みやすいようにこの世界をまるごと改造するって話にゃ。一方的なこいつらの都合にゃ』
「それは困るな。この世界には、俺達がもう住んでるんだ。やって来るなら、君達が間借りする立場になるんだから、こっちに合わせてもらわないと」
『なりません。惑星X10-9421は原始的な文明しか有さない惑星です。大気成分の20%はヤオロ星系の可住環境惑星と異なります。これを正常な値に調整せねばならない。広大な平野はそのために適した環境です』
「その調整とやらを施されたら、どうなるんだい」
『現地生物の半数は環境に適応できずに死亡するものと思われます。ですが問題ありません。こちらに、ゴドー星系の生物を解き放ち、新たな生態系を築きます』
「そんなの、そちらの勝手過ぎるじゃないか。ダメだよ、ダメ」
『実行します。これは決定事項です』
なるほど。
魔王がかつて、この世界に降り立とうとしたたくさんの船と戦ったらしい。
その時、全世界が魔王と手を携えて、この船を撃退した。
何故なのかがよく分かった。
この船は、交渉不能な侵略者なのだ。
端からこちらのことを見下していて、好き勝手に蹂躙してもいい相手だと思っている。
「さて、リーダー、暴れていいのかい?」
「もちろん。全力で行こう。船が地上に降りる前に倒すぞ!」
『敵対行動を確認。排除に移ります。取得したデータから、ガーディアンを生成』
俺達の目の前で、壁が展開していく。
一瞬前まで壁面だったものが、チェスの駒にも似た、ソラフネ山遺跡と同じようなゴーレムに変わっていくのだ。
『排除』
「されるのはてめえらだ!」
アルディが既に走っている。
ゴーレムが連続で射撃を行ってくるが、これを彼は次々に剣で弾く。
そして接敵するや否や、ゴーレムの一体の胴体を真っ二つに叩き切った。
「ソラフネ山で慣れてるんだよ、こっちは」
『わふーん!』
アルディに続いて走っていたブランが、ゴーレムの一体を押し倒す。
どれだけの射撃を受けても、彼は応えていないようだ。
倒したゴーレムを一噛みすると、それを無造作に食いちぎった。
これ以上無いくらいに宣戦布告だな。
「よーしみんな、前進あるのみ。船の中枢まで行こう!」
「や、やっぱり行くんですねえ」
カレンが怖気づいているが、まあいつものことだ。
『抵抗はやめるのだ。お前がこの惑星をテラフォーミングしたところで、後から来る船などおるまい。既に世界に船は降り立ち、生きこ残った子孫はこの惑星に適応している。お前がやろうとしていることに意味はない!』
ドレが大きな姿のまま、船に呼びかけている。
「ドレにしては真剣だね。いつも通りやる気が無いと思ったのに」
『当たり前だ。この船、絶対に動力炉を破壊するなよ。こいつは反応炉を積んでいる。この辺り一帯がまるごと消し飛ぶぞ。そうすれば己が愛するミルクもなくなってしまう!』
『わふーん』
『ほほう』
『ちゅっちゅ』
反応炉とやらが爆発すると、とんでもないことになる、というのは分かった。
それは即ち、船の心臓に当たる部分らしい。
なるほど、これだけ巨大な船を自在に動かす心臓部なら、さぞかし膨大な魔力を有していることだろう。
それが爆発するとなると……確かに、エルフェンバイン近辺が吹き飛ぶのも想像できる。
ちなみに、うちのモフモフ達はそんな爆発が起きたとしても、まず死なないだろうと言う話だった。
我が仲間ながら、規格外のモンスターだな。
『惑星を走査します。走査中。走査中』
『おっ、やっと話を聞いた』
「話が通じそうなのかい?」
『機械の電子頭脳というやつは感情に訴えかけるより、理論で納得させたほうがやりやすい。だが、並行作業に向いた連中でもあるから、己やご主人への攻撃は続けるだろう。こんな風にな』
ドレが触手を振り回す。
すると、頭上から出現していた腕だけのゴーレムみたいなものが、ひしゃげて砕け散った。
「休めないというわけだね。じゃあ、やっぱり中枢に行かなくちゃいけないな。目の前まで来られたら、この船もソラフネ山遺跡みたいに、話し合いに応じてくれるかもしれないだろ」
『もっともだ。電子頭脳と言えど、自己保存は優先順位が高かろう。さらに、無人船ともなればな』
『わふわふ!』
『なんだブラン。うわー、前足でペチペチするな。話に加われなくて悔しいのは分かったから』
「おおいモフモフ諸君、前に進んでくれ!」
船内でのゴーレムの猛攻を凌ぎつつ、モフモフ達がぺちぺちやり合っているのだった。
船の中に踏み入った瞬間、どこからかそんな声が聞こえる。
ソラフネ山のアレクシアは、俺達の言葉を話せるようになるまで少し掛かったものだが……。
「最初からこちらの言葉が分かるのか」
『現地にて稼働している船より、情報を受け取っています。あなた達は危険です。速やかに退去しなさい。さもなくば実力で排除します』
なるほど、アレクシアと、何らかの手段で連絡を取り合ったようだ。
そして俺達の事を知っていると。
「そうはいかない。退去してほしいのは君なんだけどね。ここは俺の実家がある農場なんだ。そんなところに、大きな船を降ろされちゃ堪らない」
『叶いません。私の役割は、この地をあとから来る民のためにテラフォーミングすること。この惑星X10-9421は新たなる民達の母星となるのです』
「ドレ、通訳してくれる?」
『つまりこいつを作った奴らが住みやすいようにこの世界をまるごと改造するって話にゃ。一方的なこいつらの都合にゃ』
「それは困るな。この世界には、俺達がもう住んでるんだ。やって来るなら、君達が間借りする立場になるんだから、こっちに合わせてもらわないと」
『なりません。惑星X10-9421は原始的な文明しか有さない惑星です。大気成分の20%はヤオロ星系の可住環境惑星と異なります。これを正常な値に調整せねばならない。広大な平野はそのために適した環境です』
「その調整とやらを施されたら、どうなるんだい」
『現地生物の半数は環境に適応できずに死亡するものと思われます。ですが問題ありません。こちらに、ゴドー星系の生物を解き放ち、新たな生態系を築きます』
「そんなの、そちらの勝手過ぎるじゃないか。ダメだよ、ダメ」
『実行します。これは決定事項です』
なるほど。
魔王がかつて、この世界に降り立とうとしたたくさんの船と戦ったらしい。
その時、全世界が魔王と手を携えて、この船を撃退した。
何故なのかがよく分かった。
この船は、交渉不能な侵略者なのだ。
端からこちらのことを見下していて、好き勝手に蹂躙してもいい相手だと思っている。
「さて、リーダー、暴れていいのかい?」
「もちろん。全力で行こう。船が地上に降りる前に倒すぞ!」
『敵対行動を確認。排除に移ります。取得したデータから、ガーディアンを生成』
俺達の目の前で、壁が展開していく。
一瞬前まで壁面だったものが、チェスの駒にも似た、ソラフネ山遺跡と同じようなゴーレムに変わっていくのだ。
『排除』
「されるのはてめえらだ!」
アルディが既に走っている。
ゴーレムが連続で射撃を行ってくるが、これを彼は次々に剣で弾く。
そして接敵するや否や、ゴーレムの一体の胴体を真っ二つに叩き切った。
「ソラフネ山で慣れてるんだよ、こっちは」
『わふーん!』
アルディに続いて走っていたブランが、ゴーレムの一体を押し倒す。
どれだけの射撃を受けても、彼は応えていないようだ。
倒したゴーレムを一噛みすると、それを無造作に食いちぎった。
これ以上無いくらいに宣戦布告だな。
「よーしみんな、前進あるのみ。船の中枢まで行こう!」
「や、やっぱり行くんですねえ」
カレンが怖気づいているが、まあいつものことだ。
『抵抗はやめるのだ。お前がこの惑星をテラフォーミングしたところで、後から来る船などおるまい。既に世界に船は降り立ち、生きこ残った子孫はこの惑星に適応している。お前がやろうとしていることに意味はない!』
ドレが大きな姿のまま、船に呼びかけている。
「ドレにしては真剣だね。いつも通りやる気が無いと思ったのに」
『当たり前だ。この船、絶対に動力炉を破壊するなよ。こいつは反応炉を積んでいる。この辺り一帯がまるごと消し飛ぶぞ。そうすれば己が愛するミルクもなくなってしまう!』
『わふーん』
『ほほう』
『ちゅっちゅ』
反応炉とやらが爆発すると、とんでもないことになる、というのは分かった。
それは即ち、船の心臓に当たる部分らしい。
なるほど、これだけ巨大な船を自在に動かす心臓部なら、さぞかし膨大な魔力を有していることだろう。
それが爆発するとなると……確かに、エルフェンバイン近辺が吹き飛ぶのも想像できる。
ちなみに、うちのモフモフ達はそんな爆発が起きたとしても、まず死なないだろうと言う話だった。
我が仲間ながら、規格外のモンスターだな。
『惑星を走査します。走査中。走査中』
『おっ、やっと話を聞いた』
「話が通じそうなのかい?」
『機械の電子頭脳というやつは感情に訴えかけるより、理論で納得させたほうがやりやすい。だが、並行作業に向いた連中でもあるから、己やご主人への攻撃は続けるだろう。こんな風にな』
ドレが触手を振り回す。
すると、頭上から出現していた腕だけのゴーレムみたいなものが、ひしゃげて砕け散った。
「休めないというわけだね。じゃあ、やっぱり中枢に行かなくちゃいけないな。目の前まで来られたら、この船もソラフネ山遺跡みたいに、話し合いに応じてくれるかもしれないだろ」
『もっともだ。電子頭脳と言えど、自己保存は優先順位が高かろう。さらに、無人船ともなればな』
『わふわふ!』
『なんだブラン。うわー、前足でペチペチするな。話に加われなくて悔しいのは分かったから』
「おおいモフモフ諸君、前に進んでくれ!」
船内でのゴーレムの猛攻を凌ぎつつ、モフモフ達がぺちぺちやり合っているのだった。
30
あなたにおすすめの小説
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?
mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。
乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか?
前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる