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シクスゼクス帝国編
第66話 しょぼい最高機密と魔族の国
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フィフス・シーなる魔法使い曰く、上の方針が完全に変わってしまったので、バーバリアン王バルクの娘だろうと通すわけにはいかなくなったのだとか。
『むしろ帝国の南方で戦端が開かれている。バルクによって魔獣十体が倒されたので、我々は全力で防壁を築き上げ、バーバリアンたちとの距離を取った』
「なんで方針転換したの」
『先代がお亡くなりになったのだ。新たな皇帝は野蛮なバーバリアンと付き合う必要など無いと言っている』
「それは色々まずいんじゃない?」
『我々フィフスシリーズにそれを判断する機能はない』
おっ、この責任者、人造魔法使いってやつか!
フィフス・エーとかからきっとアルファベット順に名前が続くんだぞ。
話にならんので、ピコルに聞くことにした。
「色々まずくない?」
「皇帝、昔バーバリアンにモヤシってバカにされたのを根に持ってるんです
『やめろピコル。最高機密情報だ』
「あっすみません! 今のなしで」
すごくしょぼい機密情報を手に入れてしまったぞ。
だが、感情の問題なら根深いな。
これは皇帝をすげ替えないと解決するまい。
「ルミイ、どうやら帝国を通っていけないようだな」
「あひー、困りました! ここから楽ちんだと思ってたのに! マナビさん、常に困難な方を面白半分に選びますから、この先は地獄の予感ですー!!」
俺という人間をよく理解している。
「カオルンは望むところなのだー! 腕が鳴るのだ!」
「どちらに行くんですか? 当機能は当然ながら同行します」
「アカネル! じゃあ、そう言うことで、無理やり押し通ることはしないよ。フィフスエレ帝国も敵地みたいなもんなんだろ」
『そうなるだろう』
フィフス・シーはまだ親切な方なのだ。
攻撃を仕掛けるわけでもなく、ここから先は入らないように、と忠告してくれているのだ。
しょぼい機密だろうと、笑わずに守ってくれる……。
こいつは、フィフスエレ皇帝にとってのカオルンみたいな存在かもしれない。
俺はこいつを尊重しようと思う。
「よし、では行こう。アカネル、この辺りの国はどうなるんだ?」
「それはヘルプ機能への質問ですか? でしたらお答えします。向かって右手側がシクスゼクス帝国。魔法使いが魔族と融合して暮らしていますので、既に人間が住めない魔境と化していて、もっとも敵対的な帝国です。左手側はセブンセンス帝国。先日のタクルによって国体を揺るがされ、大混乱のさなかで内戦状態にある国です」
「どっちも楽しそうじゃん。じゃあシクスゼクス通って行こうか」
「あひー!」
ルミイが悲鳴を上げるのだった。
どっちに行っても悲鳴を上げることになるもんなあ。
「ということで、俺たちはシクスゼクス帝国を通過して行くことにするよー」
「正気ですか!?」
ピコルがめちゃくちゃ心配してくれた。
フィフス・シーはこっちの選択には口出ししてこない。
俺たちが本格的に去るというのを理解して、
『では、職務があるので戻る』
そう告げて飛び去っていってしまった。
うーむ、仕事に生きているなあ。
『シクスゼクスに行くつもりか。……気の毒にな』
麻痺から回復したマンティコアがしみじみ呟いた。
どっちが気の毒なんだろうか。
遠い目をしているから、帝国を案じているのかもしれない。
さて、フィフスエレ帝国を大回りし、シクスゼクス帝国へと向かう。
どこまでも続く、森、森、森。
奥までは入れなかったが、フィフスエレ帝国は自然豊かなのだ。
まあ、俺は別に自然がスキなタイプでも無いので未練はない。
森の中だと温泉もなさそうだしな。
……待てよ?
自然に湧き出した水の中で水浴びというのもありうるのか。
ふーむ……。
森が全て迷いの森と化しているらしいが、ヘルプ機能で攻略可能だろうと思う。
ルミイの実家へ向かえる目処がついたら、森の泉で女子三人にキャッキャしてもらうのもいいのではないだろうか?
うむ、絶対にやってもらうべきだ。
「マナビさんがグフフって笑ってます! 何を考えてるんでしょうねえ」
「この後強敵と戦うからワクワクしてるに違いないのだ!」
「エッチな妄想をしてるんじゃないでしょうか」
アカネルだけが正確に俺を把握している。
さすがヘルプ機能だ。
そしてしばらく走ったら、森が突然ブツッと途切れた。
その先にあるのは、荒野である。
荒野には見慣れてきたと思ったのだが、この荒野はちょっと違う。
何というか、全体的に紫色の荒野なのだ。
毒の沼地みたいなのが見えていて、紫色の水が泡立っている。
大地は青紫っぽくて、土にも毒が張りそうな気配がある。
シクスゼクス帝国、魔族の国と言えるような異端の国家。
見た目からして徹底しているじゃないか。
「あひー! これ、入国するのすっごく嫌なんですけど!」
「たくさんバトルが待ってそうなのだ!」
ルミイとカオルンの反応は対極である。
だが、ルミイの希望に従っていると何もできなくなるからな。
「よーしルミイ、入国しちゃうぞー」
「あひー!」
今回は、アカネルが運転しており、カオルンが助手席。
後ろの席に俺とルミイ。
このハーフエルフは何かあると悲鳴をあげて、とても賑やかである。
魔導バギーは、ワイワイ騒ぐ俺たちを乗せて、今シクスゼクス帝国へ!
まあ、ここで何をしようというわけでもない。
まっすぐ横断して南のバーバリアンの土地を目指すだけなのだ。
スムーズに通してくれれば、いらぬ争いをする必要はないぞ!
そこのところ、分かっているかなあ、この帝国の人たちは。
『むしろ帝国の南方で戦端が開かれている。バルクによって魔獣十体が倒されたので、我々は全力で防壁を築き上げ、バーバリアンたちとの距離を取った』
「なんで方針転換したの」
『先代がお亡くなりになったのだ。新たな皇帝は野蛮なバーバリアンと付き合う必要など無いと言っている』
「それは色々まずいんじゃない?」
『我々フィフスシリーズにそれを判断する機能はない』
おっ、この責任者、人造魔法使いってやつか!
フィフス・エーとかからきっとアルファベット順に名前が続くんだぞ。
話にならんので、ピコルに聞くことにした。
「色々まずくない?」
「皇帝、昔バーバリアンにモヤシってバカにされたのを根に持ってるんです
『やめろピコル。最高機密情報だ』
「あっすみません! 今のなしで」
すごくしょぼい機密情報を手に入れてしまったぞ。
だが、感情の問題なら根深いな。
これは皇帝をすげ替えないと解決するまい。
「ルミイ、どうやら帝国を通っていけないようだな」
「あひー、困りました! ここから楽ちんだと思ってたのに! マナビさん、常に困難な方を面白半分に選びますから、この先は地獄の予感ですー!!」
俺という人間をよく理解している。
「カオルンは望むところなのだー! 腕が鳴るのだ!」
「どちらに行くんですか? 当機能は当然ながら同行します」
「アカネル! じゃあ、そう言うことで、無理やり押し通ることはしないよ。フィフスエレ帝国も敵地みたいなもんなんだろ」
『そうなるだろう』
フィフス・シーはまだ親切な方なのだ。
攻撃を仕掛けるわけでもなく、ここから先は入らないように、と忠告してくれているのだ。
しょぼい機密だろうと、笑わずに守ってくれる……。
こいつは、フィフスエレ皇帝にとってのカオルンみたいな存在かもしれない。
俺はこいつを尊重しようと思う。
「よし、では行こう。アカネル、この辺りの国はどうなるんだ?」
「それはヘルプ機能への質問ですか? でしたらお答えします。向かって右手側がシクスゼクス帝国。魔法使いが魔族と融合して暮らしていますので、既に人間が住めない魔境と化していて、もっとも敵対的な帝国です。左手側はセブンセンス帝国。先日のタクルによって国体を揺るがされ、大混乱のさなかで内戦状態にある国です」
「どっちも楽しそうじゃん。じゃあシクスゼクス通って行こうか」
「あひー!」
ルミイが悲鳴を上げるのだった。
どっちに行っても悲鳴を上げることになるもんなあ。
「ということで、俺たちはシクスゼクス帝国を通過して行くことにするよー」
「正気ですか!?」
ピコルがめちゃくちゃ心配してくれた。
フィフス・シーはこっちの選択には口出ししてこない。
俺たちが本格的に去るというのを理解して、
『では、職務があるので戻る』
そう告げて飛び去っていってしまった。
うーむ、仕事に生きているなあ。
『シクスゼクスに行くつもりか。……気の毒にな』
麻痺から回復したマンティコアがしみじみ呟いた。
どっちが気の毒なんだろうか。
遠い目をしているから、帝国を案じているのかもしれない。
さて、フィフスエレ帝国を大回りし、シクスゼクス帝国へと向かう。
どこまでも続く、森、森、森。
奥までは入れなかったが、フィフスエレ帝国は自然豊かなのだ。
まあ、俺は別に自然がスキなタイプでも無いので未練はない。
森の中だと温泉もなさそうだしな。
……待てよ?
自然に湧き出した水の中で水浴びというのもありうるのか。
ふーむ……。
森が全て迷いの森と化しているらしいが、ヘルプ機能で攻略可能だろうと思う。
ルミイの実家へ向かえる目処がついたら、森の泉で女子三人にキャッキャしてもらうのもいいのではないだろうか?
うむ、絶対にやってもらうべきだ。
「マナビさんがグフフって笑ってます! 何を考えてるんでしょうねえ」
「この後強敵と戦うからワクワクしてるに違いないのだ!」
「エッチな妄想をしてるんじゃないでしょうか」
アカネルだけが正確に俺を把握している。
さすがヘルプ機能だ。
そしてしばらく走ったら、森が突然ブツッと途切れた。
その先にあるのは、荒野である。
荒野には見慣れてきたと思ったのだが、この荒野はちょっと違う。
何というか、全体的に紫色の荒野なのだ。
毒の沼地みたいなのが見えていて、紫色の水が泡立っている。
大地は青紫っぽくて、土にも毒が張りそうな気配がある。
シクスゼクス帝国、魔族の国と言えるような異端の国家。
見た目からして徹底しているじゃないか。
「あひー! これ、入国するのすっごく嫌なんですけど!」
「たくさんバトルが待ってそうなのだ!」
ルミイとカオルンの反応は対極である。
だが、ルミイの希望に従っていると何もできなくなるからな。
「よーしルミイ、入国しちゃうぞー」
「あひー!」
今回は、アカネルが運転しており、カオルンが助手席。
後ろの席に俺とルミイ。
このハーフエルフは何かあると悲鳴をあげて、とても賑やかである。
魔導バギーは、ワイワイ騒ぐ俺たちを乗せて、今シクスゼクス帝国へ!
まあ、ここで何をしようというわけでもない。
まっすぐ横断して南のバーバリアンの土地を目指すだけなのだ。
スムーズに通してくれれば、いらぬ争いをする必要はないぞ!
そこのところ、分かっているかなあ、この帝国の人たちは。
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