記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第5章 離さない
やきもちが嬉しくて、つい②
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記憶を取り戻してすぐの時は、なんとも思っていなかったのに──。彼と離れたくない想いが心の中を占めている。それも以前抱いていた感情とは違う初めてのものが……。
「陛下が部屋を用意してくれているから。この期に及んで嫌だって言ったら困るでしょう。だから……一緒でもいいわよ」
「ふふ、素直じゃない言い方だけど、恥ずかしがるジュディも可愛いから、よしとしますか」
「だけど、わたしたちが王宮で暮らしたら、パスカル殿下は何か仰らないかしら?」
フィリベールが廃位した今。王太子として任命されるのは、王弟のパスカル殿下だろう。
本来ならば、部屋の工事をしている場合ではない。わたしたちが離宮に移るべきだ。
そう思って口にしたのだが、アンドレが不思議そうな顔をする。
あれ? 何かを間違えたか?
「ジュディは何を言っているのかな?」
「え? だって近々パスカル殿下が王太子になるんでしょう」
「ああ~、ごめん。陛下の説明が足りなかったから、分かっていなかったんですね」
「何が?」
気軽な気持ちで訊ねたものの、真面目な顔をするアンドレが、むくりと起き上がった。
となれば、わたしも合わせるように体を起こして彼と向かい合う。
「今から約一週間後に開催するパーティーで、僕の立太子を公表します。元々国賓を招いて別のパーティーを開催する予定だったけど、それが中止になったので」
「エエエッ! それって、アンドレが王太子になるってことなの?」
「はい。王位継承権第二位のパスカル殿下が辞退したので、急遽、選定会議があたので」
「アンドレに王位継承権はないんじゃないの……」
「本来であれば、急に出て来た僕は選考外でしたが、精霊の呪いを克服した王子が聖女と一緒にいるのを理由に……。逃れられませんでした」
「逃れられなかったって……それでいいのかしら……」
「正直なところ、今まで政治とは無縁の暮らしをしていましたし、貴族の顔さえ分からないので、どうしていいのか分かりませんが、ジュディと一緒にいられるなら、何でもいいですから」
「……馬鹿ね。そんなのを軽々しく引き受けて」
「ジュディを愛してますから、そんなのは苦になりませんし、二人でいれば何とかなるでしょう」
「そうね……」
「本当は、もっと景色の綺麗な場所でする予定だったんですが、我慢できそうにないのでいいでしょうか?」
「ん? 何かしら」
「僕たちの結婚は、陛下の命令でも何でもありません。僕がジュディといたくて願い出たんです。もう絶対に手を離しませんから、僕の妻になってください」
「――こんな我が儘なわたしなのに……本当にいいのしら」
「僕の我が儘に比べたら、ジュディの我が儘なんて可愛いものですよ。絶対にあなたを世界で二番目に幸せにすると誓います」
「……どうして二番目なのよ」
「長年想いを寄せていたジュディのそばにいられて、怒るジュディの顔さえ愛おしくて幸せを感じる僕が、世界で一番幸せなので、一番の座は与えてあげられませんから」
「じゃぁ、遠慮なくごね続けるわ」
「ふふ、そうしてください。どんなことがあっても、生涯あなたへの想いは変わりませんから──……ジュディ──」
二人きりの祈祷室。わたしたちの邪魔をする者はいないけど、結界越しに見える魔物に囲まれ、そっと目を閉じた──。
触れる温もりがドキドキさせるのにやけに心地よい……綿菓子みたいに甘くてふわふわ。
もう少し離さないで欲しいなと思うわたしは、一度離れそうになった感触を、自分から追いかけた。
それに応えてくれるアンドレの存在がたまらなく嬉しくて──こんなの初めてで胸がキュウッとする。
もっとぎゅっとしてくれないかなと思っていたのに、抱きしめてくれていた腕が緩まって離れていく。
ちょっと気づいてよね、って、彼の腕をツンツンすると再び彼の体温が伝わってきた──。うん。甘いココアの湯気みたいに、あったかくて幸せ。
ふふふ、うまくいったなと、にんまりしてしまう。
二人きりのときは、以前のセーターを着てって頼もうかな、もっとふかふかだから。
あれ、どうしてこんなに心が落ち着くんだろう。
……これが好きなのか、よく分からないけど一緒にいたいから、まあいいか。
「ずっとわたしのそばにいてね」
指輪をはめてくれないかなと、甘えたような顔で、彼に左手の手の甲を向けた──。
【HAPPY PROPOSE】
======================
第一部完結までお付き合いいただきありがとうございます。
もしも、本作が投稿されるのを楽しみにされていた方がいらっしゃれば嬉しいなと思っております。
ですが、まずは一区切りをつけないと、と思い話を一旦閉じました。
本作品は、まだ拾っていないエピソードを多数含んでおり、第二部の構想はありますので、その時が来たら、連載を再開したいなと思っております。
勘の良い方は、あれっ! あいつさ……。と思っているかもですが、それを含めて考えております。
改めて、ここまでお付き合いいただいた全ての方に感謝を込めて、第一部完結。
「陛下が部屋を用意してくれているから。この期に及んで嫌だって言ったら困るでしょう。だから……一緒でもいいわよ」
「ふふ、素直じゃない言い方だけど、恥ずかしがるジュディも可愛いから、よしとしますか」
「だけど、わたしたちが王宮で暮らしたら、パスカル殿下は何か仰らないかしら?」
フィリベールが廃位した今。王太子として任命されるのは、王弟のパスカル殿下だろう。
本来ならば、部屋の工事をしている場合ではない。わたしたちが離宮に移るべきだ。
そう思って口にしたのだが、アンドレが不思議そうな顔をする。
あれ? 何かを間違えたか?
「ジュディは何を言っているのかな?」
「え? だって近々パスカル殿下が王太子になるんでしょう」
「ああ~、ごめん。陛下の説明が足りなかったから、分かっていなかったんですね」
「何が?」
気軽な気持ちで訊ねたものの、真面目な顔をするアンドレが、むくりと起き上がった。
となれば、わたしも合わせるように体を起こして彼と向かい合う。
「今から約一週間後に開催するパーティーで、僕の立太子を公表します。元々国賓を招いて別のパーティーを開催する予定だったけど、それが中止になったので」
「エエエッ! それって、アンドレが王太子になるってことなの?」
「はい。王位継承権第二位のパスカル殿下が辞退したので、急遽、選定会議があたので」
「アンドレに王位継承権はないんじゃないの……」
「本来であれば、急に出て来た僕は選考外でしたが、精霊の呪いを克服した王子が聖女と一緒にいるのを理由に……。逃れられませんでした」
「逃れられなかったって……それでいいのかしら……」
「正直なところ、今まで政治とは無縁の暮らしをしていましたし、貴族の顔さえ分からないので、どうしていいのか分かりませんが、ジュディと一緒にいられるなら、何でもいいですから」
「……馬鹿ね。そんなのを軽々しく引き受けて」
「ジュディを愛してますから、そんなのは苦になりませんし、二人でいれば何とかなるでしょう」
「そうね……」
「本当は、もっと景色の綺麗な場所でする予定だったんですが、我慢できそうにないのでいいでしょうか?」
「ん? 何かしら」
「僕たちの結婚は、陛下の命令でも何でもありません。僕がジュディといたくて願い出たんです。もう絶対に手を離しませんから、僕の妻になってください」
「――こんな我が儘なわたしなのに……本当にいいのしら」
「僕の我が儘に比べたら、ジュディの我が儘なんて可愛いものですよ。絶対にあなたを世界で二番目に幸せにすると誓います」
「……どうして二番目なのよ」
「長年想いを寄せていたジュディのそばにいられて、怒るジュディの顔さえ愛おしくて幸せを感じる僕が、世界で一番幸せなので、一番の座は与えてあげられませんから」
「じゃぁ、遠慮なくごね続けるわ」
「ふふ、そうしてください。どんなことがあっても、生涯あなたへの想いは変わりませんから──……ジュディ──」
二人きりの祈祷室。わたしたちの邪魔をする者はいないけど、結界越しに見える魔物に囲まれ、そっと目を閉じた──。
触れる温もりがドキドキさせるのにやけに心地よい……綿菓子みたいに甘くてふわふわ。
もう少し離さないで欲しいなと思うわたしは、一度離れそうになった感触を、自分から追いかけた。
それに応えてくれるアンドレの存在がたまらなく嬉しくて──こんなの初めてで胸がキュウッとする。
もっとぎゅっとしてくれないかなと思っていたのに、抱きしめてくれていた腕が緩まって離れていく。
ちょっと気づいてよね、って、彼の腕をツンツンすると再び彼の体温が伝わってきた──。うん。甘いココアの湯気みたいに、あったかくて幸せ。
ふふふ、うまくいったなと、にんまりしてしまう。
二人きりのときは、以前のセーターを着てって頼もうかな、もっとふかふかだから。
あれ、どうしてこんなに心が落ち着くんだろう。
……これが好きなのか、よく分からないけど一緒にいたいから、まあいいか。
「ずっとわたしのそばにいてね」
指輪をはめてくれないかなと、甘えたような顔で、彼に左手の手の甲を向けた──。
【HAPPY PROPOSE】
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第一部完結までお付き合いいただきありがとうございます。
もしも、本作が投稿されるのを楽しみにされていた方がいらっしゃれば嬉しいなと思っております。
ですが、まずは一区切りをつけないと、と思い話を一旦閉じました。
本作品は、まだ拾っていないエピソードを多数含んでおり、第二部の構想はありますので、その時が来たら、連載を再開したいなと思っております。
勘の良い方は、あれっ! あいつさ……。と思っているかもですが、それを含めて考えております。
改めて、ここまでお付き合いいただいた全ての方に感謝を込めて、第一部完結。
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