俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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57・我、コロッケを欲す

第166話 これがコロッケである!

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 豆のげんこつ揚げで大体満足してもらっている感があるが……。
 本題はコロッケ。
 やるしかねえ。

「みんな。げんこつ揚げはオードブルに過ぎない……。メインディッシュはここからだぜ!」

 しっかりと蒸し終わった芋がゴロゴロと出てくる。
 これをマッシュマッシュ、押しつぶす。

「マッシュポテト? それはよくやるぜ?」

 農夫の一人の言葉に、僕は手を振って応えた。
 途中までは似ているかも知れないが、ちょっと待ってくれ。

 ひき肉が欲しいところだが、それは無いので干し肉を戻したものをみじん切りにし、これを炒める。
 で、芋に混ぜ混ぜ……。

「ここで粉に卵をだな」

「オー」「また粉に卵を!」「あれは万能なんじゃないか」

 気付いたようだな……。
 衣は揚げ物にとって最高の武器だぞ。

 僕はひき肉を混ぜたマッシュポテトを、衣に漬け込んだ。
 さらに用意してきたあらびきの粉にまぶし……。

 これを油にイン!!

 じゅわーっと音が響き渡る。

「マッシュを揚げたらバラバラになるんじゃないか!?」「いや、見ろよ! きちんと固まってるぞ!」「さっきのげんこつ揚げとは全然音が違う……」「もっとこう……どっしりしたような……」

 コロッケがきつね色になると、オーナーと農夫たちが「オー」とどよめいた。
 めちゃくちゃ美味しそうだろ?

 コゲタがゴクリと唾を飲む。
 鼻息が荒いぞ。

 これをサッと掬い上げて、油を落として並べていく……。
 どうだ?
 芋を揚げたものなのにとんでもなく美味そうだろう。

「出来上がりだ。塩は練り込んであるが、お好みで味付けして食べてくれ」

「お、おう! 俺が先に食べるぞ!」

「あっ、オーナーずるい!」「俺も俺も!」「うおー!」

 みんな掴みかかってきた。
 手掴みは火傷するからな! なんかで巻いて食え!

 彼らは皿に取り分けたコロッケを、あちあち言いながら指でちぎって、口に放り込んだ。

「むほー!!」

「ふほ!」「これが芋かよ!?」「ざくざく、ほくほく、うんまあ」

「揚げたてコロッケは最高だろう……」

 頷くオーナーと農夫たち。
 これを見て、リップルが堪らずにコロッケを手に取った。

 あっ、コロッケと手の間に温度を遮断する魔法をかけたな! 
 彼女はサクッとコロッケを齧ると、ほふほふしながら噛みしめる。

「ああ~。これは……美味しいねえ……。なんというかこう、ホッとする味だよ。さらに調味料で味付けしてもいいんだろう? それは楽しみだねえ!」

「コゲタも! コゲタもたべる! あちぃー!」

「あー、熱いから気をつけないとだぞー」

 僕はコゲタのぶんをフーフーして冷ましてやった。
 コゲタも横で、フーフーしている。
 で、ほどよくなったところをパクっと食べる。

 やっぱり熱かったらしくて、コゲタもほふほふしてる。
 だが、噛み締めて飲み込むと、彼はニコニコした。

「おいしー!!」

「良かったなあ。ちゃんとフーフーしながら食べるんだぞー」

「わん!」

 どれ、僕も食べるとしよう。
 揚げたてコロッケは最高だからね。
 ザクッと食べてみると、さすが僕の油、揚がり加減は最高だ。

 芋はマッシュ具合がちょっと甘いか?
 割とゴロッとした歯ごたえが残ってる。
 いや、むしろ美味いかも知れない……。

 僕のコロッケはこれで行こう。
 こっそり持ってきた醤油を掛けて食べる。
 あっ、うっまあ……。

 これだよ、これ。

 僕が醤油を掛けて、感動しながら食べているのを見たリップル。

「ナザル、私も私も!」

 とくっついてきた。
 仕方ないな……。
 醤油をちょっと垂らしてやる。

 彼女は醤油の掛かったコロッケをパクっとやり、「んん~!」と感嘆の声を漏らした。

「美味いなあ! なんだろう。すごくしみじみ美味しい。これはナザルが作ってきたものの中でもかなり上位じゃないかな。これ、絶対に季節を選ばずに美味しいやつだろう?」

「間違いない。食事によし、おやつによし、おかずによし、パンに載せてよし、つまみによし」

「完璧じゃあないか……! しかも主となるものが芋だから、お腹へのもたれ具合も周りの衣くらい……。いいじゃないかいいじゃないか」

 リップルは大変満足したようだ。
 その後、オーナーと農夫たち、そして奥さんたちが集まってきてコロッケパーティとなった。
 作り方を完全に伝授した後、

「コロッケの芋を完全に潰してしまって作るやり方もある。これだと、コロッケの中身は舌触りがとても滑らかになる。色々アレンジしてみて欲しい」

 そう伝えたのだった。
 僕はあくまで、最初の一つ目を作る役割。
 これを強化発展させ、広めていくのはこの世界の人々の仕事なのだ。

 そして僕に進化した揚げたてコロッケを食べさせてくれ!

 ああ、そうそう。
 コロッケが完成したなら、やっておかなくちゃだな。

 コロッケパンと、コロッケ蕎麦!!
 新たな野望を達成するため、僕はアーランへ戻ることにするのだった。

 そうだ、殿下にも献上しないとな、コロッケ。
 もうね、何かを生み出す度に世界が広がっていく。
 料理の選択肢が無限に増えていって、僕の手に負えなくなっていくのだ。

 これは……思いつく限りのバリエーションをあちこちに広めて、後は流れに任せてアーランの人々にアレンジしてもらうのがいいのではないか……。
 今後のやり方について、色々考えてしまう僕なのだった。

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