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43・また来たぞ、ギルドの大掃除
第129話 大掃除始まる
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「ご主人のおてつだいねー」
「たのしみだねー」
「じゃあ、アララちゃんをお預かりします」
「ええ、お願いします。指示したらしっかり仕事をしてくれる子ですから」
飼い主氏からアララちゃんを預かり、僕はコゲタも連れて冒険者ギルドに向かうのだ。
目的は……春の風物詩。
冒険者ギルドの大掃除大会だ。
こういうコマコマした仕事が大好きなコゲタを連れて行こうと思っていたのだが……。
実はアララちゃんもコマコマした仕事が好きらしいと聞いたので、では行こうという話になったのだ。
コボルドは物の配達などが得意な足で頑張る民と、手先でちまちました作業を得意とする民がいるのだ。
たまたま僕らの家にいたコボルドが、みんな手先の器用な子だったということで。
ギルドに到着したら、ギルドの構成員がせっせと掃除をしているではないか。
下町ギルドの構成員はそれなりにいるので、お世話になっているギルドの建物だけ掃除するとすぐ終わってしまう……。
ということで、近所もまとめて掃除をすることになっている。
「やあナザル。ゆっくりだったね。後から来ると終了時間もずれ込むから大変だぞー」
「リップルは窓拭きしてるのか。プラチナ級に窓拭きをさせる下町ギルド……」
安楽椅子冒険者は作業着を身にまとい、腕まくりしてせっせと頑張っているではないか。
ちなみに彼女がこういう仕事することに、本部はいい顔をしていないのだが……。
うちのギルマスはとても平等なのでな。
「リップルさんこんにちは!」
「こんにちは!」
「はいこんにちは」
コボルドたちが元気に挨拶するのに、手を振って返すリップル。
彼女からすると孫みたいなものだなあ。
「ナザル、今失礼なことを考えたね?」
「いえいえ、なんでもございません」
さて、僕らの仕事は道のゴミ拾い……つまり、ゴミと言うか馬糞とかを拾い集める作業だ。
大きな籠を持って、ここに馬糞などを放り込んでいく。
「わっせ!」
「わっせ!」
コゲタとアララは籠を持つ役割をかわりばんこで、交代交代に馬糞を放り込む。
ひと手間掛かってるので、ペース的にはゆっくり。
だが実に楽しそうだ。
僕はこれを微笑ましく眺めながら、テキパキと仕事を進めた。
「あらー、頑張ってるわねー」
通りかかったおばちゃんが、コゲタとアララの頑張りをみてニコニコしている。
見ているだけで心がぽかぽかしてくるからね。
存分にコボルドの可愛さを堪能して欲しい。
コボルドはかわいいのだが、綺麗にしないと真価を発揮しない。
下町や商業地区で働いているコボルドたちは、ちょっと汚れてたりするので一見してかわいい生き物だとは思われづらいのだ。
その点、うちのコボルドたちはいつも綺麗に洗われててもふもふつやつやだからね。
宿のおかみさんが楽しみながら、嫌がる二匹を猛烈に洗う。
もう洗うのが趣味みたいなものだ。
おかげでもこもこもふもふ。
「かわいいわねー。そんなに綺麗にしてて大事にされてるコボルドが、一生懸命お掃除してるのは偉いわねー。これあげるわね」
「「ありがとー!!」」
おばちゃんが去っていった。
「何もらったの?」
聞いてみると、二匹がニコニコしながら高らかに掲げてくる。
ほうほう、干し肉!
これはコボルド定番のおやつですねえ。
塩味控えめのやつだった。
よしよし。
「でも馬糞をいじった手でやるとアレだから、しまっておいて後で食べようね」
「「はぁい」」
僕は干し肉を預かって、しまっておいた。
さて、三人がかりだと、仕事の速度も早い。
馬糞拾いはそもそも、アイアン級冒険者がちょこちょこやってる作業なのだ。
つまりこれ、ごくごく簡単なお掃除ということね。
サクサクと終わらせ、三人で並んで手を洗う。
魔法使いが煮沸した水だから清潔だぞ。
「よし、お昼にしよう」
「おひる!」
「ごはんー!」
この日は、冒険者ギルドから弁当が出る。
パンに分厚いベーコンを挟んだやつだ。
これと野菜のスープだな。
この日、ギルドの大掃除に参加する若い冒険者たちには、この弁当目当てのやつも多いからね。
タダメシは貴重。
コボルド用に塩少なめの焼き肉を挟んだやつを作ってもらった。
特別メニューなので、これは僕が金を払ったのだ……!
うんうん、ここ最近の美食もいいけど、たまにはこういう素朴なアーランの食事もいいものだ。
おお、野菜スープ、塩でしか味がついてない……。
タダで出てくるだけあって、本当に安いやつだ……。
しみじみと懐かしい味を堪能する。
しかし、この頃のアーランの食事は塩さえ抜けばコボルドでも一緒に食べられるんだよなあ。
これはこれで、栄養を摂取するだけならありなのだろうな。
誰でも作れるという利点もある。
僕の美食は、料理の心得がないと作れないからね。
さて、タダメシで腹が膨れたらちょっと休んで、午後の部開始である。
「次の仕事はなんだろうな」
「そりゃあ君、決まってるだろ」
リップルが僕らを招いた。
なんだなんだ。
「今年も、私と一緒に最上階の清掃だよ。プラチナ級特権だぞぉ」
「あ、そりゃあどうも……!」
「さいじょうかいー?」
「なんだろう」
コボルドたちは興味津々だ。
よしよし、いい景色を見せてやるからな。
「たのしみだねー」
「じゃあ、アララちゃんをお預かりします」
「ええ、お願いします。指示したらしっかり仕事をしてくれる子ですから」
飼い主氏からアララちゃんを預かり、僕はコゲタも連れて冒険者ギルドに向かうのだ。
目的は……春の風物詩。
冒険者ギルドの大掃除大会だ。
こういうコマコマした仕事が大好きなコゲタを連れて行こうと思っていたのだが……。
実はアララちゃんもコマコマした仕事が好きらしいと聞いたので、では行こうという話になったのだ。
コボルドは物の配達などが得意な足で頑張る民と、手先でちまちました作業を得意とする民がいるのだ。
たまたま僕らの家にいたコボルドが、みんな手先の器用な子だったということで。
ギルドに到着したら、ギルドの構成員がせっせと掃除をしているではないか。
下町ギルドの構成員はそれなりにいるので、お世話になっているギルドの建物だけ掃除するとすぐ終わってしまう……。
ということで、近所もまとめて掃除をすることになっている。
「やあナザル。ゆっくりだったね。後から来ると終了時間もずれ込むから大変だぞー」
「リップルは窓拭きしてるのか。プラチナ級に窓拭きをさせる下町ギルド……」
安楽椅子冒険者は作業着を身にまとい、腕まくりしてせっせと頑張っているではないか。
ちなみに彼女がこういう仕事することに、本部はいい顔をしていないのだが……。
うちのギルマスはとても平等なのでな。
「リップルさんこんにちは!」
「こんにちは!」
「はいこんにちは」
コボルドたちが元気に挨拶するのに、手を振って返すリップル。
彼女からすると孫みたいなものだなあ。
「ナザル、今失礼なことを考えたね?」
「いえいえ、なんでもございません」
さて、僕らの仕事は道のゴミ拾い……つまり、ゴミと言うか馬糞とかを拾い集める作業だ。
大きな籠を持って、ここに馬糞などを放り込んでいく。
「わっせ!」
「わっせ!」
コゲタとアララは籠を持つ役割をかわりばんこで、交代交代に馬糞を放り込む。
ひと手間掛かってるので、ペース的にはゆっくり。
だが実に楽しそうだ。
僕はこれを微笑ましく眺めながら、テキパキと仕事を進めた。
「あらー、頑張ってるわねー」
通りかかったおばちゃんが、コゲタとアララの頑張りをみてニコニコしている。
見ているだけで心がぽかぽかしてくるからね。
存分にコボルドの可愛さを堪能して欲しい。
コボルドはかわいいのだが、綺麗にしないと真価を発揮しない。
下町や商業地区で働いているコボルドたちは、ちょっと汚れてたりするので一見してかわいい生き物だとは思われづらいのだ。
その点、うちのコボルドたちはいつも綺麗に洗われててもふもふつやつやだからね。
宿のおかみさんが楽しみながら、嫌がる二匹を猛烈に洗う。
もう洗うのが趣味みたいなものだ。
おかげでもこもこもふもふ。
「かわいいわねー。そんなに綺麗にしてて大事にされてるコボルドが、一生懸命お掃除してるのは偉いわねー。これあげるわね」
「「ありがとー!!」」
おばちゃんが去っていった。
「何もらったの?」
聞いてみると、二匹がニコニコしながら高らかに掲げてくる。
ほうほう、干し肉!
これはコボルド定番のおやつですねえ。
塩味控えめのやつだった。
よしよし。
「でも馬糞をいじった手でやるとアレだから、しまっておいて後で食べようね」
「「はぁい」」
僕は干し肉を預かって、しまっておいた。
さて、三人がかりだと、仕事の速度も早い。
馬糞拾いはそもそも、アイアン級冒険者がちょこちょこやってる作業なのだ。
つまりこれ、ごくごく簡単なお掃除ということね。
サクサクと終わらせ、三人で並んで手を洗う。
魔法使いが煮沸した水だから清潔だぞ。
「よし、お昼にしよう」
「おひる!」
「ごはんー!」
この日は、冒険者ギルドから弁当が出る。
パンに分厚いベーコンを挟んだやつだ。
これと野菜のスープだな。
この日、ギルドの大掃除に参加する若い冒険者たちには、この弁当目当てのやつも多いからね。
タダメシは貴重。
コボルド用に塩少なめの焼き肉を挟んだやつを作ってもらった。
特別メニューなので、これは僕が金を払ったのだ……!
うんうん、ここ最近の美食もいいけど、たまにはこういう素朴なアーランの食事もいいものだ。
おお、野菜スープ、塩でしか味がついてない……。
タダで出てくるだけあって、本当に安いやつだ……。
しみじみと懐かしい味を堪能する。
しかし、この頃のアーランの食事は塩さえ抜けばコボルドでも一緒に食べられるんだよなあ。
これはこれで、栄養を摂取するだけならありなのだろうな。
誰でも作れるという利点もある。
僕の美食は、料理の心得がないと作れないからね。
さて、タダメシで腹が膨れたらちょっと休んで、午後の部開始である。
「次の仕事はなんだろうな」
「そりゃあ君、決まってるだろ」
リップルが僕らを招いた。
なんだなんだ。
「今年も、私と一緒に最上階の清掃だよ。プラチナ級特権だぞぉ」
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コボルドたちは興味津々だ。
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