俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
175 / 337
60・北の国へ

第175話 冷蔵技術が欲しい!

しおりを挟む
 ベンクマンから依頼は、都市国家群の第一の名を関する、ワンダバーに向かい、彼の国が秘匿している冷凍魔法の技術を手に入れることなのだった。
 なるほど、これはコトだ……!
 それにあの国、にんにくがあったりしたしな。

「ご主人~! どこいくのー」

「うむ、次は北の国だぞー」

「きた?」

「さむーいところだ」

「コゲタ、さむいのとくい!」

 もふもふだもんな!
 今はちょっと夏毛だけど。

「そう言えばワンダバーも今頃は夏なのではないか?」

「そうなるな。ワンダバーに行くんだな? 俺も行こう」

「シズマ! 経験者が同行してくれると心強いなあ」

 ということで、この三人でワンダバーに向かうこととなったのであった。
 冷凍魔法の技術、僕も欲しい。
 なにせこれがあれば、いつでも冷えたビールとかを飲めるようになるのだ。

 牛乳をキンキンに冷やして飲んでもいいし、冷奴やキーウリを楽しむこともできる。
 ついに異世界パルメディアに生まれるか、冷蔵庫……!!

「なるほど、冷蔵庫が出来上がる可能性があるのか! 冷えたビール、いいね……。熱々のソーセージをキンキンのビールで楽しみたい」

「な! 頑張ろうぜ」

「おう! モチベーションが湧き上がってくる!」

 僕とシズマは熱くハイタッチする。
 コゲタがぴょんぴょん跳ねてハイタッチしたがったので、二人でしゃがんでハイタッチしてあげた。
 これはロータッチだな。

 まあ、コゲタが嬉しそうだからいいか。

 さて、今回の仕事はツーテイカーからの依頼だ。
 経費は向こうが持ってくれる。
 それだけに、僕らは必ず成果を持ち帰らねばならないのだが……。成功したら莫大な報酬が得られることだろう。
 
「金が手に入ったら美味しいものをたくさん揃えてだな。そして船を手に入れて、南国にあるという米を取りに行く」

「おおーっ! つ、ついに米を……!!」

「手を貸してくれシズマ!」

「無論だ!!」

「コゲタもー!」

「コゲタも一緒に行こうなー」

 ということで、街道を北上していく。
 この大陸は、多分かなりコンパクトだ。

 イメージ的に日本の本州位の大きさしかないのではないだろうか……?
 日本よりも山が少なく、比較的平坦。

 だからひたすら歩き続けると隣の国まで割とすぐに到着するのだ。

 で、ちょっと移動しただけで気候がバンバン変わる。
 これは精霊力みたいなものが働いているのだとかリップルが言っていた気がする。

 僕らは大量の荷物を荷馬車に乗せ、借りた荷馬を連れて行くのだ。
 この馬の名前はポーターと言って、大変心優しい馬である。

 コゲタみたいな小さい生き物が好きらしく、彼が横を歩いていると、鼻先を寄せてベロっと舐めたりしている。

「あーれー」

 舐められてよろけるコゲタ。

「ご主人ー! ポーターなめてくる!」

「コゲタのことが好きなんだろう」

「そおー?」

 またポーターがコゲタをベロンと舐めた。

「あわー」

 見てて楽しいなあ。
 大変和む旅であった。

「大体片道で半月は掛かった。アーランからの換算だから、ツーテイカーからだと十日くらいだな」

「やはりどう考えても近い。大陸という距離ではない」

「確かになあ……。東京から青森くらいまでの距離だと思うわ」

「なんてイメージしやすい」

 凸凹が少なめなパルメディアだからこそ、これだけの日にちで移動できるのである。
 野宿を繰り返したり、途中途中にある農村に泊めてもらったりなどして旅は続いた。
 農村は都市国家の庇護下にあり、農産物を献上することで彼らの兵力と足りないものとの物々交換なんかをできるようになっているわけだ。

 僕はここで!
 日本の料理を披露した!

 なんと農村にはバターがあった。
 卵もあった。
 パンもあった。

 フレンチトーストを作るしかあるまい。
 僕はパンを卵液に浸し、たっぷりのバターで焼いてなんかそれっぽいフレンチトーストを作った。
 大好評である。

「フレンチトーストっていうか卵パンだけど美味いな! 全然ありだわ!」

「うろ覚えフレンチトーストですまんな」

「ご主人、おいしーよ!」

 農村の人たちもやたら褒めてくれる。
 これでいいのかも知れない。
 いやいや、うろ覚えで褒められるのは、この世界で馴染みがない料理だからである。
 そこにあぐらをかいていては、僕の発展は無いのではなかろうか……!!

 アーランに帰ったら、こっちはギルド酒場のマスターと相談して詰めていこう……。
 スイーツ系の食事と言えばあの人だからね。

 なお、フレンチトーストもとい、卵パンのレシピと引き換えに農村宿泊は無料になった。
 ポーターは美味そうにたっぷりの牧草をもりもりと食べていたのだった。

 彼は本当にマイペースだなあ……。

 農村を発ち、北上していく。
 日一日ごとに寒くなっていくのが分かる。

 途中で、ツーテイカーから持ってきていた上着を羽織って移動することにした。

「以前に来た時はこんなもんじゃなかったぜ」

「もっと寒かったのか」

「ああ、もっとふわっふわの毛皮で四人ともモコモコになりながら移動してたわ」

「そうかあ……じゃあさすが夏なんだな。ほんの一週間くらい北上しただけで、体感温度が十度くらい下がってるけど、冬場なら零下になったりしていると」

「そうなるな。見ろ、ポーターは平気そうだ」

「馬は寒さに強いらしいからなあ……」

 全く気温を気にしていないポーターが、横を歩くコゲタをまたペロンと舐めるのだった。

「あひゃー」

 コゲタがまた悲鳴をあげているな。
 さて、ワンダバーまではもう少しだ。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき
ファンタジー
冴えない高校生女子、きら星はづき(配信ネーム)。 彼女は陰キャな自分を変えるため、今巷で話題のダンジョン配信をしようと思い立つ。 初配信の同接はわずか3人。 しかしその配信でゴボウを使ってゴブリンを撃退した切り抜き動画が作られ、はづきはSNSのトレンドに。 はづきのチャンネルの登録者数は増え、有名冒険配信会社の所属配信者と偶然コラボしたことで、さらにはづきの名前は知れ渡る。 ついには超有名配信者に言及されるほどにまで名前が広がるが、そこから逆恨みした超有名配信者のガチ恋勢により、あわやダンジョン内でアカウントBANに。 だが、そこから華麗に復活した姿が、今までで最高のバズりを引き起こす。 増え続ける登録者数と、留まる事を知らない同接の増加。 ついには、親しくなった有名会社の配信者の本格デビュー配信に呼ばれ、正式にコラボ。 トップ配信者への道をひた走ることになってしまったはづき。 そこへ、おバカな迷惑系アワチューバーが引き起こしたモンスタースタンピード、『ダンジョンハザード』がおそいかかり……。 これまで培ったコネと、大量の同接の力ではづきはこれを鎮圧することになる。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...