記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第2章 あなたは暗殺者⁉
気づかない二人⑤(SIDEアンドレ)
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◇◇◇SIDEアンドレ
ジュディ――。
いや、ジュディと名乗る怪しい人物が、僕の予想外の行動ばかり見せるため、突き放したいのに調子が狂う。
今朝は、にこにこと笑い、僕へ手作りのゼリーを勧めてきた。イヴァン卿から念を押された直後にそれだ。見た瞬間にヒヤッとした。
何かを思い出した彼女が、いよいよ毒を盛ったと真っ先に浮かんだ。
余計なことをするなと断ったところで、驚いた顔をしていたが、暗殺者ならば当然だろう。深く気に留めなかった。
僕の刺客……。世間に受け継がれたくない属性を持つ僕は、そのときが来るのは幼い頃から分かっていた話だ。とうとうその日が訪れただけ。
人生割り切りも必要であろう。
もう、生きることを諦め。なるように身を任せた方が、楽かもしれないと思ったが……まだ死にたくない。
イヴァン卿の言ったとおり。確かに、初めて彼女の顔を見られる。長年、一目でいいから会いたいと願っていた彼女に。
ーー幻の彼女を目に焼きつけたい。
自分が生まれてくるのが先であったなら、僕の伴侶となっていたかもしれないその方を見るまで、この生にしがみつきたい。
ジュディの手で、まだ殺されるわけにはいかない。
ならば彼女の力量を確認するのも一興。ものは試しと披露してもらった。
まあ、刺客といっても僕の隙を突いた戦法であるはずだからと、甘く見ていた。
彼女の魔法の実力を完全に見くびっていた。
少々訓練した魔法を見せられる程度だと考えていたのに、全く違った。
ジュディに攻撃魔法を発動させて分かったが、魔法の発動から攻撃が、異常なまでに速い。
攻撃力も狙いも一切のブレはなく、発動されたら無傷では済まない。
彼女は一体、どこで何をしていたのだろうと、疑念が深まる。
まだ気づいていない彼女の所持品はないかと部屋へ向かってみれば、使用済みのガラス玉が新たに増えていた。
ガラス玉の数を昨日の日中に確認したのだ。たった一日で、上級魔法一つ分以上の魔力を使い切ったのか?
昨夜、どこで魔法を発動していたというのだ? ますます頭が混乱する。
「はは……」
知れば知るほど要警戒人物だと分かっているのに、彼女に心惹かれる自分が情けなくて笑えてきた。
僕はジュディに、幻の聖女の姿を重ねてしまうのだ。焦がれるあの方とは違うと分かっているのに。
ジュディが突拍子もないことを言うから悪い。
かつて、あの方から届いた手紙にも、瘴気から生まれた魔物を土地の所有者に譲り、周囲の人物から怒られた話が書いてあった。
さっきのジュディの言葉が、ジュディット様と妙にシンクロした。
そんなことを言って僕を惑わせるジュディが、愛おしく思えた。
いっそのこと、ジュディが王太子から捨てられたジュディット様ではないかと、淡い期待をした。
だが違う。ありもしない想像にすぎない。
魔力を封印されていようが、魔力計測器がぴくりとも動かないジュディが、聖女のはずがない。
そもそも筆頭聖女候補が行方不明となれば、中央教会に行ったイヴァン卿の耳に届いただろうが、それもない。
冷静になれと己に言い聞かせた。
ジュディに惑わされてはいけないと分かっている。
僕の気も知らず、一方のジュディは隊長と勝手なことを平然と始めて。それを考えただけで胸がジリジリする。
得体の知れないジュディの部屋から戻ってきたところで、僕の部屋へ入る彼女の後ろ姿が見えた。
開けっ放しの扉から、僕は静かに気配を押し殺し、中の様子を見ていた……。
躊躇う様子もなく、彼女は守護の魔法が付与された栞に気づいた。
その姿を見て、彼女は、どこまで魔力に敏感なんだと目を疑った。
今まで誰にも触れさせず、大切にしていたものを彼女が勝手に触れていたのだ。
腹が立つかと思ったが、不思議と怒りは込み上げてこない。
あの方からもらった魔道具を持つ彼女を、何故だか、もう少し眺めていたい気持ちになった。
妙な感情が僕を支配したのは、彼女がその守護魔法に、必死に助けを求めているように見えたからだろうか。
そうだとしても、それは僕の宝物である。一つたりとも失いたくない。
人には譲れないと返却を求めれば、「たくさんあるから貸せ」と言い出した。
その言葉に驚愕して、言葉を失いかけた。
あれを僕が持っているのは、ジュディにとっては不都合なのか?
記憶喪失も偽装? もはや何が真実で何が嘘なのか分からない。
だが、魔力計測器は嘘をつかない。真実、彼女は魔力なしだ。
彼女は間違いなくワケありで、何かある。
そう考えていた時だ。あの方からの贈り物が、ボンッと消えた。
効果を発現すれば、魔道具は当然、形を失う。それもそもはず。
直前、ジュディは頭が痛いと訴えていたんだ。だから、早く手を離せと願ったのに……。
ショックで頭が真っ白になり、そのせいで彼女を冷たく突き放した。
まさか、その贈り主が何も言わずに僕の横を通り過ぎたとは、気づかなかった……。
◇◇◇
ジュディ――。
いや、ジュディと名乗る怪しい人物が、僕の予想外の行動ばかり見せるため、突き放したいのに調子が狂う。
今朝は、にこにこと笑い、僕へ手作りのゼリーを勧めてきた。イヴァン卿から念を押された直後にそれだ。見た瞬間にヒヤッとした。
何かを思い出した彼女が、いよいよ毒を盛ったと真っ先に浮かんだ。
余計なことをするなと断ったところで、驚いた顔をしていたが、暗殺者ならば当然だろう。深く気に留めなかった。
僕の刺客……。世間に受け継がれたくない属性を持つ僕は、そのときが来るのは幼い頃から分かっていた話だ。とうとうその日が訪れただけ。
人生割り切りも必要であろう。
もう、生きることを諦め。なるように身を任せた方が、楽かもしれないと思ったが……まだ死にたくない。
イヴァン卿の言ったとおり。確かに、初めて彼女の顔を見られる。長年、一目でいいから会いたいと願っていた彼女に。
ーー幻の彼女を目に焼きつけたい。
自分が生まれてくるのが先であったなら、僕の伴侶となっていたかもしれないその方を見るまで、この生にしがみつきたい。
ジュディの手で、まだ殺されるわけにはいかない。
ならば彼女の力量を確認するのも一興。ものは試しと披露してもらった。
まあ、刺客といっても僕の隙を突いた戦法であるはずだからと、甘く見ていた。
彼女の魔法の実力を完全に見くびっていた。
少々訓練した魔法を見せられる程度だと考えていたのに、全く違った。
ジュディに攻撃魔法を発動させて分かったが、魔法の発動から攻撃が、異常なまでに速い。
攻撃力も狙いも一切のブレはなく、発動されたら無傷では済まない。
彼女は一体、どこで何をしていたのだろうと、疑念が深まる。
まだ気づいていない彼女の所持品はないかと部屋へ向かってみれば、使用済みのガラス玉が新たに増えていた。
ガラス玉の数を昨日の日中に確認したのだ。たった一日で、上級魔法一つ分以上の魔力を使い切ったのか?
昨夜、どこで魔法を発動していたというのだ? ますます頭が混乱する。
「はは……」
知れば知るほど要警戒人物だと分かっているのに、彼女に心惹かれる自分が情けなくて笑えてきた。
僕はジュディに、幻の聖女の姿を重ねてしまうのだ。焦がれるあの方とは違うと分かっているのに。
ジュディが突拍子もないことを言うから悪い。
かつて、あの方から届いた手紙にも、瘴気から生まれた魔物を土地の所有者に譲り、周囲の人物から怒られた話が書いてあった。
さっきのジュディの言葉が、ジュディット様と妙にシンクロした。
そんなことを言って僕を惑わせるジュディが、愛おしく思えた。
いっそのこと、ジュディが王太子から捨てられたジュディット様ではないかと、淡い期待をした。
だが違う。ありもしない想像にすぎない。
魔力を封印されていようが、魔力計測器がぴくりとも動かないジュディが、聖女のはずがない。
そもそも筆頭聖女候補が行方不明となれば、中央教会に行ったイヴァン卿の耳に届いただろうが、それもない。
冷静になれと己に言い聞かせた。
ジュディに惑わされてはいけないと分かっている。
僕の気も知らず、一方のジュディは隊長と勝手なことを平然と始めて。それを考えただけで胸がジリジリする。
得体の知れないジュディの部屋から戻ってきたところで、僕の部屋へ入る彼女の後ろ姿が見えた。
開けっ放しの扉から、僕は静かに気配を押し殺し、中の様子を見ていた……。
躊躇う様子もなく、彼女は守護の魔法が付与された栞に気づいた。
その姿を見て、彼女は、どこまで魔力に敏感なんだと目を疑った。
今まで誰にも触れさせず、大切にしていたものを彼女が勝手に触れていたのだ。
腹が立つかと思ったが、不思議と怒りは込み上げてこない。
あの方からもらった魔道具を持つ彼女を、何故だか、もう少し眺めていたい気持ちになった。
妙な感情が僕を支配したのは、彼女がその守護魔法に、必死に助けを求めているように見えたからだろうか。
そうだとしても、それは僕の宝物である。一つたりとも失いたくない。
人には譲れないと返却を求めれば、「たくさんあるから貸せ」と言い出した。
その言葉に驚愕して、言葉を失いかけた。
あれを僕が持っているのは、ジュディにとっては不都合なのか?
記憶喪失も偽装? もはや何が真実で何が嘘なのか分からない。
だが、魔力計測器は嘘をつかない。真実、彼女は魔力なしだ。
彼女は間違いなくワケありで、何かある。
そう考えていた時だ。あの方からの贈り物が、ボンッと消えた。
効果を発現すれば、魔道具は当然、形を失う。それもそもはず。
直前、ジュディは頭が痛いと訴えていたんだ。だから、早く手を離せと願ったのに……。
ショックで頭が真っ白になり、そのせいで彼女を冷たく突き放した。
まさか、その贈り主が何も言わずに僕の横を通り過ぎたとは、気づかなかった……。
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