俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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71・遺跡第五層へハーブを探しに

第211話 殿下! ちょっとお願いが!!

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 知識神のお告げを得た僕とコゲタは帰ることにした。
 女王陛下とボクサーくんが見送ってくれる。

「カレーとやらができたら、わらわに絶対食べさせるのじゃぞ」

「もちろんです。カレーはその土地の具材を使うことで、各地のオリジナルカレーになるのですよ。ファイブショーナンならばシーフードカレーになることでしょう……」

「う、う、美味そうな響きに感じるのじゃ……!!」

「ご期待ください!!」

「うおー!」

 陛下がテンション高まって吠えている横で、コゲタとボクサーくんは握手してにこやかに別れていた。

「またね、ボクサーくん!」

「うん、またねコゲタ。げんきでね」

 小型種と大型種だけど、そんなの関係なく友情は成立するのだなあ。
 肉球のある手で、にぎにぎしあって、二人はパッと手を離した。

 後で聞いたら、

「によいでいっぱいわかるから、あんまおしゃべりしないの!」とのこと。
 なるほど、コボルドはにおいで分かり合うのだな。

 こうして僕らは帰還する。
 一番危険だったはぐれギルマンを全滅させたので、帰りは本当に平和だった。

「ご主人ー! ボクサーくんからわざならった!」

「ほうほう!」

 途中のキャンプで、コゲタがマスターしたという技を教えてもらった。

「ぼうをねー、えいやー!」

「おおーっ、槍のように突き出してすぐに戻す! 的確だなあ」

 コゲタのようなちびっこは、リーチが短い。
 これは近接戦だと致命的だ。
 だが、長い棒を持てば問題なくなる。

 重くなくても、その長さが武器になるのだ。
 先端でモンスターをつつけば、軽いコゲタならそれを起点にして回避もできる。
 つつく場所がモンスターの目や鼻の穴なら、ダメージだって与えられる。

 それに振り回して当てれば、遠心力でそこそこな威力にもなるだろう。
 何より棒ならコゲタが危なくない。

「いいじゃないかいいじゃないか、かっこいいぞコゲター」

「やったー!」

 ぴょーんと喜んで跳ねたコゲタ、着地のときに棒が引っかかって、しなった棒にびよーんと弾かれた。

「ああ~」

「コゲター!」

 棒も気をつけないといけないな!

 そして、アーランへ無事到着!
 僕はその足で冒険者ギルドへ向かう。

 おっ、今日はエリィがいるな。
 で、何故かメガネでのっぽの受付嬢と一緒にやってきた。

「それで、ギルマンはやっつけたんですか?」

「はいこれ。ヒレ四つ」

「相変わらず手練れですよねえナザルさん……」

「すごい……! 一人ではぐれギルマンを四体も倒したんですか!? シルバー級としてもトップクラスの実力ですよ、それは」

「ちょっと! この人にあまり感心したり感情を向けたりしないほうがいいわよ!」

「そうなんですか? 先輩?」

「そうよ! いろいろ心を弄ばれるから!」

「なんて人聞きの悪い。そしてのっぽさんはエリィの後輩だったのか……」

 ギルドの受付嬢は、それなりにコネがないとなれない。
 下町では最高レベルの職場であり、本部ともなればお役所系の仕事のてっぺんだ。
 ここより上は、王宮務めしかなく、王宮に仕えるには地位が必要だ。

 こののっぽさん、きっといいところのお嬢さんなんだろうなあ。

 エリィに色々まくしたてられて、「はぁ、なるほど、はぁ」と頷いている。
 いや、いい感じで聞き流しているな……。

 僕は報酬を受け取ると、すぐさま王城へ向かった。
 コゲタは宿に預けた!

 僕の顔を見ると、門番たちが「ナザルさんだ」「ナザルさんどもっす!」と挨拶しながら通してくれる。
 顔パスである!

 これはデュオス殿下の口利きもあるんだけどね。
 で、すぐさま殿下にアポを取って、準備してもらう。

 殿下はちょうど、宮殿の運動場で乗馬をしているところだったらしい。
 すぐ呼んで参れ、ということで、僕は馳せ参じるのだった。

「殿下! まずは報告致します。いい情報と、未来がキラキラと輝く情報の二つがあります」

「なにっ!!」

 殿下が大きな声を出したので、馬が驚いて立ち上がった。
 だが、日々の鍛錬でマッチョになっているデュオス殿下。
 落馬することなく、見事に馬を乗りこなして着地させた。

 悠然と降りてくる殿下。
 こうして外で乗馬服姿だと、ムキムキになっているのが分かるな。
 殿下、美食で体を壊さないためとはいえ、鍛え過ぎでは……?

 向こうでは奥方もポニーみたいな馬に乗っている。
 優雅にパカポコ走らせているが、奥方もなんか体がきゅっと引き締まってない?

 美食のために体を作り上げた第二王子夫妻だ。

「ナザル、まずは……いい情報から話すが良い。キラキラの方は後の楽しみにする」

「かしこまりました。いい情報はですね。ファイブショーナンより入ってくる海産物を口にして参りました。スープにしてよし、茹でたものをビネガーで締めると、これも酒の当てとして無上の美味さです」

「なるほどなるほど……!! 有用な情報だな。でかしたぞナザル! して、もう一つの情報とは……?」

「実は、知識神様がお告げをくださいまして」

「なんだと!? 知識神様の声を聞いたというのか!」

「はっ! 新たな、そして究極の美食の知識を授けられました。その名は……カレー……!!」

「カレー!!」

「スープにしてよし、そのままパンを付けてよし、パスタにかけてもよし、蕎麦にかけてもよし、具材は自由自在……」

「なんと!? そのようなものが……!!」

「これをアーランへ産み出すため、許可をいただきたいのです。遺跡第五階層攻略の許可を!!」

「な、なにぃーっ!! ところでどうして、第四階層の攻略が終わったことを知っているのだ? これは先ごろ、こちらに報告が上がってきたばかりなのだが」

 うっ!! 

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