【完結】突然の変わり身「俺に惚れるな」と、言っていたのは誰ですか⁉ ~脱走令嬢は、素性を隠した俺様令息に捕獲される~

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!

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第3章 入れ替わりのふたり

3-8 エドワードの動揺①

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 エドワードルイーズの体は、たった1日でひどい罪悪感を抱えながら、訓練場にルイーズエドワードの体が到着するのを待っていた。

 エドワードは、これまでのルイーズのことを大きく誤解していることが分かり、合わせる顔がない。そう思いながら、顔に手を当てている。まずは何て声を掛けるべきか悩み、渋い顔で考え込んでいる。

 それに加えて後ろめたいことがあった。
 ……昨日。ルイーズは、エドワードの体を見て悲鳴を上げていた。それにもかかわらず、自分自身の体のことは、何も言わないままだった。
 こうなれば、別に自分がルイーズの体に興味を持ったとしても、とやかく言われる筋合いはない。仕事柄気になる。そこはサラッと割り切った。

(こんな細い腕でよく、あの重い剣を振っているな)
 そう思って、腕に力を入れてみるけれど、筋肉も余計な脂肪も付いていない腕は、けんのある場所が分かりやすく浮かぶだけだった。

 性格の悪い姉に色々言われた後、どうやればルイーズと自分が元に戻れるのかを考えていたエドワード。完全に行き詰まっていた。心当たりを試しても全く駄目。

 もしかして、自分が女性の体を欲求していた? と思い、ルイーズの胸やお尻に手を持っていく。
 始めは躊躇ためらいながら、次第にどんどんエスカレートしていく。はあはあと息が上がる自分に気付き、エドワードはハッと、我に返った。そのときには、既にルイーズの体や反応で知らないことはなかった。
 やってしまった……と、エドワードルイーズの顔は青ざめる。
 もちろん、エドワードの気持ちが満足し終わっても、エドワードが自分の体に戻ることはなかったけれど。

 休憩室の中で挙動不審のエドワードルイーズの体は、独りで自問自答を繰り返す。
(俺は勝手に何をしているんだ……。言わなければバレないだろうが、何だこの罪悪感は。ルイーズに誤るべきだろうか……。いや、言われたって困るだろう。だが、知らせないのは、やましいことを隠しているみたいだろう。どうしたらいいんだ……)
 壁に片手を突いて、1人悶々もんもんとしているルイーズ姿のエドワード。

「ルイーズ嬢、少し人のいない所で話をしてもいいだろうか?」
 そう言ってきたのは、昨日、ルイーズにリンゴをくれたカーティス公爵令息だった。

 カーティスに会ったとき、「リンゴの礼を言え」と、エドワードは何度もルイーズから念を押されていた。彼女への罪悪感もあり大人しく従った。
 それに昨日の夜、それをかじって食べていたのはエドワード自身。
 ルイーズの中の彼は、部屋にリンゴがあって良かったと、心から思うほどの空腹に襲われていたのだから。

「昨日は、リンゴをありがとう」
 たどたどしく話す彼は、ルイーズに似せたつもりだった。
 その様子を、自分に照れて緊張していると捉えたカーティスは、フッと優しい笑顔を見せ意を決した。

「あれはただの快気祝いだから、わざわざ礼を言われるようなものじゃなくて、恥ずかしいな。次はもっとしっかりとしたものを贈りたいんだ。次の王家主催の舞踏会に、パートナーとして一緒に参加してくれないか? そのために、ちゃんとドレスも贈るから」

 突然の申し出に目を見開いたエドワードは、間髪入れずに返答する。その反応は、いっときの躊躇ためらいもない。
「はっ! 断る。いや、お断りします」
「どうして、もうパートナーが決まっているのかい? もしかして、エドワード?」
「はい? なんで、お、エドワードが、わたしなんかと。それはない」
 
 カーティスは即行でルイーズに断られた。けれど、随分と曖昧な理由だ。
 怪訝けげんな顔を向けるカーティスは、まだ諦めてはいない。
「もし、気が変わったらすぐに声を掛けて」
 そう言って、サッと立ち去ったカーティス。
 予想外の誘いを受け、呆然ぼうぜんとするエドワード。
 既に、90人近くの候補生が集まり、周囲はざわついていた。
 それを察知したカーティスは、2人きりの会話を終わらせたのだ。

(あいつがカーティスから贈られたドレスを着て舞踏会に行くって……。万が一のことがあれば、俺がカーティスのパートナーだ……、それは断固拒否だ。
 この入れ替わりが戻ったとしても、あいつがカーティスのパートナーか……、それも却下だ。
 俺が、危なっかしいあいつの相手をしてやっているんだ。それに気付かずに他の男と、あいつが呑気のんきに過ごすのは、認めるわけにはいかない。断る権利くらいあるから問題はないだろう)

 そう思っているエドワードは、ルイーズエドワードの体に早く会いたくなり、訓練場の入り口を今か今かと見ている。
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