おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき

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スローライフが攻めてきたぞーっ編

第10話 突撃訪問、流血男爵のお城

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「こーんにーちはー」

 俺は小さな声を出しながら、流血男爵の城の門をくぐった。
 荷馬車は遠くに置いてきた。
 この戦いについてきたら絶対に壊れるからな。

 ポケットには、骨の鐘に戻したホネノサンダーと、他骨のベル六つ。
 骨次郎は常時、顕現させている。

『どうして囁き声なんですかな? 無言で入ればいいのでは』

「なんとなくな……。人様の家に無言で入るのは気が引ける」

「ブラッディアンを次々に捕らえてたかと思えば、次はそんな人のいいこと言うし。よくわかんないわねタマルは」

『カタカタ』

 俺は小市民なのである。



 しかし、流血男爵の城を最初に見た時はぶっ飛んだ。
 直方体っぽい、縦にでっかい城で、巨大な穴の上に建っているのだ。
 四方から橋が渡されて、これを使わないと城に入れない。

 四方の門には殺戮機械が設置されており、侵入者を通さないようにしている。
 城の外壁にも、たくさんの殺戮機械と見えるものがぶら下がっているのだ。

 とても地獄めいた光景である。
 お城なんか、大阪城とかネズミーランドのお城しか見たこと無かった俺にはかなりのカルチャーショックだった。

 へえー、本当の西洋のお城はこう言う見た目なんだなあ。
 ということで、殺戮機械をピョインッと虫網で捕らえたのだ。
 そして残念ながらアイテムボックスには余裕がないので、すぐに取り出して縁に置いて、ちょっと押して穴に落とした。

 なお、アイテムボックスの中身はさっき魔人商店に行って売ってきた。
 3000ptになったぞ。凄い。
 そしてこのポイントを使って、新しいインテリアを買ってきたのだ。

『これ、不意さえ討てればほぼ無敵ですな……』

「そうでもないぞ」

「そうでもないの?」

「今ので虫取り網が壊れた」

『ええーっ!?』

 ラムザーがびっくりして飛び上がった。

『どうするんですかな!? タマル様ができる唯一のことじゃないですか。もう大体何もできないと一緒でしょうが』

「ひどい言われようだな!? だが大丈夫だ。ここに、さっき倒した殺戮機械の腕があるだろ?」

 俺がそれを骨次郎から受け取る。
 すると……。

『新しいレシピが生まれました!』

▶DIYレシピ
 ※殺戮の虫取り網
 素材:殺戮機械の腕×2

「これをな、こうしてな」

 骨次郎が設置した作業台の上で、トンカントンカンDIYである。

『とても流血男爵の城の前とは思えませんな。まさか城の前でのんびり工作をするとは……』

「でもまあ、この異常な肝の太さが安心できる気がしない?」

『どういう神経してるんだって思いますなあ』

 ひどい言われようである。
 だが、虫取り網は完成した。

「できた! 殺戮の虫取り網だ!!」

『すごい名前ですな!! まるで捕らえたものを殺し尽くすような……』

「でもあれでしょ? 文字通り虫も殺さないで捕まえるだけなんでしょ?」

「その通りです」

 ヒュンヒュン虫取り網を振り回す。
 見た目はあちこちから刃が飛び出した殺戮機械の腕が、複雑に絡み合っている。
 その先端に網がついていて、言うなればこの網以外は見た目だけで何の意味も無いのだ。

「行くぞ!」

 ……ということで、始まりの描写に戻る。
 虫取り網を構えたまま、俺はそろりそろりと歩く。
 基本的に度胸がある方ではないのである。

 だが、たまにカッとなると大胆な行動もしてしまうな。

「ところでさ、今度は何を手に入れてきたの? タマルが手に入れるポイント? っていうやつで、色々もらえるんでしょ?」

「もらえるというか購入だな。そっか、ハーピーは貨幣とか買い物っていう概念がないんだな」

 話をしていたら、遠くからガチャンガチャン走ってくる者がいる。
 あっ、鎧を着込んだブラッディアンの騎士みたいなやつだ。
 強そう!

『カタカター!』

『カタカタカタ!』

「あっ、先走ってはいかん骨次郎! 骨三郎!」

 骨たちが棒を持って騎士に殴り掛かる。
 壺みたいなやつを囲んで叩いて倒した成功体験があるからか。

 だが、ブラッディアンの騎士は格が違った。
 骨三郎の棒を、パリィッと弾くと、そのままどうみても致命的な一撃を叩き込んできたのである。

『カタカター!』

「ほっ、骨三郎~!!」

 哀れ骨三郎、剣で貫かれて消えていく。
 骨三郎のベルに、ピシッと亀裂が入った。

 うう……あとで修理してやるからな……!

「骨次郎、退け! こいつは接近したら危険だ!」

『タマル様、対策はありますかな?』

「ああ! ちょっと角度調整するから時間だけ稼いでくれ」

『承知しました! うおおお!!』

 ラムザーが前に出て、騎士と打ち合い始めた。
 武器が複数あり、これを時間差で繰り出してパリィッと弾かせない作戦らしい。
 いい感じで拮抗している。

 だが、あの騎士はかなり強そうだ。
 いつラムザーがやられるかも分からない。

 ということで、本日購入しましたこれ!
 紙吹雪マシーン!

 俺はマシーンを取り出すと、騎士とラムザーに向けて設置した。
 方向を微調整……。

「なーに、これ?」

「今回の切り札だ。それ行くぞ、どーん!!」

 俺がスイッチを押すと、紙吹雪マシーンから猛烈な勢いで、紙吹雪が吹き出した。
 これにはラムザーも騎士もびっくりだ。

 お互いに距離を取り、飛びかかってくる紙吹雪に向かって武器を振り回している。
 馬鹿め!
 紙をパリィッと弾くことはできまい!

 そしてその隙に、俺が虫取り網を持って接近しているのだ。
 だが今回は、騎士はかなり近づいたところで俺に気づいた。

『もがーっ!!』

 剣を振り上げる!
 やべえ、気付かれるのかこれ!

『お前の相手はこっちですぞ!』

『もがーっ!!』

 ラムザーの呼びかけで振り返る騎士。
 ここで、俺は虫取り網を振り下ろした。

 騎士はそれを素早く、パリィッと弾こうと……した剣ごと、ピョインッ!という音とともに回収された。
 騎士アイコンがアイテムボックスに出現する。

「ふうー……。すげえ強敵だった。忍び寄るの、気付かれる相手には気付かれるんだな」

 一つ教訓を得た。
 流血男爵相手には気をつけよう。

▶レシピ
 殺戮の虫取り網

 UGWポイント
 1090pt
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