記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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陰謀③
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「フィリ」ねぇ……。婚約者のわたしでさえ、照れくさくて呼べていないのに……この二人は普通に……。
周囲の目も気にせずイチャイチャする二人を見て、全身にざわっと鳥肌が立つ。
「そう。フィリベール様とリナは……以前から関係があったのね……」
「ああ、今まで気づかなかったのか?」
「……どうして」
「王太子の婚約者が果たすべき式典を、お前が何年も放棄し続け、私の横にいたのは常にリナだったからな。王太子としての重責に悩む私の手を取ってくれたのは、いつもリナだった」
「ですから、わたしは――」
「今さら何を言おうがもう遅い。私は彼女と真実の愛に目覚めたんだ。お前が黒魔術を使っていると知って、鬱積した気持ちを晴らしてくれたのは、この可愛いリナだ」
「フィリったら。そんなはっきり言ったから、お姉様が驚いた顔をしているわよ」
「いいんだよリナ。私たちは真実の愛で深く結びついているからね。もう我慢せずに、あの女に教える時がきたんだよ。何度も愛し合ったんだ。既にリナが私の子どもを宿していても、おかしくないんだから」
フィリベールが、リナの肩を抱く手とは反対の腕を、リナのお腹の辺りへ伸ばし、慈しむようになでている。
「それは……世間では不貞というものです。誇らし気に語るのは、おかしいですわ」
「何が不貞だ! 私はリナを側室として迎えるつもりだったが、婚約者のお前が禁術に手を出しているとなれば、話は変わる。お前は罪人だ」
「これで、フィリはリナだけの旦那様になるのね♡」
「ああ、そうだよ」
二人の世界を作り、うっとりと見つめ合っている。
「信じられない……。リナ……。あなた、初めからわたしから立場を奪うつもりだったんでしょう。わたしが犯罪者だと言いがかりをつけて」
「酷いわ――……。リナを疑うなんて……」
リナが泣きそうな声を出すものだから、フィリベールがますます激昂する。
「おい! ジュディット、お前よくもリナを泣かせて」
あんな芝居じみた声に騙されて、馬鹿なのか? この男、何も見えていない。
――って呑気にしている場合ではない。このまま、ここにいては危ない。投獄されるわよ。
この四人には、何を言っても無駄だ。誰か味方はいないか……。
そうだシモンよ。
王宮騎士団の第二部隊長であれば、わたしが黒魔術を使っていないことは、分かってくれる。
今の今まで一緒に森へ入り、瘴気だまりを浄化してきたのだから。
異常な瘴気だまりに、彼も違和感を覚えていたんだもの。
そう思うわたしは、廊下へと続く扉までの距離を確認する。
――全力で走ればなんとかなりそうだ。
逃げるために催眠魔法でも使いたいが、魔法の使用を禁じられている王宮で彼らに何かすれば、それこそ言い逃れができなくなる。
「お前はこの国の重要危険人物だ。お前のその力を封印させてもらう」
「他人の魔力は干渉できないことくらいご存じでしょう。そんなこと……できる訳がないわ」
「ふん。王族の血には、闇属性という特別な力があるんだ。魔力を封じる事もできれば、記憶も封じる事もできる」
「それなら、陛下が気づいて解呪なさるわ」
「くくっ、愚かだな。所詮禁術に頼るしか能がないからその程度の知識なのか? 魔法契約は同じ血の人間しか解呪できないだろう」
「――何ですって」
一時的な魔法じゃなくて、魔法契約。
それはまずい。魔法契約なんて結ばれたら、一生消えない。
逃げなきゃ――。
と思って立ち上がった時だ。ぐぅわぁんっと頭の中で渦を巻き、足に力が入らなくなった。そのまま倒れるわたしの目に留まる白いティーカップ。
そうか……。
フィリベールが淹れたお茶に……何か仕込まれていたのか……。
……あぁ、オレンジの皮は味を誤魔化すために入っていたのね。
なんだ……わたしを思ってくれたわけじゃ……なかった。
馬鹿だな。騙されて。もう、恋なんて懲り懲りだわ。
もし……このまま死ぬなら……。あなたの婚約者のまま、死んでたまるか……。そんな汚名は、ご免だ……。
ローテーブルの上に乗る白い紙へ、必死に手を伸ばす――。紙の角に僅かに触れた瞬間、一気に自分の魔力を通す。
その数秒後、紙の中央に魔法陣が光ったのをガラスの天板越し……床から見上げた。
お望みどおり、婚約の解消はしてあげたわ……。あなたと繋がっているなんてうんざりだもの。
既に限界を超えていたわたしは、にやにやとわたしを見下ろすリナとフィリベールの目の前で、意識を手放してしまう。
そして次に目が覚めたときは、全く知らない男の元だった。
周囲の目も気にせずイチャイチャする二人を見て、全身にざわっと鳥肌が立つ。
「そう。フィリベール様とリナは……以前から関係があったのね……」
「ああ、今まで気づかなかったのか?」
「……どうして」
「王太子の婚約者が果たすべき式典を、お前が何年も放棄し続け、私の横にいたのは常にリナだったからな。王太子としての重責に悩む私の手を取ってくれたのは、いつもリナだった」
「ですから、わたしは――」
「今さら何を言おうがもう遅い。私は彼女と真実の愛に目覚めたんだ。お前が黒魔術を使っていると知って、鬱積した気持ちを晴らしてくれたのは、この可愛いリナだ」
「フィリったら。そんなはっきり言ったから、お姉様が驚いた顔をしているわよ」
「いいんだよリナ。私たちは真実の愛で深く結びついているからね。もう我慢せずに、あの女に教える時がきたんだよ。何度も愛し合ったんだ。既にリナが私の子どもを宿していても、おかしくないんだから」
フィリベールが、リナの肩を抱く手とは反対の腕を、リナのお腹の辺りへ伸ばし、慈しむようになでている。
「それは……世間では不貞というものです。誇らし気に語るのは、おかしいですわ」
「何が不貞だ! 私はリナを側室として迎えるつもりだったが、婚約者のお前が禁術に手を出しているとなれば、話は変わる。お前は罪人だ」
「これで、フィリはリナだけの旦那様になるのね♡」
「ああ、そうだよ」
二人の世界を作り、うっとりと見つめ合っている。
「信じられない……。リナ……。あなた、初めからわたしから立場を奪うつもりだったんでしょう。わたしが犯罪者だと言いがかりをつけて」
「酷いわ――……。リナを疑うなんて……」
リナが泣きそうな声を出すものだから、フィリベールがますます激昂する。
「おい! ジュディット、お前よくもリナを泣かせて」
あんな芝居じみた声に騙されて、馬鹿なのか? この男、何も見えていない。
――って呑気にしている場合ではない。このまま、ここにいては危ない。投獄されるわよ。
この四人には、何を言っても無駄だ。誰か味方はいないか……。
そうだシモンよ。
王宮騎士団の第二部隊長であれば、わたしが黒魔術を使っていないことは、分かってくれる。
今の今まで一緒に森へ入り、瘴気だまりを浄化してきたのだから。
異常な瘴気だまりに、彼も違和感を覚えていたんだもの。
そう思うわたしは、廊下へと続く扉までの距離を確認する。
――全力で走ればなんとかなりそうだ。
逃げるために催眠魔法でも使いたいが、魔法の使用を禁じられている王宮で彼らに何かすれば、それこそ言い逃れができなくなる。
「お前はこの国の重要危険人物だ。お前のその力を封印させてもらう」
「他人の魔力は干渉できないことくらいご存じでしょう。そんなこと……できる訳がないわ」
「ふん。王族の血には、闇属性という特別な力があるんだ。魔力を封じる事もできれば、記憶も封じる事もできる」
「それなら、陛下が気づいて解呪なさるわ」
「くくっ、愚かだな。所詮禁術に頼るしか能がないからその程度の知識なのか? 魔法契約は同じ血の人間しか解呪できないだろう」
「――何ですって」
一時的な魔法じゃなくて、魔法契約。
それはまずい。魔法契約なんて結ばれたら、一生消えない。
逃げなきゃ――。
と思って立ち上がった時だ。ぐぅわぁんっと頭の中で渦を巻き、足に力が入らなくなった。そのまま倒れるわたしの目に留まる白いティーカップ。
そうか……。
フィリベールが淹れたお茶に……何か仕込まれていたのか……。
……あぁ、オレンジの皮は味を誤魔化すために入っていたのね。
なんだ……わたしを思ってくれたわけじゃ……なかった。
馬鹿だな。騙されて。もう、恋なんて懲り懲りだわ。
もし……このまま死ぬなら……。あなたの婚約者のまま、死んでたまるか……。そんな汚名は、ご免だ……。
ローテーブルの上に乗る白い紙へ、必死に手を伸ばす――。紙の角に僅かに触れた瞬間、一気に自分の魔力を通す。
その数秒後、紙の中央に魔法陣が光ったのをガラスの天板越し……床から見上げた。
お望みどおり、婚約の解消はしてあげたわ……。あなたと繋がっているなんてうんざりだもの。
既に限界を超えていたわたしは、にやにやとわたしを見下ろすリナとフィリベールの目の前で、意識を手放してしまう。
そして次に目が覚めたときは、全く知らない男の元だった。
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