俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
217 / 337
73・カレーコを求めて

第217話 今回のメンバーは彼らだ

しおりを挟む
 さて、軍資金を頂戴し、砂漠の王国へ旅立つことになった僕。
 コゲタを迎えに行き、「あったかいところにいくぞー」と告げた。

「あったかいとこ!」

「今のコゲタは冬毛だからちょっと暑いかもなあ」

「あついのやーねー」

「そうだなー」

 ちょっと毛を切って行こうと言う話になった。
 寒いところではなんなので、冬が途切れるところまで移動してだな。

「はいはーい。私~。コボルドちゃんの毛を切るの得意なんですよ~」

「ということで、ルリアさんに来てもらった。当然ツインも一緒だ」

「こんにちはー!」

 コゲタが元気よく挨拶した。
 ツインもルリアもニコニコしながら、「はい、こんにちは」「こんにちは~。挨拶できて偉い子ですねえ~」

 うんうん、初対面の印象はとてもいい。
 コゲタは誰にでも明るく挨拶できる子だからね。

「いやあ、カレーコ探索までご一緒してもらって本当にありがとう」

「いいんだよ。シズマが君との旅の話を本当に楽しそうにしてくるんだ。羨ましくなっちゃうじゃないか」

「ええ~。私達、いつもは神殿で奉仕していますし、機会がないと外に出ないものですから~。でも、久しぶりだから旅にでもいいですよ~って……」

「ははあ、なるほどー」

 シズマめ、めちゃめちゃ自慢していたな。
 で、彼女であるアーシェがここにいないのは、きっとシズマに埋め合わせをやらせているんだろう。

 アーランをちょっと離れると、すぐに暖かくなる。
 春くらいの気候だ。

 ここでコゲタの毛を切ることにした。

「あらー、もふもふしてて素敵ね~。じゃあ涼しくなっちゃいましょうねえ~」

「おねがいします!」

 チョキチョキ音がして、コゲタの毛がトリミングされていく。
 その間、僕とツインでこれからの旅程の話をするのだ。

「砂漠の王国までは、基本はこっちのルートの一本道だ。十日くらい移動すれば到着する。……ほんとこの大陸はちっちゃいなあ……」

「なるほどなるほど……。では迷う事はなさそうだね。実はルリアはちょっと方向音痴で……」

「聞こえてますよぉ~!」

 怒った!
 本人気にしてらっしゃるらしい。
 あまり言わんとこう。

「ちなみに砂漠の王国にも、ゴールド級冒険者の資格を持つ者が三名、プラチナ級が一名いる」

「いるんだ」

「ゴールド級が大陸全土で二十人、プラチナ級の正式な冒険者は十名いるからね。ちょっと大きな国ならいるものさ。知っているかい? そのうち、プラチナ級の実力者は七名までがアーランにいるんだ」

「いたんだ」

「いたんだよ。下町のギルドマスターだろう? リップルさんだろう? 至高神の最高司祭だろう? 慈愛神の最高司祭だろう? 盗賊ギルドのマスターだろう? フォーエイブル男爵のパリスン男爵……」

「パリスン男爵、冒険者の資格あったの!? しかもプラチナ!?」

「若い頃に参加されてプラチナ級になられたそうだ。名実ともに、現役なら王国最強の人物だと思うよ」

「本当に強かったんだなあ……! 何かっていうと僕の弱点を探る人だった」

「昔もそういう逸話が多い方だよ。変わっておられないんだなあ……」

 今はゴールド級冒険者で言うと、アーランに十名がいるんだそうで。
 そういう意味でもアーランはノーザンス大陸最強の国家ではある。

 とか話をしていたら、コゲタのトリミングが終わったようです。

「終わったわよ~。美人さんになったわ~」

「ごしゅじーん!」

 コゲタがパタパタ走ってきた。
 おお、もふもふがスッキリして、大変触り心地が良さそうになっている!

 ぴょーんとジャンプしてきたので、僕はばしっと体でキャッチした。
 おほー、撫で心地が素晴らしい。

「毛並みが最高になりましたねえ。ルリアさんの腕は本当に素晴らしい」

「ありがとうございます~。コゲタちゃんはとってもお行儀よく待っててくれました~」

 うんうん、パタパタ尻尾を降って、僕の胸元でぐりぐりするコゲタ。
 夏毛っぽい長さはやっぱり似合うなあ。
 冬毛も捨てがたいが、やはりコゲタは夏……!!

 しばらくコゲタの毛並みを堪能して、撫でまくった後。
 出発することになったのだった。

 さてさて、ノーザンス大陸の形状は、中央に山がやたらとある場所があり、山を切り裂くように谷がある。
 で、谷に山から川が流れ込み、海へと続くのだが……。

 この谷が大陸を二つに分けているのだ。

 片方は、都市国家群ファイブスターズの存在する地域。
 最近旅をしたのでよく知っているが、言うて街道周りをちょろちょろしただけだ。
 さらに奥地には秘境だってあることだろう。

 で、もう片方がこれから向かう砂漠の王国。
 途中途中にはステップ地帯があったり、遊牧民が住んでいたりするみたいなんだけど。
 今回は、そこは目的地ではないのでスルー。
 馬乳酒とかあるんだろうなあ。
 飲んでみたいなー。

 我慢、我慢なのだ。

「なお、その遊牧民がたまに賊になって襲ってくる……」

 ツインの言葉に何か覚えがあるぞ……。
 前回の砂漠の王国行きも、賊に襲われた気がするな……。

 あれ、遊牧民だったのか。
 それに、砂漠に行くまでにモンスターパラダイスが広がっている。
 思い出してきたぞ……。
 この旅路はそこまで平和ではないのだ……!

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき
ファンタジー
冴えない高校生女子、きら星はづき(配信ネーム)。 彼女は陰キャな自分を変えるため、今巷で話題のダンジョン配信をしようと思い立つ。 初配信の同接はわずか3人。 しかしその配信でゴボウを使ってゴブリンを撃退した切り抜き動画が作られ、はづきはSNSのトレンドに。 はづきのチャンネルの登録者数は増え、有名冒険配信会社の所属配信者と偶然コラボしたことで、さらにはづきの名前は知れ渡る。 ついには超有名配信者に言及されるほどにまで名前が広がるが、そこから逆恨みした超有名配信者のガチ恋勢により、あわやダンジョン内でアカウントBANに。 だが、そこから華麗に復活した姿が、今までで最高のバズりを引き起こす。 増え続ける登録者数と、留まる事を知らない同接の増加。 ついには、親しくなった有名会社の配信者の本格デビュー配信に呼ばれ、正式にコラボ。 トップ配信者への道をひた走ることになってしまったはづき。 そこへ、おバカな迷惑系アワチューバーが引き起こしたモンスタースタンピード、『ダンジョンハザード』がおそいかかり……。 これまで培ったコネと、大量の同接の力ではづきはこれを鎮圧することになる。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...