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72・見せてもらおうか、伝説のハーブの力
第216話 お許しをいただく
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翌日。
マサラガラムを手にしてデュオス殿下のお屋敷に向かった。
途中でシャザクも合流し、いかにマサラガラムがすごいかを伝えると、彼はほほー、と感心した。
「私も食べてみたいが……」
「厨房でどうせ大量に作る。シェフたちと一緒に味見するといい」
「そうか、そうだな! ……お土産としてエリィさんにも持っていってあげたいのだが」
「惚れたか……」
シャザク、この間のお見合いで、エリィを完全に気に入ったようだった。
まあ、気は強いし健康だし、声は大きいし。動きはキビキビしてるし、なんだかんだで気遣いができるからいい女だとは思う。
僕が君と彼女の中をプッシュした理由がそこだぞ。
ということで、シャザクとともに厨房入りだ。
「おお、ナザル殿!! 何か企んでいる顔をしていますな」「今回は何を披露してくれるんだ……!」「既にこの家に蓄積されたレパートリーは、毎日違うものを食べても百日は被らないほどですよ!」
「そんなに!?」
凄いことを聞いてしまった。
僕はどれだけの数のメニューを生み出してしまったのだ!
まだまだ生み出すぞ。
「皆さん、これをご覧あれ」
「これは……?」「荒く切断したハーブのような」「いや、よく見てみろこの袋を! 透明なのに完全に密閉されていて、どこにも継ぎ目がない」「全く匂いがしないぞ。まさか匂いを完全に閉じ込めているということか!」
みんなその辺りに注目するんだなあ。
ナイフを使って袋を切り開いてもらう。
ビニール袋なんか知らないだろうから、手触りや切り裂いた感触で彼らが歓声をあげるのが見てて面白い。
そして溢れ出す、マサラガラムの強烈で豊かな香り!
一瞬で厨房が包みこまれた。
「す、凄い香りだ……!!」「今までのハーブとは比べ物にならない!」
ということで、本日のメニューはギルボウのところでやったように、ごくごくシンプルなもの。
肉を焼いたものと、スープ。
ただし、これにマサラガラムを調味料として加える。
これだけで料理は別物になるのだ。
鳥肉に使うとタンドリーチキンだし、スープに使えばスープカレー……。
タイカレーみたいな感じね。色はグリーンじゃないけど。
あとは、パンは普通のを用意した。
一応王族用だからね。
で、シェフたちを従えて殿下の元へ。
扉を開けた瞬間、殿下たちの待つ部屋に素晴らしい香りが流れ込んだ。
「ぬおおおおお!! なんなのだこの香りは!! 今までに感じたこと無い凄まじい香気……!!」
「何かしら? 何かしら……!? 匂いが服についてしまいそう。だけれど、お腹が減ってくる香りだわ」
「お腹減りました!!」
お嬢さんは素直だなあ!!
並んだ料理、鳥肉のステーキと野菜と豆のスープは、殿下がたもごくごく慣れたものだと思うけれど……。
とんでもない香りに、三人とも息を飲んだ。
「先程から、強い香りがしてくると持っていたが……。これが、遺跡第五層で見つけたというハーブなのだな……? 名を……」
「マサラガラムでございます、殿下」
「マサラガラム!! なるほど、なるほど……!! そなたの力で、様々な美食を口にしてきた私だ。だが……この香りはどうだ! 味ではない。食べる前から、これが今まで口にしたものとは全く別物であることが分かる!」
「お分かりになりましたか……」
「分かる!」
「お父様! もう、もう食べてもいいですか!」
「うーん仕方ない、許す!!」
ということで!
ご一家は、マサラガラムの素晴らしい香りを楽しみながら食事をなされたのだった。
僕の後ろにいるシャザクも、シェフたちも、未だにポワポワした雰囲気を漂わせている。
彼らはマサラガラム料理を味見してみたところ、完全にノックアウトされてしまったのだった。
おーい、帰ってこーい!!
そして食事を終えた第二王子一家も、放心状態になったのだった。
みんな体がポカポカになったらしく、上気した顔をしてらっしゃる。
「こ」
たっぷり五分は経過したあと、ようやく殿下が口を開いた。
「これは……凄まじいものだなあ……。本当に……本当にすごかった。これまでのものは、味や食感を楽しむものだった。だがマサラガラムは……慣れたごく当たり前の食材を、特別なものに変えてしまった。究極のハーブ。それがこのマサラガラムなのであろうな」
「お分かりいただけましたか。僕が申し上げた、カレーと言う料理。その複雑さを担保するのがこのマサラガラムという最高のハーブです。なお、栽培の準備も整っていっています」
「なんと!? こ、このハーブを栽培できるというのか!! なんということだ……とんでもないことだ……。アーランの料理界がひっくり返るぞ……!!」
誰もが認める、マサラガラムの凄さ。
殿下の中にもしっかりと刻み込まれたようだ。
よしよし。
今なら言える。
「では殿下。僕はこれより、砂漠の王国へ向かい、最後のハーブを手に入れようと思っています」
「なにっ、最後のハーブとな!?」
「その名はカレーコ!! これによってカレーは完成します! 出立においてちょっと援助を……」
「それが狙いか! わはは! 構わぬ! 私から援助を出そう! そなたは大言を口にするが、その全てを現実に変えてきた! 私がそなたを信じぬわけには行くまい!」
パトロンの承認、ゲットだぜ!
マサラガラムを手にしてデュオス殿下のお屋敷に向かった。
途中でシャザクも合流し、いかにマサラガラムがすごいかを伝えると、彼はほほー、と感心した。
「私も食べてみたいが……」
「厨房でどうせ大量に作る。シェフたちと一緒に味見するといい」
「そうか、そうだな! ……お土産としてエリィさんにも持っていってあげたいのだが」
「惚れたか……」
シャザク、この間のお見合いで、エリィを完全に気に入ったようだった。
まあ、気は強いし健康だし、声は大きいし。動きはキビキビしてるし、なんだかんだで気遣いができるからいい女だとは思う。
僕が君と彼女の中をプッシュした理由がそこだぞ。
ということで、シャザクとともに厨房入りだ。
「おお、ナザル殿!! 何か企んでいる顔をしていますな」「今回は何を披露してくれるんだ……!」「既にこの家に蓄積されたレパートリーは、毎日違うものを食べても百日は被らないほどですよ!」
「そんなに!?」
凄いことを聞いてしまった。
僕はどれだけの数のメニューを生み出してしまったのだ!
まだまだ生み出すぞ。
「皆さん、これをご覧あれ」
「これは……?」「荒く切断したハーブのような」「いや、よく見てみろこの袋を! 透明なのに完全に密閉されていて、どこにも継ぎ目がない」「全く匂いがしないぞ。まさか匂いを完全に閉じ込めているということか!」
みんなその辺りに注目するんだなあ。
ナイフを使って袋を切り開いてもらう。
ビニール袋なんか知らないだろうから、手触りや切り裂いた感触で彼らが歓声をあげるのが見てて面白い。
そして溢れ出す、マサラガラムの強烈で豊かな香り!
一瞬で厨房が包みこまれた。
「す、凄い香りだ……!!」「今までのハーブとは比べ物にならない!」
ということで、本日のメニューはギルボウのところでやったように、ごくごくシンプルなもの。
肉を焼いたものと、スープ。
ただし、これにマサラガラムを調味料として加える。
これだけで料理は別物になるのだ。
鳥肉に使うとタンドリーチキンだし、スープに使えばスープカレー……。
タイカレーみたいな感じね。色はグリーンじゃないけど。
あとは、パンは普通のを用意した。
一応王族用だからね。
で、シェフたちを従えて殿下の元へ。
扉を開けた瞬間、殿下たちの待つ部屋に素晴らしい香りが流れ込んだ。
「ぬおおおおお!! なんなのだこの香りは!! 今までに感じたこと無い凄まじい香気……!!」
「何かしら? 何かしら……!? 匂いが服についてしまいそう。だけれど、お腹が減ってくる香りだわ」
「お腹減りました!!」
お嬢さんは素直だなあ!!
並んだ料理、鳥肉のステーキと野菜と豆のスープは、殿下がたもごくごく慣れたものだと思うけれど……。
とんでもない香りに、三人とも息を飲んだ。
「先程から、強い香りがしてくると持っていたが……。これが、遺跡第五層で見つけたというハーブなのだな……? 名を……」
「マサラガラムでございます、殿下」
「マサラガラム!! なるほど、なるほど……!! そなたの力で、様々な美食を口にしてきた私だ。だが……この香りはどうだ! 味ではない。食べる前から、これが今まで口にしたものとは全く別物であることが分かる!」
「お分かりになりましたか……」
「分かる!」
「お父様! もう、もう食べてもいいですか!」
「うーん仕方ない、許す!!」
ということで!
ご一家は、マサラガラムの素晴らしい香りを楽しみながら食事をなされたのだった。
僕の後ろにいるシャザクも、シェフたちも、未だにポワポワした雰囲気を漂わせている。
彼らはマサラガラム料理を味見してみたところ、完全にノックアウトされてしまったのだった。
おーい、帰ってこーい!!
そして食事を終えた第二王子一家も、放心状態になったのだった。
みんな体がポカポカになったらしく、上気した顔をしてらっしゃる。
「こ」
たっぷり五分は経過したあと、ようやく殿下が口を開いた。
「これは……凄まじいものだなあ……。本当に……本当にすごかった。これまでのものは、味や食感を楽しむものだった。だがマサラガラムは……慣れたごく当たり前の食材を、特別なものに変えてしまった。究極のハーブ。それがこのマサラガラムなのであろうな」
「お分かりいただけましたか。僕が申し上げた、カレーと言う料理。その複雑さを担保するのがこのマサラガラムという最高のハーブです。なお、栽培の準備も整っていっています」
「なんと!? こ、このハーブを栽培できるというのか!! なんということだ……とんでもないことだ……。アーランの料理界がひっくり返るぞ……!!」
誰もが認める、マサラガラムの凄さ。
殿下の中にもしっかりと刻み込まれたようだ。
よしよし。
今なら言える。
「では殿下。僕はこれより、砂漠の王国へ向かい、最後のハーブを手に入れようと思っています」
「なにっ、最後のハーブとな!?」
「その名はカレーコ!! これによってカレーは完成します! 出立においてちょっと援助を……」
「それが狙いか! わはは! 構わぬ! 私から援助を出そう! そなたは大言を口にするが、その全てを現実に変えてきた! 私がそなたを信じぬわけには行くまい!」
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