俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
264 / 337
86・コゲタ、アイアン級になる

第264話 コゲタの試験がんばるぞ

しおりを挟む
「さて、まずは戦闘訓練だ。アイアン級とは言え、戦闘ができないと色々困ることになる。俺はたとえカワイイコゲタが相手でも容赦なく審査するぞ! さあかかってこい!」

「はあい!」

 コゲタが棒を構えて、元気に返事をした。
 試験官はシルバー級の槍使いな冒険者だ。
 彼はコゲタの返事を聞いてちょっとメロメロっとなった。

 誘惑に弱いぞ!!

 さて、コゲタだ。
 僕が見守る前で、「えいやー!」と叫びながら踊りかかる。
 試験官はこれを、布で穂先をくるんだ槍で受け止めた。

「おっ、なかなかいい踏み込みだぞ! というか踏み込みが早い! 小刻みに動くから機動性もあるな。コボルドゆえの腕力のなさは、棒の遠心力で補うか! いいぞいいぞ!!」

「めっちゃ褒めるじゃん」

 この試験官、甘々なのでは!
 槍使いはなかなかの実力者だ。
 バンキンともそれなりにやり合えるレベルだから、冒険者としては一流と言っていいだろう。

 そんな彼の目から見ても、コゲタはいいところがたくさんあったらしい。

「打撃力がどうしても足りないところは、お金を貯めて魔法の棒を買おうなコゲタ」

「はあい!」

「いい返事だ! 合格だけどさらに花丸あげちゃう」

 甘い!
 凄く甘いぞ!!

 こうして、コゲタは戦闘訓練を突破した。
 まあ、彼の動きは本当に見るべきところが多かったらしく、贔屓目なしで試験官たちが「やるじゃない」「かわいいだけじゃなかったな」「今世代のアイアン級で一番棒術が上手いと思う」と盛り上がっている。

 さて次だ。
 今度はシルバー級の盗賊が先生だ。

「次は冒険者の一般行動の試験だ! 忍び足をしたり、ロープを登ったり、動物に乗ったり泳いだりする。俺の試験は厳しいぞ!」

「はあい!」

「いいお返事だあ」

 この試験官、甘々なのでは!!
 なお、コゲタはコボルドなので生来隠密行動が得意なのだ。

 忍び足、早足は一発クリア。
 登攀もアーガイルさんから教わっていたので、スルスル登ってクリア!
 泳ぎはそのうちアイアン級みんなに教えるそうなんで、その時に。

 乗馬はカワイイポニーに乗っかって、パカポコ走らせているのでクリア!
 そしてあまりにもこの乗馬姿が可愛すぎて、試験官や野次馬たちがハートを撃ち抜かれた。

 ちっちゃくてもこもこの馬の上に、小さくてもふもふのコゲタが乗っているわけだからな。
 カワイイに決まっているだろう!

「合格! 合格だ!!」

「やったー!」

 コゲタ大喜び!
 これを眺めているアイアン級は、「ひいきじゃね?」「カワイイのは得だよな」「でもあいつ、冒険者の通常行動めちゃくちゃ上手くなかった?」「上手かった……」

 実力でもちょっと認められつつあるな。
 そして次は魔法試験だ。
 これは別に使えなくてもいいのだが……。

「えいやー!」

 コゲタがキャロティから習った魔法を使った。
 瞑想からの……油ボールだ!

 飛んでいった油が、標的にピチャッ!と掛かった。

「おおーっ!!」「魔法まで使えるのか!!」「油を召喚するんだな」「ナザルの影響だなあ」

 使える魔法は身近な相手から影響を受けるものらしい。
 なので、コゲタは油。
 僕の影響はそりゃあ強かろう。

 僕のように、自在に油を使うことは出来ないが……。
 油を飛ばして、そこに火矢を射掛ければ燃え上がるし、相手の足元に油を飛ばせば滑らせるし、飛んでいる生き物の翼に油で飛べなくするし
 色々応用できるだろう。

 それと、「ちょわー!」身体強化の魔法がちょっぴり使えるようだ。
 コゲタのただでさえすばしっこい動きがさらに早くなった。
 これは凄い。

「合格! 合格よー! あのキャロティの弟子だとは思えないくらい優秀ねえ……」

 試験官の魔法使いはキャロティの知り合いだったか。
 そしてそして、そこからは薬草学試験とか、縄作りや脱出などの手業試験、お使いなどの適性を見る配達試験などが行われた。

 特に配達試験は、盗癖が無いかどうかを見られる。
 ここで盗癖があったら一発アウト。
 二度と冒険者試験は受けられない。

 そういう信頼できない人間に任せられる仕事など無いからだ。
 逆に、他の試験が全部ダメでも、配達試験が受かればアイアン級にはなれる。

 つまり、もうコゲタは合格しているのと一緒なのだがー。

 途中、ギルマスまで様子を見に来た。

「優秀なアイアン級候補だそうじゃないか。ほう、ナザルのところのコボルドか! コボルドは優れた冒険者になるんだぞ」

「ギルマス詳しいですね」

「おう。俺の若い頃はコボルドの冒険者もそれなりにいたからな。一番凄いやつはシルバー級まで達したぞ。それより上は、種族の限界ってやつだろうがな」

「シルバー級コボルドは凄いなあ……!」

 まさに伝説のコボルドじゃないか。
 彼らの寿命の短さを考えると、本当に優秀な人物だったからそこまで昇進できたんだろう。

「よし、試験の結果は見たぞ。合格だ! コゲタは今この時をもって、アイアン級冒険者だ!!」

「なんと!! やったなコゲタ!」

「やったー!」

 コゲタが駆け寄ってきたので、僕も走っていって抱き上げた。

「わはは! やっぱりコゲタは凄いな! さすがうちの子だ!」

「コゲタがんばった! これでご主人といっしょにぼうけんするー!!」

「しようしよう!」

 これで、どこにだって連れていけるぞ。
 ちなみにアイアン級のバッジは後ほど作られて送られてくるんだそうである。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

処理中です...